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上海雑伎団スレ【第六十四幕】

1353イサク:2022/06/07(火) 05:11:52 ID:BZlYz2N60
あるところにイサクがいました。彼がいるのは、落としてしまったダイアモンドを探す、記憶の砂漠なのでした。

彼はある日、旅人から充足の雨が降るというメソッドを教わり、実践しました。すると、なんと本当に雨が降り出したのです。
「なんてことだ……!」
しかし、ここで彼は疑問に思いました。
落としてしまったダイアモンドが、更に地中深くへと行ってしまうかもしれない。一時的にはともかく、長期的には何の解決にもならないかもしれない、それどころか悪化するかもしれない。
そう考えた途端に雨は降らなくなり、イサクはメソッドをするのをやめました。彼が叶えたいのは雨を降らすことではなく、ダイアモンドを見つけることです。なぁなぁになりたくはありません。

次にイサクが出会ったのは、砂漠そのものを消す方法でした。しかし、これもイサクは納得できませんでした。
なぜならダイアモンドも、大切な自分も消えてしまうからです。

途方に暮れるイサクの元へ、別の旅人が現れ、こう言いました。「ダイアモンドは実は落としていなかったんだよ、ウソだと思って試してごらん」。
本当は落としてなかった、だと? まず、自分はどれだけ馬鹿だったのだという怒りが湧いてきます。
それに、14歳のときのセックスは14歳のときにしかできません。いまになって叶っても、ダイアモンドはなんの価値もない偽物になってしまいます。
しかし、もし14歳で叶っていたら、その後の未来もおそらく変わる。そうなると、ほかのダイアモンドは消えてしまい、やはり救われません。
原初にある毒親を消したら、ダイアモンドも自分も消えてしまいます。しかし、毒親を消さなければ自分は救われない……。しかし……。
――時間軸に沿った思考しかできないエゴには、もう関連付けなんて生易しいものではなく、そういうものとしか考えられません。

ここで突然、彼に天啓が降り、砂漠の砂すべてがダイアモンドだったことに気付く……なんてことはむろんありませんでした。
彼がいる記憶の砂漠は、すべての充足を無に帰す不足の砂漠であり、自分という名の牢獄なのでした。


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