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从 ゚∀从回る世界とハインのようです
1
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 19:58:17 ID:KlMOR.SA0
「おまじないをしよう」
「どんな?」
「私たちがきっと、次の世界でも会えるように」
48
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:17:40 ID:KlMOR.SA0
从 ゚∀从(……いける!)
口元に笑みを浮かべて、彼女は、
ξ゚⊿゚)ξ「残念でした」
ぐ、っと何かに体を引っ張られるような感触で、
ハインの体が動かなくなる。
背を見ると翼に蔦が絡みついていた。
ξ゚⊿゚)ξ「使い慣れてないもの、無理もないわね」
从;゚∀从「くそっ、離せ」
じたばたと体を動かすが、巻きついた蔦は拘束を緩めることなく体へと伸びてくる。
一切の自由を奪われて、ハインの体が宙に浮く。
そのまま高くまで持ち上げると地面へ向けてハインを叩きつけた。
从; ∀从「あぐっ……」
二度叩きつけられてハインはぐったりと動かなくなる。
49
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:19:22 ID:KlMOR.SA0
首元にぐるりと蔦がとぐろを巻いた。
ξ#゚⊿゚)ξ「よくも余計なことを吹き込んだわね?」
从; ∀从「が、あっ……」
蔦が、首を締めあげる。
抵抗しようにも腕は動かず、ただただ苦しくなる呼吸。
ξ# ⊿ )ξ「私はね、ブーンのためにこの世界をつくったの。
空を飛びたいっていう彼の夢も叶えて、そのために私は犠牲になった。
最初はブーンの喜んでいる姿を見ているだけでよかった」
ギチ、と嫌な音を立てる。
目の前に見えているツンデレの顔がぼやけて見えなくなる。
どくどくと耳の奥で自分の心臓音が響く。
ハインはゆっくりと眼を瞑る。
「でもね、飛ぶことに夢中で、私のところへ遊びに来てくれるのも少なくなって、
だから切り取ってやったのよ。あんな羽、ブーンには必要ない」
「やっと一緒にいられるようになったのに、ブーンを私から取り上げるな!」
50
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:21:58 ID:KlMOR.SA0
きつくきつく締めあげようとしたその時、ハインの周りにブワッと羽毛が舞った。
何か鋭いものが彼女の周りで青空に反射してキラキラと光る。
ゆっくりと開いたハインの眼は飴色に透き通る。
頭にはツンデレと同じように、王冠。
時折ゴギッ、バギッと鈍い音が響く。
体についていた蔦は切り裂かれてばらばらと地面に散る。
背中からぼたぼたと血を垂らしてハインは立っていた。
血に濡れた包帯がはらりと彼女の足元に落ちた。
ξ;゚⊿゚)ξ「……え?」
初めて余裕の表情を崩した。わけがわからない。
ハインに背負われていた羽は、彼女から消えていた。
51
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:22:44 ID:KlMOR.SA0
从 ∀从「いたい」
顔に張り付いた赤髪を指でどけ、後ろへ払った。
混乱したツンデレの表情を見ていると余計に苛立ちが募る。
从 ∀从「こんなに痛いのに割に合わない」
ξ;゚⊿゚)ξ「う、くそっ」
ツンデレは素早く地面からの根でハインを狙う。
次々と地面から貫き出るそれをかわすことに専念するが、
それだけでは反撃に移ることができない。
ハインはこれ以上体を保つことは不可と決心した。
从 ∀从「オレの腕をくれてやるから、」
この世界を変える力をください。
52
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:25:12 ID:KlMOR.SA0
ハインの右腕に根が突き刺さる。
ツンデレとハインが同時にニヤリと笑う。
ξ;゚⊿゚)ξ「なん……」
がぎん、ぼぎっと鈍い音が響いてハインの足元に血だまりが出来上がる。
彼女の血は地面を赤く染めたが、その中にゆらゆらと別な世界が映る。
流れ出た血が貫いた根を折りとり、どこかへ連れて行く。
うすら笑いを浮かべたまま立ったハインの右腕が奇妙にひしゃげている。
ごりごりっ
ばりっ
ごぎ
ぽきり
袖口から覗いた彼女の腕が、歯型のような痕をつけて何かに食べられていく。
食べられた傷痕にこことは違うどこかの、青空が見える。
从 ∀从「お前だけが選ばれて、お前だけが世界を作れて、お前だけが好きにできると思うな」
さあ、開けてやろう。お前の世界に大きな穴を。
私の形に開けてやろう。
53
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:25:24 ID:.oZr6T/oO
途中置いてきぼりポカーンってなったけどここまで読んで追い付いた感じだ
54
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:27:48 ID:KlMOR.SA0
ツンデレの世界にこじ開けられたハインの世界。
一枚の風景写真に別な風景の切り取りを張り付けたかのようなその光景。
再び王座の後ろから蔦を伸ばすが、ハインは右手で空間を一薙ぎにする。
ハインの世界が真一文字に伸びて、
その空間に触れた蔦がばらばらと砕け落ちた。
ツンデレが怯んだ隙に一気に距離を詰める。
ξ;゚⊿゚)ξ「ひっ……」
从 ∀从「お前はもう、王座を降りろ」
ξ;゚⊿゚)ξ「それは……」
从 ∀从「嫌なら引きずり降ろしてやる」
ハインがツンデレの王冠に手を伸ばした時だった。
いつの間にか目を覚ましたブーンが両者の間に割って入る。
55
:
>>53 ぎええごめん。そして読んでくれてありがとう
:2011/03/21(月) 21:30:27 ID:KlMOR.SA0
( ^ω^)「離れろお、ハイン」
从 ゚∀从「……どけ」
( ^ω^)「どかないお」
「なんとなく王冠で予想はついていたけど」とブーンは言う。
ハインがこの世界の住人でないことも、王について知っていることも。
( ^ω^)「王冠を剥奪されたら、ツンはどうされてしまうかわからない」
从 ゚∀从「そんなこと、オレが責任取れるか」
( ^ω^)「それじゃ困るんだお。……ツン」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、な、なに?」
( ^ω^)「僕がいなくなればツンはちゃんとした世界を作れるお?」
56
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:31:58 ID:KlMOR.SA0
だったら、まで聞こえた時、ハインの顔に鮮血が吹きかかった。
ブーンの倒れて行くさまがゆっくりと見えて、
彼が隠し持っていたナイフが手から滑り落ちる。
ツンデレのつんざくような悲鳴が聞こえる。
すぐにハインが倒れているブーンの隣に膝を落とす。
彼はぜいぜいと肩で息をしている。
流れ出ていく血のせいですぐに唇が紫色に変色してきた。
そんな中でもいつもの調子で、「あ」と声を漏らした。
ブーンの視線がハインの顔を捉える。
どうやら動き回っていたため、隠していた左目が見えているらしい。
「おー、綺麗だお。僕もハインの世界を見てみたいお」
最後の言葉を言い終わって、ざらりと、ブーンの形が砂山のように崩れた。
57
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:34:07 ID:KlMOR.SA0
ツンデレは一層悲痛な叫び声をあげてブーンだったものを見つめている。
必死に手を伸ばすが、砂山に手は届かない。
玉座に座った者は玉座からは動けない。
ツンデレの両眼からぼろぼろと涙がこぼれて大地に染みを作る。
ハインはツンデレの頭の王冠をつまんで取り上げ、
彼女が泣きやまないのを見てドクオの元まで引き返していく。
左目が熱い。相変わらずうるうると世界を湛えているが、
こぼれおちそうな感覚に手でぐっと抑えた。
58
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:39:36 ID:KlMOR.SA0
ドクオは仰向けに寝そべって、、血だらけで戻ったハインに苦笑いを見せる。
(;'∀`)「ずいぶん遅かったんじゃないの?
オレもう限界だよ?」
軽口を叩いたものの、無残に右腕がちぎれた状態のハインに言葉がつまる。
ドクオの体の真中に刺さっていた根は消えている。
彼は体を起こそうとするが、痛みを耐えきれず顔をしかめる。
ハインが手に持った王冠は、彼女が流した血で赤い。
从 ゚∀从「ごめん。手間かかって」
(;'∀`)「ブーンは?」
从 ゚∀从「……多分、オレの世界に」
_,
从 ゚∀从「いるーのかなー?」
(;'∀`)「アバウトかよww
じゃあオレも、あんたの世界に住まわせて欲しいなぁ」
从 ゚∀从「やだよ。ドクオなんか入れたくないね」
(;'∀`)「おい、怪我人だぞ。優しくしろよ」
从 ゚∀从「お前にはこっちのほうが似合うよ」
59
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:42:41 ID:KlMOR.SA0
「王様かぁ、オレにできるかな」
「できるよ、ドクオなら。あ、できればツンデレにもやさs」
上半身を起した彼の頭に王冠を被せようと両手を伸ばしたところで、
どん、と誰かに背中を押されてハインを鈍い痛みが襲う。
手からするりと王冠が抜けた。
だんだんとだんだんと、傷口が熱を持って体中に痛みを伝えていく。
崩れ落ちたハインにドクオは強張った笑顔のまま。
「ハイン?」
崩れたハインの後ろには、無表情なツンデレが、ナイフを持って立っていた。
ハインの指先に冷たい王冠が触れていたが、どうにも力が入らない。
誰かの声もはっきりとは聞き取れない。
視界がかすんで白く反転して、ハインは意識を手放した。
あんなに良くしてもらったのに。
ドクオに恩返しできないことだけがただ心残りだった。
その日ハインは、初めて死ぬことを後悔した。
60
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:45:15 ID:KlMOR.SA0
一話目分は以上です。
読んで下さった方ありがとうございました。
もし気になった点があれば、教えて下されば嬉しいです。
61
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:49:49 ID:JXwaxnwM0
乙。面白かった。
ただ俺も、何か謎とか伏線というのを餌に走る作者を追いかけてたら
>>42
あたりでいきなり突き放された感じが・・・
62
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 21:58:08 ID:KlMOR.SA0
>>61
突き放した感ごめんなさい……。
世界観についてどこまで説明すべきか迷って、こんな構成に…
2話目ではもう少し工夫してみます。
読んで下さってありがとうございました!
63
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 22:00:49 ID:kTAP.QF.O
乙
これで一話か
64
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 22:02:39 ID:KlMOR.SA0
>>63
ちょっと中途半端でしたかね…?
読んで下さってありがとうございます!
65
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/21(月) 23:02:19 ID:0aNuNlFoO
乙
ちんぷんかんぷんだけど、まあ追々分かるだろう
66
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/03/22(火) 08:15:48 ID:/YaQMZ7w0
乙
短編かと思ってたら違ってた
67
:
作者です
:2011/03/22(火) 09:49:48 ID:ZhdODDjE0
>>65
読んでくださってありがとうございます!
後々設定がわかるよう話を繋げていくつもりです
>>66
ありがとうございます!
最近続き物を読んでいないので、自分で書いてしまおうと
どれくらいの長さになるかわかりませんが、
ゆるゆる続けていきます。
よろしくお願いいたします。
69
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2016/02/26(金) 21:32:28 ID:GurR2exs0
み
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