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NO.10 数珠 浅葱(すず-あさぎ)(古参)

50ε:2011/06/07(火) 09:21:31
 アサギは苛立っていた。
「不潔」
 刹那はその言葉に目を丸くした。
「おまえ、まさか処女か?」
 そう口に出す刹那にアサギは顔を赤くし、大声で叫ぶ。
「うるさいな!」
 刹那は激昂するアサギの手首をそっと掴み、その肩に手を回した。
「悪かったな。けど、そう怒るなよ。今から、俺が手ほどきしてやるから」
 アサギはぽかーんと、刹那のその言葉に口を開けていた。刹那の指がそっとアサギの頬に触れる。そして、無駄のない動きで、刹那の唇がアサギの唇に接近した。それがまさに触れんとしたとき、  
「ほんっとあんたってサイテイ!! キモイ! 気持ち悪い! あっちいけ!!」 
 アサギは両手で、刹那の胸板を押しのけた。そして、手近なものを掴むと、次々と刹那にそれを投げつけていく。ペンの先が、刹那の頭に突き刺さり、血が吹き出る。
 それでもアサギは、投げる手をやめず、刹那を部屋から追い出した。


「いったい、何だってんだよ」
 刹那は頭をさすりながら、ユウナの隣に座った。
「あんたが悪いんだよ」
「まぁ、多分そうなんだろうな。けど、ああいう女も中々、こう、いいもんだな」
 ユウナはため息を吐いた。
「いいかげんにしとくれよ」
「ん? なんだ、嫉妬なんてお前らしくもない」
「……ほんっと、あんたは変わんないよ。昔から」
 悲しそうな目をするユウナに対して、刹那は笑う。
「俺から言わせりゃ、みんな変わりすぎさ」
「……あんたからすれば、そう見えるのかもね」
 刹那はユウナの手の甲に自分の手の平を重ねる。そして、もう片方の手で、そっとユウナの顔を自分の方へ向けると、そのまま無言で、唇を重ねようとした。
 それをユウナは顔を逸らして避ける。
「そういう気分じゃないんだよ」
 刹那はユウナから手を離し、首を傾げた。
「……分からねえなあ」
「あんたは無神経すぎるんだよ」
「それが俺だからな」
 刹那は笑った。


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