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( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです

1 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:10:49 ID:xjlGxIHwO
***
 
この作品はフィクションです
作品の団体名、人名、地名などは一切関係ございません
 
***

2 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:12:24 ID:xjlGxIHwO
 
 
 アルバイトから帰宅すると、ブーンはいつものように自室でギターを弾き始めた。
 一枚のルーズリーフとボールペンを用意し、頭の中に浮かぶイメージを音として感覚的に作り上げ、楽譜として具現化していく。
 
 
 内藤ホライゾン、通称ブーン。現在20歳のフリーター。
 将来の夢は「音楽界で生きていくこと」だ。
 
 
 
( ^ω^)「♪ふふんふんふん…」

( ^ω^)「…やっぱりこのAメロはC7からのがしっくりくるお」
 
 
 ピックを一旦手放し、ペンを握ってすらすらと音を綴る。
 そしてまたピックを取って、今綴ったイメージを再確認する。

3 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:13:36 ID:xjlGxIHwO
 
 ブーンはこの調子で作曲するのが趣味であり、生きがいであった。

 音楽というものはいつも純粋に、しかし厭らしく、全てを表現することができる。
 20年間生きてきて、ブーンが心から信じているのはただ一つ、「音楽」──ギターだけだった。
 
 
( ^ω^)「もっと優しくならないもんかお…ちょっとテンポ落としてみるかお」
 
 
 だから、自分の持つ夢には確信があった。
 音楽を信じているからこそ、音楽界ではやっていける。
 少なくとも今は、このギターが楽しくて愛しくて仕方がない。

4 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:14:00 ID:xjlGxIHwO
 
( ^ω^)「…お、良い感じだお!最初から流してみるお!」

( ^ω^)「♪ふふんふんふんふんふふーん」ジャンジャラランジャンジャラン
 
 
(*^ω^)「こいつぁ…来てるで…ワシの時代や……!」

(*^ω^)「…ん?」
 
 
 ふと、足元に目が行った。
 自分の足の裏が、小さい何かに触れた感覚がしたからだ。
 ブーンはそれを拾い上げ、まじまじと見つめた。
 
 
( ^ω^)「…なんだこれ」

 ギターのピックを大きくしたような、何やら変な物体だ。
 しかし、見覚えが無いわけではない…気がする。

5 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:15:38 ID:xjlGxIHwO
 
( ^ω^)「見たことあるようなないような…」

 何だかよくわからないが、とりあえずギターのピックに形は近い。
 なんとなく、ただなんとなく、ブーンはそれでギターを鳴らしてみた。

 その直後。
 
 
 
( ゚ω゚)
 
 
 
 世界が、変わった。

6 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:15:53 ID:xjlGxIHwO
 
 
 
 
( ^ω^)戦国を歩くギタリストのようです

7 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:18:21 ID:xjlGxIHwO
***
第一話 「時間越え」

***
 
 
( ゚ω゚)
 
 
 気がつくと、ブーンは青空の下、森の中に腰を下ろしていた。
 積もった枯れ葉の上には先ほどのルーズリーフとペン、膝の上にはギター、そしてピックと先ほどの変な物体。

 涼しい風が微かに流れ、木々の間から見える空はとても綺麗だ。

 …いや、そんなことより。
 
 
 
( ゚ω゚)
 
 
( ゚ω゚)「……………え」
 
 
(;゚ω゚)「えええええええええええ!!???」

(;゚ω゚)「えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!??????」

(;゚ω゚)「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!????」

8 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:19:45 ID:xjlGxIHwO
 
(;゚ω゚)「いやいやいやいや!!!え、え!?え???」

(;゚ω゚)「え!ちょ、え、は!!?マジねーから!!ねーからこれマジでちょっと!!!!」

(´・ω・`)「おい、煩わしいぞ。何を喚いているのだ」

(;゚ω゚)「いやだって考えてみてくださいよ!!さっき私はバイト上がって夜に帰って自室でギター弾いてました!!!それが何!?何この青空!!わあ綺麗!!ここどこ!?」

(;゚ω゚)「てかお前誰!!!??何だよその剣豪みたいな格好!!今時アキバにもいねーよ!!」
 
 
(´・ω・`)(こいつ何を言ってるんだ?南蛮の言葉では無さそうだが…いや南蛮人がこんな所にいるはずないか…)

(´・ω・`)「まあ、俺の言葉がわかるのであれば、まず落ち着いて話し合おうではないか」

(;゚ω゚)「これが落ち着いていられますか奥さん!!!ああ待ってマジ頭が──」
(´・ω・`)「おい」
 
 
 
 シャリン、とテレビでしか聞いたことの無い音が聞こえた。
 ブーンの目の前に現れた、少しだけ年上に見える若い男は、素早く刀を抜いてブーンの喉元に突きつけた。

9 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:20:58 ID:xjlGxIHwO
 
(;゚ω゚)「…………!!」

(´・ω・`)「首が愛おしければ、まずはその煩い口を閉じろ」

(;゚ω゚)「……は、ははは、は、は、はい」
 
 
 なんだこれは。本物か?本物なのか?
 外国人達が大好きな、本物の、日本刀というやつですか?

(;゚ω゚)「あ、ああ、あの…」

(´・ω・`)「なんだ」

(;゚ω゚)「これ、本物ですか?」

(´・ω・`)「本物?この虎恍丸のことか?…こいつの贋があるなんて話は聞いたことないぞ」

(;゚ω゚)「えっと、じゃあやっぱりそれって人を斬れるんですか」

(´・ω・`)「さっきから何を言っているんだ、名刀虎恍丸を馬鹿にしているのか」

(;゚ω゚)「いいいやいやいや滅相もないです!」

(´・ω・`)「ふむ…」

10 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:22:14 ID:xjlGxIHwO
 
 ブーンに敵意が無いことを察し、男は刀を戻した。
 涙目のブーンに少し笑いかけながら「悪かったな」と呟く。
 
 
(´・ω・`)「幾らか聞きたいことがある。答えられるな?」
 
 顔を真っ青にしたまま、ブーンがコクコクと頷いた。
 その様子を確認し、男が続ける。

(´・ω・`)「うむ。では、お前の名前はなんだ」

(;゚ω゚)「内藤…内藤ホライゾンですお。ブーンと呼んでくださいお、へへへ」

(´・ω・`)「内藤ホライゾンブーン?変わった名だな」

(´・ω・`)「それでブーン、お前のその持ち物はなんだ。武器にしてはいびつだな…あとその変な衣は南蛮のものなのか?」

11 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:23:41 ID:xjlGxIHwO
 
 まったく状況が読めていないのは確かだが、とりあえずこの男の質問に正直に答えようと、まずは頭を落ち着かせた。
 何か変なことをすると、今度こそ殺される気がしたからだ。
 
 
(;^ω^)「えっと、このデカいのはギターという楽器です。このピックで弾くんですお」

(´・ω・`)「楽器?…やはりただの農民では無さそうだな。お前ほどの身分の奴が、どうして刀も持たずにこんなところを出歩いてるんだ」

(;^ω^)「へ、身分?」

(´・ω・`)「信じられんほどの無知無学だな…この時代にそこらの農民が琴を弾いてみろ、即晒し首だ」

(;^ω^)「な、なんでですかお!?そんな話どこの世界でも聞いたことないお!」

(´・ω・`)「芸能を嗜むというのは高貴なことなんだ。俺もこの制度には少し疑問があるが…少なくともこれは常識だ」

(;^ω^)「そんな…」
 
 
 そんなふざけた話があるだろうか。
 何の冗談か知らないが、この話にはちっとも納得いかない。
 ブーンは初めてこの男に対してまともに話しだした。

12 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:24:56 ID:xjlGxIHwO
 
(;^ω^)「そんなの絶対に間違ってますお!音楽や芸能というものは人間すべてが楽しめるもので、愛すべきものなんですお!その自由が身分ごときに縛られるなんて意味がわかりませんお!」

(´・ω・`)「ふむ…」
 
 
 この男からみれば、わけのわからない格好をした男が自分に対してまくし立てているような状態だ。
 しかし男は嫌な顔一つせず、ブーンの話を最後まで静かに聞いた。
 
 
(;^ω^)「はぁ…はぁ…」

(´・ω・`)「まあ、お前の言いたいことはわからんでもない」

(;^ω^)「だ、だお?」

(´・ω・`)「しかし自由と幸福は違う。仮に農民に音楽が許されたとして、農民は幸福を得られるのだろうか」

(;^ω^)「あ…」

(´・ω・`)「一つ二つの自由が許されたところで、彼らが農作業を強いられる現状は変わらない。そりゃ気は楽になるかもしれんがね」

(´・ω・`)「ところで、お前は音楽に相当惚れ込んでいるようだな。どれ、その"ぎたー"とやらを弾いてみてはくれないか」

13 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:26:01 ID:xjlGxIHwO
 
(;^ω^)「えっ…」

 
 男の提案は、あれほど熱弁したブーンの楽器の腕前を確かめたかったのもあるが、まずはブーンの愛する音楽で本人に落ち着いてもらおうと思ったからだ。
 ブーンの真正面にしゃがみこんで、男は完全に聴き手の側に回った。
 
 
(;^ω^)「えっと、何を弾けばいいのかな…」

(´・ω・`)「お前の好きにしてくれ」

(;^ω^)「わ、わかりましたお。じゃあさっき作曲したやつを」

(´・ω・`)「作曲?ほう、曲作りを手掛けるということか。聴かせてくれ」

(;^ω^)「わかりました…いきますお」
 
 
 ライブハウスでのライブよりも妙に緊張したが、ピックを摘むと自然に落ち着いていった。
 先ほど楽譜を書いていたルーズリーフを見ながら、ブーンは演奏を始めた。

14 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:27:09 ID:xjlGxIHwO
 
( ^ω^)♪〜♪♪〜

(´・ω・`)「……」
 
 
 落ち着いたテンポの、優しい音色が森中に響いていく。
 今回作った曲のイメージはこうだ。孤独な男が街の中をひたすら歩いている。その景色の一つ一つの優しさと、孤独な自分への嫌悪感で、男は悲しいような切ないような、胸が締め付けられるような想いに駆られていく。

 孤独で、優しくて、切ない音色が、森の中に鳴り響いていく。
 最後のゆっくりとしたF♯のアルペジオで、曲は終わった。
 
 
(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「…終わりですお」

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「あのー…」

(´゚ω゚`)「素晴らしいッ!!!」

(;^ω^)「うおっ!?」

15 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:28:38 ID:xjlGxIHwO
 
 男は勢いよく立ち上がり、ブーン背中や肩をバシバシと叩いた。

(;^ω^)「ちょww痛いですお!」

(´゚ω゚`)「素晴らしい!素晴らしいじゃないかブーン!!まさか曲一つにここまで聴き入るとは…!」

(´゚ω゚`)「おい、今日は同じ宿に泊まってくれ!お前の演奏をもっと聴きたい!!」

(*^ω^)「えへへ、恐縮ですお…」

( ^ω^)「あ、でもブーンは家に帰らなければならないんですお…夕方からバイト入ってるし」

(´・ω・`)「そうか、残念だな…家はどこだ?送ってやるぞ」

( ^ω^)「僕の家は赤坂ですお。でもこんな森あったっけな…」

(´・ω・`)「赤坂?なんだそれは」

( ^ω^)「え?赤坂は東京の…」

(´・ω・`)「トーキョー?」

( ^ω^)「えっ」

(´・ω・`)「えっ」

16 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:29:57 ID:xjlGxIHwO
 
 二人の間に、妙な空気が流れる。
 
 
( ^ω^)「えっ、と…ここは日本ですおね」

(´・ω・`)「もちろんだ」

( ^ω^)「…この森はどこですかお?」

(´・ω・`)「どこって、二子堂城近郊の弧面十山だ」

( ^ω^)「二子堂城…」
 
 
 聞き覚えはある。二子堂城といえば、大戦前まで家の近くにあったらしい、元指定文化財の小さな城だ。
 ということは、この山を下れば家の近くにつくはずだ。
 
 
( ^ω^)「…あ、じゃあ家の近くですお。この山を下ったら街がありますかお?」

(´・ω・`)「ああ、静かな町があるぞ。ちょうど俺もそこに行くところだ、共に行こうじゃないか」

( ^ω^)「はいですお」

17 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:30:52 ID:xjlGxIHwO
 
 ブーンは紙とペンをジーンズのポケットにしまい、先ほどの変な物体とピックをギターに挟んだ。
 ギターのストラップを肩にかけていざ立ち上がろうと前を見ると、男が手を差し伸ばしていた。
 
 
(´・ω・`)「俺は太田渚本介(しょぼんのすけ)だ。宜しくな」

( ^ω^)「…よろしくですお」
 
 
 手を握り返し、勢いよく立ち上がる。

 渚本介はブーンのギターに興味津々で、歩きながらギターについての質問ばかりをブーンにぶつけた。
 何故か会話が噛み合わない時がいくつかあったが、それでもブーンは悪い気はせず、生き生きと答えていった。

18 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:32:13 ID:xjlGxIHwO
 
 そして、歩くこと約30分。
 森がだいぶ開けてきた頃、渚本介が前を指差した。
 
 
(´・ω・`)「見えてきたぞ、あれが二子堂城の城下町だ」

( ^ω^)「へーあれが……」

( ^ω^)「……え?」
 
 
 二人の目の前に広がっているのは、静かな城下町だった。
 ブーンにとってはテレビでしか見たことないような、何百年か前の日本の木造の家や店が並んでいる。
 そして道行く人々の格好。まさに大河ドラマで何度も見たそれだ。
 
 
(´・ω・`)「ふむ、思っていたよりは賑わいのある町だな」

( ゚ω゚)

19 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:34:06 ID:xjlGxIHwO
 
 ここが赤坂?いやいやいやそんなわけがない。
 ほら、だってこの町の向こうにはビルが……
 
( ゚ω゚)「無い」

(´・ω・`)「え?」
 
 無い。何も無い。
 見渡す限り、森と山しかない。

 
( ゚ω゚)
 
 まさかとは思っていた。しかしそんなはずが無いから何度も払拭していた。
 しかし、もはやそれ以外に考えられない。
 
 内藤ホライゾン、20歳、フリーター。
 彼は突然。
 

(;゚ω゚)「……過去の日本にきちゃったああああああ!!!???」

(;´・ω・`)「!?」
 
 タイムスリップしてしまったようだ。
 明応五年。1496年の日本へと。
 
 
第一話 終

20 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:36:51 ID:xjlGxIHwO
***
第二話 「二子厨の庄と銭」

***
 
 
 またも取り乱し始めたブーンを、渚本介が落ち着かせた。

 とりあえずは宿だ、宿を探して話を整理しよう。ということで、二人は城下町に降りた。
 渚本介の話によると、この町は二子厨の庄と呼ばれており、二子堂城にはその二子厨一族の頭(かしら)が住んでいるらしい。
 小さな庄で人は少ないが、景気のいい町としてこの近辺では有名な土地らしい。
 
 
(;^ω^)「……」

<南蛮人かしら… ヒソヒソ

<きっとそうよ…あんな妙な衣は見たことないわ… ヒソヒソ

(;^ω^)「……」

<なんだぁ?あいつが持ってるあの道具は

<シッ!声がでけぇよ!ありゃ南蛮の農具だろうよ… ヒソヒソ

21 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:37:43 ID:xjlGxIHwO
 
 ずんずんと進んでいく渚本介と、その後ろをコソコソ歩くブーン。
 しかし、町の人間は皆ブーンという奇妙な人間に注目していた。
 それが恥ずかしいやら腹立たしいやらで、ブーンは顔を下に向けながら歩き続けた。
 
 
(;^ω^)(ギターを農具だと…包茎共め)

(´・ω・`)「どうした?」

(;^ω^)「い、いえ何も」

(´・ω・`)「ふむ、着いたぞ。ここが宿場だな」

( ^ω^)「お?」
 
 
 渚本介が向いている先を見上げると、そこには周りに比べて少し大きな、二階建ての家があった。
 入り口には三十路に達したばかりのような、若い男が座っている。

22 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:39:10 ID:xjlGxIHwO
 
(´・ω・`)「ご主人、一部屋貸してくれんかね」

( ゚∀゚)「あいよ。そっちの南蛮人は…まいいや、一部屋五百文で」

(´・ω・`)「おいおい、高すぎやしないか」

( ゚∀゚)「わりぃが旦那、ここは宿場町ではないんでね。実のところこれでもウチは危ねぇんだ」
 
 
 まいったな、と渚本介が呟き、懐から小銭入れを取り出す。
 すると、何かに気付くように顔を上げ、突然ブーンの方を向いた。
 
 
(´・ω・`)「そういえばブーン、お前は銭を持ってるのか」

(;^ω^)「え?ああはい…」
 
 
 間違いなくブーンのいた時代とは違うお金が流通している。しかしブーンは反射的にジーンズから財布を取り出した。
 財布の中身を確かめるブーンを、渚本介と宿屋の主人が不思議そうに見つめる。
 
 
(;^ω^)(マジかよ…469円て……)

(;^ω^)(…あ、そうだ)

(;^ω^)「ご主人、五百文は無いけど、変わりにいいものがあるお」

( ゚∀゚)「あん?」

23 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:40:21 ID:xjlGxIHwO
 
(;^ω^)「これだお」
 
 ブーンは財布の中から五円玉を1枚取り出し、主人に渡した。
 
 
(;^ω^)「これは金を細かく加工したものだお」

(;゚∀゚)「き、金!?」

(;´・ω・`)「なんと…」

(;^ω^)「こいつ一枚で二貫文の価値があるお。どうかこれで泊めてほしいお」
 
 
 高校のときの日本史の授業で、お金に関する勉強を少しだけやった覚えがあった。
 確か、一貫文が1000文で、一両は四貫文だったか。

 つまり、ブーンは五円玉で四部屋分の価値があることにしようとしているのだ。
 心臓が激しく動くブーンの目の前で、主人が目を輝かせて五円玉を見つめている。

24 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:41:26 ID:xjlGxIHwO
 
 もともと嘘をつくのが大の苦手だったブーン。
 上手くいってくれ、と心の中で手を合わせる。
 
 
(;゚∀゚)「………おい…」

(;^ω^)「はい…」

(;゚∀゚)「おい、おま、これ」

(;^ω^)「……はい…」

(*゚∀゚)「ほ、本当に貰っていいのか!?」

(;^ω^)「!」

( ^ω^)「もちろんですお!」

(*゚∀゚)「いやっほぅ!!好きな部屋に泊まってくれ!酒もつけてやる!!」

( ^ω^)「ありがとうございますお!」

(;´・ω・`)「ブーン…お前は何者なんだ……」

(*゚∀゚)「ささ、部屋は二階だ!上がってくれ!」
 
 
 
──

25 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:44:14 ID:xjlGxIHwO
──
 
 上手くいくもんだな、という感想と、主人への罪悪感とで、ブーンは複雑な表情を浮かべていた。
 部屋を選び、ようやく腰を下ろしたというところで、まずは渚本介が口を開いた。
 
 
(´・ω・`)「ブーン、改めて聞きたいんだが」

( ^ω^)「なんですかお?」

(´・ω・`)「お前は一体、何者なんだ?どこから来た?」
 
 真っ直ぐにブーンの目を見つめる渚本介。
 先程よりは随分と落ち着いたブーンが、それに答えた。
 
( ^ω^)「とりあえず僕が今わかってることをお話しますお…信じてくれますかお?」

(´・ω・`)「ああ、言ってくれ」
 
 
 空気が張り詰めていく。
 渚本介が唾を飲み込み、ブーンが話し始めた。
 
( ^ω^)「僕は…未来の日本から来たんですお」

(´・ω・`)「………」

(;´・ω・`)「…えっ」

( ^ω^)「たぶん、四百年か五百年くらい先の日本からですお」

26 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:45:43 ID:xjlGxIHwO
 
(;´・ω・`)「…本当か?」

( ^ω^)「僕も未だに信じられませんお…でも確かなんですお」

(;´・ω・`)「ううむ…」
 
 
 事実を知って、今度は渚本介の方が狼狽する番だった。
 渚本介は暫く考えるように黙りこむと、ブーンの格好や持ち物をまじまじと見始めた。
 
 
(;´・ω・`)「…お前は、何か目的があってこの時代に来たのか?」

(;^ω^)「い、いや何もないですお。ギター弾いてたら突然、こんなところに飛ばされたんですお」

(´・ω・`)「………」

(´・ω・`)「…わかった、信じよう」

( ^ω^)「!」

27 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:46:15 ID:xjlGxIHwO
 
( ^ω^)「本当ですかお!?」

(´・ω・`)「ああ、お前の目を見ればわかる。さっきみたいに嘘をつく時の目じゃない」

(;^ω^)「あ…バレてたんですかお」

(´・ω・`)「当たり前だ。お前は嘘をつくのが苦手なようだな。思わず驚いたフリをしてしまった」

( ^ω^)「へへ、ありがとうございますお」

(´・ω・`)「ははは、もう少し嘘をつくのを上手にしろよ」

( ^ω^)「ごもっともですお」
 
 
 二人が出会って数時間。
 ようやく、心から打ち解けて、笑い合えた。
 ブーンにとっては、これ以上ないくらい幸せな出来事だった。

28 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:48:10 ID:xjlGxIHwO
 
(´・ω・`)「ところでブーン」

( ^ω^)「なんですかお?」

(´・ω・`)「ぎたーに挟んでるそれ…一体なんだ?」
 
 渚本介が指したのは、この時代に飛ばされる前に自室で拾った変な物体だった。

( ^ω^)「ああこれ……」

( ゚ω゚)「ああああ!!」

(;´・ω・`)「うわっ、今度はなんだ」
 
 
 なんということだ、すっかり忘れていた。
 何も焦ることはないじゃないか。どうして、今まで考えつかなかったのだろう。
 
 
( ^ω^)「思い出しましたお!!僕はこれでギターを鳴らしたら、この時代に飛ばされたんですお!」

(´・ω・`)「おお、ということは」

( ^ω^)「もっかい鳴らせば、元の時代に帰れるかも!」

29 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:50:10 ID:xjlGxIHwO
 
 そう、ブーンがタイムスリップした原因は、紛れもなくこの物体のせいだ。
 これでギターを鳴らした途端、ブーンはこの時代に飛ばされたのだ。
 ブーンは急いでギターを手に取り、膝の上に構えた。

( ^ω^)「それでは渚本介さん、短い間だったけど楽しかったですお。ありがとうございました」

(´・ω・`)「ああ、達者でな…」

( ^ω^)「ていっ!」
 
 ブーンは渚本介に挨拶を済ませ、躊躇いなくギターを鳴らした。
 
 
( ^ω^)「……」

(´・ω・`)「……」
 
 
 不細工な音が、部屋の中に鳴り響いた。
 
 
(;´・ω・`)「……達者に生きような」

(;^ω^)「…そうですね……ハハ…」

( ;ω;)「僕はどうすりゃいいんだおおおおお!!!」

(;´・ω・`)「な、泣くな!必ず何か方法はあるはずだ!」

30 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:51:33 ID:xjlGxIHwO
 
( ゚∀゚)「旦那方、夕飯でっせ!酒も…」

(;゚∀゚)「…ってどうしたんだ」

(;´・ω・`)「あ、いや気にするな…飯はそこに置いてくれ」

( ;ω;)「おーんおーん」

(;゚∀゚)「ああ、まあ酒飲んで元気になってくれよな」
 
 
 主人は部屋の入り口に膳と酒を置くと、そそくさと帰っていった。
 ブーンが号泣する理由に首を突っ込まないでいてくれたのはありがたいが、これはしばらく収まりそうにない。
 
 
(;´・ω・`)「まいったな…とりあえず飯を食おう。腹が空いてるから涙も出るもんだ」

( ;ω;)「わ、わかったお…いただきますお…」
 
 
 主人が用意してくれた夕飯に、ブーンが手をつけ始めた。
 しかし、渚本介は箸を取って膳を見つめたまま動かない。

31 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:53:03 ID:xjlGxIHwO
 
 まるで、何か深いところにあるものを探すような。
 重く澄んだ目で夕飯を見つめる。
 
 
( ;ω;)「渚本介さん…?」

(´・ω・`)「…ん?」

 ハッと我に帰る。
 目の前には、涙と鼻水を流しながら夕飯を頬張るブーンが、不思議そうにこっちを見ていた。
 
 
(´・ω・`)「…ああ、じゃあ俺も頂こうかな」

( ;ω;)「お、美味しいですおこれうふぐうっ」

(;´・ω・`)「無理に喋らなくていいぞ」
 
 
 
──

32 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:54:21 ID:xjlGxIHwO
──
 
 
 夜。
 酒も飲み干し、主人が膳を片付けたところで、渚本介はブーンに話しかけた。
 
 
(´・ω・`)「なあ、さっきお前がぎたーを鳴らしたあの物体、もう一度見せてはくれないか」

(*^ω^)「うーい…はいですお〜」
 
 
 顔を赤くしてニヤニヤしているブーンは、その物体を渚本介に手渡した。
 
 
(´・ω・`)「これは…琴爪か?」

(*^ω^)「なんですかお〜?」

(´・ω・`)「ブーン、これは琴爪だ。琴を弾く際に指に付けるものだ」

(*^ω^)「え〜?僕は琴を弾いたことないのに、なんで部屋にあったんですかお〜」

(´・ω・`)「随分と酒が弱いんだな…ん?」

33 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:55:35 ID:xjlGxIHwO
 
 よく見ると、琴爪には小さく文字が刻まれていた。
 目を細めながら、渚本介がそれを読み上げる。
 
 
(´・ω・`)「ええと…"尾付家出麗琴爪"…」

(;´・ω・`)「な…じゃああの琴の名手、尾付の出麗のものなのか?」

(;´・ω・`)「おいブーン、大変なことに…」

(*ーωー)スピー

(´・ω・`)「……まあいいか」
 
 
 渚本介はギターに琴爪を挟むと、今度は自らの刀を手にした。

 静かな夜の町、物音一つしないこの宿屋。
 寝息を立てるブーンを見下ろし、刀の柄に触れた。

(´・ω・`)「…そろそろだな」
 
 
 
──

34 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:57:13 ID:xjlGxIHwO
──
 
 
 月が上ってどれだけの時間が経っただろうか。
 今は、この町にいる人間は全て眠りについている頃だろう。
 ただ一人、この男を除いて。
 
 
( ゚∀゚)「……」
 
 
 一切の物音も立てず、一切の気配も見せず、宿屋の主人は階段を上っていく。
 目指すは、ブーンと渚本介の寝ている部屋。

 静かに、ゆっくりと襖を開ける。
 部屋の中に入ると、そこは予想通りの光景だった。二人の客人が、酒の臭いを散らしながら寝ている姿がある。

35 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:58:22 ID:xjlGxIHwO
 
 主人はブーンのもとへ忍び寄ると、懐から包丁を取り出した。
 
 
( ゚∀゚)「……わりぃね旦那…死んでもらうぜ」

(´・ω・`)「そうはいかん」

(;゚∀゚)「──!?」
(´・ω・`)「ふんっ!!」
 
 
 突如、主人は寝ていたはずの渚本介に脇腹を蹴られた。
 壁まで吹っ飛ばされ、鈍い音が辺りに響く。

(;゚∀゚)「かはっ…」

( ^ωー)「うーんあと5分…」

(;^ω^)「ってあれ?何!?なんだお!?」

(´・ω・`)「ブーン、下がってろ」
 
 
 刀を構え、落ち着いた目で主人を見つめる渚本介。
 わけのわからないまま、ブーンは這うように渚本介の後ろへ隠れた。

36 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 20:59:48 ID:xjlGxIHwO
 
 渚本介の目線の先で、主人がよろけながら立ち上がった。
 
 
(;゚∀゚)「き、貴様…何故……」

(´・ω・`)「最初からわかってた。お前がブーンの銭を偽物だと判断していたのもな」

(;^ω^)「!!」

(;゚∀゚)「……」

(´・ω・`)「お前はあれが偽物だと判断した上で、騙された振りをしていた。何故ならブーンを殺し、珍しい持ち物を全て奪い取る為だ」

(´・ω・`)「だからわざわざ酒も付けたのだろう?俺達を深く眠りにつかせておく為に」

(;^ω^)「ま、マジかお…」
 
 
 信じられなかった。
 人の良いこの主人が、まさか自分を殺そうとしていたのか。

 冗談であってほしい。しかし、主人は二人から目を逸らしたまま、冷や汗をかいている。

37 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:01:10 ID:xjlGxIHwO
 
(;゚∀゚)「う、うるせェ!!銭が欲しくて何がわりぃんだ!」

(;^ω^)「……」

(´・ω・`)「一体何のわけがあって、お前はこんなことをしようと思ったんだ」
 
 
 刀を向けながらも、優しい声で尋ねる渚本介。
 その口調に流されたのか。主人は、無気力な口で語り始めた。
 
 
(;゚∀゚)「…俺、小っせえ頃におっ母が死んじまって、ずっとおっ父とこの宿屋で食っていたんだ」

(; ∀ )「でも…そのうちおっ父が病気で倒れちまって…」

(  ∀ )「貧乏だったからさ…薬師に見せるどころか、薬を買う銭すら無くて……そのまま…」

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「……」

38 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:02:26 ID:xjlGxIHwO
 
(  ∀ )「…後になって向かいの婆さんから聞いたんだ。おっ母が死んだ時も、おっ父が少ない銭持ってそこら中の薬師の家を回って、バカみたいに頭下げて…でも、やっぱり薬すら買えなくて…」

( ;∀;)「…俺、気付いたんだ。世の中銭だ。相当の銭さえ持ってりゃ何でも買えるし、何も無くさねぇで済む」

( ;∀;)「だから…だから……」
 
 
 ぼろぼろと涙を流し、崩れる主人。
 二人は口を開かないまま、泣き崩れる目の前の男を見ていた。

 しかし、それは思いのほか長くは続かなかった。
 渚本介が、刀を向けたまま主人へと歩き出したのだ。

39 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:05:15 ID:xjlGxIHwO
 
 ブーンが慌てて渚本介の前に割って入る。

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待ってくださいお渚本介さん!何する気ですかお!!」

(´・ω・`)「こいつは人に刃を向けた、立派な罪人だ。同情してはいけない」

(  ∀ )「……」

(;^ω^)「だ、だからって殺すことないですお!結局この人は何もしてないんだから!」

(´・ω・`)「何言ってるんだ。お前は自分を殺しかけた男に何も感じないのか」

(;^ω^)「そりゃ感じますお!でも…」
 
 目を合わせて固まる、ブーンと渚本介。
 渚本介はため息を一つつくと、観念したように刀を鞘に戻した。
 

(;^ω^)「良かった……ありがとうございますお」

(´・ω・`)「まあいいだろう。しかしブーン、頼みがあるんだ」

( ^ω^)「なんですかお?」
 
 主人とは少し離れた位置に座り、ブーンを見据える渚本介。
 渚本介の意思が、何となくブーンに伝わった。
 
 
(´・ω・`)「ぎたーを弾いてくれ。曲は任せる」

40 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:06:46 ID:xjlGxIHwO
 
( ^ω^)「わかりましたお」

(  ∀ )「……?」
 
 
 ギターを取り、二人の前に座り込むブーン。
 何が始まるんだ、という顔を向ける主人の方を向き、ブーンはギターを構えた。
 
 
( ^ω^)「では行きますお」
 
 
 ピックを持たず、指を弦に置く。
 そのままゆっくりと演奏が始まった。

 曲はアンドレ・ギャニオンの「愛につつまれて」をギターアレンジしたもの。
 優しく、しかし気高い曲調が、部屋の中を流れる。
 
 
(´・ω・`)「……」

( ;∀;)「あ…あぁ……」
 
 
 静かな夜の町に、ギターの音色と主人の嗚咽が、小さく響いた。
 
 
 
──

41 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:08:21 ID:xjlGxIHwO
──
 
 
 明くる朝。
 主人が二人の部屋のもとに、朝食を持って上がってきた。
 
 
(;゚∀゚)「旦那方、朝食でございやす……それと、昨晩はたいへん申し訳ございませんでした」

 来て早々、深く土下座をする主人。
 そんな主人に、ブーンは笑いかけた。
 
 
( ^ω^)「おっお、顔を上げてくれお。もう気にしてないお。ねえ渚本介さん」

(´・ω・`)「ああ。昨日のことは忘れよう」

(;゚∀゚)「本当に申し訳ない…失礼いたしやす」
 
 
 主人はまた深々と頭を下げると、小さく階段を下りていった。

 随分と気持ちのいい朝だ。
 既に町は賑わいを見せている。

42 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:09:49 ID:xjlGxIHwO
 
(´・ω・`)「さ、飯を食おう。準備が出来たら行くぞ」

( ^ω^)「え?どこにですかお?」

(´・ω・`)「二子堂城さ。俺はそこに用がある。お前もここに止まるだけじゃ、元の時代に帰る手掛かりは見つからないと思うぞ」
 
 
 確かに、ここにとどまっていても何も進歩はない。
 ブーンは少し考えると、渚本介の方に顔を向け、笑顔を見せた。
 
 
( ^ω^)「お供しますお。渚本介さん」

(´・ω・`)「はは、よろしくな」
 
 
 渚本介と旅をしながら、元の時代に戻る方法を探す。
 悪くないな、と心の中で呟いた。
 窓から見える空は、昨日よりも青く澄んでいた。
 
 
 
──

43 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:10:58 ID:xjlGxIHwO
 
──
 
 
( ゚∀゚)「お代のほうは入りません。どうも、ありがとうございました」
 
 
 宿屋の入り口で、深く頭を下げる主人。
 道行く人々がブーンと主人を怪訝な顔で見ているが、もう気にならなかった。
 
 
( ^ω^)「あ、そうだご主人。これをあげるお」

( ゚∀゚)「?」
 
 
 ブーンはジーンズのポケットを漁ると、ボールペンを取り出した。
 困惑する主人に、それを手渡す。
 
 
(;゚∀゚)「旦那様、これは…?」

( ^ω^)「これはペンといって、南蛮の筆みたいなもんだお」

( ^ω^)「売りに出したら高くつくはずだお。だから…」

44 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:12:23 ID:xjlGxIHwO
 
 ブーンの後ろで、渚本介が小さく笑った。
 
 
( ^ω^)「…だから、誰か大切な人を助けたいとき、これを売るといいお。もう後悔なんてしないでくれお」

(;゚∀゚)「そ、そんな!こんな大事なもの…」

( ^ω^)「いいんだお、受け取ってくれお。じゃあご主人、お元気で」

(;゚∀゚)「あ…」
 
 
 返す間もなく、渚本介と去っていくブーン。
 ぎこちなくボールペンを握りしめ、主人はその後ろ姿にもう一度頭を下げた。
 
 
(  ∀ )「ありがとうございます……ありがとうございます…」

(  ∀ )「………」
 
 
 二人の姿が見えなくなると、主人はようやく顔をあげ、入り口へと戻った。

 いくら袖で拭いても、頬を流れる涙は、一向に止まろうとしなかった。
 
 
 
第二話 終

45 ◆vVv3HGufzo:2011/02/20(日) 21:14:24 ID:xjlGxIHwO
今回の投下はこれで終わりです
音楽祭投稿作品ではないのですが、せっかくなのでこのタイミングで投下させていただきました
てへ☆

46以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 21:26:27 ID:V9wvEjDs0
乙乙 続きを期待している兄弟

47以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 21:51:33 ID:JFi0YMIY0

次回に期待


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