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It's beginning to and back again

230M=M ◆eskwQ12oL2:2010/10/02(土) 02:42:48 ID:R1.eUGzo
「不死のワンダーランド」 西谷修

<死>は個人の消失するところであるとともに共同性の結節点であり、<人間>の存立に関わるあらゆる思考の結び目である。
その<死>は近代の<公共性>の成立によって非人称化し、<技術>による世界の更新によってますます希薄になってきた。
まず<固有の死>が見失われて<無名の死>となり、やがて万人の死が留保され、誰もが「死ぬことのできない」世界がやってくる。
そこに「危険」を見出して、人間にもう一度<可能な死>を取り戻そうという努力があった。
だがその一方で<死の不可能性>をついにあらわになった実存の条件と見なし、この未知の状況に歩み出て、それが不可避にする<人間>についての思考の変容を身をもって生きようとする試みがあった。

世界戦争以後、人間の世界が<死線>を越えたのだとすれば、この状況は世界の<死後>とも言いうるだろう。
だが、人間には<死後>はない。「私」は、「死んだ」という過去形の主語となることはできないのだ。<死線>を越えると、そこにはもはや始まりも終わりもない地平の不在が現れる。
だが、それはのっぺらぼうの空間ではなく、<外>の風が吹き通うなか、<有限な者>たちが輪舞するにぎやかな荒野、洗い出された<地上の不死>の光景だ。
長らく人間をあらかじめ断罪してきたアポカリプスは消滅する。


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