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方言周圏論・蝸牛考

1名無しさん:2010/09/26(日) 19:58:04
柳田國男の『蝸牛考』で一般にも非常によく知られている方言周圏論について語るスレです。

2名無しさん:2010/09/28(火) 02:12:54
単語は後からの習得や変更が容易だから、京都で発生した新しい単語が地伝いに周囲に広がり、
単語の分布が京都を中心にした同心円状になる傾向がある。京都に近い言い方が新しく遠い地域の言い方が古い。
「カタツムリ・デンデンムシ・マイマイ・ナメクジ」などの例や「バカ・アホ・タワケ・ホンジナシ」などの例が有名。
遠く離れた2つの地域に同じ言い方があって、しかもそれが昔の中央で使われていたという事例が典型的。

一方、発音やアクセントは後からの習得や変更が困難だから、各地で勝手に内的変化する傾向が強く、
むしろ京都に近いほうが保守的で、京都から遠いほど激しく変化している傾向がある。
遠い地域で似た発音があっても、偶然同じような変化を遂げた可能性も無視できない。

3名無しさん:2010/09/28(火) 18:40:48
日本言語地図 第236図 かたつむり(蝸牛)-その1
http://www6.ninjal.ac.jp/siryokan_data/drep_siryokan/laj_map/LAJ_236.pdf 地図
http://www6.ninjal.ac.jp/siryokan_data/drep_siryokan/laj_map/LAJ_236_e.pdf 凡例

日本言語地図 第237図 かたつむり(蝸牛)-その2
http://www6.ninjal.ac.jp/siryokan_data/drep_siryokan/laj_map/LAJ_237.pdf 地図
http://www6.ninjal.ac.jp/siryokan_data/drep_siryokan/laj_map/LAJ_237_e.pdf 凡例

日本言語地図 第238図 かたつむり(蝸牛)-その3
http://www6.ninjal.ac.jp/siryokan_data/drep_siryokan/laj_map/LAJ_238.pdf 地図
http://www6.ninjal.ac.jp/siryokan_data/drep_siryokan/laj_map/LAJ_238_e.pdf 凡例

「かたつむり」の呼び方はあまりにも多すぎて3つの地図に分けられるほどでヤバい

4名無しさん:2010/09/30(木) 18:08:36
この周圏的分布ってたとえば朝鮮語でも見られるのか?

5名無しさん:2010/10/01(金) 01:54:09
方言周圏論ばかり有名で、その適用限界とかが全然知られてないと思う。
実際に周圏分布を示す語はそんなに多くないし、有名なカタツムリやバカ・アホは特別に見事な例。
その2つは五重の分布を示すそうだけど、他はせいぜい四重や三重程度。

発音やアクセントの場合、一見すると周圏分布でも、京都から遠いほうが新しい逆周圏分布のことが多い。
語彙の場合は偶然同じ語形を発明する可能性が低いから周圏論が使えるが、
発音やアクセントは個別に同じ変化をすることが多いから偶然の一致の可能性も高く安易に周圏論を適用するのは危険。

でも実際はそういうことは全然知られてなくて、「京都から遠いほど古い言葉が残ってるんだ」とか
「京都から遠い地域の方言が昔の日本語をよく残してるんだ」と安易に言われることが多く、
「昔は京都でも青森や沖縄みたいな言葉が話されてたんだ」と思っている人も多い。

周圏分布じゃなくて、例えば東西対立とか、その他の分布パターンを示す項目も多いのに、周圏分布だけがやたら有名。
中央以外の地域の人にとっては、今まで勝手に変化した変な訛りと思っていた自分の地域の方言が、
実は古い時代の都の言葉を残してることがあるというのは驚きとともに自分の言葉への誇りにもつながるから気に入られやすいんだろうけど。
地元愛のあまりそれにばかり注目すると本質を見誤る。言葉は京都から広がる変化ばかりではないのに。

6名無しさん:2010/10/04(月) 19:28:55
>>4
例えばフランス語の言語地理学でも「古語は辺境に残る」という言葉があった気がする。

ただ、「古語」というのを「中央語で使われなくなった語彙」とするなら、それが中央になくて辺境にあるのはむしろ当たり前だろう。
「中央で使われなくなった語彙が中央に分布する」というのは矛盾していて有り得ないのだから。
ただの循環論法で当たり前のことを言ってるだけと取ることもできる。

実際は、中央に古代語と一致する語彙が分布して、辺境では新しい語彙が分布している例もあるけど、
それは「中央に古語が残る」とは言われない。中央で使われている時点で「古語」とみなされないからだ。
こういう例を「中央に古語が残る」例としてカウントして「辺境に古語が残る」例と比較しないといけない。
そういうことをせずに、「辺境は古く、中央は新しい」と言うのは本質を見誤っている。


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