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おもらし千夜一夜4

1名無しさんのおもらし:2014/03/10(月) 00:57:23
前スレ
おもらし千夜一夜3
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/sports/2469/1297693920/

485名無しさんのおもらし:2017/07/17(月) 00:27:32
 はぁっ……と、ため息一つ。
体中で静かに渦巻く煙たい感覚を吹き飛ばしてみるけれど、重たいお腹は相変わらずで、またモヤモヤと広がっていくばかり。

「……」

 一つ前を見る。
経っているのは、私より少し背の高くてショートヘアのクラスメイト。
背中にはいつものツンとした雰囲気を身に纏い、僅かに覗くお澄まし顔は ”なんにもありません” とでも言いたげだけれども、その下でソワソワと踏み変えられる足がその情けない実態を雄弁に物語っていた。

そのまま視線を前方に移していく。
二人、三人、四人…………十二人。
それがこの場所――女子トイレに並んだ制服姿の数。

 ここは学校の女子トイレ、一年生の私たちにあてがわれているのはここと、廊下の反対側にあるもう一箇所。
上級生が使う場所に行くのは気が引けるし、そもそも行った所で混雑は多分変わらない。
仕方がないので、私たちはここで待っている。

 その視線を、横に向ける。
一つ、二つ、三つ……三つ。
たった三つの個室がこの場所――女子トイレに用意された個室の数。

 女子というのは不便なもので、用を足すのには個室が必要で、脱いだり、拭いたり、どうしても時間がかかってしまう。
皆が皆スカートを履いている分まだ回りは早い方ではあるだろうけれど、それでも何クラスも集う学校の女子トイレに、たった三つの個室じゃどう考えてもキャパシティを越えている。
お昼休みでも無いと順番が回ってこないのはザラにある事だから、トイレに行きたいと感じてなくてもとりあえず並んだりするんだけれど、それが混雑を悪化させていて、でも行きたいと思ってからじゃもう遅い訳で……本当に不便だと、日々不満を抱いている。

「……っ、ぁっ……」

 じぃん、と波がきて、いっぺんに押し出された吐息が形を持って溢れてしまった。
慌てて口を塞ぐけれど意味は無くて、出てしまったものは取り返しもつかない。
……恥ずかしい。 伏せた顔が紅潮するのを感じる。

ざぁ、と水が流れて一人出てきて、慌ただしく入れ替わって、それから水の流れる音と、そこに隠しきれない別の水音。
そんな音、聞かせないでよ……そう言いたいけれど、後ろがつかえているのを気にしてできるだけ早く済ませようとしてくれているんだろうし、文句は言えない。辛いけれど。
腕時計に目をやると、休み時間はあと五分。
さっきの休み時間もトイレに入りそびれちゃったから、今回も逃すとさすがにキツいんだけれど、でも、ダメそう。
これはもう、授業中に行かせてもらうしかないだろうかな。

そう思いながら顔を上げて、顔にかかった前髪をはらった……黒く遮蔽された視界の隅っこが明るくなって、そしたら見えてしまったんだ。
ずっと目を逸して、無かった事にしていたその場所。

「っ……!」

 女子トイレの片側、個室が仕切られた―― ”トイレ” の反対側にある ”それ” が。
ぽっかり口を開けて、ズラッと立ち並んだ、小便器が。

486名無しさんのおもらし:2017/07/17(月) 00:28:10
「ぅぅ……」
「ねぇっ、もうすぐ休み終わっちゃうから、早くしてよっ!」

 女子トイレの中、個室に向けて並んだ列から声がする。
誰も ”アレ”――小便器を使おうとはしない。
男子トイレにあるのと形は少し違っていて、腰の高さできゅっとすぼまる器の淵はそのまま突き出し、細長い溝が突き出している。
男性器の無い私たちがおしっこをした時どうしてもお尻の方におしっこが垂れてしまうから用意されたものだと分かるのだけれど、不格好に伸びたそれは舌を出してケタケタ笑っているみたいで、私は苛立ちを覚えながら目を逸した。

ここ数年で急速に普及が進んだ、女性用の小便器。
公園の、駅の、コンサートホールの……今じゃ、大抵の女子トイレは壁の片側から個室が取り払われている。
慢性的な女子トイレ不足を解決できて、トイレのために新たにスペースを確保する必要も無い――なんて、いいトコだけ書けば確かに良さそうに聞こえるけれど。
誰が推したのやら……あんなもの。

私の前にも後ろにも続く長い列と対照的に、五個ある小便器はどれも使われておらず、真新しくピカピカと光っている。
だから、あの溝を跨いで、下着を降ろして、体から力を抜く、それは一切待つ必要なくて、今スグにでもおしっこを出す事ができる。

でも。

「はぁっ……トイレっ……早く……!」

 順番を次に控えた子が、切なげにそう呟く。
その声、その言葉に体の奥底からゴポゴポと泡立つように、また大波が来る。
私は膝をピッタリくっつけて、スカートの裾をぎゅっと握った。

「っ……ん、くぅ……!」

 壁が無いから視線は遮らない、擬音装置も無ければセンサーで人影を感知するものだから用を足し終えるまで水は流せない。
紙が用意されていたり、さっき言った溝だったりと配慮は一応あるけれど、用が足せればそれでいいじゃないかと言わんばかり。
まだ幼い小学生の妹は、 ”こっちの方が早くできるし便利じゃん” なんて言ってすっかり順応しているけれど、私はそれを “トイレ” とは思えなかった。
これがパソコンやスマホに文句を付ける人たちの気持ちがなのかと、綿のように柔らかく受け入れる妹がちょっと怖かった。

「駄目そーだね……」
「うん……戻ろっか」

 後ろから沈んだ声色と共に、足音が段々と遠ざかっていく。
壁には向かわず、出口に向かって一直線。
あの子たちも私と同じ気持ちなんだろう。

「はぁっ……トイレ、もっと増やしてよっ……!」

 後ろから詰めてきた子が低い声でそう漏らす。
多くの女性達があの品のないL字形を受け入れる事ができていない……それがこの国の今。
そりゃあそうだよ。これまでの常識――仕切られた個室の中、ひっそり慎ましく用を足す――とはまるで違う “立ちション” をいきなりやれと言われてもそれは無茶だ。
これは結構問題になっていて、学校でも小便器を利用するようにだとか、小便器の使い方を保健の授業で教えたりするくらい。
 私もこの学校に入学したての頃は、全然ありつけない個室のトイレを諦めて ”アレ” で何度か用を足した頃があるけれど、物凄い目で見られるし、死ぬほど恥ずかしいし……季節が夏に移り変わった今、 “アレ” で立ち小便を披露しようだなんて子は早々いない。

“あんなの、トイレじゃない”
それが乙女の共通認識だった。

487名無しさんのおもらし:2017/07/17(月) 00:28:56
「授業始まっちゃうよっ……」

 前の方、先頭から三番目くらいだろうか、せわしなく体を揺らしているクラスメイトが焦った声で溢す。
……あと二分か。
私まで順番が回ってくるのはあり得ない。
授業中にトイレに行くのだって決して気楽な事では無いけれど、皆の前でおしっこをぶちまける恥辱に比べればどうという事はない。
合理的なのかそうでないのかなんとも言えない判断でトイレの列を離れる。別に汚れてもいないけれど、洗面台で手を洗った。手汗が滲んだ不快感を拭って、重苦しい膀胱の不快感はそのままトイレを出ようとして――

 バァンッ!

「――どっ、どいてッッ!」

 ――必死の形相で入ってきた子にぶつかりそうになって、思わずその場に固まってしまった。

「えっ……委員長?」

 一年生の学級委員のまとめ役であるその子の名前を呼ぶけれど、委員長は見向きもせず、私を避けて一目散。
っていうか、スカート越しに前を思いっきり握って、あの表情……まさか。
振り向きながら、彼女が通った道筋に点々と続く雫の跡を見てそれは確信に変わる。

「ねっ……あの、お願いっ! トイレ、先に入れてぇぇっ!!」

 背中を”く”の字に曲げて、両手を挟んだ足がタイルを踏みしだくその様子を私が目にしたのと彼女が涙混じりにそう叫んだのは殆ど同時だった。
うわっ……ほんとに限界なんだ。

 そういえば、さっきの授業終わりに先生に頼まれごとをされてたっけ。
生真面目な子だから、トイレに行きたいのも我慢してたんだろう。

規則や決まりにうるさい委員長でもちゃんと順番を待てないくらいトイレがしたくて……それでも、もうどうしようもないのに、彼女は個室に入れて欲しいと叫ぶ。
みっともなく腰を振って、顔も汗と涙でぐちゃぐちゃで、トイレが我慢できないって恥ずかしいことを大声で叫んで……それでも、小便器は使いたくない、その気持ちは痛いほど分かった。

「んぅぅ! ぁっ……ぁっ! やっ、だめっ! っ〜〜〜!」

 大きな波が来たみたいで、委員長は背中が折れちゃうんじゃないかってくらい丸くなって小さく震えて……それから、行列の先に並ぶ子たちの返事も聞かずに個室に駆け寄ると、扉をノックし始めた。

「おねっ、おね、がぃぃぃ!」

右手で扉を叩いて。

「早く、トイレッ……トイレ、おしっこっ……がまん、できないのっっ!」

 両足が激しく上下に左右に揺れ動いて。

「といれっ、といっ、っぁ……ぁぁぁっ、だめ、だ、メェッ!」

 でも、委員長が行きたくて行きたくて堪らないトイレを、彼女の本能は……出したくて出したくて堪らないおしっこは待ってくれなかった。

488名無しさんのおもらし:2017/07/17(月) 00:29:20
「っぁぁぁぁっ……み、ない、でぇぇっ!!」

 スカートの内から黄色く雫が落ちて、委員長の必死の懇願は僅か数秒で終わり、別の願いへと変わったのだ。
個室が空くまでもたない、その絶望的な判断を受け入れたのだろう。
顔をくしゃくしゃにしながら委員長が後ろに体をねじると、当然その先にあるのは誰も使っていない、私たちがおしっこを出すことを許されている場所。

「っ……! っ!」

 怖気づいたみたいに一瞬だけ躊躇った委員長の背筋がブルリと震えて、ぱちゃぱちゃと水滴が間断なくタイルに打ち付けられる。
その水流に流されるかのように彼女は白い器に駆け寄った。

「んぅぃぃっ……はぁぁっ、はぁぅぅぅ!!」

 漏らすのと、 “アレ” を使うのと……どっちがマシかなんて選べないけれど、委員長はそっちを選んだ。
涙を流す彼女によって私がさっき思い描いた手順が再現されていく。

黄色い筋の浮かんだ足で溝を跨いで、
ぐっしょり湿った下着を降ろして、それから――

ぶじゅぉっぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーっっ!!!

――体の力を抜く必要はなかったみたいだ。

「んぅぅぁぁぁっ……は、ぁぁぁぁッッッ……!!」

切なく深い溜め息が吐き出されるその真下で、まるで滝のように噴き出した委員長のおしっこ。
その流れのままに焦点を下に移していくとそれはぽっかり開いた穴に叩きつけられていた。

ぶじじゃじゃじゃじゃじぃぃぃぃぃ!!

水の張られていない陶器にぶつかり、音を立てて飛び跳ねる飛沫は便器の中には収まりきらずタイルに点々と濡れ跡を作っているし、ガクガク震える委員長のおしっこは狙いを定めきれずに水流そのものが便器から的を外す事もある。
外にまで聞こえそうな程の盛大なおしっこの音に、委員長の艶めかしい声……何もかもが、慎ましい女の子の “トイレ” から、完全にかけ離れていた。

 でも……すごく、気持ちよさそう。
それでも、私はあんなの絶対にゴメンだ。
これならやっぱり授業中にトイレに行くほうがずっとマシ……委員長も授業始まるまで我慢できればよかったのにね。

「ぁぁぁっ……まに、ぁっ……たぁあ……っ……」

 誰かに言い聞かせるみたいに、委員長が呟いた。
全部個室のままなら、こんな思いしなくて良かったのに。
急に男の子みたいにしろって、そんなの出来る訳ない……体も、音も、臭いも、なにもかも筒抜けでおしっこをするなんて、やっぱりあり得ない。
生々しい光景に、お腹が苦しくなって、私は体にキュッと力を入れた。

委員長がおしっこを始めてすぐにチャイムが聞こえて、私は踵を返してトイレを出た。
背中を向けた委員長の長い黒髪の隙間から、真っ赤になった耳が覗いていた。


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