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本流対策室/3 板
1008
:
さくら
:2012/09/18(火) 00:06:25 ID:e8ieIrPA
合掌
「先生、有難うございます。僕、帰ったら、お父さんお母さんに、第一番に感謝します!」
と、A君は力強く言って部屋に引き上げた。
やがてその見真会も無事に終りA君は喜び勇んで我が家に帰って行った。
そして開口一番、
「お父さん、お母さん、有難うございます」
と言おうとした途端、家では父と母が大喧嘩をしている真最中であった。
その喧嘩の声が、近所隣に鳴り響いている。これを見たとき、A君は、
「こんな下らない父母に、どうして感謝ができるもんか!」
となさけなくてたまらず、せっかく見真会で心に決めて来た父母への感謝の言葉など一言も出て来なかった。
ただ口惜しさ一杯で、父母の浅間しい姿をじっと見守っていた。すると父母の喧嘩は段々激しさを増し、ついに父が母をぶん殴ろうとして、手をふりあげた。
その時、A君は無我夢中で、パッと父の前にとび出し、父をつき飛ばした。
父は思わぬところから新手の攻撃をうけ、ヨロヨロとそこへ倒れた。
その瞬間、父はカーッとなって、近くに転がっていた棒切れをとるやいなや、それを握って立ち上り、A君に向かって殴りかかろうとした。
その途端、A君は後藤先生からきいた話を思い出した。いうまでもなく、不良の息子から殴られようとしたときの、父親のあの話だ。
A君の頭に、
「合掌するのは今だ!」
とひらめいた。A君は、直ちにその場に正座合掌して、父を拝んだ。
目をとじて合掌しながら心の中で、
「お父さん、有難うございます。お母さん、有難うございます」
と念じていると、何分たっても、棒が振り下ろされない。どうしたのだろうと目を開いてみると、
お父さんの眼からは、涙がポロポロと頬を伝って流れ落ちていたのである。
その父の泪を見たとき、A君はたまらなくなった。父の涙が、A君の胸を深くえぐったのだ。
思わず、
「お父さん!」
と呼んで、父の胸にとびついた。
「お父さん、僕が悪かった!お父さん、僕をゆるして下さい!」
父とA君とは、抱き合って泣いた。合理的な節も何もありはしない。何がわるい。どちらが悪いの問題ではないのだ。A君が父と喧嘩しなければならぬ節はないし、又わびなければならぬこともない。がしかし、こうして父と子とが抱き合って泣いたとき、一切の行きがかりが何もかも解消して、心と心が通じ合った。
二人は心から和解し感謝しあうことができたのである。
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