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('A`)ドクオと飛竜と時々オトモのようです
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避難所の皆様、初めまして。このスレッドは元々vipに投下していたのですが、設定ミスや誤変換を修正するために
こちらで改正版を投下させていただくことに決めました。
各まとめ様には大変ご迷惑をお掛けする事になりましたがよろしくお願いします。
また今回の東日本大震災で被災された全ての方々に、心から御見舞い申し上げます。
今回、改訂ということでまとめ様に影響があるため、早めに投下させてもらいますが
2話までの投下が終わりましたら、次話の投下はしばらく自粛させていただきます。
----俺の財布から飛び立った番いの鶴が少しでも皆様のお役に立ちますように----
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('A`)「そうか。それは済まなかったな。 ところでそんなに急いでどうした?」
アイルーやメラルーは、食物連鎖の外に存在する珍しいモンスターだ。
肉食獣に縄張りを荒らされたり、居住を追いやられる事はあっても
捕食されたりする事は無いのだ。
そんなアイルーが慌てている理由に純粋に興味を持った。
『チリン』
('A`)「ん、お前野良アイルーじゃないのか」
アイルーの首元に付いている鈴に気付く。
これは、このアイルーが誰かに飼われているという証だ。
ひょい、とアイルーの首を掴んで出来るだけ優しく持ち上げる。
(*゚∀゚)「おー、オレっちはギルド所属のアイルーだニャ!」
ほー、っとドクオは思わず感嘆の声をあげた。
ギルド所属と聞くと真っ先にギルドナイトが思い浮かぶが、ギルドナイトに誰もがなれるわけでもない。
それはアイルーでも同じだ。
何かしらの実績を重ねた上で、ギルドから依頼される特別なクエストをこなす。
その結果を踏まえ、適正と判断されて初めてギルドに飼われる事なる。
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('A`)「そうか、それでギルド所属のアイルー様がどうかしたのか?」
(;*゚∀゚)「そうだったニャ!あんた様は商人かなんかかニャ!? ここはユクモギルド直轄の狩猟区域『渓流』だニャ!!凶暴なモンスターだって一杯いるニャ!! そんな中を、どっかの間抜けが荷台を引いてるって聞いたから飛んで来たんだニャ!!」
('A`)「ほー、ここはもうユクモ村に近いんだな」
なるほど、とドクオは納得したように手を打った。
(;*゚∀゚)「にゃにを悠長に構えてるニャ!!大型モンスターの発見情報はにゃかったけど、この時期は青熊獣“アオアシラ”が繁殖期に入っているんだニャ!!! 面倒な事ににゃる前にここから離れるニャ!」
('A`)「せいゆうじゅう?なんだそりゃ」
ドクオは聞き慣れぬ言葉に、首を傾げた。
それもそのはずだ。
ドクオが今まで暮していたドンドルマ近辺ではアオアシラなんてモンスターは居なかったのだから。
(*゚―゚)「……あんた様、アオアシラを知らないのかにゃ?」
('A`)「残念ながら聞き覚えがないな。俺は元々この辺りの出身じゃないんだ。だからここがギルド直轄地の狩場だとも知らなかったし、この地方独特のモンスターにも詳しくない」
(*゚∀゚)「……なるほどにゃ。事情は大体把握したにゃ。しかし、もしあんた様が商人だったとしても、この地方の事を知らないただの一般人だったとしても
あんた様は……」
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『命を粗末にする大馬鹿野郎だニャ』
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なるほど、とドクオは頷いた。 確かにギルド所属のアイルーだけある。
元々アイルーは知能の高い生き物だ。 いや、知性においては人間と同等と言って良い。
ある文献によれば、アイルーは人間と同等以上の知性を持っており
進化の過程もヒトと似通っている事から、ヒトの亜種だと主張する学者もいると聞いた。
確かにこのアイルーは、ヒトと同等の知性と感性、そして経験を持ち合わせているようだ。
('A`)(……伊達にギルドのオトモをしている訳ではない、か)
(*゚∀゚)「まぁ、反省は何時でも出来るニャ!とりあえずはまず、このエリアから出来るだけ離れるニャ!!」
('A`)「……分かった。従おう」
かくして、一人の人間と一匹のオトモの脱出ミッションが始まる。
AM10:00 MISSION Start
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(*゚∀゚)「ところで、あんた様は旅の人かにゃ?」
('A`)「そうだな。ユクモ村を目指していた。」
(*゚∀゚)「おぉ!湯治目的かにゃ!?ユクモの湯は確かに危険を犯してまで浸かる価値のある物だニャ!!」
ユクモ村という言葉を出した途端に目を輝かせるアイルー。
そんな様子に若干気圧されながらドクオは答える。
('A`)「そうだな、是非一度浴びてみたいもんだ」
(*゚∀゚)「ニャハハー、きっとクセになるニャ!! そういえば、結局あんた様はどこから来たのかにゃ?」
('A`)「ん、俺か?俺は……そうだな。ドンドルマ、で通じるか?」
(;*゚∀゚)「ニャ!?それはまた長旅だったニャ! よく生きてここまでこれたものだニャ!」
ドンドルマとユクモには、計り知れない距離がある。これは形容ではなく、本当に分かっていないのだ。
お互いの存在は本や伝書で知っていたものの、気軽に交流を深められるような距離ではない、というのが第一の理由である。
乗り物と言えば、この辺りではガーグァしかない。
人間の何倍ものスピードで走り、人間の何十倍もの体力を有するガーグァ。
しかし、そのガーグァでさえ単独でドンドルマとユクモの距離を移動できるか、と聞かれれば答えは間違いなく『NO』であろう。
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単純に距離だけの問題では無いのだ。
行く手には様々なモンスターが生息している。
牙獣種や鳥竜種、万が一運が悪ければあの恐ろしい、この星の生態系の頂点に君臨する『飛竜種』に遭遇する可能性すら孕んでいる。
そんな過酷な旅をドクオはただ一人でしていたと言うのだ。
そしてもうゴールの目前まで迫っているのだ。
その事実はギルド所属のアイルーを驚かせた。
(*゚∀゚)「幸薄そうな顔をしているクセに、運の良い奴だニャ……」
('A`)「いや、いろいろ運の悪い事はあったぞ。 例えば、寝床に使っていた場所が轟竜の住みかだった事があった。
それに気付いて全力で洞窟まで避難したら、そこがフルフルの縄張りでな………」
(;*゚∀゚)「考えうる最悪の状況だニャー」
轟竜、又の名をティガレックス。
飛竜種に分類され性格は凶暴そのもの。純粋な攻撃性だけならば飛竜の中でもトップクラスだろう。
鋭い爪と牙を持ち、“人間程度”なら撫でるかの如く斬り殺す最凶の飛竜。
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('A`)「まぁ、それでも俺は生きてる。それで良い」
その時の瞳を、件のオトモアイルーは忘れられないと言う。
濁ったような目をしていた彼が、その一時だけ見せた輝き。
それこそが本質。
理性という名の仮面に隠された彼の本質なのだと、オトモは思った。
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(*゚∀゚)「それならこんなところで死んでられないニャ。オレっちが絶対にユクモの村にまで案内してみせるニャ」
('A`)「あぁ、よろしく頼むよ」
二人の、いや一人と一匹な手が重なる。
主人である狩人の為に、身を粉にして働くオトモだが、その関係は常に対等ではない。
ハンターはオトモの事をオトモとしか見ない。
それは常識であり、オトモに感情移入して冷静で無くなってはいけない、という先達からの教訓でもある。
しかし、ドクオはハンターには見えない。
だからこそオトモは、差し出された手を握る事に躊躇いは無かった。
初めての握手。
初めての対等。
不思議と自分の心が高揚していくのを感じていた。
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その様子を草葉の影から見つめる青い影に
二人が気付く事は、終ぞ無かった。
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以上1―1です。続けて1―2を投下します。
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一番重要なのは武器を鍛える事ではない。 真に必要なのは心を鍛える事。
それは狩人だけでなく、人間の終着点であり原点でもあるのだ。 鍛冶職人も例外ではない。
―――伝説の鍛冶職人 竜人キバリオン―――
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AM11:30
複雑に入り組んだ渓流を、オトモは的確な道運びでドクオを案内した。
出来るだけ目立たず、出来るだけ短距離で。 ギルドからの依頼を受け幾年もこの渓流を歩き続けたオトモにとって、それは簡単な事だった。
現在目下の問題となっている青熊獣【アオアシラ】は、繁殖期に入っている。
繁殖期というのは、どのモンスターも凶暴になる傾向がある。
その理由に挙げられるに、まず一つ目は巣、及び卵の死守である。
野生のモンスター達は、日々生存競争の中で生きている。 しかし、こと繁殖期においては一日とて身が休まる日がないのだ。
卵の破壊、子孫の死亡は即種の存亡に関わってくる問題なのだから。
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アオアシラは、二足歩行する生き物であるが
知識は持たない。
だが本能が、それを覚えているのだ。
飛竜等、圧倒的存在がいるこの世界で未だに淘汰されずに生き残ってきたモンスター達には
子孫を残す事こそが、生きる理由と言っても過言ではない。
そしてもう一つの理由として挙げられるのが、食料の確保だ。
子供達の分まで、食料を揃えるのは幾ら青熊獣【アオアシラ】と言えども容易い事ではない。
だからこそ、別の種と縄張りを争ってでも彼らは、食べ物を採りに行く。
その事を、このアイルーは誰よりも熟知していた。
だからこそ出来る限りハチの巣が出来やすいエリアを避けているのだ。
(*゚∀゚)「順調だニャ。やっとギルド規定の範囲内に入ったニャ。 ほれ、地図だニャ!」
('A`)「今は、この最北エリアか。この調子だと夜には支部のキャンプに入れそうだな」
(*゚∀゚)「ニャ!しかしここからがちと難解だニャ!アオアシラの巣がありそうなエリアがこの近くに二つあるニャ。 特に地図中央に示されたこのエリア。 ここが一番厄介だニャ」
('A`)「……なるほど。巣、か」
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オトモが示す地図。そのど真ん中にある“5”と割り振られたエリア。
ここがアオアシラの巣。
(*゚∀゚)「ここからは慎重に行くニャ。少しでも逸れて進めば大変な事になるニャ」
('A`)「あいよ、分かった」
草影に身を隠し、ゆっくりと進む。
本来狩人の移動は、このようにコソコソしたものではない。
彼らは常に準備が出来ている。
どこから飛竜が現われようとも、迎え撃つ心構えがあるのだ。
それが一流。
しかし、戦闘経験の無い人間ならば話は違う。
草食獣ならば、避けて通れば襲われる事はまずない。 しかし、それ以外の――例を挙げるならばランポス等
小型のモンスターの一撃でも、生命の危機に陥るのだ。
それ程までに非力、それ程までに脆弱。
いかな知恵を付けた人間とて、残酷すぎるほどに矮小な存在なのだ。
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それに先に気が付いたのは、ドクオだった。
('A`)「なぁ、アレが見えるか?」
(*゚∀゚)「なんにゃ?何にも見えないニャ」
('A`)「何匹かいるな。恐らく形からして小型の鳥竜種だろう。 まだこちらには気付いてないな、日光浴でもしてるのか?」
(;*゚∀゚)「ニャ!?それはきっとジャギィだニャ!!何匹いるニャ!?」
('A`)「もう少し近づいてみないと正確さに欠けるが恐らく6匹だな。形状の違う、若干大きな奴も混じってる」
(*゚∀゚)「それはジャギノスだニャ。その群れを統率している大型はいないかにゃ?」
('A`)「居ないな。小物ばかりだ」
群れのボスであるドスジャギィは居ない、という事実にまずオトモは安堵した。
そして考える。どうすればいい、この旅人をユクモ村に安全に届ける為には。
今は戦える。昔の、ご主人について甘えていた頃の自分ではない。
やるしかない。
了解だニャ、と呟いてオトモは背中に据え付けた秘密のポーチから一振りの剣斧と一対の防具を取り出した。
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('A`)「その秘密のポーチは、相変わらず出鱈目だな」
(*゚∀゚)「アイルー達の秘密が詰まってるニャ」
('A`)「それにその剣斧……ただの旗に見せ掛けた物ではないんだろ? その兜や胴具だって、一目で分かる」
(*゚∀゚)「昔オトモをしていたご主人から賜わった物ニャ。 オレっちの唯一の戟であり、唯一の盾だニャ」
ドンドルマ地方では見た事のない形状のオトモ装備だ。
しかしこれほど迄に無骨に、それでいて洗練されたオトモ装備をドクオは見たことが無かった。
(*゚∀゚)「あんた様は、ここで待ってるニャ。 オレっちがジャギィの群れを撹乱させるから、その間にこのエリアを抜けるニャ。 道は真っ直ぐニャ。絶対に間違えないでニャ」
ドクオは『お前だけで大丈夫か?』 と聞こうとした。これは、ドクオがオトモの能力を疑っているから出た言葉ではない。
しかし、小型とはいえ鳥竜種の群れ。
そこに一匹で突っ込むなど、無謀の極みだと感じてしまう。
しかし、件のオトモの目を見て漠然と感じてしまった。
この言葉を吐くのは野暮だ、と。
だからこそ彼は飲み込んだ。
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(*゚∀゚)「大丈夫ニャ。トカゲ如きにやられるようなオレっちではないニャ。 あんた様はあんた様の事だけを考えていれば良いのニャ」
('A`)「……そうか。済まないな」
(*゚∀゚)「これも仕事のうちだニャ」
それだけ言うと、オトモは凄まじいスピードで飛び出していく。
ドクオは、それを見送りまた草影に隠れて機を待った。
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ジャギィ達は休んでいた。なにせアオアシラが、繁殖期に入ってから自分達の住みかは荒れ放題。食料であるはずの草食獣は、アオアシラを恐がってなかなか姿を見せなくなっていた。
しかし、今日は良い獲物が手に入った。
少しばかりの余裕も出来たし、草食獣を探さなくても住む。
身体を丸め、陽の光を浴びる。
久しぶりの休息だった。
そんな彼らの心に“油断”が無い訳がなかった。
まずソレの接近に気が付いたのは、一匹のジャギノスだった。
さざめく草に混じって、何かが近づいてくる。
そう思った途端に、身体は宙に浮いていた。
何が起きたのかを確認する前に、そのジャギノスは喉元に突き立てられた旗によって絶命する。
そこにいたのは一匹のアイルー。
突如現れた乱入者に、周りにいたジャギィ達は嘶き声をあげる。
『なんだお前は』と。
しかしオトモは止まらない。ジャギィ達の間を縫う様にして撹乱する。
敏捷性に優れた小型鳥竜種といえども、自分達の視界を瞬きの間に過ぎていくオトモを捉えるのは至難の技だった。
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スピードというのは、狩りにおいて重要なファクターとなる。
そして、このジャギィ達はそれをいつも自分達が掌握してきた。
飛竜と相対した時だって、奴らの様に鋭い爪も、ブレスを吐く器官も備わっては居なかったが
スピードにおいては、負ける事はなかった。
しかしそれが今回では致命的。
彼らは知らなかったのだ。自分達よりも一回り身体が小さく、何倍も素早く動く存在を。
彼らはこの戦いにおいて弱者だった。
そして、生存競争の中で“弱者”というのは余りに罪深い事なのだ。
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最初は6匹いたジャギィの群れも気が付けば2匹のジャギノスを残すばかりとなった。
オトモは静かに間合いを取る。
峯山竜の貴重な端材を使い作られた、この【旗本】ネコ合戦旗は絶大な威力を誇る。
一度掲げれば、竜ですら屈服するという逸話がある程に。
しかし、ジャギノス達は退かない。
この場で彼等を動かしているのは本能なのだ。
『アイルーなどという、自分より下等な生物に負けてはならない』という。
だからジャギノスは吠えた。
飛竜種の叫びと比べれば、まるで大した事のない雄叫びだが、それには重さがあった。
だからこそ、オトモも応えたのだ。
(*゚∀゚)「この兜は忠義の証!! 命を賭して主人を護る、その証!!! 」
己が仕える主人の為に、命を賭して奮闘する“忠義の証”。
不動の心と忠義の元、敵を払う“オトモの誇り”。
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ジャギノスが鋭く尾を振ってきた。
地面を回転してこれを回避するオトモ。
これは長年見てきた色々な狩人から培った動きである。
即座にもう一方のジャギノスがオトモの右半身に鋭く爪を差し向けてきた。
オトモは、それを持っていた旗でいなす。
大きな音が鳴った。
ジャギノスが尻尾を、再び鋭く見舞ったのと同時だった。
オトモはそれでも焦らない。
隙だらけになっている左半身に目がけての尻尾攻撃を、地面に潜ることで回避した。
地面から顔を出すと、二匹のジャギノスは顔を合わせていた。
『勝てない、このままでは勝てない』
そう悟ったのだ。
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バックステップで、一度距離を取ったジャギノス。
様子を伺いながら、油断なく剣斧を構えるオトモ。
ハァハァ、と乱れる息を整える。
元々、アイルーは戦う事に特化した種族ではないのだ。
また長期戦になる時は、度々地面に潜り休息を取る。
つまり体力の面では圧倒的に不利なのだ。
いくら身体を鍛えても、全力で振るえなければ意味が無い。
オトモはしまった、と思った。
気付かれてしまったか、自分の弱点に。
ジャギノスは動かない、不気味にこちらを観察し機を待っていた。
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(;*゚∀゚)(……こうなったらやるしなにゃいニャ。長期戦に持ち込まれればこちらが不利ニャ!)
だからこそ猪突猛進にオトモは突っ込んだ。
何かがある事など、百も承知。 それでも活路がそこにしかないのならば往かねばならぬ。
(#*゚∀゚)「ニャアアアァァァアアアアア!!!!!!!!!!」
身体を出来る限り捻り、遠心力を加えて繰り出したこの凪ぎ払い。
耐えられるものならば耐えてみろ、と。
(#*゚∀゚)「捉えたニャ!!!!」
手応えがあった。目の前のジャギノスの首元に、合戦旗が突き刺さった。
流石にプロのハンターのように、首を捻斬る事は出来ないが
確かにジャギノスを捉えた。
(;*゚∀゚)「ニャッ!?」
しかしジャギノスは嗤っていた。
首に剣を突き立てられ、絶命寸前の身体で嗤っていた。
『“オレ達”の勝ちだ』と。
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頭で認識するより前に、身体が反応していた。
もう一匹のジャギノスの鋭すぎる一撃が自分に迫っている事を。
これは躱せない。
頼みの綱の合戦旗も、ジャギノスの太い首に刺さったまま簡単には抜けそうにない。
もう終わりか、そうオトモは思った。
『残念、最後に勝つのは俺達だ』
(;*゚∀゚)「ニャッ!?」
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それはなんて事のない、ただの体当たりだった。
しかし、オトモに向けて勝利を確信した一撃を繰り出そうとしているジャギノスにとって
それは痛恨の一撃と言える。
それだけでジャギノスの身体はよろけさせられた。
不意討ち中の不意討ちだった。
オトモが素早く突き刺さっていた合戦旗を引き抜いてジャギノスに突き立てた。
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('A`)「ふぅー、危ない所だったな」
(#*゚∀゚)「危ないのはどっちだニャ!一般人が装備も無しにジャギノスに突っ込むだなんて正気の沙汰とは思えないニャ!!! それにオレっちは装備もしてるし一発殴られた所でどうにもならなかったニャ!!!!」
結果的にオトモは大変ご立腹だった。
確かに、この男に助けられはしたがやはり生身の人間がモンスターに突っ込むなんで頭がおかしい。
それに絶妙なタイミングで、ジャギノスの死角となる角度から。
一歩間違えれば死に繋がる危険な行動だったが
結果を見れば最良の判断だった。
それはオトモ自身も解っている。
だが、何故か釈然としない。
心がムズムズするのを感じていた。
('A`)「まぁいいさ。とりあえず俺達は無事だったんだから。 もうすぐこのエリアも出られる。説教はその時にでも聞くよ」
そう事もなげに言うドクオに対し、やはりオトモは心中穏やかではなかった。
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自分の力だけで勝ちたかった。
いや、あの一撃を食らっていたとしても勝てたと思う。
(*゚∀゚)「にゃー、まぁ良いニャ。ユクモ村についたら温泉に入りながら説教だニャ」
場の空気が弛緩した。 一応オトモも納得したらしい。
余りに早すぎる緩み、二人は気付いていない。
ずっと二人を見つめていた青い影に。
それが今、自分達に迫っている事に。
大型モンスターの存在に気付くのは簡単だ。
彼らには隠そうとしても隠せない、圧倒的な威圧感があるのだから。
しかし、彼らにとって気配を気取られる事は、さして大きな問題ではない。
悟られたところで、そんな物は踏み潰せば良い。
それだけの力が、彼らにはあるのだから。
だから今、一人と一匹は気が付いた。
自分達に向けて飛び掛かってくる青い影。
青熊獣【アオアシラ】の存在に。
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嘶き声が、渓流に響き渡る。
アオアシラが、ただ吠えたのだ。
低く野太い声だった。
(;*゚∀゚)「さっ、さいあくだニャ……」
呆然としているオトモを抱き抱え、迅速に行動を取ったのはドクオだった。
腰に提げていたポーチから先日採集していたハチミツのビンを蓋を上げて、あらぬ方向に放った。
アオアシラが、そのハチミツに気を取られた間にドクオはオトモを抱え走った。
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半時間ほど走った所で、先程の
エリアを抜けると、小さな掘っ建て小屋があり、そこで一息付いた。
('A`)「なるほどね、あれがアオアシラか」
(*゚∀゚)「弱ったニャ。もう少しでベースキャンブに着くのに」
('A`)「ベースキャンブまで走ったらどうだ?」
(*゚∀゚)「それは無理だニャ。アオアシラが走れば時速60km。人間のおまえ様ではどうしても追い付かれてしまうのニャ。 それにオレっちだってスピードには自信があるけど、体力はからっきしなのニャ」
アオアシラとの邂逅を避ける事は絶望的だった。
何故ならアオアシラは知ってしまったからだ。
あの人間はハチミツを持っていると。
まだ隠し持っているかもしれない。
だから奴は追い掛けてくるのだ。
(*゚∀゚)「……やっぱりオレっちが奴を引き付けるしかないのニャ」
提案したのはオトモだった。
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('A`)「俺は別に良いが、勝算はあるのか?」
(*゚∀゚)「にゃに、別に勝たなくても良いニャー。足止めをして、そこから逃げられれば良いのニャ」
('A`)「なるほど。俺はその間に逃げればいいって事か」
(*゚∀゚)「ニャ!出来るだけ時間を稼ぐニャ」
('A`)「……分かった。でも無理はしないで良い」
(*゚―゚)「……当たり前だニャ」
('A`)「………」
アオアシラとは、牙獣種に分類される別名【青熊獣】。鋭い爪と強靭な手足を持ち四足でも二足でも歩くことが出来る。
また前足に付いている椀甲は堅く、鋭い。
この前足がアオアシラにとっての武器であり、ハンターにとっての脅威でもある。
村人達にとって、アオアシラは馴染み深いモンスターでもあり、時々人里に現われては好物であるハチミツを取りにくる。
村人達がハチミツを採集する際には、音爆弾などを使いアオアシラと遭遇しないようにしている。
体長は大きい物では5m近く 昔、腹を空かせたアオアシラがある村に紛れ込み子供、妊婦を含む6人を食い殺すという悲惨な事件があった。
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(*゚∀゚)「……ニャ。昔はご主人について飛竜を狩りに行ってたのにニャ」
今では、アオアシラですら脅威に感じる。
オトモは溜め息を一つ吐いた。
(*゚∀゚)「足を引っ張るのは……ごめんだニャ」
目の前には大きな、自分の三倍以上の大きさがある、ヤツがいた。
(*゚∀゚)「とりあえず、ゆっくり温泉に浸かるためにもこんなところではやられないニャ」
手始めにブーメランを投げつける。
10m先にいたアオアシラに、それは弧を描いて命中するが、ただそれだけだった。
(;*゚∀゚)「ニャー、やっぱり打撃でやり合うしかないニャ」
そうと決まれば走り回る。自分の特性を存分に生かして。
戦いに勝つ為には二つのやり方がある。
一つは、今行っている様に自分の強みを全面に押し出して勝つ方法。
もう一つは、相手の良さを徹底的に潰して競り勝つ方法。
前者は短期戦向き、後者は長期戦向き。
自分は体力的にも前者を選ばざろうを得ない。
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自分のすぐ横を、アオアシラの腕甲が掠める。
やはりジャギノスとは違う。
慣れているのだ、自分より素早い物との戦闘に。
しかしスピードで勝っているのは純然たる事実。
そしてもう一つ。
自分がヤツより勝っている点がある。
それこそが切り札。
オトモ特有の隠し玉だ。
勝負はアオアシラが疲れるまで。
自分が動けなくなるのが先か、アオアシラが動けなくなるのが先か。
それが自分の作戦の成否の分かれ目だった。
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ドクオは自分の荷物を抱えぽつぽつと歩いていた。
('A`)「………」
やはり気になるのは、あのオトモ。
ギルド所属とはいえ、あそこまで人間に尽くす事が出来る気概。
それが不思議だった。
それにあの身のこなし。
確かに素早い。“あの程度”のモンスターから逃げる事は容易いだろう。
しかし、あの別れ際の表情。とてつもなく不安気なあの表情を思い出してしまうと。
('A`)「はぁ……めんどくせ」
ドクオは鞄にしまっていた一対の剣を取り出した。
そして、そうこれは比喩ではなく、疾風のスピードで元来た道を駆け戻って行った。
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(;*ー∀ー)「ぜぇ……ぜぇ……」
(;*゚∀゚)(息を吐くのが苦しい、息を吸うのはもっと苦しいニャ。
でも諦めるわけにはいかにゃいニャ。苦しいのは自分だけじゃないはずニャ。
奴だって苦しいんだニャ)
自分を叱咤し続ける。
気持ちが折れたら終わりだ。それが最悪だと、このオトモは本能で悟っていた。
(*゚∀゚)「!!」
オトモが目を見開いた。
アオアシラの口から汚らしく垂れ下がった舌。
そこから溢れ出る涎。
千載一遇のチャンスだった。
(#*゚∀゚)「ニャアアアァァァアアアアア!!!!!!!!!!」
渾身の一撃を咆哮の元に繰り出す。
ここで決める、ここで決めなきゃもう打つ手はなかった。
一瞬だけ、アオアシラが怯んだ。本当に一瞬だったが、オトモにとっては充分だった。
それがある場所へと急ぐ。
-
アオアシラは、突然戦意を失い背を向け逃げ出したオトモに驚いた様子だったがすぐに本能のまま追撃を開始した。
それこそが切り札の発動条件。
ジリ貧の状況を打開し得る、アオアシラに優るオトモの能力。
悲鳴が上がる。オトモの物ではなく、間違いなくアオアシラの物だった。
―――シビレ罠
数百匹の雷光虫を使って作られた、モンスター用の拘束具。
設置に時間が掛かるため、待ち伏せにしか使えないが、効果は絶大だった。
(;*゚∀゚)「ニャー、やったのかニャ?」
アオアシラは、全身が痺れ痙攣して動かない。
(*゚∀゚)「ニャ!やったのニャー!!!!」
これこそがオトモ特有のスキル。
知能の高いアイルーのみが使える武器。
オトモは心底安堵していた。自分でも誰かを護る事が出来るという事に、心の底から喜びを爆発させた。
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(*゚∀゚)「ん、今にゃにか聞こえなかったかにゃ?」
例えるなら小タル爆弾が破ぜたような音だ。
(;*゚∀゚)「にゃにゃにゃ、にゃんで!?」
ダメージの蓄積が少なすぎたのか、それでもこれは早すぎる。
自分の予想では、疲れたアオアシラがシビレ罠から抜け出すのには30秒以上かかると見ていた。
その間に自分は地面に潜り身を潜めるつもりだったのに。
目の前には怒りに満ちた青熊獣の前足が迫っていた。
重すぎる一撃、これを食らえばアイルーのような小型種は上半身を原形留めず、グチャグチャにされてしまうであろう。
最後にオトモの頭を過ったのは思い出。
優しかった主人との思い出。
(*;∀;)「やだ、ツーはまだ……たすけて……」
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炎が。恐ろしい一撃から、ツーの身を包み込む、堅牢な火が上がった。
何時まで経っても、衝撃が来ず恐る恐るツーは目を開けた。
('A`)「よぉ、危ないところだったな」
そこには、先程まで一緒に居た旅人が居た。
ツーを護るように、アオアシラとツーの間に割って入り、アオアシラの一撃を左手一本で防いでいた。
(*ノ∀;)「どっ、どうして戻ってきたのにゃ?」
('A`)「……ん」
ドクオは、バツが悪そうに頬を掻く。どうやら特に理由は考えてなかったらしい。
('A`)「お前の名前を聞き忘れてたのを思い出してな。折角助けてもらった恩人に失礼な事をしたと思って」
(*ノ∀;)「にゃ……」
('A`)「俺はドクオって言うんだ。ドンドルマでハンターをしていた。
お前の名は?忠義者のオトモさん」
(*゚∀゚)「!!」
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ドクオは、抑えていたアオアシラの前腕を少しずつ力を加える事で横に逸らしていった。
そしてドクオの力点とアオアシラの作用点が入れ替わる瞬間に
(;*゚∀゚)「!!」
ツーは目を見張った。
あのアオアシラに、純粋な力勝負を挑み、押し返した驚くべき事実に。 しかしそれだけではない。 押す側、押し返す側が互いに入れ替わる瞬間に、ドクオはアオアシラの尖爪を一枚剥いだのだ。
これには堪らずアオアシラも悲鳴を上げる。
爪を剥がれた位ならば大丈夫、また生え変わる。
何枚剥がれたところで、何日かすれば新しい物が生えてくるのだから。
しかし、それだけでは無かった。
アオアシラは、自分の肌と爪の間に焼けるような痛みを感じたのだ。
あの小さな刀だ、とアオアシラは気付いた。
あのまばゆい程に輝く、金と銀の剣。
そしてあの人間は脅威。自分を脅かす存在。
さっきのアイルーなどとは次元が違う何かがある。
一度離れよう、距離を取って機を待つ。
なに、たかだか人間一人。自分のこの牙で、爪で、一撫ででもしれやれば呆気なく倒れるはずだ。
-
しかし、その発想が間違い。墓穴。野性に生きる怪物が絶対にしてはいけない思考。
('A`)「………」
一方ドクオは、ここに来ても冷静だった。 アオアシラが三歩下がるのを見て、自分も一歩下がった。
(*゚∀゚)「……あんた様、ハンターだったんだニャー」
('A`)「まぁな。でも今は旅人だ。ドンドルマのギルドは抜けたからな」
それ以上ツーは何も尋ねなかった。ハンターがギルドを抜けるにはそれ相応の覚悟と血が必要だと知っていたからだ。
('A`)「……すまなかったな」
(;*゚∀゚)「ニャッ!? にゃにを謝る事があるのニャッ!?」
ドクオは言いづらそうに頬を掻く。
('A`)「……お前の心意気を無駄にしてしまった。 お前の職務の全うを邪魔した。済まないと思っている」
(*゚∀゚)「………」
-
ツーは驚いていた。
オトモとは、主人の為に生き、主人の為に死ぬもの。 これは残酷な事ではなく、オトモにとってそれが唯一無二の幸せなのだ。
だからこそ、ハンターはオトモに謝らない。
しかし、このハンターはツーに謝ったのだ。
('A`)「その代わり、コイツは任せろ」
そう言うと、ドクオはツーの頭を一撫でして地面に降ろした。
('A`)「……この青熊に教えてやるよ。どっちが“狩られる”側かをな」
少し離れた場所から、様子を窺っていたアオアシラが、大きく体を広げる。
腕を左右に目一杯延ばし、鋭く尖った牙を剥き出しにする。
アオアシラの精一杯の威嚇だった。
-
(;*゚∀゚)「まっ、待つのニャッ!!あんた様は防具も着ないで平気なのかニャッ!?」
('A`)「へーきだよ。 当たらなければ、どうという事はないからな。 それに“もう覚えた”からな」
ドクオは軽くステップを踏む。前のめりに一歩、大きな歩幅でアオアシラに近付いた。
アオアシラも威嚇の体勢から、そのまま両腕を振り下ろす。
ドクオの武器は双剣。決して大きな武器ではない。
しかし双剣は、その圧倒的な手数と、小ささ故の軽さを生かした身のこなしが特長の武器。
だからこそドクオは前に進む。
斜めに跳んで軽くそれを回避。透かさず自分の得物の距離まで詰め寄る。
しかし、アオアシラも負けてはいない。
その巨体からは想像出来ぬ反応を見せ、返す左腕でドクオを狙う。
そして接触。
鍔迫り合いとなる両者。
火花が散る一人と一匹の接触点。
(*゚∀゚)(……さっきの攻防と全く同じだニャ)
-
そして、ぶつかった者同士の実力が変わらないのなら。
Gyaaaaaaaaaaaaa!!!!!!
また悲鳴が上がる。
('A`)「二つ目だ」
そう言って、ドクオは空中に弾け飛んだアオアシラの尖爪を掴みツーの方に投げる。
(;*゚∀゚)(……さっきのアレは狙ってやってたとでも言うのかニャ!?)
驚くべき事だ。普通狩人は獲物から素材を剥ぎ取る時、必ずとどめを刺してから行う。
それには、貴重な素材に傷を付けてはいけないという理由もあるのだが
それ以上に、生きているモンスターから剥ぎ取るというのは至難の技なのだ。
それが正常だ。
しかし、ドクオは
('A`)「はい、四つ目」
それを平然と行っている。 普段のあの覇気の無い目で、淡々と。
-
五つ目の爪が剥がれた所で、アオアシラは気付いた。
このままでは自分は、人間如きに倒される、という事実に。
だから変化を付けた。
奴は油断しているはずだ。そこを突く。
六度目の衝突、アオアシラの右腕は難なくドクオに抑えられる。
ここからが勝負。
今度は返す腕でヤツを狙うのではなく、そのまま掴みにいった。
('A`)「!?」
(;*゚∀゚)「あぶにゃいニャッ!!!!!」
取った、これは逃げられない。
アオアシラの口角が釣り上がった。
よくも人間如きが、ここまで自分を痛め付けてくれた、と。
―――しかし、これで終わりだ
-
アオアシラは大きく口を開けドクオに迫る。
アオアシラの咬噛力を以てすれば、人間の身体など容易く裂ける。
オトモは目を瞑った。
自分の恩人がアオアシラに噛み殺される所なんて、見たく無かった。
「なんだ、牙もくれるのか?」
-
(*゚∀゚)「!!」
突っ伏し、余りの激痛に手足をばたつかせるアオアシラ。
('A`)「こっちは初めてだったな」
そういって顔色を全く変えずに、ドクオは何かをまた投げてきた。
それはアオアシラの尖牙だった。
('A`)「………」
(*゚∀゚)「……すごいのニャ」
あの細身の腕で、アオアシラの一撃を受け止め 剰えその爪と牙を剥ぎ取る実力。
この男は一体何者なんだろう。
一方アオアシラにそんな余裕は無かった。
繰り出した渾身の一撃は、全て軽く往なされ 爪を五枚、牙を一本持っていかれた。
勝てない。自分では、この人間に勝てない。
負ける。それは等しく“死”なのだ。
-
途端にアオアシラの本能が命令した。
逃げろ、と。
もう満身創痍のアオアシラにとって、あの人間から逃げるのは困難だ。
しかし、なによりも優先されるのが本能。
アオアシラは遂に逃げ出した。
人間如きに。アオアシラは後ろから迫ってくるであろう恐怖に、度々振り返りながら、全力で逃げ出した。
恐怖は、いつまでもやって来なかった。
-
(*゚∀゚)「もうすぐユクモ村だニャッ!!急ぐんだニャッ!!」
('A`)「どうした?いきなり元気になって」
(*゚∀゚)「あんた様がハンターと分かった以上、怖がる必要はないニャ。それにアオアシラが逃げて行ったから、もうこの渓流に脅威はいないニャ」
そうか、と少し笑ってドクオは頬を掻いた。
それにしても
(*ー∀ー)ノホホン
('A`)「なんでお前は、俺の頭の上に乗ってるんだ?」
(*ー∀ー)ノ「疲れたのニャ」
('A`) 「……まぁ良いけど」
ドクオの頭に『我ここに居場所を見たり』と、居座るツー。
('A`)「お」
暫く歩くと、灯りが見えた。
-
(*゚∀゚)「着いたのニャ、あれがユクモ村だニャ」
('A`)「へー、あれが」
今のユクモ村は祭りの真っ最中。
雷光虫と草食獣の骨で作られた提灯が並べられ、光の道が出来ている。
(*゚∀゚)「あんた様、村に着いたらどうするのかニャ?」
('A`)「まずここのギルドマスターに挨拶だな。 そこからは暫くユクモに世話になるつもりだから、宿も探さないと」
ツーに尋ねられて応えたものの、ツーは不服そうな目をドクオに向けた。
('A`)「……どうした?」
(*゚―゚)「……湯浴みニャ」
あぁ、とドクオは得心いった。
('A`)「俺の事は良い、村に入ればギルドの場所くらい探せるさ。酔っ払った屈強な男が集まってる所を探せば良いだけだ。
お前は先に湯浴みに行けば良いさ」
返ってきたのは、鋭い爪だった。
-
(;メA`)「いってえぇぇええ!!!」
(#*゚∀゚)「ふん、自業自得だニャ。 オレっちがギルドマスターの所に案内してやるから、その後、一緒に入りに行くニャ」
('A`)「ん、ああ。別にそれで構わない」
(*゚∀゚)「にゃははー♪」
その後は、賑やかな祭り囃子に誘われてツーと一緒にこの祭を見物するのも悪く無い。
ドクオはそう思った。
To be Continue……
-
1―2投下終了です。これで一話は完結となります。時間をおいて、二話も投下していきます。
今回の投下で修正した部分は、最後に纏めて記載します。
-
※注意※
・元ネタ有り
・武器や防具、モンスターについて多々独自解釈があります
・登場人物を無理やりAAに置き換えていることが多々あります
まとめ様一覧
フェレット速報 http://xn--hckwcp3c2c5ce5k.com/
かぎまとめ http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-2141.html
即席ブーン http://eksr.blog115.fc2.com/blog-category-20.html
最初に記載するつもりだったのを忘れていました
-
●(‘A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:???】
使用武器:???(双剣)
防具:???シリーズ
現在地:ユクモ村
●(*゚∀゚) ツー
獣人族
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇現在地:ユクモ村
-
伝説というのは、その地域の特色を推し量る上で、このうえない物差しとなる。
その地域に根付いた文化、信仰によって形成された伝説。
例えば、ドンドルマにはこの様な伝説がある。
曰く、海を渡る山。
曰く、全てを呑む山。
最古龍と呼ばれる竜の記述。これは、実に的確に最古龍を表した言葉である。
古龍観測所に残されていた記録は、これだけだった。この事実から、如何に最古龍が謎に包まれているのかが、推察出来るだろう。
そして、この地【ユクモ】にもこのような伝説が存在する。
-
狩人達よ、喜ぼう
この出会いに歓喜しよう
稲光が辺りを照らし
例えその身が焼け落ちようとも
偉大な瞬間に立ち会えた
それが最上の喜びである
―――とある狩人の手記 作者不明―――
-
賑やかな祭り囃子に、誰もが心躍らせる。辺りを見渡すと、アイルーやメラルーのお面を被った子供達がはしゃぎ回っている。
(‘A`)「どこでも、子供達は変わらないな」
ドンドルマにも祭りはあった。
【狩人ノ宴】と言われるその祭りをドクオは思い出していた。
子供達は、ここぞとばかりに走り回り
大人達は、それを暖かい目で見守っている。
急に、鼻を刺激するような独特な匂いを感じ取った。 それは、温泉地であるユクモ特有の硫黄臭だった。
-
(*゚∀゚)
-
(*゚∀゚)「あんた様、あっちにユクモ自慢の温泉群があるニャー」
ツーは、短い尻尾を振って興奮した様子でドクオに話しかける。
(‘A`)「温泉はギルドマスターに挨拶してからだぞ。もう少し我慢してくれ」
(*゚∀゚)「……ニャー、わかってるニャ。ユクモギルドはすぐそこだニャ!」
駆け出すツーにドクオは溜め息を吐く。
(‘A`)「……まったく」
ユクモ村のギルドは、変わった佇まいをしていた。 傍から見れば、銭湯にしか見えない。
ドンドルマのギルドと比べると、大きさだけでもかなりの違いがある。
(*゚∀゚)「ニャー!帰ったニャー!!」
元気一杯のツーの挨拶に祭りの進行で、てんてこ舞いしていたハンターやオトモ達が、手を止めて『おかえりニャー』や『遅かったのね』等と挨拶を返した。
-
(‘A`)「………」
ドクオは、想像以上に騒がしいギルドに目も向けず
ギルドの端の、とある場所に向かって歩いた。
その周辺には大量の酒ビンが転がっており、足の踏み場もない。
そしてその中心で寝転がる一人の竜人族。
(‘A`)「もし……」
/ ,’ 3「うぃー、なんじゃいなー」
(‘A`)「ユクモのギルドマスターとお見受けしましたが、相違ありませんか?」
竜人族とは、人間より遥かに高い知識と寿命を持ち、アイルー達とはまた違った進化をした獣人族である。
ふぅむ、と竜人族の老人は顎髭を撫でながら男を観察する。
覇気のない目、細い手足、一見すれば、誰もこの男を狩人だとは思わないであろう。
しかし、竜人の目は誤魔化せない。
最低限まで絞られた身体。必要な箇所にしか付けられていない筋肉。
なるほど、と呟いた。
-
/ ,’ 3「うぃー、よう来たのぉ、ドンドルマの英雄様よぉー」
(‘A`)「………」
気が付けば、あれだけ騒がしかったギルドは静まり返っていた。
見たことの無い風貌の男。一目でこの辺りの人間ではないと分かる。
そんな男が、自分達の主であるマスターと話している。
自然と二人の会話に、耳を傾けていた。
-
(‘A`)「……失礼ですが、俺は英雄などではありません」
/ ,’ 3「ふぉほほ、そう謙遜召させるなー。ドンドルマのマスターとは義兄弟での。 チミの噂は耳にタコが出来るほど聞かされておるからのぉー」
(‘A`)「……あのクソじじいか」
ドクオは、眉間を押さえて呻く。しかし、その顔に嫌悪感はない。
『さて』、その一言で周囲を含む空気が一変した。
/ ,’ 3「ドンドルマの英雄様が、こんなちっぽけなギルドになんの様かいな」
これが竜人の威圧感。
何百、何千という悠久の時を生きる竜人にしか醸し出せぬ空気。
しかし、それをドクオは軽く受け流す。
(‘A`)「まぁ、少し野暮用がありましてね。 しかし旅の途中で用意していた路銭も底をついて、今では明日の陽を見るのもままならぬ状況」
/ ,’ 3「うぃー、そうそう回りくどい言い方をしなさんな。言えば良いじゃないか。『狩人』として雇ってほしい、となぁー」
やはり竜人の知能は、ヒトの及ぶところでは無かった。
何もかも見通されている事に驚きを感じながらも、ドクオは平静を装って返す。
(‘A`)「奇遇ですね。ちょうど俺もそう言おうと思っていたんです」
-
ふぉほほ、と奇妙な笑い声をあげる竜人は
/ ,’ 3「良いじゃろう。実力は折り紙付き、断る理由もなかろう。 優先的に上位の依頼を回す、それでも良いかの?」
と言った。
(‘A`)「是非もない」
/ ,’ 3「ふぉほほ、ユクモ村へようこそ。英雄様」
それをお互いの了承と受け取り、ドクオは背を向けようとした。
空気が緩んだ、その瞬間だった。
(‘A`)「!!」
背中に当てられた瓢箪。これ以上緊縛する事の無いと思われた雰囲気が、まだ上昇した。
-
「ふぉほほ。そうそう、一つ聞き忘れておったわ」
「先程、数匹のジャギィとジャギノス。そして繁殖期に入ったアオアシラが、狩人らしき人物と交戦していたという連絡がギルドに入った。 なんというかのぉ、ギルド直轄地でギルドに所属していないハンターがモンスターを狩れば、それは“密猟”なんじゃよ」
(‘A`)「………」
ドクオは答えない。
それはドクオも重々承知していた、古来から続く狩人のしきたりだからだ。
見れば、今まで静観を決めていたギルドナイト達が各々の武器を構え、ドクオに向けて突き出していた。
(‘A`)「……なるほど」
/ ,’ 3「余り手荒な事はしたくなかったんじゃがのぉー。しかし、その密猟を行ったのがお主だったら……」
/ ,’ 3「儂はのぉ、英雄様。チミを拘束せねばならんのじゃ」
-
これを見ていたギルドのオトモ、ツーは堪らず飛び出した。
(;*゚∀゚)「じじい!!どうしてこんな真似をするのニャー!?」
/ ,’ 3「ツー、これは護らねばならぬしきたりなんじゃ。これには如何に優れた者であろうと、如何に権力を持った者であろうとも逆らってはならぬ」
ギルドには、唯一絶対の掟がある。
『ギルドの依頼外で狩猟をしてはならない』
これは単独で、無謀な狩りを行おうとする馬鹿者を守る為の物でもあり
また同時に、ハンターによる乱獲からモンスターを守る為の物でもある。
(‘A`)「……良い、ツー。下がっていてくれ」
(;*゚∀゚)「ニャッ!?でも……」
大丈夫だから、とドクオは安心させるようにツーの頭を撫でた。
(‘A`)「マスター」
/ ,’ 3「………」
(‘A`)「その目撃者が見た男は、間違いなく俺だ。それに対して言い訳するつもりは無い」
静寂の中、ドクオの声が淡々と紡がれる。
-
PCから書いたらドクオがおかしな事になったので、二話からやり直します。
-
無事だったんだな
よかった
-
地の分がすごくいい
-
【ハンター】
●('A`) ドクオ=ウェイツー
人間
26歳 【称号:???】
所属猟団:無所属
使用武器:???(双剣)
防具:???
現在地:ユクモ村
【オトモ】
●(*゚∀゚) ツー
獣人族(アイルー)
?歳 【称号:???】
使用武器:【旗本】ネコ合戦旗(剣斧)
兜:旗本ネコ【陣笠】覇
鎧:旗本ネコ【胴当て】覇現在地:ユクモ村
-
伝説というのは、その地域の特色を推し量る上で、このうえない物差しとなる。
その地域に根付いた文化、信仰によって形成された伝説。
例えば、ドンドルマにはこの様な伝説がある。
曰く、海を渡る山。
曰く、全てを呑む山。
最古龍と呼ばれる竜の記述。この記述は、実に的確に最古龍を表した言葉である。
古龍観測所に残されていた記録は、これだけだった。この事実から、如何に最古龍が謎に包まれているのかが、推察出来るだろう。
そして、この地【ユクモ】にもこのような伝説が存在する。
-
狩人達よ、喜ぼう
この出会いに歓喜しよう
稲光が辺りを照らし
例えその身が焼け落ちようとも
偉大な瞬間に立ち会えた
それこそが最上の喜びである
―――とある狩人の手記 作者不明―――
-
賑やかな祭り囃子に、誰もが心躍らせる。辺りを見渡すと、アイルーやメラルーのお面を被った子供達がはしゃぎ回っている。
('A`)「どこでも、子供達は変わらないな」
ドンドルマにも祭りはあった。
【狩人ノ宴】と言われるその祭りをドクオは思い出していた。
子供達は、ここぞとばかりに走り回り
大人達は、それを暖かい目で見守っている。
急に、鼻を刺激するような独特な匂いを感じ取った。 それは、温泉地であるユクモ特有の硫黄臭だった。
-
(*゚∀゚)「あんた様、あっちにユクモ自慢の温泉群があるニャー」
ツーは、短い尻尾を振って興奮した様子でドクオに話しかける。
('A`)「温泉はギルドマスターに挨拶してからだぞ。もう少し我慢してくれ」
(*゚∀゚)「……ニャー、わかってるニャ。ユクモギルドはすぐそこだニャ!」
駆け出すツーにドクオは溜め息を吐く。
('A`)「……まったく」
ユクモ村のギルドは、変わった佇まいをしていた。 傍から見れば、銭湯にしか見えない。
ドンドルマのギルドと比べると、大きさだけでもかなりの違いがある。
(*゚∀゚)「ニャー!帰ったニャー!!」
元気一杯のツーの挨拶に祭りの進行で、てんてこ舞いしていたハンターやオトモ達が、手を止めて『おかえりニャー』や『遅かったのね』等と挨拶を返した。
-
('A`)「………」
ドクオは、想像以上に騒がしいギルドに目も向けず
ギルドの端の、とある場所に向かって歩いた。
その周辺には大量の酒ビンが転がっており、足の踏み場もない。
そしてその中心で寝転がる一人の竜人族。
('A`)「もし……」
/ ,' 3「うぃー、なんじゃいなー」
('A`)「ユクモのギルドマスターとお見受けしましたが、相違ありませんか?」
竜人族とは、人間より遥かに高い知識と寿命を持ち、アイルー達とはまた違った進化をした獣人族である。
ふぅむ、と竜人族の老人は顎髭を撫でながら男を観察する。
覇気のない目、細い手足、一見すれば、誰もこの男を狩人だとは思わないであろう。
しかし、竜人の目は誤魔化せない。
最低限まで絞られた身体。必要な箇所にしか付けられていない筋肉。
なるほど、と呟いた。
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/ ,' 3「うぃー、よう来たのぉ、ドンドルマの英雄様よぉー」
('A`)「………」
気が付けば、あれだけ騒がしかったギルドは静まり返っていた。
見たことの無い風貌の男。一目でこの辺りの人間ではないと分かる。
そんな男が、自分達の主であるマスターと話している。
自然と二人の会話に、耳を傾けていた。
-
('A`)「……失礼ですが、俺は英雄などではありません」
/ ,' 3「ふぉほほ、そう謙遜召させるなー。ドンドルマのマスターとは義兄弟での。 チミの噂は耳にタコが出来るほど聞かされておるからのぉー」
('A`)「……あのクソじじいか」
ドクオは、眉間を押さえて呻く。しかし、その顔に嫌悪感はない。
『さて』、その一言で周囲を含む空気が一変した。
/ ,' 3「ドンドルマの英雄様が、こんなちっぽけなギルドになんの様かいな」
これが竜人の威圧感。
何百、何千という悠久の時を生きる竜人にしか醸し出せぬ空気。
しかし、それをドクオは軽く受け流す。
('A`)「まぁ、少し野暮用がありましてね。 しかし旅の途中で用意していた路銭も底をついて、今では明日の陽を見るのもままならぬ状況」
/ ,' 3「うぃー、そうそう回りくどい言い方をしなさんな。言えば良いじゃないか。『狩人』として雇ってほしい、となぁー」
やはり竜人の知能は、ヒトの及ぶところでは無かった。
全て、何もかも見通されている事に驚きを感じながらも、ドクオは平静を装って返す。
('A`)「奇遇ですね。ちょうど俺もそう言おうと思っていたんです」
-
ふぉほほ、と奇妙な笑い声をあげる竜人は
/ ,' 3「良いじゃろう。実力は折り紙付き、断る理由もなかろう。 優先的に上位の依頼を回す、それでも良いかの?」
と言った。
('A`)「是非もない」
/ ,' 3「ふぉほほ、ユクモ村へようこそ。英雄様」
それをお互いの了承と受け取り、ドクオは背を向けようとした。
空気が緩んだ、その瞬間だった。
('A`)「!!」
背中に当てられた瓢箪。これ以上緊縛する事の無いと思われた雰囲気が、まだ上昇した。
-
「ふぉほほ。そうそう、一つ聞き忘れておったわ」
「先程、数匹のジャギィとジャギノス。そして繁殖期に入ったアオアシラが、狩人らしき人物と交戦していたという連絡がギルドに入った。 なんというかのぉ、ギルド直轄地でギルドに所属していないハンターがモンスターを狩れば、それは“密猟”なんじゃよ」
('A`)「………」
ドクオは答えない。
それはドクオも重々承知していた、古来から続く狩人のしきたりだからだ。
見れば、今まで静観を決めていたギルドナイト達が各々の武器を構え、ドクオに向けて突き出していた。
('A`)「……なるほど」
/ ,' 3「余り手荒な事はしたくなかったんじゃがのぉー。しかし、その密猟を行ったのがお主だったら……」
/ ,' 3「儂はのぉ、英雄様。チミを拘束せねばならんのじゃ」
-
これを見ていたギルドのオトモ、ツーは堪らず飛び出した。
(;*゚∀゚)「じじい!!どうしてこんな真似をするのニャー!?」
/ ,' 3「ツー、これは護らねばならぬしきたりなんじゃ。これには如何に優れた者であろうと、如何に権力を持った者であろうとも逆らってはならぬ」
ギルドには、唯一絶対の掟がある。
『ギルドの依頼外で狩猟をしてはならない』
これは単独で、無謀な狩りを行おうとする馬鹿者を守る為の物でもあり
また同時に、ハンターによる乱獲からモンスターを守る為の物でもある。
('A`)「……良い、ツー。下がっていてくれ」
(;*゚∀゚)「ニャッ!?でも……」
大丈夫だから、とドクオは安心させるようにツーの頭を撫でた。
('A`)「マスター」
/ ,' 3「………」
('A`)「その目撃者が見た男は、間違いなく俺だ。それに対して言い訳するつもりは無い」
静寂の中、ドクオの声が淡々と紡がれる。
-
('A`)「しかし、ジャギィ達を討伐したのはこのオトモだ。俺じゃない」
/ ,' 3「……ほぉ。間違いないのか、ツー」
(*゚∀゚)「そうだニャー!オレっちが狩ったのニャー!!!」
('A`)「それに、アオアシラだったか?あれと戦ったのは確かに俺だが、討伐してはいない。
撃退しただけだ」
『嘘だッ!!!繁殖期に入ったアオアシラを討伐しないで退けるなんて!!』
大剣を構えていた青年が、叫んだ。
ギルドマスターはそれを目だけで制す。
しかし、この青年が言うのも最もだった。繁殖期に入ったモンスターは退く事をしない。したがらない。 もしそのままハンターに後を付けられ、巣にまで来られてしまえば、種の全滅すらあり得るからだ。
/ ,' 3「ツー、本当かのぉ?」
(*゚∀゚)「……確かに討伐してないニャー。ドクオと暫く戦ってから、足を引きずりながら北に逃げて行ったニャー」
ふぉほほ、とまたギルドマスターは笑った。
/ ,' 3「相分かった!戟を収めよ、子供達よ!!」
その言葉に、ツーは溜め息を吐いた。
-
/ ,' 3「……済まなかったのぉ、チミ。儂の勘違いだったようだのぉ」
('A`)「いや、こちらこそ申し訳ない。これは一番最初に俺から伝えるべき事でした」
大剣や太刀を向けられても、この男は全く顔色を変えなかった。
/ ,' 3(……やはり、この小僧。思った以上に図太い)
('A`)「じゃあ今度こそ失礼させて頂く。ツーとユクモの湯に浸かる約束もあるので」
何が嬉しかったのか、ドクオには分からなかったが。マスターは、それを聞くと盛大に笑いだした。
/ ,' 3「ふぉほほ、ツーとか?それはそれは、なんと喜ばしい事かな」
('A`)「……?」
ひとしきり笑った後、一度咳払いをして場を取り直した。
/ ,' 3「失礼したのぉー、少し嬉しかったのでのぉー」
('A`)「……はぁ」
/ ,' 3「チミは気にする必要の無いことじゃ。一人に案内をさせるから、チミは先に温泉で待ってるといいぞい。 ツー、ちゃんと報告していきなさい。ドクオくんとの湯浴みはそれからじゃ」
ニャー、と膨れっ面をするツー。
-
(*゚∀゚)「ニャー、仕方ないニャー。ドクオ、先に行ってて欲しいニャー。後で追いかけるニャッ!」
分かった、とだけ呟いてドクオはギルドを退出しようとする。
/ ,' 3「そうじゃ、チミ。もう一つ言い忘れておったわい」
その言葉にドクオは再び足を止める。
/ ,' 3「儂の名は、スカルチノフ。スカルチノフ=アラマキじゃ。ユクモの地を司る、ギルドマスター」
ドクオは、身体を返して真っ直ぐギルドマスター、スカルチノフを見た。
/ ,' 3「良い狩りを……」
('A`)「有り難く」
ドクオが歩く度に道が出来る。扉の手前にさしかかった時、今度はドクオがスカルチノフに言った、
('A`)「そうそう、ただの威嚇にしても弾は込めておいた方が良いと思いますよ。
大人しく引き下がる奴ばかりでは無いですからね」
/ ,' 3「………」
今度こそ、ドクオは背を向けギルドを出た。
-
『良いのですか?あの人を狩人として雇って』
/ ,' 3「ふぉほほ、良いに決まっとるじゃろうがぁ。チミには分からんだろうがなぁー」
『確かに。私には、あの男が優れた狩人に見えないです』
/ ,' 3「そういう次元にいる人間じゃないのじゃー。チミも覚えておくと良いのぉー」
『はい、マスター』
あの青年は、自分の瓢箪に弾が込められていないのを一瞬で見抜いた。
いや、恐らくあれは嗅ぎ取ったのだろう。
ボウガンを構えれば、微かに漂うはずの火薬の匂い。その有無を一瞬で見抜き
そして、その判断に絶対の自信を持っていた。
/ ,' 3「……“G級”は伊達ではない、という事かの」
-
/ ,' 3「彼には、とりあえずこの地方に住む竜を当てごうてやれ」
そうじゃ、と思い出したようにスカルチノフは従者である狩人に尋ねた。
/ ,' 3「それと、あの娘の様子はどうかのぉ?」
『はっ、あの娘というのはツー様の事ですか? それとも監視にやったデレの方ですか?』
ふぉほほ、とまた愉快そうに笑って言う。
/ ,' 3「デレの方じゃー、あの娘はあの娘で難儀な性格をしとるからのぉー。 彼がどのように対応するのか楽しみじゃてー」
『……私には考えの及ぶ範疇ではありません』
アラマキは、そういって顔を顰める従者を見て人懐っこそうな笑顔を見せる。
/ ,' 3「狩りは、単純な物ではない。強者=勝者にはならんのじゃ。
如何に聡明な狩人であろうと、一人で出来る事には限界がある。 さぁ、どう立ち回る、英雄様よぉ」
それだけ言うと、また笑って手にしていた盃を一気に傾けた。
-
ドクオは困惑していた。
確かに、アラマキは案内を付けると言った。
しかし、自分の三歩後ろからついてくる影。
ζ(゚ー゚*ζ「………」
あれはもう案内ではなく尾行、もしくはそれに準ずる何か、ではないだろうか。
しかし、特に何も言う様子がないのでドクオも何も言わない。
温泉の場所は、ツーに教えてもらっていたので、特に迷う事もない。
道順を覚えるのも、狩猟生活で培われる技能の一つだ。
何も喋らない案内人は黙って自分の後ろを付いてくる。
('A`)(いつまで付いてくるんだろうか)
不意に頭に衝撃が走る。
(*゚∀゚)「どっくおー!!!!!」
発生源はオトモアイルー、ツーだった。
そしてさも当然のように、ドクオの頭に乗っかる。 ツーのゆったりとリラックスした顔を見るに、お気に入りの場所になったのだろう。
(*ー∀ー)ノホホーン
-
しかし、この行動に周辺にいた村人が驚きの声をあげる。
『おい!あのツー様が人に懐いているぞ!』
『なんと!?しかし、見たことの無い顔じゃな』
周囲の喧騒に、驚くドクオ。
この様子のどこが珍しいのだろうか、と首を傾げる。しかし、当のツーは
(*ー∀ー)「気にしなくていい良いニャー」と、周囲の反応もどこ吹く風と、ドクオの髪を弄って遊んでいる。
ユクモの温泉には不思議な力がある。 これは、ドンドルマ地方特有の『ネコ飯』と似ている部分がある。 狩人にもたらす、不思議な効能。
入った後は身体が軽く感じ、いつもより長く、そして早く、狩場を走る事が出来る。
この温泉の湯こそが、ユクモにギルドが作られた由縁であり、始まりと言える。
-
次の日、一夜を銭湯に併設されていた宿場で過ごしたドクオは、ギルドに向かった。
朝一番で、依頼したいクエストがあるとの連絡を受けたのだ。
('A`)「昨日、ギルドに所属願いを出していたドクオなんだが」
ミセ*゚ー゚)リ「はい、連絡を貰っていますよ。ギルドカードをお渡しするので少々お待ち下さいねっ!」
クセっ気のある髪をした、ハキハキとした女性が応対してくれた。
ミセ;*゚ー゚)リ「あれ?なんで?どうして……」
しかし、何かトラブルがあったようだ。
ギルドカードに何かしらの不具合があったのだろうか。
ミセ;*゚ー゚)リ「すいません!手違いで、ドクオさんのHRが6になっているんですよ!」
HRというのは、ギルドに所属するハンターの力量を表す、一つの物差しだ。
1〜6までの段階があり、小型モンスターや採集などのクエストを扱うHR1、HR2。
大量の小型モンスター、中型モンスターを相手にするHR3。
中型モンスター、時には飛竜種の狩猟の依頼を受けるHR4。
一般的にHRを一つ上げるには三年程掛かる、と言われている。 それに加え、ある程度の数のクエストをこなした実績。そしてギルドから依頼される緊急クエストを成功させて初めて昇級出来るのである。
-
それがHR6になっているのだ。
初めてギルドカードを作った新米ハンターがHR6という事は有り得ない。
普通は。
('A`)「……竜人ってのは皆こうなのか」
思い浮べるのは二人の竜人。
('A`)「……良い、多分それであっていると思う。ありがとう」
ミセ;*゚ー゚)リ「えっ、あっ、本当ですか!?
じゃあ、これを……」
そのままギルドからの依頼が、貼られている掲示板に向かう。
ハチミツの採集や、特産キノコの納品など、多種多様な依頼が貼られている。
('A`)「お、こいつか」
HR2以上〜、と書かれた依頼票を引きちぎる。 そこには
『腕利きの狩人を募集。【毒怪竜】ギギネブラの狩猟』
と書かれていた。
('A`)「……なるほど。もうこれはマスターからの嫌がらせとしか思えないな」
いきなりの飛竜種。それも一度も目にしたことが無い名前だ。 ギギネブラ、狩人大全で調べないとな、とドクオは次の行動の指針を立てる。
-
『おい、テメェ!!その依頼はオレ達が先に受けたもんだぞ!ゴルァ』
('A`)「ん?」
(,,゚Д゚)「……テメェは、昨日うちのじじいとやりあってた野郎だな」
依頼被りか、とドクオは溜め息を吐く。 人の手によって依頼の受注が行われるギルドでは、依頼被りは珍しい事ではない。
しかし、難しいのはそれの解決。
狩人とは誇り高くあらねばならない。
村民を護る盾として、常に高みを目指す生き物だ。
だから退けなくなる。
お互いが譲らず、限りなく殺し合いに近い喧嘩になる事も多々あるのだ。
(,,゚Д゚)「勝負だゴルァ!!」
だから、その為にギルドは一つのルールを設けた。
【腕相撲】
腕相撲とは、ただ単純に腕力を競うだけの物にあらず。
筋力、関節の力、そしてお互いの駆け引きを競う物である。
('A`)「……良いだろう」
-
まだ祭りの興奮醒めやらぬのか、ギルドを出て広場に行くと沢山の人が集まっていた。
ユクモの祭りというのは、何日も通して行われる。その間は昼も夜も関係ない。真っ昼間から酒を飲み、踊りだすような人もいる。
祭りの祭壇の前に置かれた、一脚の机。
(,,゚Д゚)「公衆の面前で、恥を晒す覚悟は出来ているのか?」
捲られた袖から見える男の腕は、いかにも狩人らしい屈強な物だ。
('A`)「ほぉ、なかなか良い鍛え方をしているな。 服の上からでも良く分かる」
周囲が騒めきだした。
『なんだ!なんだ!!腕相撲かっ!?』
『新米ハンターと【荒鷲団】のギコ様がやり合うらしいぞ!』
('A`)「……ふぅ」
(,,゚Д゚)「何してるんだ、さっさと腕を出せ。それとも何か? テメェ、怖じけづいたのか?」
いや、と小さくドクオは笑った。
('A`)「お前、大剣使いだな」
(,,゚Д゚)「!!」
-
大剣、人間の身の丈以上の大きさを持つ剣。
大剣で特筆されるのは、剣特有の切れ味ではなく、その重さ。
如何な狩人であろうとも、身体全体を使い力を込めねば振り回せない。
大剣は『断ち斬る』ではなく『捻斬る』。大剣の、その重さ故の威力。
ただ、常人がそれを振り回そうと思えば、逆に大剣に振り回される事になる。
いや、振り回す事すら出来ない。持ち上げる事も叶わないだろう。
それ程までに、『重い』のだ。
故に、均等に鍛え上げられたその腕の筋肉こそが【大剣使いである証】。
('A`)「さて、じゃあ始めようか」
ドクオの腕を見て、周りから失笑が漏れる。 対面に座るあの男、そいつの腕と比較すれば差は一目瞭然だった。
『あんな牛蒡のような腕で、ギコ様に勝てるものか』
『やっちまえー!ギコ様!!!』
(,,゚Д゚)「……」
無言で構える男。目はギラ付いていて、隆々とした筋肉は何時でも全力を発揮出来るように、筋が浮く程に力が込められている。
-
('A`)「ふぅ、周りも喧しいしさっさと終わらせよう。ほら、手首を出しな」
(,,゚Д゚)「!!!」
それはハンデだった。
(,,゚Д゚)「……ふざけやがって」
ドクオは手首を取ろうとしたのだが、男は迷わずドクオの手を払い掌を握ってきた。
('A`)「はぁ……。まぁ良い、じゃあ始めようか。 せめてお前から仕掛けて来い」
ドクオは周囲に聞こえぬ様に、呟く。
(,,゚Д゚)「テメェ……オレに気を遣ってるつもりか?」
もう言葉はいらなかった。お互いの顔が接触する程に近くで睨み合う。
(,,゚Д゚)「ぐぉ……!」
('A`)「……!」
ギコは力押しで、ドクオの腕を倒そうとする。 倒す、というよりも腕をへし折ろうとしている。
それをドクオは器用に肘の位置を変える事で受け流す。
-
(,,゚Д゚)「……テメェ、力を入れなきゃ勝てねぇぞ!」
('A`)「いや、どれ程の筋力があるのか興味があってな」
男の顔は真っ赤だった。一方ドクオの表情に変化は無い。
『嘘だろ!?腕相撲で負け無しのギコ様が押し切れてないぞ!』
('A`)「……なる程な。道理で腕っぷしに自信がある訳だ」
(#,,゚Д゚)「おう!オレの誇りだぞゴルァ!!」
('A`)「そうか、言うだけの事はあるな」
ギコの腕がミシミシと音を立てる。骨と骨を繋ぐ関節が軋む音。
('A`)「……俺も腕相撲に一家言あってな。お前ほど大したものじゃないが。 俺は『全戦勝敗つかず』なんだ」
(#,,゚Д゚)「!! 野郎、狙って引き分けにするつもりか!!」
ギコは、もう一度腕に全身の力を込める。 もう出し惜しみはしない。ドクオが勝敗を付けたがらないのなら、自分はただの一回に全力を込めれば良い。
(#,,゚Д゚)「グオォォォオオ!!!!」
(;'A`)「!?」
ドクオは、ここにきて初めて表情を引きつらせる。
やはり、今までのは全力ではなかった。
アオアシラと対面しても、一切表情を変えなかった男が、焦ったのだ。
-
('A`)「……!!」
一瞬、ドクオの身体が赤く光った。
(;,,゚Д゚)「……!?」
男の頭の中に大量に浮かぶ疑問符。
この赤く鈍い発光。
まさか、この男、全く本気を出していなかったのか。 自分の全身全霊を練り込んだ力に、ようやく本気を出す気になったというのか。
なんという規格外だ。
それで一気に気が抜けた。腕に力が入らなくなった。 ドクオも、それに気が付いたのか腕から少しずつ力を抜いていく。
('A`)「ふぅ」
(,, Д )「ハァ……ハァ……」
二人の腕は、どちらに傾く事もなく机の中心の定位置から少しも動いていなかった。
-
(;,,゚Д゚)「お前、まさか『うおぉぉおお!!!!!!!!』ん、なんだ?」
男の言葉に割り込んで歓声が上がった。
『なんて奴だ!アイツ、あのギコ様に引き分けやがったぞぉ!!!』
(,,゚Д゚)「……ったく、なんだってんだ。こいつら」
('A`)「ギルドがある村は大抵こんなもんだ。お祭り好きで、騒がしい、気持ちの良い人ばかりだ」
(,,゚Д゚)「……」
もう一度落ち着いて、ドクオの事を観察する。
見慣れぬ風貌、一目で、ユクモの出身でないと分かる。
活力のない目、こんな細い身体で自分を圧倒したというのか。
('A`)「……ドクオだ、これから宜しく頼む」
(,,゚Д゚)「ギコだ。ユクモギルド所属の猟団【荒鷲団】の首領を務めている。 お前は、この辺りの出身ではないのか?」
('A`)「あぁ、元々ドンドルマという地でハンターをしていたが 故あって昨日からこのユクモギルドに身を置かせて頂く事となった」
(,,゚Д゚)「そうか。ドンドルマから。 道理で見知った格好ではない訳だ」
気持ち良い男、だとドクオは思った。
-
先程のやりとり。自分にも礼を逸した所があった。
(,,゚Д゚)「このギルドの所属となったのなら、また共に狩りに出る事もあるだろう。 よろしく頼む」
手を差し出された。腕相撲の時とは違い、力よりも歓迎の暖かみを感じさせる。
('A`)「あぁ、良い狩りをしよう」
握手を交わした。
歓声が再び巻き起こる。
その歓声に掻き消されて、その後の二人のやりとりは誰にも聞き取れなかっただろう。
『さっきのはオレの負けだったぞゴルァ』
『……いや、俺も勝っちゃいないさ。あれは引き分けだったさ』
『……すまねぇ』
そして、周囲の人混みに紛れて見ていた二人。いや、一人と一匹がいた。
-
(;*゚∀゚)「相変わらずの無茶苦茶っぷりだニャー」
ζ(゚、゚*ζ「……凄い、あのギコさんと互角に渡り合うなんて」
(*゚∀゚)「ニャ、それで感想はどうだったかニャ?デレ」
デレと呼ばれた少女は、唇に手を当て少し間を取った。
ζ(゚、゚*ζ「……確かにあれなら足手まといになる事もないでしょうね」
そして、また別の所では
(;^ω^)「ちょっ、あの人、本当にギコさんと引き分けちゃったお!」
ξ゚⊿゚)ξ「全く、アイツ油断しすぎなのよ。最初から全力を出せば分からなかったと思うわ。 あんな細腕、私でもなんとかなったわ」
少し小太りで、柔和な表情をした青年と巻き毛で勝気そうな釣り目をした少女がいた。
(;^ω^)「マジかお?あのドクオって人に本気で勝てると思ってるのかお?」
ξ゚ー゚)ξ「ふんっ、勝てるに決まってるじゃない!! ……私の代わりにブーンが」
( ^ω^)「完全に他人任せじゃねーか」
-
2―1はこれで終わりです。続いて2―2を投下します。これを投下してひとまずの区切りとさせてもらいます。
-
【間幕】
『マスター、彼は予定通り【毒怪竜】の討伐依頼を受注したようです』
/ ,' 3「ふぉほほ、それは何よりじゃ」
『しかしマスターも、お人が悪い。あれはギコが先に受注していたはずです。わざわざ揉めるように仕向けたとしか……』
老荘の男は、静かに片目を瞑った。
まるで、悪戯した子供が内緒にして欲しい、と合図するかの様に。
『……はぁ、やはりマスターの思惑でしたか』
/ ,' 3「はて?なんの事かのぉー」
『しかし、ギコと引き分けた事で、彼も村人や他の狩人達からある程度認められたようです』
ふぉほほ、それは重畳とアラマキは言う。
『では、私も依頼を受けたクエストがあるので失礼します』
そう言って従者は、静かに退出していった。
/ ,' 3「……引き分け、のぉ」
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ハンターにとって“G”という称号は特別な意味を持つものである。 類い稀な才能と血の滲むような努力。それを以てして辿り着けない領域。
それが“G”を持つ意味である。
―――伝説の英雄 ロマネスク=フェイト―――
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【毒怪竜】ギギネブラ
凍土に生息する飛竜種。目が退化しており、視覚ではなく温度で敵を追跡する。 形状はドンドルマ地方のフルフルの似通っているが、フルフルより少し扁平になっている。
骨格はティがレックスのように四足歩行。飛竜としては珍しく繁殖期が存在しない。
ギギネブラの生殖器官については、未だにはっきりとした事は分かっていない。。
頭部、腹部、尾に毒線を持っており腹の中にその毒を溜めておく袋を持っている。 その毒は、非常に強く、大型のモンスターでも一時間も待たずに意識混濁に陥る。
また怒りだすと変色し、肉質を変える。
凍土。何人の侵入を許さない極寒の土地。起伏に富んだ地面に、複雑に入り組んだ氷壁。
また、凍土にしか存在出来ない種も多く ユクモギルドが管理する【渓流】【孤島】【水没林】等の比較的気候の安定した場所と比較すると
特殊な生態系を保っている。
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AM7:30 Quest Start
(*゚∀゚)「ドクオー!ドクオー!ホットドリンクは飲んだかニャ??」
('A`)「あぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさん!解毒薬はお持ちですか?」
('A`)「……あぁ」
凍土を歩く三つの影。 黒い忍装束のような防具を着た男と、オレンジ色のカボチャのようなファンシーな装備を身に付けた女性。
二人ともその上から、ケルビの皮で作られたギルド公認のコートを着ていた。
その二人の後ろから、一匹のオトモが付いていく。
ζ(゚ー゚*ζ「ドクオさんの装備って、もしかしてナルガグルガの装備ですか?」
('A`)「あぁ、そうだが」
ζ(゚、゚*ζ「すごーい。やっぱりドクオさんって腕の良いハンターなんですね。 迅竜の装備なんて、並のハンターが身に付けられる物じゃないですよ」
【迅竜】ナルガクルガの貴重な素材を大量に使ったドクオの装備。
手鋼、腕鋼、胴当てなどの金属部は、身体を守るのに必要な最低限の部位にしか使用されていない。 迅竜という飛竜の特性を極限までに高める為に、削られた装甲。
そこから生み出される、疾風迅雷のスピードこそが、この防具の強みだ。
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