濱野:東さんが『ゲーム的リアリズムの誕生』のなかで評論している、『All You Need Is Kill』という作品があるんですが…
ある戦場での物語で、男がその戦場において闘神とされている女戦士といっしょに戦うんです。でも小説を読んでいくと、全く同じ場面に何度も戻るんですね。
だから主人公は何度も戦っているうちに強くなっていく。それで、60回目くらいに、女戦士に「お前はもう何度も同じことを繰り返しているということに
気付いてる?」みたいなことを聞かれて、実はその世界は何度も繰り返されていて、しかもその女戦士は、主人公と同じように、何回も何回も戦ってきたので、
ゲーム的にスキルが上がっていて超強い戦士になっていた、ということが明らかになるんですが(笑)。さらにややこしいのは、その世界をループさせている
元凶が宇宙人なんですが、闘いの構造上、そのループをやめさせるには男か女戦士か、どちらかが死ぬ必要があるんです。で、二人は愛し合っているので、
本来ならば永遠にこのループを繰り返しても良いんですが「それは真の愛ではない」と言って、勇気を持って相手を殺すんです。とても面白いですよ。