したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

ヴァレフォールのかつてない危機とその対処

1南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 12:57:26 ID:KOcxbpyI0
声明の前に、我々が何者であるか説明する必要があるであろう。

我々は、主に世界中の既鎖国出身の天才偉人が秘密裏に集い、来る大災厄への対抗策を研究してきた組織である。
規模はおよそ1万人。
歴史に名を残した殆どすべての国家から優れた人材が、かつてアルテミス帝国からヴァレフォールを救った”地図に載らない大陸”南極大陸の地下の空間で研究を続けてきた。
我々の出身国はウィルバー、レイリルなど往年の大帝国はもちろん、パクストスカナ、ハルガリア、UFKASなどかつて制裁にさらされ、多くの人々とともに歴史の表舞台から消え去った小国まで様々である。
また一部の現存国家からも我らのプロジェクトに参加している者がいるが、彼らの万一を考え出身国の公表はしない。

2南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 12:58:00 ID:KOcxbpyI0
さて本題である。
現在、ヴァレフォールからおよそ2000万km離れた小惑星群からのものと思われる巨大隕石が接近中である。
いまさら言われなくとも、今では空を見上げれば昼でもその姿を見られる。
セイルナシアからは分からないかもしれないが、北半球の国民は、丁度北極星の方向に衛星セレネーの直径三倍ほどの黒い天体が出現していることをご存知だろう。

実際の直径はヴァレフォールの7分の1。L.A.のときに落ちた衛星アルテミスより小さいくらいである。
不思議なことにこの隕石は度々速度が変化しているため、何時になるかは予測不可能だが、丁度北極からディルタニア最北部のフェンディアにかけて衝突することは間違いない。
我々も独自にロケットを飛ばして工作機を衛星に派遣して軌道修正を試みたが、残念ながら現代ヴァレフォールの英知を結集してでも、現在の技術力では目標に到底及ばなかった。

第一の研究結論は、隕石の衝突回避は不可能だということである。

3南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 12:58:32 ID:KOcxbpyI0
かつてのLAの時は赤道付近に落下したが、今回の隕石は北極から突入してくる。これは非常に重要な意味を持つ。
自転速度というものが存在する赤道付近では、衝突の衝撃は僅かながら相殺される。被害は広範囲に広がるが、「薄く大きく伸びる」ために、我らヴァレフォール人は文明の壊滅という、相対的にはかなり軽い被害で抑えられていたのだ。

しかしLAは惑星ヴァレフォールの軌道や自転軸を大きく変えた。
我々がシミュレーションを行ったところ、隕石は丁度LAの頃に軌道を乱し、小惑星郡から離脱したことが判明した。
そしてヴァレフォールの公転軌道前方のラグランジュ点ーーー惑星と太陽の重力がつりあう地点ーーーに安定した。
ここまでの研究結果は二年ほど前に既に分かっていたことである。しかし、我々はこの隕石ーーー小惑星ーーーが、後々どれほどの災厄をもたらすか、全くと言ってよいほど予測していなかった。
見苦しいながら言い訳をさせてもらうと、そもそもラグランジュ点は一種の重力を有するところで、一度この地点で安定した、特にかの隕石ほどの大きさの天体は、よほどのことがない限りその場所から離脱しないのだ。
ラグランジュ点について詳しく調べたければ、現存国の資料館でもWi○ip○diaでも参考資料が見つかるはずである。

4南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 12:59:02 ID:KOcxbpyI0
異変が起こったのは丁度一年前。ヴァレフォールで言えば、水奥諸島戦争が勃発した頃である。
何らかの巨大な力が隕石に加わり、ラグランジュ点からヴァレフォール方向へ飛び出したのである。
飛び出したといっても、絶対視点から見れば、ヴァレフォールの公転軌道上に取り残されたことになる。
しかも、それだけなら速度の落ちた隕石は太陽に向かって落下していくはずなのだが、なぜかその軌道は太陽側へ落ちそうになるたびに外へ戻されていたのである。

そして、今ヴァレフォールが隕石に追いつこうとしている。その衝突予測地点は、大体ヴァレフォールの秋分点なのだ。この地点では、LAで自転軸を倒されたヴァレフォールにとっては、好転の進行方向と自転軸方向が重なる。
と言う事は、隕石は自転軸方向つまり北極から突入してくることになるのだ。

前にも言ったが、衝突予測地点は北極からディルタニア、具体的には旧フェンディアにかけての地域だ。

もしも隕石が最高速度で突入すれば、北極は自転による相殺が無いために隕石は地中深くのめりこみ、場合によっては恐るべきことにマントルを突き抜け外殻に達するかもしれない。

一方、最低速度であれば、かつてのLA程度で済むかもしれない。それでも、ヴァレフォールの文明が壊滅規模の大打撃を受けるのは確かである。

5南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 12:59:37 ID:KOcxbpyI0
北極に衝突してくるから南極に逃げているのか、と言われるかもしれないが、それは大間違いだ。
隕石が衝突すれば、たとえ地球の反対側でも壊滅はまぬかれないし、それどころか、南極の地下という所は北極で起きた衝撃の集約点であり、南極は北極に次いで被害を受ける場所であるからだ。

回避が不可能となったところで、我々は別の作戦に至った。
巨大宇宙母艦を建造し、ヴァレフォールの人々と共に宇宙へ非難するという、壮大な計画である。
母艦と言ってもアニメに出てくるような宇宙戦艦ではなく、人々の生存に必要な最低限の物資・施設を載せた球体コロニーを多数打ち上げ、宇宙でそれらを合体させて全体の航行能力を得るというものだ。
その計画を実施するため、我々の研究所は想像を絶する規模に広げられ、各国から人的・資金的支援を募った。

殆どの国がこれに賛同し、中には国家予算全てと国民総動員で協力してくれている国もある。
最早この危機は誰の目に対しても明確に映るもので、皆が「自分が怠れば人類全体が滅亡する」という信念の元、恐ろしい勢いで建設が進められている。

6南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 13:00:08 ID:KOcxbpyI0
今この状況で声明を発したのは、コロニーの打ち上げ実験が成功し、また現存国の援助を受けることが出来さえすれば全人類を支えることの出来る、現代版ノアの箱舟が衝突までに完成できるペースに乗ることが出来ると判断したためである。

計画としては、現在世界中で建設中の宇宙港(国単位で協力してくれている鎖国国で建設中)からコロニーシップを発射して衛星軌道でいくつかの巨大母艦に編成。
衝突の直接的影響から逃れられるようヴァレフォールから600km以上退避し、衝突を眺めることになる。
その後ヴァレフォールの状況を調べ、復興が可能なようであればコロニーシップを再突入させ帰還する。
無理な用であれば・・・航行を続けて生活の可能な天体を探す旅に出るほかあるまい。


夢物語と思うかもしれない。我々は狂った人々だと嘲笑されるかもしれない。
しかし、そういう人々は人類滅亡を黙って待つのであろうか。出来るだけの努力でもするべきではないのか。
そして、出来るだけ多くの国家からさまざまな援助を要請したい。

そして、出来るだけ多くの人々が、私たちの計画に賛同して、生き延びる道を選んでくれることを望む。我々はいかなる私的な報酬も望んでいない。どのような身分の人でも、我々はヴァレフォールの仲間なのだ。

7南極惑星研究所及び造船所:2013/08/18(日) 13:00:39 ID:KOcxbpyI0
長文失礼した。

8南極惑星研究所及び造船所:2013/09/09(月) 21:57:56 ID:KOcxbpyI0
一向に支援を名乗り出てくれる国が現れない。
外交板で一端の弁舌を振るっていた指導者らがここまで愚かだとは想定外であったが、仕方あるまい。

今から、公式に個人単位での寄付を募集する。また、我々を信じ運命を共にしようとするヴァレフォール民は、簡単な検査を経て自由に南極へ来ることを許可する。
おそらく元の家へ帰ることは、少なくとも当分不可能であるから、そこは覚悟を決めて、最低限の物資(食料など生活に最低限のものは全てそろっている 客観的に多すぎるものは南極へ入るときに廃棄していただく)を持って、我々の各国に派遣する輸送船に乗り込んでいただきたい。
幸い、まだしばらく時間は残されているようだ。

我々は、前に「現存国の援助を受けることが出来さえすれば全人類を乗せられるコロニーシップが完成する」と声明した。
しかし、国家群からは全く支援を受けられないとなって、我々は少し戸惑った。
だが、考えてみれば、賛同の気持ちさえも見せられない「国家」を乗せる必要など無いのだ。今ある資金でも、集まってくる有志たちを乗せるには十分だ。
プライドを捨てられずに大災厄を迎えるであろう人々は見捨てることしか出来ない。我々は個人個人に対して呼びかける方針に切り替えた。
新たなる世界で、どちらが文明を再興させるか。見届けたければ、国に遠慮することは無い。議員貴族から「差別されている人々」まで、我々はすべての人に門戸を開放することを宣言する。


追記
64年末に「南極委員会」なる国家が「人民」によって建国されたようであるが、我々とは全く関係を有していない。

9南極惑星研究所及び造船所:2013/09/16(月) 16:15:45 ID:KOcxbpyI0
隕石の衝突が65年、つまり今年の7月上旬になることが最近の解析で判明した。
もう100日も無い。

国家単位での支援は結局受けられなかったが、幸いにも各国の大資産家から子供の小遣いまでを寄付していただいた結果、なんとか全ヴァレフォール民分のコロニーシップを建造することが出来た。
すでに多くの人々が宇宙への避難を始めている。今のところ、死者が出るような事故は発生していない。

システムなどの都合上、宇宙退避プロジェクトへの受付は4月末で締め切らせていただく。
これには、あらゆる手段が有効である。連絡先は下記の通りだ。
実際の乗り込み審査は我々の各地の宇宙基地に到着してから行うため、また回線の込入りを考慮して、代表者、出身国、申し込み人数を知らせるだけで十分だ。
こちらには世界に存在する全ての言語通訳がそろっているため、何語でも構わない。

これが、この黄昏の世界への、最後の直接的なメッセージになるだろう。
この箱庭国際社会が、再び芽吹く日はあるのだろうか。

グッバイ フォーエバー。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板