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東スレ避難所 part 10

671名無しさん:2010/08/26(木) 07:21:13
朝日新聞 2010年(平成22年)8月26日 木曜日
オピニオン 論壇時評

建設的な哲学  ネット共同体に未来見る
批評家・作家 東 浩紀

  米国の政治哲学者、マイケル・サンデルの「これからの『正義』の話をしよう」が30万部を超えた。哲学書がこれほど売れるのは珍しい。
各紙誌で記事が現れている。
  そのなかで「週刊東洋経済」の特集「実践的『哲学』入門」が目を惹いた。橋本務は監修の記事(1)で、冷戦後の社会思想を「リベラリズム」
「自由至上主義」「共同体主義」「保守主義」の四つに分類したうえで、消費税増税や労働規制など、さまざまな政策課題についてそれぞれの「主義」
からどのような結論が引き出せるのか、じつにクリアに整理してみせる。他方で鈴木謙介(2)は、安易な「左派近代思想への回帰」はなにも生まず、
必要なのは「日本に即して橋渡しをするような存在」だとしてブームにやんわりと釘を刺す。2人に共通するのは、ブームからあるていど距離を取った
うえで、哲学や思想を「実践的」なものとして再生しなければならないという危機感である。

 □ □

  日本では哲学というと、まず権力批判との印象がある。サンデルもまた、一部では「批判者」として需要されている。
  しかしその見方は一面的である。哲学にはもっと積極的で建設的な役割があるはずだ。橋本は「最近の政治状況混乱の原因は、政策決定があまりに
当事者たちの個別・具体的な情動に左右されていることにあ」り、それゆえ政治哲学の再導入が必要だと述べている。まずは「哲学」があり、その実現
のため「政策」がある。それが本来のすがただが、日本の言論はいまだ冷戦期の左右対立を引きずり、社会から期待される役割を果たしていない。
サンデルのブームはその間隙を衝いたものでもある。
  では、いまこの国で必要な建設的な哲学とはいかなるものだろうか。
  サンデルの哲学は共同体主義に分類されるが、日本でも共同体論が議論の出発点になるだろう。広井良典(3)は「創造的福祉社会」を構想する野心的
な論文で、現代の資本主義を「生産性が上がりすぎた社会」と規定したうえで、経済成長による雇用確保には限界があり、したがってセーフティネットは
市場経済の外部、すなわち共同体に求めるしかないと主張する。共同体の復活が日本再生の要だ。
  説得力ある議論である。しかし、肝心の共同体はどこにあるのか。家族の再生、地域の再生、国家の再生を訴える論はありふれている。実際、今月は
終戦の月でもあり、日下公人(4)ほかさまざまな論者が熱心に論を立てている。だが、そもそもそのような言葉が届かないからこそ、いまの苦境がある
のではなかったか。




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