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992：14/n：2024/02/25(日) 06:44:52 ID:yHItlfKM0: 工業生産高と産業発展度
　惑星の工業生産高は、単純にその土地の工場群が出力できる物量の指標である。これによって物資が豊富であるか、それとも人々に
住居や衣服を供給することさえ困難なのかを示す。軍事生産能力は生産高のみでは計れない。バトルテックにおける軍事生産は非常に
[規模が]小さなもので、惑星の工業生産高全体には大きな影響がないからである。また生産高は惑星の人口規模によっても変動する。
人口50億人で工業生産高レベルDの惑星は、人口1億人で工業生産高Aの惑星よりも生産量が多い。その一方で、テクノロジー[レベル]
と生産高はほとんど関連しない。工業生産高のレベルが同じなら、技術洗練度がDかCの惑星と技術洗練度Aの惑星で人々に提供される
製品[の総量]はほぼ変わらないのである（技術的洗練度Fは別で、このレベルでは工業機器が低効率なため生産性が低い）。

　産業発展度は、物量よりもその産業の幅広さの指標である。この発展レベルが高い世界はより多種多様な製品を供給可能でありつつ
欠乏することはめったにない。少なくとも中心領域と辺境では、産業発展度はその惑星の技術的洗練度と密接に関連する傾向がある。
この場合、たいてい技術力の喪失と同じ理由によって惑星の産業が麻痺するのだが、[惑星全体が一律ではなく]幅広い産業基盤を持つ
原始的な世界も存在している（たとえば20世紀と21世紀の地球）。産業発展度は、惑星の軍用製品の生産能力に影響を及ぼす。バトル
メックや航空宇宙戦闘機、その他複雑な戦争機械は異なる多様な産業を必要としており、産業発展度B未満ではそれらの複雑な製品を
製造する能力が足りていない。

　中心領域と辺境において、工業生産高と産業発展度のレベルはたいてい連動しており、工業生産高が大きい惑星の大半は外部からの
資源輸入に依存することなく自前の資源を利用している（レベルC以上はこれが標準的）。また同様に生産量が少ない惑星はおそらく
産業の知識基盤が[戦災その他の欠落や後継者断絶などで]機能していない状態にある。

　【高度工業化世界】：産業が繁栄している惑星[レベルA]を訪れたプレイヤーは、必要としている製品があればたいてい探し出せる
（厳重に規制された軍用製品を除く）。この分類の典型例は継承国家の首都や、中心領域の中核部に位置する世界（この地域は幾度と
なく繰り返される大王家の破壊の努力にも関わらず中心領域の産業中心地の座に留まり続けている）が含まれる。

　どのような製品が制限を受けずに入手できるかは、現地の政治と経済システムに左右される。資本主義経済が比較的根付いた領域
（自由世界同盟や辺境、ライラ同盟、恒星連邦）では、高度工業化世界の（懐に余裕のある）人々は物質的な豊かさを存分に享受する。
それはある世界では大量のショッピングモールであったり、他の世界では入り組んだスーク[アラブ系市場]であり、また別の世界では
コンピューターネットワーク通販による商品配送トラックの膨大な列のことかもしれない。

　他の国家はそれよりも強い制限をかける傾向がある。たとえばドラコ連合は政府の管理を固めるため企業のビジネスに広範な規制を
行っている。氏族は[生存のために必須の]必要最低限の工業製品を作る以外のことにエネルギーや資源、労働力を浪費するのは贅沢と
みなし拒絶している（安物買いの銭失いといえるこの馬鹿げた近視眼的な方針によって、氏族の経済成長と生活水準は低い状態に抑制
されているが、飢えながらも無駄のない戦士文化を作り出す社会設計としては完璧に機能している）。

　高い工業生産と高度に発展した産業の影響は、棚に並ぶ商品の種類の多さだけにとどまらず、輸送手段や住宅、その他日常生活の
様々な側面にまで及ぶ。産業が発展した工業生産力の高い世界では、発達した交通輸送網（それらの利用が容易かどうかは現地の法律
に左右される）があり、一般住民にはアーコロジーや集合住宅あるいは一軒家など、様々な形で適切に作られ広々とした快適な住宅が
用意される。環境が汚染された世界でも農業や水の浄化に伴う困難を乗り越える能力（と資金）を提供できるのは産業あればこそだ。

　最後に、高度に工業化された世界についていくつかの[でたらめな]作り話が存在する。第一に、そのような惑星は工場で『覆われ』
たりはしていない。一部の大都市圏は工業化の醜さの証拠であるかもしれないが、どの時代の産業段階であろうと、工場の占める割合
は惑星の地表面積からすればほんの一部にすぎないのである（その工場が数十億の住民に食物を供給するものだとしても）。第二に
『大規模な』輸出で有名な世界は、恒星間輸送の物量が（慢性的に）限られているため、現実の輸出量自体はそう大きいものではない。
第三に、364ページの仕事の項で示すように、高度工業化世界では住民の多数が製造業に動員されることはめったにないのである。