レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
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避難所の皆様、初めまして。このスレッドは元々vipに投下していたのですが、設定ミスや誤変換を修正するために
こちらで改正版を投下させていただくことに決めました。
各まとめ様には大変ご迷惑をお掛けする事になりましたがよろしくお願いします。
また今回の東日本大震災で被災された全ての方々に、心から御見舞い申し上げます。
今回、改訂ということでまとめ様に影響があるため、早めに投下させてもらいますが
2話までの投下が終わりましたら、次話の投下はしばらく自粛させていただきます。
----俺の財布から飛び立った番いの鶴が少しでも皆様のお役に立ちますように----
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ただ単に遊んでるだけだろ
作者はリア充、リア充だからこそこんな面白い作品をかけるんだ!
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いやそれはない
来るなら待つけど生存報告ぐらいないと
まあまだ何ヵ月も経ったわけじゃないが
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夏休み終わるぞオイ
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続きまだか
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移住しようか悩んでんじゃね?
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悩んでるにしても一言ないと心配だ・・・
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逃亡とか勘弁してくれ
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>>楽に稼げるアルバイトの件。情報載せておきます(*・ω・)!! http://tinyurl.k2i.me/eQAZ
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世の中には簡単で儲かる仕事があるもんだ(^ω^)! http://tinyurl.k2i.me/GoeA
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PS3版をやってましたとかなら許す
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そして夏休みEND
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もっ、もうすぐ投下しにくるんじゃないかなっ!
べっ、別にMHFで秘伝書手に入れてヒャッハーしてたとか、そんな事は無いですよ!!
本当にお待たせしてます、近日中に参ります。
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>>545
やぁ、よくきてくれた・・・・
さぁ、君は今から裸でイヤンクックと一緒に踊るんだ
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待ちかねたぜ……
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>>545
べ…別に心配なんてしてなかったんだからねッ!!
投下楽しみに待ってます
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許す
つまりはまている
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本物だよな?
wktk
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【避難所の現状】
・スレの乱立により新スレが立てられない
・荒らしが蔓延しているため、すぐにとげとげした雰囲気になる
・言われのない個人の誹謗中傷が飛び交う
・作品スレにも大判コピペで荒らされるので読みにくい・不快
○移住の利点
・管理人がいる事。少なくとも一日一回は板を巡回してくれるようだ。
だがスレ削除などの「仕事」は、毎時間帯できる訳でもないという事は理解を。
・管理人及び削除人を複数選定する事を思案中。
つまり今回の様に、管理人一人不在でコミュニティ崩壊というリスクを軽減できる。
・常識の範疇での言論規制を行ってくれる。上記の荒らし達もアク禁にできるので
そう何度も荒らされない。荒らされても削除してくれる。
・いわゆる「VIPとは別版」という事ではなく、純然な利用者が快適に過ごせる為の
マナーを儲けている。管理人もVIPPERなので理解はあるかと。
作者様も読者様も、移住の検討いかがでしょうか。
( ^ω^) ブーン系創作板のようです
http://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/
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>>551
わざわざお知らせありがとうございます。
移転に関しては、まだ考えてません。まずはこのスレッドを1000まで埋めてから、移転しようかと思っています。
その際はurl等を貼るなどしてして、できる限り誘導させてもらうつもりです。
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めちゃくちゃ楽しみにしてる!急かすわけじゃないから無理せず自分のペースで〜
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本日22:00に投下しに来ます。
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!?
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wktkwktwkwtkwktwkwtkwkwtktwkwtkwktkwtkwtkwktkwktkw
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あと15分!
バイトなくてよかったぁぁぁ(´Д` )ぁぁ
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いやっふううぅぅうう!!!!!!
久々の投下だぜー!!!!!!
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――目次――
一話 和光同塵――渓流に潜む青い影――
>>2
二話 五里霧中――凍土に蠢く白き闇――
>>76
三話 才気煥発――誇り高き騎士――
>>165
四話 先見乃明――蒼空を愛した龍の王――
>>304
五話に関しては、この話が完結してから付け足す事とします。
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きたぁぁぁあ
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※注意
・元ネタ有り
・モンスターや装備についての独自解釈満載
・登場人物をAAに無理矢理変更している場合があります
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●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:ドンドルマの英雄】
HR:6
所属猟団:無所属
使用武器:コウリュウノツガイ(双剣)
防具:ナルガXシリーズ
現在地:ユクモ村
●(,,゚Д゚) ギコ=ストッドウッド
人間
26歳 【称号:Stubborn】
HR:6
所属猟団:荒鷲団
使用武器:ハイジークムント(大剣)
防具:レウスSシリーズ
現在地:ユクモ村
●ζ(゚ー゚*ζ デレ=ツンデレート
人間
21歳 【称号:無し】
HR:4
所属猟団:ユクモギルド
使用武器:フロギィリボルバーⅢ(弓)
防具:マギュルSシリーズ
現在地:ユクモ村
-
●( ^ω^) ブーン=ホライゾン
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:デッドリボルバー(鎚)
防具:アロイシリーズ
現在地:ユクモ村
●ξ゚⊿゚)ξ ツン=ツンデレート
人間
19歳 【称号:無し】
HR:2
所属猟団:無所属
使用武器:ジャギットファイア
防具:ジャギィシリーズ
現在地:???
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●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇
現在地:ユクモ村
●(*゚ー゚) しぃ
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:???
兜:???
鎧:???
現在地:ユクモ村
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※前回の話は5―1という位置付けとします
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ギコの祝賀会からの帰り。ドクオとツーは、灯籠に薄暗く照らされた道を会話もなく歩いていた。
ドクオの脳裏に引っ掛かるモララーの言葉。
【騎士派】それが、ユクモでどのような意味を持つのかをドクオは知らない。ただツーとしぃが語った『モララーには仲間が居ない』という言葉と『騎士派と狩人派の不仲』を併せて考えれば、ある程度は容易に推測出来た。
そんなドクオの気持ちを知ってか知らずか、ツーも普段の様にドクオの頭には座らず、自分の足で彼の後ろを付いていた。
('A`)「なぁ、ツー。騎士派について少し聞きたい事があるんだが」
(*゚∀゚)「ニャー、前にも言ったけど聞いても面白い話じゃにゃいニャー」
ツー自身も、勿論分かっている事だ。ドクオの異常なまでの勘の良さ。そんなドクオに隠し事は出来ない。
だが、それでも笑って話せる様な話題ではなかった。言うなればユクモの最深部、寒々と、尚且つ黒々とした場所。
('A`)「それでも、だ。出会った時には話さなかったが俺自身、ユクモには一応目的があって来た」
そう聞いてツーは少し驚いた。ドクオが嘘をついていた事にではない。ドクオの様な腕利きが何の目的も無いなんて、と内心気付いてはいた。
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('A`)「ドンドルマの爺さんに言われてな。その目的に関係してくるかもしれない事だから、聞きたくもなるさ」
(*゚∀゚)「ニャー、そうだったのかニャー」
ドクオが自分の事について話すのは初めてだったからだ。普段、村の子供達やブーン達からせがまれてドンドルマの話をする事はあったが、その時も出来るだけ第三者の立場から話していた。ドクオの生い立ちや、想い出など、この村の中で一番近くに居るツーですら知らないのだ。
(*゚∀゚)「じゃあ、ちょっと適当に座るニャー。立ち話で済むような話題でもないのニャー」
('A`)「あぁ」
二人は、道の端に無造作に置かれていた大樽と小樽にそれぞれ腰掛けた。
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(*゚∀゚)「ニャー、どっから話したものかニャー。ドクオは、その辺りについてどこまで知ってるのかニャー?」
('A`)「ユクモに3つの派閥があるのは知っている。その中で【狩人派】と【騎士派】が不仲なのもな。だが、それしか知らない。どういった経緯で、そんな下らない派閥が出来たのか、何故啀み合っているのかも」
にゃにゃ、とドクオの言葉にツーは少し顔を強張らせた。しかし、すぐにその表情を消し去って今度は自嘲するかの様に渇いた笑いを見せる。
(*゚∀゚)「下らない、ニャー。確かに下らないんだろうニャー」
しかし、その一種の変化を見逃す程ドクオは間抜けでは無い。
('A`)「すまん、気に障ったか?」
(*゚∀゚)「ニャー、仕方ないのニャー。一致団結してモンスターと戦い続けてるドンドルマの狩人からすれば、今のユクモは下らないと言われても無理ない状況だニャー」
最重要拠点都市ドンドルマに、この様な派閥争いは存在しない。ドンドルマの抱える事情を加味して言い換えるならば『そんな事を争っている余裕など無い』のだ。
【全ての交差点】ドンドルマ。広大な大陸のちょうど真ん中に位置するドンドルマには、モンスターの襲来が、最早生活の一部となっている。
ユクモを含む八つの地方から等距離にある事が、その原因だ。それぞれの地方にしか存在しない飛竜達が、他方面に勢力を伸ばそうとした時、必ず一番最初に通らなくてはならない場所にある。
だからドンドルマの狩人は強い。場数が圧倒的に違う。それにユクモの狩人達のように自分の狩るモンスターを選り好みなんて出来ない。
そんな生易しい選択肢、与えられるはずがない。
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飛竜が現われたなら狩るしかない、これはドンドルマの狩人であればHR1の者であっても皆自覚している事だ。
ユクモの様に『自分はまだ未熟だから誰かが狩ってくれる』などという甘えを持っていない。
自分のその甘えが、大陸全土にどんな混沌をもたらすのかを自覚しているから。
('A`)「事情は、それぞれ違うというのは分かってる。それでも派閥によって干されたりするような状況は看過できない」
(*゚∀゚)「ニャー、それも皆頭では分かってるはずなのニャー」
ツーが、地面になにやら書き始めた。図で説明しようとしている様だ。
普通のモンスターならばこうはいかないが、これもアイルーという高い知性を持つ彼らの特権だろう。
(*゚∀゚)「まずユクモにはこの三つの派閥があるのニャー」
('A`)「うむ」
(*゚∀゚)「そして今、それぞれの派閥を【ギルドマスター】スカルチノフ、【騎士長】フォックス、そして【歌姫】キュート様が治めているのニャー」
('A`)「ふむ、スカルチノフとフォックスについては少しギコから知識を得ている」
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(*゚∀゚)「狩人派については説明を省くニャ。肝心なのは【騎士派】と【聖歌派】だニャー。【騎士派】は、元々武力を持たない【聖歌派】を維持する為に設立された物なのニャー」
('A`)「ふむ、聖歌派の私設武装集団のような物か。だが、それなら騎士派と聖歌派は一括りでも良いんじゃないのか?」
ここでツーは深く溜息を吐いた。
(*゚∀゚)「確かにドクオの言う事は最もだニャー。だから最初は二つの派閥は、一つだったんだニャー」
('A`)「それが、何故今になって二つに別れてしまったんだ?」
それにツーは答えられなかった。頭の中で何度も再考し、順序立てて説明しようとしている。
其れ程までに複雑なのだ。
(*゚∀゚)「……始まりは、ある事件だったニャ」
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現聖下であるキュート=バレンタインの祖父であるモナー=バレンタインが治めていた頃の事だ。
ユクモを揺るがす大事件が起きた。
モナー=バレンタインの一人息子とその家族。
総勢四人の乗る馬車が、ある飛竜に襲われたのだ。
それも、未だかつて飛竜の現れた事のない閑かな場所で。
普通、どこか危険な場所を通るような場合、狩人が何人か護衛についていたのだが。その日は、別段危険な場所でもなく、護衛も付いていなかった。
遣わされた狩人が発見した時には、馬車はグチャグチャにひしゃげ、車を引いていたガーグァの身体は食い荒らされていた。
息子は飛竜と戦ったらしく、その死体は余りにも損壊していた。
嫁は、二人の娘を抱き締めて居たのだろう。背中に大きな爪痕を付けられて絶命していた。
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二人の娘のうち、不幸中の幸いにも、荷馬車の下で気を失っているキュートが発見された。
もう一人は、誰も口にはしなかったが飛竜に連れ去られたのだろう。
食料として。
これにモナーは、大変心を痛めた。大切な一人息子とその家族を失ったのだから、当然だ。
そして、その非難は言うまでもなく狩人に向いた。
護れない盾に価値など無い。
家族を殆んど失った老いぼれが作った、それが騎士派。
その長に誰が就任するのか、という選考は困難を極めたが、ブーンの父でありユクモ最高のHR6のベーン氏の強い推薦によりフォックスが選ばれた。
それが騎士派の興りである。
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聖下の為を第一に考える者が集まる派閥。
聖下を崇拝しているからこそ、未だにその事件を根に持ち、狩人派を侮蔑する物は少なくない。
そして狩人達も、聖下の為という大義名分を振りかざし、ろくに働きもせずに地位を得ている騎士派が面白くない。
(*゚∀゚)「……という訳だニャー」
('A`)「………」
ドクオは言葉を失っていた。ツーの話を聞いて、確かに騎士派と狩人派の確執には納得がいった。
だが、これでは何時までも纏まらない。
(*゚∀゚)「でも、最近じゃ騎士派も色んな人がいるのニャー。モララーみたいに、気分で騎士派に入るような奴も現れ始めたのニャ」
('A`)「モララーは、どういう奴なんだ?」
ツーは、少し考えて言った。
(*゚∀゚)「分からんニャ。肩書きとしては、騎士派だけど狩人もしてるのニャ。HR5で、なかなか腕が立つ男だニャ」
('A`)「それは、問題ないのか?」
(*゚∀゚)「じじいは何も言わないから大丈夫ニャ。ただ、向こうでは分からないニャー」
あの飄々と、それでいて隙の無い立ち振舞い。そしてドクオに見せたあの武器。
('A`)「謎、か」
-
(*゚∀゚)「ま、モララーの事はオレっちよりギコに聞くのが一番だニャー。アイツとモララーは幼馴染みであり、お互いにとって数少ない友人だったはずニャー」
ツーは、これで話は終わりだという様にくるくると身体を捻りながら器用に立ち上がった。
('A`)「幼馴染み、か」
ドクオの視線の先には夜空。満天の星々が輝いていた。
燦々と輝く星は、己の存在を主張するかの様に強く光を放つ。
('A`)「………」
その余りの存在に、ドクオは思わず手を伸ばす。
一際強い光を放つ星達を結ぶように、指をなぞった。
しかし、まだそれは形にならない。
星座とは、一等星や二等星、大小様々な輝きを放つ星が決まった季節、決まった時間に揃う事で、完成されるのだ。
('A`)(……!?)
不意に、星が流れた。流れた様に見えた。
次いで、僅かに鼻を突く様な火薬の匂い。
-
('A`)「ツー」
(*-∀-)「ニャー、ボウガンだニャー。一体、どこの馬鹿かニャ」
ツーも、気が付いたようだ。夜空に流れた一発の弾丸に。
('A`)「一応様子を見るぞ。ただでも宴会騒ぎで浮ついているんだ。それに、さっきの話を聞いた後だとな」
(*゚∀゚)「ニャ、じゃあちょっくら見てくるニャー。流石にあの一発じゃ分からないのニャー」
直ぐ様、潜ろうとするツー。しかし、ドクオはそれを引き止めた。
('A`)「必要ない、大体の場所は掴めたからな。少しだけ気配を潜めていこう」
平然と言い退けるドクオ。それを聞いたオトモは、深く溜め息を吐く。
(*-∀-)「ニャー、このネコ耳は飾りじゃないつもりだったんだけどニャー。流石にこれは自信を無くすのニャ」
('A`)「?」
-
音は、賀老の滝付近から聞こえてきた。
賀老の滝というのは、ユクモの命たる温泉、その源泉が流れ集う場所である。
ユクモの集落自体からは、結構な距離があり寧ろユクモ村からよりも【パッソ】という村の方が近いくらいだ。
ドクオとツーは、出来るだけ迅速に、且つ物音を立てずにグイグイと進んでいく。
そして辿り着いた賀老の滝。
('A`)「あれは……」
そろりそろりと近づき目を凝らす。
ドクオの目に飛び込んで来たのは、何とも神秘的な光景だった。
落ちては弾ける水飛沫、幾千幾万に別れて飛び散る命の水を、頭上に厳かに輝く月が照らす。
滝の下、不自然に花が咲き乱れるその場所に一人の少女が立っていた。
少しクセっ気のある金色の髪。
それを見たドクオは、いつでも抜けるようにと構えていた手を、なんでもないように柄から遠ざけた。
ξ゚⊿゚)ξ「……誰? ブーン?」
声の主は、ツン。
-
ドクオは、出来るだけおどけた様に両手を上げて草陰から姿を現した。
('A`)「驚いたな、この距離で気付かれるとは思わなかったよ」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ。なんだ、ドクオか」
ツンは、突然の来訪者がドクオである事に少し驚きながら、溜め息を吐いた。
('A`)「気配は出来るだけ消していたつもりだったんだけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「あぁ、気配だったりなんて新米の私には分からないわよ。ただ“見えた”だけ」
ここでドクオに一つ疑問が湧いてきた。
('A`)「見えた、というのはこの暗闇とこの距離で視認出来たという事か?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、目だけは良いのよ」
なんでもないように言うツンに、思わずドクオは絶句する。
(*゚∀゚)「流石は“鷹の目”だニャー」
地中から音を立てて出てきたツー。
唐突の登場に、可愛い悲鳴をあげて後ずさるツン。
('A`)(……気配を感じられてないというのは本当、か。という事は、さっき俺に気が付いたのも本当に見えたという事か)
ξ;-⊿-)ξ「もうっ、驚かさないで下さい! それに、その呼び方も好きではないですからね」
-
('A`)「そう謙虚になる事もあるまいに。ガンナーにとって目は命だ。それが優れているのは誇って良い事だろう」
ξ゚⊿゚)ξ「それが本当に、私の視力だけを揶揄してる物なら、ね。確かに、私の視力は優れているかもしれないけど“鷹の目”というのは視力よりも、どちらかといえば私の“容姿”を揶揄した物なのよ」
はて、この少女の容姿、というのは何処を指しているのだろうか。
緩く内にカールした金色の髪。ツンと高く筋の通った鼻。雪のように透き通った白い肌。大きく、切れ長な目。
百人が見て百人が、綺麗と答える容姿をしている、とドクオは思った。
('A`)「ん……」
切れ長な目、勝ち気そうな目、全てを見通すような鋭い――――
('A`)「なるほξ#゚⊿゚)ξ『納得するな』……すまん」
-
そこで一息ついたのか、ツンは再び自分の作業に戻っていった。
('A`)「そういえば、ツン。こんな夜更けに一体何をしてたんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「んー、訓練。まぁ、そんな大層な物じゃないけどね」
ツンは手を止めずに答えた。
('A`)「そうか」
ξ゚⊿゚)ξ「最近ブーンが頑張っちゃってるから。私も少しは、ね」
ドクオは、以前デレから聞いた話を思い出した。
ツンは、元々明確な意志を持ってハンターになったわけではない。
ブーンを追いかけ、隣に居続ける為に、この道を選んだ。
('A`)「焦りか?」
一瞬、本当に一瞬だがツンの手が止まった。
ξ-⊿-)ξ「はぁ……。本当にドクオって見え透いた事を言うわね。嫌われるわよ」
('A`)「注意するべき所は注意する。先輩として当然の事だ」
ξ゚⊿゚)ξ「……まぁ、そうね」
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まだ二人が出会って、そんなに長い時間が経った訳では無い。だが、お互いの領域を把握する位の会話は済ませてある。
完全無欠の男、自尊心の強い少女、二人の会話に厭は無い。
ξ゚⊿゚)ξ「そりゃね、クルペッコと戦った時だって私は殆んど何もしてないし、訓練だって積極的に行ってるとは言えないわ。それは私自身が一番分かってるしね」
('A`)「……」
強く、自分のライトボウガンを握る少女は、目を伏せる。
ξ゚⊿゚)ξ「でも、このままじゃ駄目だって事も同じくらい分かってるつもり。依存は好きじゃない。私は、相乗して行きたいから」
(*゚∀゚)「……惚気られてもニャー」
ドクオの傍で聞いていたツーは、聞いてられないという様に、肩を竦めた。
ξ////)ξ「べっ、別にブーンとずっと一緒に居たいからとか思ってないんだからねっ!!」
顔を真っ赤に染めて、ライオンよろしく、ガルルと低く唸っている少女。
-
('A`)「理由はどうあれ、自分を磨こうとする事が悪いはずないだろう。ただ、こんな時間に村から外れた場所でする必要もないだろうに」
ξ゚⊿゚)ξ「別に初めてじゃないもの。それに、普段だったらそろそろブーンが迎えに来てくれるはずなんだけど」
あぁ、とドクオは納得した。
('A`)「ブーンなら、お前の姉のトラブルに巻き込まれていたぞ」
ξ-⊿-)ξ「はー、デレったら。また爆発しちゃったのね」
この言い方からして、デレの爆発は普段から起きる事のようだ。
('A`)「まぁとにかく、ここはもう狩場に近い。大型モンスターは、ギルドが厳重に管理しているとはいえ、先のクルペッコの様な事が起こらないとも限らない。気を付けるに越した事はないぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、弾丸は持ってきてるから。それに、昔からここはお気に入りの場所でずっと通ってるけどモンスターなんて見た事無いわよ」
それでもだ、ドクオが強く発そうとした言葉は、口を出なかった。
『ァグゥ……アァ……』
花咲き乱れる、この場所に相応しくない声が聞こえたから。
-
('A`)「ツー!」
(*゚∀゚)「ニャー、あの草影だニャー」
ドクオとツーが素早い身のこなしで、掻き分けていく。
('A`)「!!」
(*゚∀゚)「……これは、ひどいニャー」
そこで見付けたのは人‘だった’物。
死に体と言ってもおかしくない。
鋭い何かでズタズタに引き裂かれた下半身。原型を留めているとは言えない。深く裂けた傷口からは、骨が見え、そこから留めどなく血が溢れ出ている。
吐く、というよりも漏れる様に聞こえてくる呼吸音は、まだ確かに‘コレ’が生きている事を示している。
('A`)「……何か俺達に出来る事は無いか?」
『……を、……じん、りゅう、……むらを、頼む』
それだけ言うと、少し、ほんの少しだけ安心したように彼は目を閉じた。
弛緩した彼の身体から、魂が抜けていくのを感じる。
-
ドクオの睨んだ先、闇に揺れる木々の切れ目。
ツンは、そこから此方を舐めるように伺う紅い眼を、確かに見た気がした。
5―2 END
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とりあえず乙
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お待たせしてすいません。5―2の投下は終了です。5―3は、仕上げと推敲が済んでいないので、早くとも明後日の投下になるのではないかと思います。
本当に何ヵ月もお待たせして申し訳ありませんでした。
-
移転に関しては、先のレスで申したように、ここを使い切ってから移動しようと思います。
五話で登場するのは、自分が一番好きな飛竜です。丁寧に描写出来るよう心掛けていきます。
また繰り返しとなりますが質問、疑問、指摘等々ありましたら、このスレに宜しくお願いします。
勿論感想もお待ちしております。
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モンハン=上手に肉を焼くゲームと思ってる俺でも楽しめてるから、読みやすくていいと思うよ
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相変わらずおもしろい
次回も楽しみにしてるよ
-
乙
続き楽しみにしてます
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5―3&5―4と書きあがりました。今日推敲してもらって、明後日までに投下出来れば、と思います。
皆さんの下さったレスを読んでみて、モンスターハンターというゲームを知らないという方でも、楽しんでくれている人はいるんだなー、と嬉しく思います。
この話、きちんと収拾つくんだろうかー。と、不安に苛まれていますが
皆さんに甘えさせて貰いながら、マイペースで完結を目指そうと思います。
絶望した!!MH3 HDver.が糞ゲー過ぎて絶望した!!PS3からPSPにデータ移動したら消えるって、なんだよ!その鬼畜バグ!!
-
乙
ああ、次はあいつか
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復活したか乙
待ってたのよ
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モンハンやったことないけどこの話読むようになってからモンスターググりまくってる!!
続きまってるよー
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【避難所の現状】
・スレの乱立により新スレが立てられない
・荒らしが蔓延しているため、すぐにとげとげした雰囲気になる
・言われのない個人の誹謗中傷が飛び交う
・作品スレにも大判コピペで荒らされるので読みにくい・不快
○移住の利点
・管理人がいる事。少なくとも一日一回は板を巡回してくれるようだ。
だがスレ削除などの「仕事」は、毎時間帯できる訳でもないという事は理解を。
・管理人及び削除人を複数選定する事を思案中。
つまり今回の様に、管理人一人不在でコミュニティ崩壊というリスクを軽減できる。
・常識の範疇での言論規制を行ってくれる。上記の荒らし達もアク禁にできるので
そう何度も荒らされない。荒らされても削除してくれる。
・いわゆる「VIPとは別版」という事ではなく、純然な利用者が快適に過ごせる為の
マナーを儲けている。管理人もVIPPERなので理解はあるかと。
作者様も読者様も、移住の検討いかがでしょうか。
( ^ω^) ブーン系創作板のようです
http://jbbs.livedoor.jp/internet/13029/
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すいません、急遽私用が入ったので、今日は投下出来ませんorz
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そっか、仕方ないや
私用いってらっしゃい
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待ってますよ
作者の都合でどうぞ
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残念…
落ち着いた時にでも投下まってます
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23:00頃に投下しにきます
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待ってます。
楽しみ
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いやったあぁぁああ!!!!!!たった今、書きおわった出来たてホヤホヤです!!!!!
推敲無しの残念感と併せて、楽しんでください。
なんか、五話すげぇ長くなっちゃったぞwwwww
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wkwktktkwkwktktk
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英雄とは何か。
そんな質問を、最近よく投げ掛けられるようになった。
それに我が輩は答えられずにいる。
英雄などと自分の身の丈にそぐわぬ呼ばれ方をされて、数年。
未だに、その存在に答えは出せない。
だが、今現在、まだまだ未熟者のである我が輩が、それに一つの答えを出すとすれば
『英雄とは 光射す者である』
―――とある英雄の手記より―――
-
この物語を読んでいる諸兄、諸姉は迅竜についてご存知だろうか。
竜盤目 竜脚亜目 前翼脚竜上科 ナルガ科
正式名称:ナルガクルガ
多湿な気候を好み、樹海や渓流等に生息している。独特の進化を遂げた飛竜種であり、非常に好戦的な性格をしている。
【轟竜】ティガレックスと同じ四脚歩行型の骨格を持ち【迅竜】の呼び名の通り、しなやかで俊敏な動きを持ち味とする。
-
他に挙げられる特徴では、体は真っ黒な体毛で覆われ、強靱な前脚と鋭利な牙を持っている。
翼末端部には、爪から変化したブレードを持ち、その切れ味は樹齢五百年を越える大木ですら一撫でで両断する。
また、尾の先端には棘状の鱗が生えており、鱗自体を飛び道具として使用する事もある。
しかし【迅竜】ナルガクルガの最も特筆すべき武器は、此処に非ず。
それは――――
-
('A`)「……ツー、この場所から一番近いのはユクモ村か?」
(*゚∀゚)「んにゃ、微妙な距離だけどパッソ村だニャー」
この様な凄惨な場面においても、ドクオとツーは全くブレなかった。
目の前にスプラッタな死体が転がっているにも関わらず、一人と一匹の会話は普段と変わらず、焦りであったりだとか、ましてや恐怖なんて物は全く感じられない。
それは、ドクオとツーがこのような場面に慣れている事を表している。
しかし、もう一人の少女は別だ。
ξ ⊿ )ξ
なんの穢れも知らない、この女の子は、目の前の惨状に声も出せずにいる。
狩人といえど、まだまだHR2の新米。
ヒトの死に慣れているとは言えない。
-
('A`)「……しっかりしろ、ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「……えぇ」
それでも、少女の身体から震えは消えない。
('A`)「ツー、ユクモに帰ってこの事を報せてきてくれ。それと、緊急クエストの申請も頼む。この傷口、彼が言い残した事から推測するに、相手は【迅竜】ナルガクルガだ」
少女の身体が一際大きく震えた。
(*゚∀゚)「ニャー、クエストの申請は問題ないニャー。被害が出た時点で、フリークエストとなるニャー。でも、オレっちが行くよりも……」
ツーの視線の先には、ツン。
確かに、このままのツンでは使い物にならないだろう。
-
だがドクオは、その疑問を遮った。
('A`)「ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「……なによ」
ドクオは、目に力を込めツンに語り掛ける。
('A`)「怖いのは分かる。不安もあるだろう。しかし、これは絶対に越えなければ一歩だ。ここで立ち止まる事は、狩人に許されない」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
('A`)「この先、ずっと明るく照らされた道を歩ける訳はない。暗く、何処に道があるのか、どちらが前なのかすら、分からない中で、それでも歩かなければならない時もあるだろう」
少女は、黙って男の言葉を聞いていた。
生気の無い表情。気怠げな雰囲気。
一流の狩人とは、思えない体付き。
だが、彼の言葉には力があった。
-
('A`)「だがお前には“道標”がある。きっと、この先。ツンが進む道はデレが優しく照らしてくれるだろう」
('A`)「お前には“支え”がある。きっと、お前が躓いて転びそうになった時は、ブーンが強く支えてくれるだろう」
―――だから
『最初の一歩は俺がエスコートしよう』
('A`)「お前の一歩を、俺が護ろう」
-
不思議と、震えは止まっていた。
ξ ⊿ )ξ「……うん」
('A`)「……大丈夫。きっとお前の目は、この暗闇でも光を見つけられるさ」
ふと、おかしな疑問が浮かんできた。
この人にも‘道標’となってくれる人がいたのだろうか。
この人にも‘支え’となってくれた人がいたのだろうか。
こんなにも‘暖かな気持ち’にしてくれる人が、彼にも居たのだろうか。
-
(*゚∀゚)「はぁー、オトモとしては妬けちゃうのニャー」
('A`)「どうした?」
(*-∀-)「ニャー、刺されない様に気を付けるのニャー」
(;'A`)「へっ?」
全ての飛竜を圧倒し、一撃も食らう事なく討伐してしまう完全無欠の狩人であろうとも、乙女心、もといオトモ心には疎いドクオなのである。
-
('A`)「状況と役割を確認するぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「えぇ」
(*゚∀゚)「ニャー」
二人と一匹は、輪を作り、現状を把握する。
('A`)「恐らく今回の討伐対象は【迅竜】ナルガクルガだろう。奴の習性からして、群れでいる事もないだろう。今回はナルガクルガ一頭の討伐となるはずだ」
(*゚∀゚)「ニャー」
基本的に提示していくのは、ドクオだ。それに相槌を打つのがツー。
('A`)「恐らく、被害者の男はパッソ村に住んでいる男だろう。服装からもハンターとは思えないからな。という事は、この男を探してこの森に入っている者がいる可能性も考えられる」
ξ゚⊿゚)ξ「それは無いんじゃないかしら。基本的に、行方不明者の捜索も狩人の仕事だし、明日にでも届け出を出すつもりじゃないかしら」
('A`)「いや、最悪の場合を想定しておいた方が良い」
少しでも疑問に思えば質問する。それも大切な事だ。
-
('A`)「一番の問題となるのは、件のナルガクルガが‘人間の味’を知ってしまった事だ。奴は、これから人間を見ても‘脅威’ではなく‘食料’として認識するだろう。こうなってしまった飛竜は、一刻も早く討伐しなければならない」
ξ゚⊿゚)ξ「だからこそ、行くんでしょ?」
('A`)「あぁ」
少女に、もう不安はない。恐怖は、確かにある。しかし、それは当然の事なのだ。
今から彼女は、自分の何十倍もある飛竜と相対する事になるのだ。
そこに広がるのは、死と隣り合わせの世界。
一瞬の油断が、いや、油断せずとも死ぬ場所へと向かうのだ。
それは当然の感情。
('A`)「よし。ツー、ギルドへの報告は任せた。俺とツンは討伐に向かうが、増援の要請はしなくても良い。ギルドマスターに判断は任せてくれ」
(*゚∀゚)「了解だニャー」
ドクオが、指示を下すと直ぐ様地中に潜っていったツー。
-
ξ-⊿-)ξ「……ふぅ」
ツンは、その場で一つ深呼吸した。
('A`)「ツン、覚悟は良いか?」
ξ゚⊿゚)ξ「うん。もう大丈夫。行けるわ」
手持ちの弾を、胴部と腰部のポケットに入るだけ詰め込む。
入り切らない分は、腰に巻いたポシェットに収めた。
ドクオも背に納刀していた金銀の双剣を抜き、一度だけ軽く撫でるように打ち付ける。
キン、と乾いた音が響く。
それだけで、ドクオが握っていた番い剣から、火花が散った。
いや、火花なんて生易しい物ではない。
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ツンには、ドクオの腕に炎が巻き付いている様に見えた。
それも一瞬。
次の瞬間には、何事も無かったかのように双剣はドクオの背に納められている。
-
('A`)「行くぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「うん」
二人は、深い深い闇へと入っていった。
-
様々な草花が生い茂り、適度な湿り気を含んだ気候が木々の成長を促進する。
ここは、樹海。
数多の生命が共存しているこの地で、一人の男と、一匹の化け物の戦いが始まろうてしていた。
-
('A`)「……疾風迅雷、か」
油断無く双剣を構える覇気の無い男。
それに相対しているのは【深淵の雷】ナルガクルガ。
そして、彼らを高みから眺める者達がいた。
(´・ω・`)「ふぅ、全く。相変わらず悪趣味だね、君たちは」
そう言いながら、持っていた一升瓶をそのまま煽る。背に担いでいるのは【重火槍】グラビモスだ。
“G級”に分類される【鎧竜】と【黒鎧竜】の貴重な素材を使った、重槍。
狩人の中でも、ほんの一握りの傑出した実力の持ち主にしか使う事の許されない最硬のランスである。
('、`*川「そんな堅い事ゆーんじゃないわよ。こんなに良い肴があるのに、飲まない訳にはいかないでしょーがよー」
それに答えたのは、しなやかな肢体をした女性。
こちらは、武器も防具も身に付けてはいない。
他にも屈強な身体付きをした男が数人、輪を作って酒を食らっていた。
-
(´・ω・`)「ジョル、見えるかい?」
( ゚∀゚)「あァ、まだ動いてねーな」
一人、一際高い所に胡坐をかいて酒を飲んでいた男は、目を細める事もしないで下の様子を伺っていた。
男の横に置かれているのはクイックシャフト。
伝説に唄われた【幻獣】キリンの特上素材を使って作られた、美しく洗練されたフォルムを持つヘビィボウガンである。
『ドクオの奴、一人で大丈夫なんかねー』
『あひゃひゃwww アイツが死んでくれりゃ、俺がG級になれるから有り難いけどなぁ!!』
今まさに、眼下では壮絶な殺し合いが始まろうとしているというのに、全く緊張感の無い会話だ。
-
('、`*川「いいねー。おばちゃんもG級の称号はいらないけど、贈られるG級武器は欲しいねー」
ペニサスの言葉に、ショボンとジョルジュは、背筋に冷たい物が走るのを感じながら、下の様子に注視していた。
( ゚∀゚)「動くな」
(´・ω・`)「そうだね」
先に動いたのは、飛竜だった。
‘動いた’というより耐え切れずに‘動かされた’という風だ。
('、`*川「おい、小僧共。賭けようじゃないか」
妙齢の女性は、手に持っていた升をグイっと飲み干し地面に叩きつけた。
('、`*川「……ドクオが勝つか、負けるか」
-
『いいねー!!』
『面白いじゃねーか!!!!』
次々と銭袋を取出し賭けていく男達。
('、`*川「おい、ショボもジョルもやるんだよ。さっさと賭けなー」
ふぅ、と肩を竦めたショボン。
(´・ω・`)「どうする?あんな事、言ってるけど」
( ゚∀゚)「……俺の分も頼む」
なんでもないように差し出された袋。
一際大きな銭袋を二つ持ったショボンが、ペニサスの下に向かう。
('、`*川「……どっちにするのん?」
(´・ω・`)「勿論、ドクオが勝つ方にだよ」
それを聞いて、ペニサスは舌打ちした。
スッ、と差し出された升。そこには、もう限界まで銭が積み上げられていたのだ。
-
(´・ω・`)「ふぅ。全く、君達は本当に素直じゃないね。ペニサスさん、胴元の貴方はどうするんですか?この様子ならドクオの負けに賭けて、もし当てれば一生遊んで暮らせますよ」
ショボンの誘惑を、ペニサスは『ふふん』と一笑に伏した。
('、`*川「あたしは、分の悪い賭けはしない趣味なのよ」
その言葉に、ショボンは満足そうに笑顔を零した。
( ゚∀゚)「じゃア、どれくらい掛かるかにすれば良いじゃねーか」
『しゃーねーな。そうすっか』
『流石にオレらの同僚を三十人食った迅竜だ。半日って所じゃねーか』
『俺は、一日だな』
思い思いに賭け直していく男達。
だが、最短の予想でも半日。最長で三日という者もいる。
-
その流れを変えたのはペニサスだった。
('、`*川「三時間」
差し出された銭袋は、見る者を圧する程の大きさだ。皆の袋を足して届くか、届かないか、という程の。
しかし、どよめきはこれで留まらなかった。
(´・ω・`)「二時間」
凄腕の狩人が充分な準備をして、通常の飛竜と戦った場合、恐らく二時間程度だろう。
しかし、この戦いは遭遇戦。ドクオには何の準備もない。
( ゚∀゚)「一時間半だな」
ましてや、それを下回る一時間半などあり得るはずがないのだ。
('、`*川「相変わらず面白いねー、アンタらは。良いねぇ、燃えてきたわー」
-
『面白い。その賭け、私も参加させて貰えるか?』
川 ゚ -゚)「ドクオが疾風迅雷を、どれくらいで狩れるか、という事で良いんだな」
(´・ω・`)「やぁ、クー。君も来たのかい」
川 ゚ -゚)「ドクオが、久々にクエストを受注したと聞いたのでな。激励するつもりだったんだが、こんな大物と遭遇しているとはな」
クーも、ジョルジュと同じく、下の様子が仔細に見えているようだ。
('、`*川「良いねぇ、久々にドンドルマの誇るG級が勢揃いじゃなーい。賭けなさい、クー。アンタのパートナーが何時間で奴を狩れるか」
ふふっ、とクーは笑った。
-
そして皆と同じように銭袋を取出し、こう言ったのだ。
川 ゚ー゚)「30分だ」
-
草村を掻き分けて進んでいく二人。
気配を消す事はしなかった。
飛竜を相手にする時、待ち伏せの場合を除いて、気配を気にする事は無い。
何故なら飛竜の縄張りに入るというのは、それだけで自分の存在を知られるのと同義だからだ。
人間の感覚と、飛竜の感覚を同じ物差しで比べるのはナンセンスである。
そういう物なのだ。
しかし、それは狩人にも言える。
通常の飛竜は、自分の存在を隠すような事をしない。
その圧倒的な存在、故の気配。
だから狩人にとっても、飛竜の縄張りに入れば直ぐにそれを感じ取る事が出来る。
-
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオは、ナルガクルガを狩った事があるのよね?」
('A`)「あぁ。ナルガクルガとは何度も戦った事がある。この装備も、ナルガクルガから取れた素材から作った物だしな」
ξ゚⊿゚)ξ「あら?それ、ナルガクルガの素材から作ったんだ。それにしては存在感があるというか、ユクモで見た物とは少し違ってるのね」
ツンの言う通り、ドクオの身に付けている装備は、ユクモの狩人が着ている装備と少し違っている。
('A`)「そうだな。これはナルガX。ナルガクルガの中でも“G級”に分類された竜“疾風迅雷”の素材から作った物だからな」
ξ゚⊿゚)ξ「G級?モンスターにもG級があるの?」
('A`)「あぁ。十人単位の人間を食らった飛竜、それをドンドルマでは“G級”と呼び、最高位の狩人でなければ狩れないという規制が掛かる」
ξ;゚⊿゚)ξ「……十人単位、って。そんなの化け物じゃない」
('A`)「俺が討伐したナルガクルガは、三十人以上の狩人を食った正真正銘の化け物だったよ。狡猾な奴でな。一撃を振るっては隠れての繰り返しで、なかなか骨が折れた」
ドクオは、もう思いだしたくもないというように顔を顰めた。
その様子が、ツンには少し可笑しかった。
-
いつも平然と感情を表に出さないドクオが、ここまで嫌悪感を示すのは珍しかったから。
その様子を見て、緩んでいると思ったのか。
ドクオは言った。
('A`)「……気を引き締めよう、もう近いぞ」
ドクオが見付けたのは真新しい足跡。
大きさはツンの身の丈程もありそうだ。
間違いなく、これは飛竜の足跡である。
('A`)「感じるか、ツン。俺達は、もう奴の縄張りの中だ」
ξ゚⊿゚)ξ「……全然よ、言ったでしょ。姿が見えなくちゃ、私には、そんな鋭敏に気配を感じるなんて事できないわ」
確かに、ツンはまだまだHR2。一年目の新米狩人だ。気配や雰囲気と言った、目に見えない物を感じ取る事は出来ない。
決して、能力的にではない。
ただ圧倒的に経験が不足しているのだ。
-
('A`)「……ツン、一度目を閉じてみろ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……へ?」
('A`)「十、数える。その間、ずっと目を瞑ってみれば良い」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
目を閉じるツン。僅かに照らしていた月明かりも消え、文字通り、何も見えない無の世界。
一。
不安に駆られるツンだが、心を落ち着ける様に、胸に手を当てる。
二。
徐々に波立っていた心が、静かになっていく。
-
三。
突然視界にノイズの様な物が走った。
四。
不規則に揺れ動きながら、確かにこちらを見つめている紅い眼光。
五。
ツンは、目を開けたくなる衝動を必死で抑えた。
六。
だが、その目は無遠慮に。ふてぶてしく、どんどん自分に近づいてくる。
七。
その距離が後少しまで迫った時、一気にソレは自分に襲い掛かった。
ξ;゚⊿゚)ξ「……!!」
十秒、数え切る事なく、ツンは目を開けた。
-
('A`)「……」
しかし開けた視界には、特に異常もなく、先程までと同じように、ドクオが無機質な目で、こちらを見ているだけだった。
ξ゚⊿゚)ξ「……今のは」
しかし、異常は視界に起こった訳ではなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「……なんだか、凄く息苦しい」
どうして今まで気が付かなかったのだろうか。
ツンが今立っている、この場所は、こんなにも‘死の臭い’に満ち溢れていたというのに。
-
('A`)「それが気配だ。分かるか?」
ξ゚⊿゚)ξ「……えぇ、出来ればずっと知りたくなかったわ」
寒さを堪える様に、二の腕を擦るツン。
('A`)「その感覚を忘れるな。凄腕の狩人ならば、飛竜に気付かれない距離からでも、今のを感じ取る事が出来る」
ξ゚⊿゚)ξ「……はい」
('A`)「気配に敏感な者ならば、ある程度の位置まで特定する事も容易だ」
ツンは、ドクオの言葉を聞きながらも、背に携えていた自身の武器であるライトボウガンを引き抜いた。
('A`)「………」
そして何の躊躇もなく、ジャギットファイアに貫通弾Lv.2を装填する。
ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオ」
その様子に、ドクオも気が付いた。
少しの笑みを浮かべて、ドクオも呼応するように背の双剣を抜く。
-
('A`)「……良いだろう、なら開戦だ」
-
ツンもニヤリと笑った。
ドクオはゆったりと、出来るだけ自然体で双剣を構える。
('A`)「レディーファーストだ。タイミングは任せる」
初撃は、ツンに任せた。それだけの力がある、とドクオは確信したのだ。
ξ-⊿゚)ξ「……」
片目を瞑り、十分に狙いを定めるツン。
心臓の鼓動と、自分のタイミングが合致するのを待つ。
セーフティを外し、撃鉄を起こす。
ξ-⊿゚)ξ「………」
ゆっくりと引き絞られていく引き金。
心地良いトリガー・プルを感じながらも、照星は全くブレる事なく、撃ち手の視線と同じ軌道を辿るようにソレは飛び出していった。
一発の弾丸。
開戦の狼煙が上がった。
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