Francis Collins博士の、科学者としての信用は揺るぎのないものだ。
政府の公的プロジェクトであるヒトゲノム計画を率いて民間企業と競争。
米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の所長として、数々の病気の原因となる遺伝子の特定に寄与している人物で、
偉大な遺伝学者として歴史に名を残すのは間違いない。
そのCollins博士が神を信じてもいるというのは、宗教的信仰と科学とが相反するものではないことの
証明になるだろう。
Collins博士はこの広範な主張を、そしてより具体的には、進化は確かに起こったがその引き金を引いたのは
神だとする主張を、2006年夏に出版した著書『The Language of God』(神の言葉)の中で展開している。
『Nature』誌は論説(有料)の中で、Collins博士の神学的主張は、信者でない人々を説得できるものでは
ないだろうとしながらも、ここで重要なのは、相手を転向させられるかどうかではないと指摘している。
肝心なのは同博士が、信者と無神論者を分かつ溝を、科学的に信用できる、称賛に値する姿勢で
越えていることだ、と同誌は論じる。
その一方で、『The End of Faith』(信仰の終焉)という著書のあるジャーナリストSam Harris氏のように、
Collins博士の著書と『Nature』誌の反応に脅威を感じている人々もいる。
Harris氏がウェブマガジン『Truthdig』に掲載した書評は、Collins博士の主張がなぜ懐疑論者を
説得できないのかを完璧に示す例となっている。
だがもう1つこの書評が明確に示しているのは、一部の無神論者が、根本主義[聖書の記述を
文字通りの真実と考えようとする立場]の人々とそっくりな傾向を備えているということだ。
どちらも、自分のやり方を誰もが信じるべきだと主張する。(以下略)