替え歌保管所

17：真夏の夜の名無し：2009/04/30(木) 19:43:04: 母さん、僕のあの免許、どうしたんでせうね？
ええ、夏、サッカー場から下北沢へゆくみちで、
ヤクザへ渡したあの免許ですよ。

母さん、あれは好きな免許でしたよ。
僕はあの時、ずゐぶんくやしかつた、
だけど、いきなりセンチュリーが止まってきたもんだから。

母さん、あのとき、向ふから若いヤクザが来ましたつけね、
バレーの元選手に似た顔をした。
そして四つん這ひにして、ずゐぶん脅してくれましたつけね。
けれど、とうとう駄目だつた、
なにしろ暗い事務所で、それに先輩が
首輪つけて呻いてゐたんですもの。

母さん、ほんとにあの免許どうなつたでせう？
そのとき傍で蠢いてゐた菊の花は
もうとうに撃たれちやつたでせうね、そして、
後輩の一人が先輩を後ろからはめ、
あの免許の下で毎晩３D濁音が響いたかも知れませんよ。

母さん、そしてきつと、今頃は――今夜あたりは、
あの事務所で、静かに一転攻勢してゐるでせう。
昔、つやつや光つた、あの伊太利麦の拳銃と、
その裏に僕が書いた
D・Bといふ頭文字を
埋めるやうに、静かに、寂しく。

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