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( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです
1
:
◆vVv3HGufzo
:2011/02/20(日) 20:10:49 ID:xjlGxIHwO
***
この作品はフィクションです
作品の団体名、人名、地名などは一切関係ございません
***
395
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/04(月) 23:15:00 ID:2//4ARl60
乙ー。
それにしてもすっかりショボンが主人公になってきているwww
396
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/05(火) 09:29:07 ID:5GbpevVw0
ショボンさんカッコよすぎる
そろそろブーンもギター弾かないとなwwwww
397
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/05(火) 10:36:38 ID:puRvrTzgO
乙!
流石ショボン
しかしこの後大丈夫だろうか
398
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/05(火) 12:15:24 ID:uvwCDGsI0
乙
よっしゃあああああああ勝ったああああああ
399
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/05(火) 12:33:35 ID:E2mCPw0QO
ギター……
400
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/05(火) 12:55:22 ID:4NYhaxPsO
城内戦が始まったあたりからショボン編で
今からブーン編じゃねーの
しらんけどw
とにかく乙!
401
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/06(水) 09:03:43 ID:kZacTIkc0
乙
もう終わりそうだな
402
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:13:35 ID:bIWJ.cLkO
お待たせしてしまって申し訳ないです!
第十二話いきます!
403
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:13:57 ID:bIWJ.cLkO
***
第十二話 「螺旋人生」
***
それからの展開は早かった。
総大将が敗れたことで、根十城の乗っとりにほとんど成功していたはずの天野勢が混乱。
その背中を僅かな二茶根瑠勢の兵が襲いかかり、天野勢は完全に腰が引け、撤退を余儀無くされた。
半ば強引な形で、天野勢から根十城を守ることに成功した二茶根瑠勢。
数では負けたが戦に勝った。
勝ち鬨の雄叫びが、根十城中に響いていく。
根十城大手門付近では、四人の人影が、緊張のほぐれた様子で集まっていた。
404
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:14:23 ID:bIWJ.cLkO
( ^ω^)「渚本介さん、大丈夫ですかお」
(´メω・`)「ああ、片目があれば刀は振れる」
ζ(゚ー゚*ζ「これで天野勢はもう問題ないわね。擬古成がいなければ、戦の理由もなくなる」
(´メω・`)「逆に天野に攻めいる軍が増えるだろうな。奴はそれだけの恨みと領土を奪い取っていた」
( ゚д゚ )「……とにかく」
巳留那の威厳のある声が、その場を静かにさせる。
渚本介のほうを向き、頭を下げながら、巳留那は言葉を並べた。
( ゚д゚ )「此度の戦、貴殿の御陰で勝利に傾いた。感謝致す」
(´メω・`)「御面をお上げください。この勝利は二茶根瑠の兵の強き精神があってこその勝利。感謝なら兵士達にお伝えしてください」
( ゚д゚ )「フ……」
405
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:15:41 ID:bIWJ.cLkO
( ^ω^)(´メω・`)「!」
ζ(゚ー゚;ζ「えっ!?」
常に気難しい顔で、感情を表に出さなかった巳留那が、小さく笑った。
三人が驚き、巳留那の顔を見る。
特に出麗は大きな目を更に丸くして、軽く飛び上がるほど驚いた。
( ゚д゚ )「む…なんだその顔は」
ζ(゚ー゚;ζ「あ、いえ…」
城はボロボロにされ、所々に火の手が上がっているというのに。
自身達はもう満身創痍だというのに。
406
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:15:54 ID:bIWJ.cLkO
(´メω・`)「…はは」
( ^ω^)「フヒヒww」
ζ(゚ー゚*ζ「きめえ」
( ^ω^)
( ゚д゚ )「フ…」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、また笑った!」
( ゚д゚ )「…なんだ、余が笑うのは禁じられているのか」
ζ(゚ー゚;ζ「いえ、決してそうでは…」
それ以上の喜びが彼らを包む。
天野に対して勝利をおさめたことに。
今、生きていることに。
城はいつの間にか消火が進められ、遺体も片付けられ始めていた。
東の空が、少しだけ青に染まってきた。
──
407
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:16:51 ID:bIWJ.cLkO
──
多くの犠牲を出した悲しみや、勝利の余韻。
それらが城内を包む中、巳留那が全兵を集めたのは、その翌日の夜のことだった。
本丸天守前の広場。巳留那が示したその場所に集められたのは、天野勢に対して勇敢に戦った、二茶根瑠勢の生き残り約九百人。
臨時に設置された台に上り、かなり少なくなった兵達を見渡し、巳留那が重く響く声を出した。
( ゚д゚ )「死を恐れず、迫りくる刃に身構え、勝利を連れ出でた勇猛な兵士達よ。此度の戦、お前達の闘心あってこその勝利。誠に感謝する」
兵達の顔がほころんだ。
満面の笑みを向けるもの、涙を浮かべるもの。
それほどまでに、巳留那の言葉は、彼らの胸に響くものだった。
408
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:17:50 ID:bIWJ.cLkO
( ゚д゚ )「これで我が二茶根瑠領も安泰。平和という時代は、もはや目の前にあり」
( ゚д゚ )「この平和はお前達が掴み取ったものだ。体を休め、心を休め、死に行くまでそれを誇るがいい」
二茶根瑠勢にしてみれば、ひどく長い緊迫だった。
武力のある二茶根瑠領を天野が狙っていると知ったのは数年前。
それからというもの、この戦に向けて二茶根瑠は身構えてきた。
何年も、いつ来るかわからない敵に怯えながら、時には奮い立ちながら。
しかし、その緊迫ももう終わった。
随分と仲間が死んでしまったが、それでも終わったのだ。
奇跡に近い、勝利という形に収めながら。
──
409
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:19:19 ID:bIWJ.cLkO
──
( ^ω^)(どうするかお…)
巳留那の演説が終わった数時間後。
ブーンは物見台に座りながら星空を眺めていた。
これからどうするか。これがブーンの悩みだった。
ブーンがこの根十城に来た目的は、尾付出麗に会って元の時代に戻る手がかりを掴むことだ。
天野を待ち構えるために来た渚本介とは違う。
しかし、当の出麗はブーンがタイムスリップしてきたことすら知らないようだ。
何故かブーンの部屋にあった、タイムスリップのきっかけである出麗の琴爪も、普通に返してしまった。
410
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:19:41 ID:bIWJ.cLkO
もはや、自分に起こったことのすべてを出麗に打ち明けてみるしかないのか。
そうでもしなければ、一生この時代に留まってしまいそうで怖い。
( ^ω^)「……」
姿勢を崩し、そのまま寝転んで夜空を見る。
ブーンがいた時代の東京では絶対に見られないほどの、満天の星空。
これを眺めていると、元の時代に戻らなくてもいい気がしてきて、ブーンは目を閉じた。
優しい風が、ブーンの体を撫でていった。
──
411
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:20:58 ID:bIWJ.cLkO
──
(´メω・`)(これからどうするか…)
随分と人のいない兵士宿舎の治療室に、渚本介は寝転んでいた。
包帯をぐるぐる巻かれた体を寝かせ、汚れた天井を見つめる渚本介。
その考え事は、ブーンとまったく同じものだった。
(´メω・`)(…もはや俺の生きる意味はなくなってしまった)
今日まで、渚本介は擬古成への復讐心のみで生きてきた。
擬古成を討ち、それを達成させてしまった今、渚本介は何を目的に生きていけばいいのか解らなくなってしまったのだ。
412
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:21:15 ID:bIWJ.cLkO
もともと、生きていても仕様がない人生だったと思う。
生きる理由は絶対の復讐心のみだった。人並みの人生は、とうの昔に捨てていた。
それなりの覚悟を持って、渚本介は復讐に没頭していたのだ。
だからこそ、今の渚本介は抜け殻に近い状態だった。
(´メω・`)「……」
旅に付き合ってきてくれたブーンに遺書でも残して、いっそ死んでしまおうか。
いや、はっきりとした死ぬ理由があるわけではない。
しかし、これ以上生きる動機も見つからない。
413
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:22:10 ID:bIWJ.cLkO
(´メωー`)「……」
目を閉じて、考えることを一時的に止めてみる。
脳裏によぎったのは、ブーンと過ごした旅路の記憶。
そして。
(´メω・`)「……!」
一つの、大きな閃きだった。
──
414
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:22:24 ID:bIWJ.cLkO
──
翌日。
ブーンは出麗に頼み込んで、琴の演奏を見せてもらうことになった。
出麗の琴が聴きたいというのは表向きの理由で、実際は出麗に自分の正体を話してみることが目的なのだが。
(;^ω^)「し、失礼しますお…」
静かな広間に通され、ブーンは用意された座布団によそよそしく座った。
その先には、琴を構える出麗の姿。
共に根十城を逃げ回ったとは思えないほど、その姿は美麗なものだった。
(*^ω^)(綺麗だお…)
ζ(゚ー゚*ζ「遅いわよブス」
( ^ω^)
415
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:23:44 ID:bIWJ.cLkO
ζ(゚ー゚*ζ「始めるわよ」
二人きりの、広い空間。
静かに張る空気を、出麗の奏でる琴の音が、滑らかに咲き渡った。
( ^ω^)「……」
曲名の無い音楽。それでも、ブーンには曲のイメージが伝わった。
青く広がる草原のような悠々しさ。それらをなびかせる風のような淑やかさ。
「自然」そのものを表しているような、雄大な曲。
琴の繊細な旋律で、こうも雄大さを奏でられるのかと驚くほど、それは綺麗な曲だった。
416
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:24:06 ID:bIWJ.cLkO
ハーモニックスに近い奏法で音を響かせ、曲はゆっくりと終わった。
(*^ω^)「…すごいですお!」
間違いなく、素晴らしい演奏だった。
少し顔を赤らめた出麗に対し、ブーンは拍手を送る。
そして、ブーンはそのまま自らのギターを取り出した。
ζ(゚ー゚*ζ「別に嬉しくなんか…ってどうしたの?」
(*^ω^)「セッションに決まってますお!」
ζ(゚ー゚;ζ「殺生…?」
出麗の演奏で、すっかりテンションの上がったブーン。
久しぶりにギターを構え、その感触を確かめた後に、出麗に演奏を促した。
417
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:25:17 ID:bIWJ.cLkO
訝しげに頷き、出麗が琴を弾き始める。
その曲のリズムに乗りながら、ブーンがギターを鳴らし始めた。
ζ(゚ー゚*ζ「!」
( ^ω^)「…」
驚いて顔を上げる出麗に、にやけ面を向けるブーン。
理解した出麗は、笑顔を見せながら曲調を変えた。
( ^ω^)(おっ?)
優しい旋律が、弾け飛ぶような明るい旋律へ。
はしゃぎまわるように琴を奏でる出麗に、ブーンはギターで乗りかかっていく。
418
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:25:39 ID:bIWJ.cLkO
( ^ω^)(それなら…これはどうだお!)
これではまるで、セッションではなくギターバトルだ。
それでもブーンは負けじと曲を仕掛けてみた。
曲は押尾コータローの「Big Blue Ocean」。
素早くチューニングをずらし、リズムの主導権を握る。
ところが、出麗は臆することなく曲に乗ってきた。
ζ(゚ー゚*ζ(凄い弾き方ね…)
( ^ω^)(よく琴でついてこれるお…)
心の奥で、互いの実力を認めながら。
そして、闘争心を表に出しながら。
二人のセッションは、日が暮れるまで続いた。
──
419
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:26:59 ID:bIWJ.cLkO
──
ζ(゚ー゚*ζ「せっしょんってなかなか楽しいのね!」
( ^ω^)「だお?音楽はこういう楽しみ方もあるんですお」
夕暮れ。演奏の手が自然に止まり、二人のセッションは幕を閉じた。
自然と笑顔になっていた二人。
しかし、すぐに出麗の笑顔がゆっくりと落ちていった。
( ^ω^)「…どうしたんですかお?」
ζ(゚ー゚;ζ「あっ、ううん、なんでもないわよブス!」
慌てて琴の手入れを始める出麗。
それを見て、ブーンは出麗を訪ねた本当の目的をようやく思い出した。
420
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:27:22 ID:bIWJ.cLkO
(;^ω^)「……」
カミングアウトの覚悟を決めるために、暫く時間をとる。
琴の手入れの様子をぼーっと眺め、ブーンは突然口を開いた。
(;^ω^)「で、出麗さん!」
ζ(゚ー゚;ζ「うわっ、何よ急に」
(;^ω^)「あの、話したいことがあるんですお…」
それから、ブーンは話を始めた。
自分は未来から来たこと。その原因は出麗の琴爪にあること。ブーンのタイムスリップに、何か心当たりはないか。
話を終える頃には、外は暗くなりつつあった。
421
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:29:21 ID:bIWJ.cLkO
ζ(゚ー゚;ζ「五百年先の未来から…」
( ^ω^)「…そうですお」
信じてもらえるわけがない。
しかし、出麗は必死のブーンの言葉の意味を理解しようとしている様子だった。
ζ(゚ー゚;ζ「…それで、私の琴爪がアンタを此処に連れてきたっていうの?」
(;^ω^)「そ、そうですお」
そう言われてみると、なんとも現実味の無い馬鹿げた話だ。
それでも、出麗は考えるように顔をしかめた。
しかし、今度はブーンの話を理解しようという顔ではない。
何か心当たりがあるような、気難しい顔だった。
422
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:29:47 ID:bIWJ.cLkO
やがて、出麗のほうがポツポツと語り始めた。
ζ(゚ー゚;ζ「…馬鹿げた話に聞こえるかもしれないけど」
(;^ω^)「なんですかお?」
少し身を乗り出し、話を促すブーン。
出麗の口から出てきた言葉は、ブーンにとってはかなりの衝撃だった。
ζ( ー ;ζ「私、実は…」
聞いてしまったことを、後悔するほどに。
──
423
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:31:22 ID:bIWJ.cLkO
──
(´メω・`)「探したぞブーン」
( ^ω^)「…お、渚本介さん」
先日のように、ブーンは物見台で寝転んでいた。
出麗と話をした数時間後。
何もする気になれず、ただ夜空を眺めていたところを、渚本介が見つけたのだ。
(´メω・`)「一体何をしてるんだ。そろそろ飯の時間だぞ」
( ^ω^)「すみませんお…」
424
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:31:38 ID:bIWJ.cLkO
何やら落ち込んでいる様子のブーン。
気だるそうに立ち上がるその姿に、渚本介は口を開いた。
(´メω・`)「…実はブーン、頼みがあるんだ」
( ^ω^)「お?」
予想外の言葉に、きょとんとした顔を向ける。
そう、渚本介は別に飯を食わせるためにブーンを探していたわけではない。
自らの人生の続き。その決心を告げるために、そしてその手伝いを頼むために、渚本介はブーンのもとに来たのだ。
(´メω・`)「俺は復讐を遂げ、人生に意味を無くしてしまった。だから、新しい道を歩むつもりだ」
425
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/27(水) 23:33:09 ID:5DmBbR1c0
平和や……
426
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:33:12 ID:bIWJ.cLkO
(´メω・`)「新たな人生、そのためにはお前の力が必要なのだ」
( ^ω^)「?」
(´メω・`)「お前が元の時代に帰るまでの間でいい。どうか頼まれてくれ」
それだけ言い切ると、渚本介はブーンに頭を下げた。
慌てて顔を上げさせ、ブーンは渚本介の頼みというものを聞くことにした。
その言葉は、またもブーンに衝撃を与えるものだった。
(´メω・`)「俺にぎたーを教えてくれ」
( ^ω^)
( ^ω^)「……………え」
(;゚ω゚)「えええええええええええええええ!!!!!???」
第十二話 終
427
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/27(水) 23:33:43 ID:fAiB.Yyw0
最速の乙
428
:
◆vVv3HGufzo
:2011/04/27(水) 23:34:48 ID:bIWJ.cLkO
今回の投下は以上です!
もっと早く書けるよう頑張ります…
429
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/27(水) 23:36:31 ID:5DmBbR1c0
おっと乙でした
出麗の秘密が気になるね
430
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/27(水) 23:38:09 ID:jqiBM2x6O
そうきたかwwww乙!
なんにせよ切腹するとか言い出さなくてよかった
431
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/28(木) 00:00:38 ID:Xn5FNHFc0
これがホントのギター侍か・・・
432
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/28(木) 00:36:20 ID:RQb9g5zQ0
ttp://www.youtube.com/watch?v=VI9yhXjhcu4
今日はこちら、これ弾けるだなんて逆に嫉妬するよ!
433
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/04/28(木) 01:06:48 ID:KCIXNTDEO
>>432
すげええええ
バラードの伴奏ってイメージしかなかったけど
ギターってこんな軽快に色んな表現できんのか
435
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/07(土) 13:03:01 ID:Kf4L2yRU0
ほ
436
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/30(月) 23:20:48 ID:J31lAkK60
マダー?
437
:
◆vVv3HGufzo
:2011/06/05(日) 21:33:10 ID:RFo6yRncO
作者です!
私生活が忙しすぎて、書き溜めが進まない状況にあります
申し訳ないです…
逃亡はしませんので、もう暫く、もう暫く待ってください
お願いします
438
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/06/05(日) 21:40:05 ID:vAxh/ytY0
俺達が待たないとでも思っているのか?
439
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/06/09(木) 17:01:28 ID:R8HxHdIQo
勝手に待つからのんびりやって
440
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/06/25(土) 19:16:34 ID:dYsl2gps0
そうして作者は戦国時代へとタイムスリップしたのであった
441
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:11:56 ID:Pl3lvnnkO
お待たせしてしまって申し訳ございません
続きを投下します
442
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:13:38 ID:Pl3lvnnkO
***
第十三話 「在るべき運命と、抗えぬ運命」
***
そもそも人にギターを教えたことが無いこと。相手がギターを持っていないこと。
ブーンが狼狽した理由は多々あるが、何より気になる点が一つ。
(;^ω^)「えっ、と…何故ですかお…?」
ギターを教えてくれと頼んできた、渚本介の意図だ。
侍がギターを弾く。ブーンのいた時代にはちょうどそんな芸人がいたが、渚本介は至って真面目のようだった。
443
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:15:36 ID:Pl3lvnnkO
(´メω・`)「これからの人生に意味が欲しかったのだ」
ブーンの目を、まっすぐ見据える渚本介。
それだけで、ブーンにはすべて伝わった。
渚本介がどれだけ考えたのか、どれだけ悩んでの結論なのか。
満天の星空の下、渚本介の声が静かに響いていく。
(´メω・`)「幾日もの間お前と旅を続け、俺は羨望を抱くようになった。音楽に夢を持ち、その夢に生きるお前が羨ましかったのだ」
( ^ω^)「……」
(´メω・`)「俺はお前のように音楽に熱狂できないかもしれぬ。しかし、お前が歩んでいた道を、お前の人生の意味を、俺も少しは味わってみたい」
444
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:16:49 ID:Pl3lvnnkO
(´メω・`)「…それが理由だ」
決意の籠もった声で、最後まで話しきった渚本介。
ブーンは呆然としたまま渚本介の顔を眺め、その言葉を頭の中で反芻させた。
渚本介は音楽に夢中なブーンがただ羨ましかったのだ。
夢を持ち、生きる理由を持ち、人生に意味を持っていたブーンが眩しかった。
復讐の心しか持っていなかった渚本介にとっては、それは余計に際立っていた。
だからこそ、ブーンの追いかける夢に、ブーンの人生に触れてみたい。
それこそが、渚本介自身にとっての人生の意味に成りかねないのだから。
445
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:17:01 ID:Pl3lvnnkO
( ^ω^)「…僕のギターで、渚本介さんの人生に意味を与えてやれるなら」
考えるより先に、口が動き出した。
純粋に心の内を放っていくブーン。
それは、満面の笑みと共に。
( ^ω^)「僕は一向に構いませんお!」
(´メω・`)「!」
音楽は人を救える。
これは、それを証明する絶好の機会なのかもしれない。
それならば喜んで受けようじゃないか。
ブーンは早速その場に座り、ギターを構えた。
446
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:18:24 ID:Pl3lvnnkO
(´メω・`)「はは、よろしく頼む」
一礼の後、渚本介はブーンの向かいに座った。
横で聴くだけだったブーンの演奏を、久々に真正面から眺める。
久々に。
そう、初めてブーンと渚本介が出会った、あの時以来。
( ^ω^)「ではまずギターの説明からいきますお」
(´メω・`)「ふむ」
( ^ω^)「ギターで大事なのはチューニングですお。ヘッドのこの部分で…」
(;´メω・`)「ちゅうにん…へっど?すまない、もう少し丁寧に頼む」
(;^ω^)「あ、すみませんお…」
武士にギターを教える。
なんとも奇妙なブーンの日課が、その日から始まった。
そして。
447
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:19:30 ID:Pl3lvnnkO
ζ( ー *ζ「……」
琴の弦を撫でながら、ひとり座る出麗。
ゆっくりと、優しく、その手は琴を落ち着かせるように。
ζ(;ー;*ζ「…なんで……」
自らの心をなだめるように。
静かに泣き崩れる出麗に、絶望感がじわじわと迫る。
ζ(;ー;*ζ「なんで…私なのよ……」
苦悩に満ちた出麗の日々も、その日から始まることになる。
──
448
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:19:45 ID:Pl3lvnnkO
──
それから数日間、ブーンのギターレッスンが始まった。
渚本介は驚くほどに覚えが良く、音感もリズム感も非常に良いものをもっていた。
もともと手先が器用だったこともあり、ある程度の奏法はすぐに身につけてしまった。
(;^ω^)(この人音楽の才能ありすぎだろ…)
(´メω・`)「指で弾くほうが面白いな…ところで、ふれっとを勢いよく押さえると音が出るんだが、これも奏法なのか?」
(;^ω^)「そうですお。タッピングといいますお(メタルかよ…)」
449
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:20:40 ID:Pl3lvnnkO
技術に関して言えば、もう問題はなくなった。
そろそろ曲を教えてもいい頃だ。ブーンは書道道具で楽譜を書き出した。
(´メω・`)「む、楽譜か」
( ^ω^)「読み方はこないだ教えた通りですお。まずは僕が手本として弾きますお」
渚本介からギターを受け取り、譜面に記した曲をゆっくりと弾き始める。
曲はRed Hot Chili Peppersの「under the bridge」を多少短縮させたもの。
歌が無くとも雰囲気の出る曲だ。
間違いなく初心者にはお薦めしないレベルの曲だが、渚本介なら可能かもしれない。
渚本介は食い入るようにブーンの演奏を見つめ、必死に覚えようとしているようだった。
450
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:21:41 ID:Pl3lvnnkO
とはいえ、聴いたことのない曲をいきなり覚えるのはほとんど不可能だ。
曲が終わり、もう一度弾こうとしたところで、ブーンは渚本介に演奏を遮られた。
(´メω・`)「ちょっと貸してくれ」
(;^ω^)「え?まだ弾けないと思いますお…」
(´メω・`)「ああ。だが確かめてみたい」
一度聴いただけの曲を弾く。そんなのはほぼ不可能だ。
しかし、渚本介はギターを構え、ゆっくりと演奏を始めた。
(´メω・`)♪〜♪♪〜
(;^ω^)(…まじかお…)
前奏こそままならないが、それ以外はほとんど形になっている。
渚本介の中の音楽の才能が、目覚めようとしていた。
──
451
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:23:20 ID:Pl3lvnnkO
──
最初はね、私も反対したの。
拒んで拒んで、泣いて、喚いて。
でもね、もう遅いの。駄目なの。
ねえブーン、アンタならどう思う?
私はね、これを受け入れるくらいなら、身を投げてしまいたいくらいなの。
だって、
は、私の全てだから。
──
452
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:23:39 ID:Pl3lvnnkO
──
その日のレッスンを終え、布団に寝転がりながら、ブーンはひたすら考えていた。
あと二週間。
それが、出麗に残された時間。
渚本介へのギターレッスンに充実感を覚える反面、ブーンの中を葛藤がうろつく。
出麗にはもう二週間しかない。
しかし、この二週間で何ができる?
誰かの前で演奏会でもすればいいのか。いや、それほど事は軽くない。
ζ(゚ー゚*ζ
ふと脳裏に浮かぶ、出麗の楽しそうに琴を弾く姿。
それも、もう終わりだ。
453
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:24:41 ID:Pl3lvnnkO
なら、何ができるというのだろう。
渚本介は恐らくこの事態を把握している。
それでも、彼は気にすることなくギターレッスンを頼んできた。
当然なのだ。
この時代では、至って当然のこと。
しかし、出麗にとっては、それは酷な現実である。
だからこそ、何かしてやらねば。
例えば、人生の意味を見出すために、ギターを始めた渚本介のように。
( ^ω^)(…渚本介さんに相談するしかないお)
体を起こし、隣の部屋にいる渚本介のもとへと足を運ぶ。
囁くように部屋に呼びかけると、渚本介はまだ起きていたようで、怪訝な声を返してきた。
( ^ω^)「失礼しますお」
(´メω・`)「ああ」
454
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:26:42 ID:Pl3lvnnkO
渚本介は何やら書物を読んでいたようで、小さな灯火の下にいくつかの紙を広げていた。
いつもの優しい顔がブーンを向く。
( ^ω^)「実は、渚本介さんに相談があるんですお」
(´メω・`)「相談?」
( ^ω^)「出麗さんのことですお」
ごうごうと吹く強い風が、二人の耳に飛び込んできた。
言うべきことなのかはわからない。
しかし、一人ではどうしようもできない。
( ^ω^)「…出麗さんのこと、渚本介さんも知ってますおね?」
(´メω・`)「ああ…結婚の件か」
455
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:27:14 ID:Pl3lvnnkO
政略結婚。
出麗が直面している現実は、まさにこれだった。
この時代、政治や争い上で、事を進めやすくするために「結婚させられる」のが常識に近い。
出麗の結婚が決まった相手は、隣国の家臣の一人。
二茶根瑠家と深い関わりを持ちたかった隣国が、近習の出麗と結ぶことで、まずはその糸口を作るつもりなのだ。
二茶根瑠にとっては武力支援の拡大になる話。
根十城戦で戦力を失っていたタイミングであり、この話を断る道理はなかった。
456
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:28:17 ID:Pl3lvnnkO
問題は相手の家柄にある。
ひどく厳格な家庭環境で、音楽等の芸能が一切禁じられているのだ。
琴を嗜み、心から愛している出麗にとっては、どうしても避けたい話だった。
しかし、現実は上手く行かない。
出麗の知らないところで拍子良く話が決まり、一週間後には相手方が根十城を訪れて出麗を引き取ることになっていた。
これが出麗を苦しめている現状であり、ブーンに打ち明けた話である。
この話から、ブーンと出麗は同じ仮説を想像していた。
ブーンが出麗の琴爪でタイムスリップしてしまったのは、同じ音楽を愛するブーンへの出麗のSOSなのではないかと。
457
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:30:05 ID:Pl3lvnnkO
しかし、問題はもっと大きなところにあった。
歴史を、未来を巻き込むほどの、大きな問題が。
(;^ω^)「…渚本介さん」
(´メω・`)「ん?」
言いたくない。言ってしまえば、何か取り返しのつかないことになる気がする。
(;^ω^)「僕はこの結婚を止めたいんですお」
(´メω・`)「!…何を言ってるんだ。いくら相手の家柄が…」
(;^ω^)「このままだと!」
ブーンの大声が、全ての音を掻き消した。
渚本介の顔を見れず、思わず俯く。
そして、出麗本人にすら打ち明けていない、自らが知る現実の全てを、吐き出すように呟いた。
(; ω )「出麗さんは…二茶根瑠家は殺されてしまいますお」
458
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:32:00 ID:Pl3lvnnkO
(;´メω・`)「……え?」
それは、あまりにも酷で、信じがたい未来だった。
固まる渚本介に、ブーンは話を続ける。
(; ω )「日本史の授業で習ったことがあるんですお。出麗さんの結婚相手となる吹連家は、実は二茶根瑠家が滅ぶことを望んでいたんですお」
(;´メω・`)「……」
(; ω )「でも二茶根瑠は天野を打ち破りましたお。だから二茶根瑠を完全に潰すために、近習である出麗さんとうまく結婚に持ち込み、内部から二茶根瑠を滅ぼしたんですお」
459
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:33:13 ID:Pl3lvnnkO
(; ω )「この時代に来てから、僕が知る限り、日本史で学んだ通りの歴史を歩んでいるんですお。だから…」
(´メω・`)「……だから、結婚してしまえば出麗も死ぬ。そういうことか?」
(; ω )「…そうですお」
(´メω・`)「だから、お前は歴史を…未来を変えるつもりなのか」
予想もしなかったほどの冷たい声が、ブーンにのしかかった。
顔を上げられない。低く透き通る渚本介の声が、続いてブーンを押しつぶしていく。
(´メω・`)「お前にとって、此処は過去の世界だ。お前がやろうとしていることは、即ち過去を変え、未来を変えること。今回ばかりはお前の味方になれぬ」
(;^ω^)「!……」
460
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:34:40 ID:Pl3lvnnkO
思わず顔を上げる。
そこにはブーンを冷たく見下ろす、初めて見る渚本介の姿があった。
(;^ω^)「渚本介さん…」
(´メω・`)「なれば聞こう。何故お前は出麗を助ける」
(;^ω^)「そ、それは決まってますお!これ以上誰にも死んでほしくないから…」
(´メω・`)「出麗が助かれば、誰も死なずに済むのか?その先をお前は知っているのか?」
(;^ω^)「それは…わからないですお、でも…」
(´メω・`)「それはただの甘えだ。命が尽きることも、既にお前が理解している歴史も、全て運命のようなもの。人間死ぬときは死ぬものだ」
渚本介の言うことは全くの正論だ。返す言葉はどこにもない。
それでも、ブーンは初めて、渚本介に怒りを覚えた。
思わず立ち上がり、渚本介に向かって声を張り上げる。
461
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:35:57 ID:Pl3lvnnkO
(#^ω^)「だったら出麗さんを見殺しにしろと言うんですかお!!死ぬとわかっている人間を、救える人間を、放っておけと!?」
(#´メω・`)「それが甘えだと言ってるのだ!!」
渚本介も立ち上がり、真っ向から声を上げる。
(#´メω・`)「例え救える相手だろうと、もはや死を定められた人間!その歴史を曲げて、未来が大きく変わったとして、お前は責任を取れるのか!!」
(#^ω^)「未来を作ってきた人達は、未来への責任なんぞ考えませんお!!人の死は悲しみを生むだけですお!!」
(#´メω・`)「だが正しい未来も生まれる!!お前はただ、人が死ぬのを見たくないだけだ!!」
(#^ω^)「ッ…!!」
肩で息をしながら睨み合う二人。
暫くすると、渚本介が静かに口を開いた。
462
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:37:08 ID:Pl3lvnnkO
(#´メω・`)「…それでも、どうしても出麗を救いたいのなら」
ブーンに背を向け、再び書物を手に取り座る渚本介。
最後に少しだけ横顔を向けながら、吐き捨てるように言い放った。
(#´メω・`)「…好きにしろ」
(#^ω^)「……」
一睨みした後、無言で部屋を出て、ブーンは乱暴に扉を閉めた。
そのまま自らの部屋に戻り、考える前にギターを手に取り、指を置く。
しかし、何の旋律も浮かんでこない。
463
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:37:22 ID:Pl3lvnnkO
( ω )「……」
仕方なく、ブーンはギターを握ったまま、倒れるように布団に転がった。
遠くのものを眺めるようにギターを見つめ、弦を撫でながら、小さく呟く。
( ;ω;)「どうして…」
ごうごうと鳴る風がうるさい。
できるなら、このまま自分を吹き飛ばしてほしい。
( ;ω;)「どうしてこうなるんだお……」
それから暫く、ブーンと渚本介が顔を合わせることは無かった。
──
464
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:38:25 ID:Pl3lvnnkO
──
二週間後。
晴天の空の下、根十城から少し離れた、大きな遊歩道。
一つの行列が、根十城へと向かっていた。
その列の中心付近で、馬に跨って進む男が一人。
(‘_L’)(あれが根十城か…)
吹連久斗尚(ふいれん くとたか)。
端正な顔立ちに、華奢な体つき。
しかし、その姿勢は男らしく堂々としている。
そして彼こそ、今回出麗が結婚させられる相手である。
久斗尚は周りの歩調に合わせて馬を歩かせながら、遠くに見える根十城を眺めていた。
465
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:39:20 ID:Pl3lvnnkO
近隣で大きく騒がれた根十城戦から、まだ僅か数週間。
その外観は火の跡がかなり目立つが、それでも城は確かに威厳を保っていた。
(‘_L’)(彼処で天野が敗れたのか…)
根十城戦の話は、久斗尚の周りでもかなり話題になった。
数も揃わず、準備も整わなかった二茶根瑠勢に対し、天野勢は一万五千もの兵を動員したこと。
しかし、激戦の末に二茶根瑠勢は天野勢を追い返したこと。
そして何より、"剛拳"天野擬古成が討たれたこと。
それを果たしたのは、復讐に生きた"戦魔"、太田渚本介であること。
あまりに衝撃が重なったこの戦の話は、たちまち近隣諸国へと広まっていた。
466
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:40:39 ID:Pl3lvnnkO
(‘_L’)(まさか、天野を打ち破るとはな)
だからこそ、近習如きの出麗と結婚するはめになったのだが。
小さく、妖しく笑いながら、久斗尚は根十城を見据えた。
もうすぐあの城が手に入るのかと思うと、自然と顔がにやけてくる。
(‘_L’)(二茶根瑠家はこれで終わり…天野が消えた今、天下を統べるのはこの俺だ)
入城の手続きを難なく済まし、根十城へと進入した吹連一行。
城門をくぐり、その城内を進んでいく。
気を緩ませてはいけない。
そう考えながらも、久斗尚は込み上げてくる高揚を抑えきれなかった。
小さく笑みを浮かべ、自らの計画を、頭の中で再確認する。
──今晩にも、根十城中の人間を殺す。
第十三話 終
467
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/03(日) 00:42:57 ID:Pl3lvnnkO
今回の投下はこれにて。
遅れてしまって本当に申し訳ないです
次の投下で最終回となる予定ですので、どうか最後までお付き合いください。
てか今回初めて自分が弾ける曲使った…ようやく…
468
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/03(日) 01:09:13 ID:LWGa1CyY0
乙だ
懐かしい曲だぜ
469
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/03(日) 15:31:34 ID:yaJk0B2Eo
乙
待ってるのが来ると嬉しいぜ
470
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/03(日) 20:54:41 ID:QdJU8tE20
乙
もう終わりか…
471
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/03(日) 21:13:18 ID:n434VZ/A0
乙
弾けるのかすげーな
472
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/06(水) 20:02:06 ID:RcVRTNKoO
乙
歴史はどこまで変えられるんだろう
473
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/09(土) 14:30:53 ID:ei.HbcMs0
ト、
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以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/09(土) 14:31:05 ID:ei.HbcMs0
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以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
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以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/09(土) 14:31:27 ID:ei.HbcMs0
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以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/09(土) 14:31:37 ID:ei.HbcMs0
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以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
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以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/09(土) 14:33:16 ID:ei.HbcMs0
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480
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/09(土) 14:33:34 ID:ei.HbcMs0
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481
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/07/10(日) 16:46:16 ID:jW0hK8nE0
だからお前は誰なんだよ
482
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:04:12 ID:qOmpmvKcO
こんばんは!
これより最終話投下します!
ほれ!
483
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:04:43 ID:qOmpmvKcO
***
最終話 「思いは静夜に」
***
巳留那への謁見も、出麗との対面も済んだ夜。
久斗尚は天守の外廊下から外を眺めていた。
(‘_L’)(…そろそろだな)
つまらない謁見を過ごし、僅かな間だけ妻となる女に会い、何一つ心を動かされない儀礼を過ごした。
もう耐えられない。我慢の限界だ。
人を殺したい。
皮膚から舞う血潮が、飛び散る脳漿が、垂れ流れる臓が、見たい。
(‘_L’)(まずはあの小娘から殺すか)
それこそ、今すぐに。
──
484
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:06:17 ID:qOmpmvKcO
──
(;^ω^)(どうするかお……)
もう出麗の結婚相手は根十城内にいる。
時間がない。助けに行くなら今のうちだ。
(;^ω^)(でも…)
出麗を助けにいかなければ。
しかし、渚本介の言った通り、出麗を助けてしまえば未来が変わるかもしれない。歴史を曲げてしまうかもしれない。
(#´メω・`)『お前はただ、人が死ぬのを見たくないだけだ!!』
頭にちらつくのは、歴史を曲げるのを止めるためにブーンに怒鳴る渚本介の姿。
どう考えたって、渚本介の言い分のが正しい。
人が死ぬのを見たくないだけだというのも、恐らく正しい。
でも。
485
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:06:52 ID:qOmpmvKcO
(; ω )(でも……)
助けたい。死んでほしくない。
でも、歴史を変えてしまうという現実が、怖い。
(;^ω^)(…行くしかないお!)
渚本介の言う通りだ。自分は人の死が怖いだけの、この時代に「向いていない」人間。
でも、だからこそ、この時代に飛ばされたのかもしれない。
出麗が生き延びることこそが、正しい未来なのかもしれない。
もう、迷いはない。
( `ω´)「おおおおおっ!!」
雄叫びと共に部屋を飛び出したブーン。
目指すは出麗の寝室──
(‘_L’)
( ^ω^)
486
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:08:19 ID:qOmpmvKcO
(‘_L’)
( ^ω^)
(‘_L’)
( ^ω^)
(‘_L’)「…お前からでもよいかな」
( ^ω^)「何が?」
人間、焦りを通り越すと逆に冷静になってしまうものだ。
ブーンは一呼吸置いて今の状況を考えた。
扉を開けると、出麗の結婚相手と思われる男が、刀を持って歩いていた。
男が進んでいるこの先には、出麗の寝室しかない。
それを目指して、刀を持って歩いていた。
そして、偶然出会ったブーンに向けた言葉が、「お前から」。
……ああ、大体読めてきた。
(;゚ω゚)「いやいやいやいや無理無理無理無理!!!」
(‘_L’)「参る」
(;゚ω゚)「おおおお!!」
487
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:09:35 ID:qOmpmvKcO
反射的に自分の部屋へ転がり戻ったブーン。
その体の数センチ前を、久斗尚が抜いた刀の切っ先が通り過ぎる。
(;゚ω゚)「お、おわ、あわ」
(‘_L’)「ふん」
狭い部屋に駆け込み、どうにか刀の攻撃を防げそうなものを探す。
しかし、時を待たずにその背中に刃が降りる。
(;゚ω゚)「ヒイッ!!」
(‘_L’)「…チッ」
しかし、その攻撃はまたもブーンに届かなかった。
ブーンが盾のように繰り出した毛布を、刀が切断できなかったのだ。
(;゚ω゚)「はっ、はっ、」
(‘_L’)「しぶといぞ南蛮人。貴様と遊んでいる暇はない」
(;゚ω゚)「あ、あ、あぅ…」
488
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:09:58 ID:qOmpmvKcO
毛布を持ったまま、部屋の隅に追いやられていく。
もはや逃げ場はない。
(;゚ω゚)(ぼ、僕は死ぬのかお…?)
(‘_L’)「つまらない殺しは避けたかったが…まあいい、喜べ。お前が我が野望の最初の糧だ」
(;゚ω゚)(い、やだお、死にたくな……)
(´メω・`)「…何を言っている。お前こそ、ブーンが元の時代に戻る為の糧だ」
(;‘_L’)「──!?」
(´メω・`)「フンッ!!」
何が起こったのか、ブーンは理解が追いつかなかった。
自分に振り下ろされる直前の刀が、突如後ろへと流れた。
その刀と交わるのは、ブーンが既に見慣れた刀、虎恍丸。
そして、二週間ぶりに姿を見る、渚本介の姿があった。
489
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:11:11 ID:qOmpmvKcO
(;゚ω゚)「しょ、渚本介、さん…!?」
(´メω・`)「久しぶりだなブーン」
(;‘_L’)「渚本介…?」
ブーンの方を見て、ちらりと笑う渚本介。
対する久斗尚は、渚本介の名前を聞いた途端、明らかに狼狽しはじめた。
(;‘_L’)「貴様…まさか、戦魔か!」
(´メω・`)「もう捨てた名だ」
直後、渚本介は久斗尚の刀を大きく弾き、その体を上手く床に押さえつけた。
久斗尚の手から刀を取り上げ、そのまま刃を後ろ首に当てる。
(´メω・`)「次にその名を口にしてみろ。その首、直ちに叩き落とす」
(; _L )「……!」
この瞬間、久斗尚の野望は呆気なく、静かに崩れ落ちた。
490
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:13:24 ID:qOmpmvKcO
助かった。
安堵がブーンを包み、同時に先ほどとは違った汗が肌を伝う。
(;^ω^)「渚本介さん…どうして……」
未来を変えてはいけない。そう主張した渚本介自身が、歴史を塗り替えてしまった。
死ぬはずだった出麗も、二茶根瑠家も、すべて助かったのだ。
不安な目を向けるブーンに対し、渚本介はもう一度小さく笑った。
(´メω・`)「未来のことなど知ったものではない。そう考えただけだ」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「…へへ、渚本介さんらしくないですお」
(´メω・`)「はは、そうかもな」
久しぶりに、面と向かって笑い合った二人。
奇妙な状況ではあるが、渚本介と仲直りできたことで、ブーンは何やら心が軽くなった気がした。
491
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:13:45 ID:qOmpmvKcO
(´メω・`)「……で」
渚本介が久斗尚の後頭部へと視線を落とした。
(´メω・`)「お前のような男は、本来ならば今この場で殺さねばならないが」
(; _L )「…なれば殺せ」
(´メω・`)「甘えるな。貴様の命は彼の世に持っていくほどの価値もない」
(´メω・`)「そうだろう?ブーン」
( ^ω^)「…その通りですお」
またしても笑顔を見せる渚本介。
ブーンは、そこで渚本介の新たな意志が見えた。
(´メω・`)「人の死が見たくないのは、人間ならば当然の気持ちだ」
( ^ω^)「渚本介さん…」
(´メω・`)「吹連久斗尚。今日のところが逃してやる。ただし、再び貴様が此処に攻め入ろうものなら、今度は総力を挙げて貴様を潰す」
492
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:15:12 ID:qOmpmvKcO
人の死を嫌い、人の死を悲しむ。
ブーンのように、この時代に「向いていない」男として、渚本介は変わりつつあった。
(´メω・`)「去ね。貴様の手下も既に押さえている。そして二度とこの城に近づくな」
(; _L )「…わかった……」
久斗尚を起こし、部屋の外で待機していた二茶根瑠の兵に身柄を引き渡し、吹連家の策略は幕を閉じた。
これで出麗は死なずに済んだ。
出麗が死ぬほど嫌がった結婚の話も、これを機に無くなるだろう。
未来を変えてしまったな、と笑いながら、渚本介は虎恍丸を鞘に戻した。
(´メω・`)「ふぅ…」
( ^ω^)「……」
493
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:16:36 ID:qOmpmvKcO
二人の間を、静寂が流れる。
暫くの後、優しい顔を向ける渚本介が、静かに口を開いた。
(´メω・`)「これで、お前は元の時代に戻れるのか?」
( ^ω^)「…だと思いますお」
いや、もういつでもあの時代に戻ることができる。ブーンはそう確信していた。
その理由はブーンの足元に転がっていた。
それはひどく見覚えのある、この時代に飛ばされるきっかけとなった、出麗の琴爪。
然るべき時が来た。だからこそ琴爪がここにあるのだ。
あの時、ブーンの自室に、それがあったように。
( ^ω^)「……」
494
:
◆vVv3HGufzo
:2011/07/11(月) 01:16:56 ID:qOmpmvKcO
琴爪を拾おうと手を伸ばした途端、渚本介がそれを制した。
(´メω・`)「待ってくれブーン」
( ^ω^)「なんですかお?」
深夜の静けさが、部屋の中を漂う。
(´メω・`)「最後の頼みだ」
( ^ω^)「……」
ギターを取り、ブーンに手渡す渚本介。
この台詞を聞くのは、いつ以来だろうか。
今までと変わりのない優しい顔で、渚本介が口を開いた。
(´メω・`)「ぎたーを弾いてくれ。曲は任せる」
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