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亜紀物語

1ノリンコ2:2006/08/15(火) 15:27:38
ある日・・・本当に何でもない日の事だった。
今は、夏休み。宿題をしていると、私は首筋に視線を感じた。
私の名前は、林亜紀。14歳。4月生まれ。埼玉在住。両親健在、兄弟なし。
という事は、おかしい。
母さんは、買い物に、父さんは、会社に行ってるんだから。
私は、ゆっくり鉛筆を動かしながら考えた。
強盗だ。刃物は、持ってるだろう。という事は、振り返ると同時に、刃物を奪わないと。
深呼吸。そしてすばやく振り向くと、私は、悲鳴を上げた。

「何で、あんたがここに居るのよ・・・」

2ノリンコ2:2006/08/15(火) 17:42:17
「あ、林、俺が見えるのか?」
彼の名前は、伊藤淳君。小学校の時、同じクラスだった。
驚いたのは、私は卒業とともに引っ越してきた。なのに・・・
それだけでなく、私は・・・。
あれ、でも見えるってどういうことだろう。
何気なく彼を観察すると、あることを発見した。
「足、地面についてないじゃない。」
「ああ、そうなんだよ、嬉しい、嬉しいよ。」

3ノリンコ2:2006/08/16(水) 12:02:55
彼は、私に言った。
「俺の腕触れるか?」
そりゃ・・・
案の定触れる。でもなんで浮いてたのだろう?
「それは、俺の体が平たく言えば幽霊化してるからだよ。」
「え?あ、そうなの・・・って、何で分かるの?私の考え。」
「顔見りゃ分かるさ。」

4ノリンコ2:2006/08/16(水) 18:08:56
「でも、幽霊化してるってどゆこと?」
「俗に言う、ユータイナンチャラ・・・」
「幽体離脱?」
「そう、それ。寝てる間になっちゃったんだよ。」
「元の体は?」
「生きてるよ。」
「え?」
「意識が、お前に対してだけは、実体化してるみたいだな。」

5ノリンコ2:2006/08/16(水) 20:00:49
「じゃあ、他の人たちは?」
「見えないみたいだね。でも、幽霊って便利だな。念じれば、そこに行く事ができる。」
「ここにも?」
「ここにも。他にも、おれを見てくれる人を探して、世界中を旅したんだ。」
幽霊って、少し便利かも。

6ノリンコ2:2006/08/17(木) 17:31:42
「ついでにだなあ、俺をみんな見えないもんだからよ、国家秘密とか随分
知ってんだよ。」
「ん?」
「売ったら、儲かるぞ。」
私は、淳君を右フックで吹っ飛ばした。

7ノリンコ2:2006/08/21(月) 21:57:35
       ー3日後ー
私は、高校野球を見ていた彼に言った。
「ところで、淳って呼んでいいかしら、呼びにくいし。」
「いいよ。俺は、なんて呼べばいいんだ?」
「亜紀でいいよ。」
私は、赤くなっているのを隠す為横を向いていった。
こうして、私達は、出会った。


登場人物紹介
亜紀・・・14歳の、明るい少女。とてもしっかりしている。現在、淳を部屋に住まわせている。
淳・・・14歳の少年だが、12歳の時寝てる途中で幽体離脱し、元の体に戻れなくなる。19ヶ国語をしゃべれる。
亜美・・・亜紀の母
直紀・・・亜紀の父
中山太郎・・・亜紀に交際を申し込む

8ノリンコ2:2006/08/26(土) 22:45:38
第一話
夏がすぎ、秋がやってきた。私の名前とは関係が無いものの、やはり嬉しい。
学校が始まって、1週間がすぎ、この居候も慣れてきたようだ。

9ノリンコ2:2006/09/10(日) 16:30:22
教室に入る。すると、親友の智子が声をかけてきた。
適当に流し、着席。見慣れない子が一人。
「あれ?転校生かな?」
案の定、先生が言うには、転校生だった。

10MP5K:2006/09/18(月) 21:19:27
「はい静粛に〜。今日からこの学校で勉強することになる中山太郎君です〜。
 じゃあ、簡単に自己紹介でもしてもらおうかな〜?」
中山はさして緊張した素振りも見せずに自己紹介をし出した。
「…中山太郎ってさぁ…。」「……何?淳。」
私が応えると、少し間をおいてから、
「ありきたりな名前だよな。」
と言った。私は他の人に気付かれないよう、淳を左アッパーで吹っ飛ばした。
「え〜っと、中山君の席は……林さんの隣に決定でいいですね〜?」
「えっ?…あ、ああ、いいですよ。」
いきなり名前を呼ばれたので吃驚した。隣が転校生か。ちょっとだけ得した気分。
「林亜紀さん――。」「え、私?何?」
まさか声をかけられるとは思っていなかった。驚きが多い一日である。
しかし次の言葉は、亜紀をさらに驚かせるものだった。
「僕が一目惚れしたって言ったら、信じますか?」

11ノリンコ2:2006/09/18(月) 22:10:27
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
横を見ると、淳もビビッている。
でも、さっきも言ったが私は、ホントにびっくりした。
その時だった。中山くんの目が、一瞬おかしくなった後、倒れた。
「狙撃だ!」
淳が叫んだ。

12ノリンコ2:2006/09/19(火) 23:39:09
淳がすばやく、中山くんの瞳孔を調べた。
「こいつは、睡眠弾だ。しかも体内注射式だ。」
「何?それ。」
「要するに、弾から、細い針みたいなんで、目標に睡眠薬をぶち込むんだ。」
その時、何か、何かが飛んできたような気がした。そして霧。
「亜紀口をふさぐんだ!」
そんな声を聴きながら、私の意識は、ブラックアウト・・・


「さて・・・」
俺は、淳。視点が急に変わったので、分かりにくいかも知れんから、一応言う。
亜紀達が眠った今、俺の役割は最後まで見守ることだろう。

13MP5K:2006/09/20(水) 20:53:59
派手な音がして、教室の扉が吹っ飛んだ。
「よし、全員眠ったな。すぐに奴を運び出すぞ。」
「分かった。しかし、なんでこの部屋にしか睡眠弾を撒かなかったんだ?」
「……へ?俺は『全ての部屋の人間を眠らせろ』と言ったぞ?」
侵入者たちがそんな会話をしていると。
「誰だ貴様らは!」
隣のクラスの先生の声が背後から聞こえた。
「くそ…しょうがない、窓から逃げるぞ。」 「…っ!?待てッ!」
がしゃんという音が教室に響いた。窓の外からの会話が僅かながら聞こえる。
「ここ…何階だったっけ?」 「…………四か――。」
そんな間抜けなやり取りを残し、あっけなく地面に衝突したのが見えた。

14ノリンコ2:2006/09/21(木) 22:24:53
「大丈夫かな?」
俺が心配していると、侵入者達の体が光り輝くと、突然消えた。
「?」
俺がテレポートできるのは、俺が知っている所だ。追いかけるのは不可能だな。
そして、亜紀を起こすべく体に手を掛け、揺すろうとすると、突然亜紀が目を開けた。
俺の指示が的確だったから、あまりガスを吸わなくてすんだんだな、と感動した。
がしかし。亜紀はいきなりヘッドロックをかけて来た。
「乙女の体に気安く触るんじゃないわよ。」

15MP5K:2006/10/08(日) 20:54:15
・・・・・・・・・・・・。
とある一室。男の悲痛そうな、懇願するような叫び声が木霊している。
「ボス・・・次は必ず仕留めます!どうか・・・・・・お許しください!」
ボスと呼ばれた人物は、男を振り返りもせずに言う。
「次?貴様等に――二回目が存在するわけも無いことは承知済みであろう?」
「し、しかし――」
「己が犯した失敗を償うことが出来るのはな」
言葉とともに男の体が切り裂かれてゆく。その人物は怜悧な声で呟いた。
「自らの死――ただそれだけだ」
誰に聴かせるでもなく誰を責めるでもなく、それは虚空に響く悲しき自嘲の言葉――。
・・・・・・・・・・・・。

16MP5K:2006/10/09(月) 16:37:39
茜色の空が見える。部活が終わった亜紀は帰路についていた。
さっきからずっと横で爆笑している淳を見る。
「……そんなに人が告白されたことが可笑しい?」
「いや、だって一目惚れっていうことは第一印象が良くなきゃぐはッ」
今日何回吹っ飛ばしただろうか。流石に拳が痛くなってきた。
淳も今のが堪えたのか、表情から軽薄さを消した。
「だが今朝の奴ら――あいつを連れ去ろうとしていたが」
淳の話に寄れば、隣の先生が駆けつけてきたから窓から逃げたとか。
「それで、『消えた』っていうのはどういうことよ?」
「分からないが……敵は能力者の可能性が高い」
能力者。淳も持っているというそれを、敵が?
「まあどっちにしろデータが少なすぎるし、今考えたって無駄だな」
それから家に着くまで、淳が口を開くことは無かった。

17MP5K:2006/11/09(木) 18:04:34
翌日。頭を撃たれて運ばれていたはずの中山が普通に登校していた。
「あ、えっと……大丈夫?なんか昨日狙撃されてたっぽいけど」
亜紀が心配しながら問いかけた。
「ああ、大丈夫ですよ。ただの睡眠弾だったみたいなので医者からもOKが」
大したことなかったのか。良かった。
「それに、僕はこれも持っていましたし」
そう言って中山は、薄く紫色に発光しているブローチを取り出した。

18MP5K:2006/11/09(木) 18:19:33
『へぇ…“治癒のクリスタル”か。一般人にしてはレアな物持ってるんだな』
それに反応したのか、淳が意外そうな声を出していた。
「これは昔から、僕の怪我や病気を治してくれていたんです。だから多分今回も……」
「そう、良かったね大した怪我じゃなくて。何気に転校初日だったし」
淳が来てから大抵の超常現象には驚かなくなった。というか受け入れられるようになった。
幽体離脱した人間がすぐそばにいるんだから当然といえば当然だが。
ところで、と中山が口を開いた。

「さっきから亜紀さんの横にいる人――誰なんですか?」

19MP5K:2006/11/10(金) 20:35:30
その言葉に、二人が同時に息を呑んだ。
何故見える。何故認知できる。普通の人間には認識できない淳を――。
『見えるのか……おい亜紀、なんでこの学校には見えるやつが二人もいるんだ?
 普通一人もいないはずなんだが』
「私に聞かれても。――あ、私の横のコレは伊藤淳。私が見えるのをいいことに
 無理矢理居候中で」
『コレって言うな。まったく酷い言い方しやがって』
だって事実だし。

20MP5K:2006/12/06(水) 23:43:19
「伊藤――淳?あぁ、なるほどね……。そういうこと、か。」
中山がよく分からないことを呟いたが、すぐに亜紀の方に向き直り、
「うん、大体分かったよ。そろそろ時間だし、僕は席に戻るよ。」
「あれ、中山くん、口調変わってない?」
いつのまにか常体になっている。
「あぁこれは――同級生で敬語というのもおかしいと思いましたし」
「口調戻ってるよ……」
みたいな会話をしていたら先生が入ってきた。
「はい静かにー。みんなも気になってると思う昨日の事件の話ですー。
 あの襲撃の犯人の正体は不明、動機も不明、逃走方法も不明という三重苦です」
さり気なく怖いことを言ってくれる先生である。起きていた淳でさえ分からないのだから
当然といえば当然なのだが、それでも少しは怖い。
というかそもそも学校を襲撃って、ただごとではないだろう。
亜紀は何か不穏なもの、例えば悪い予感とか悪意とか、そんなものを肌で感じていた――。


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