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タルパについて語るスレ

713711:2013/07/03(水) 21:59:03 ID:GfFuOpJk0
「先生」と英語訛りの強いフランス語で、彼女は話しかけた。
「魔術修行者のあいだでは秘密保持の規則が厳しいことは存じております。
あなたがお会いになった、B…・L…卿のお知り合いの方から伺ったのですが、
実験を求められたのに、お断りなさいましたとか。たぶん必要な品物を
お持ちでなかったのでしょう。完全な魔術の部屋をお目にかけたいと思う
のですが。でも、なによりもまず、絶対に秘密を守っていただくようお願い
いたします。名誉にかけてお約束いただけないのでしたら、お宅までお送り
するよう言いつけます」。私たちは長時間何回にもわたって話し合ったが、
その都度彼女は魔術修行を全うするには実践が必要であることを力説する
のだった。魔術用の衣装や道具を集めており、私に欠けていた興味深い何冊か
の本を貸してくれまでした。要するに、彼女にそそのかされて、私は彼女の家
で完璧な招魂の実験を試みる決心に踏み切り、21日間その準備に努めたのである。

7月24日にすべてが終了し、崇高なるアポロニウスの亡霊を呼び出して二つの疑問に
ついて尋ねることになった。その一つは私自身に関わるもので、いま一つは
この婦人に関係あるものであった。彼女は最初信頼のおける一人物を誘って招魂儀式
に参加するつもりでいた。ところが、土壇場になって、予定していた人間が怖気づき、
そして、「魔術の儀式」には三つ組か単一が厳しく求められるために、私ひとりが
残された。招魂のために用意された部屋は小塔の中にしつらえてあった。
そこには四つの凹面鏡と、祭壇の一種が並べられ、白大理石でできた祭壇の上部には
磁気(※)を帯びた鉄の鎖が巻きつけられていた。白大理石の上には本書の第五章に
示したような「五芒星の徴し」が刻まれ、金色に塗られている。そして祭壇の下に
敷かれた真新しい白い子羊の毛皮の上にも、同じ徴しが、様々な色彩で描かれていた。
大理石の卓子の中央には小さな銅製のコンロが置かれて、榛(ハンノキ)と月桂樹と
から製した木炭が添えられている。私の前の三脚台の上にもコンロがもう一つ置かれて
いた。私はカトリック僧侶の法衣と酷似しているが、もっとゆったりした、もっと
裾の長い白の法衣をまとい、頭には金の鎖で編まれたクマツヅラの葉っぱの冠を戴いて
いた。片手には真新しい剣を、いま一方の手には「典礼書」を携え。用意しておいた
必要な物質で二つの炎を点じ、それから最初は小声で、ついで徐々に声を高めつつ、
「典礼書」の呪文を唱え始めた。


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