「――戦槍にして我が良き友よ【My Spear, My Friend】
その力を以て我を守護せよ【Protect me by your power】――」
瞬間。フランツの槍が紅い燐光を纏って爆ぜる。
光はそのままフランツとパペットの間に薄い膜を形成した。
敵の剣はそこで静止している。何の破壊力もフランツには届いていなかった。
そして静かに着地、反動を推進力に換え一気にパペットの体を抉った。
乾いた音を立ててパペットは床に崩れ落ちる。全体の三分の一を飛ばされて立っていられる方がおかしいのだが。
とりあえず危害を加えてこなさそうなパペットから視線を外し、部屋の隅に避難していたメイリンを見る。
「怪我は無かった?」
その問いかけにメイリンは無言で頷く。
良かった――安堵し、不意に眩暈が襲ってきた。
「パペットαが一体、破壊されたようです」
そう広くはない部屋に男の低声が響く。
「Ω【オメガ】か…どうせいつものことだろう?」
椅子に腰掛けた人物がそれに答える。性別や年齢が判断しにくい特徴的な声で。
「これを見てください…破壊される直前の映像です」
まるでモニターでも存在するかのように、空中に映像が浮かび上がる。
『――戦槍にして我が良き友よ【My Spear, My Friend】
その力を以て我を守護せよ【Protect me by your power】――』
「これは…!」
「お気に召しましたか?」
Ωと呼ばれた男は愉快そうな笑みを浮かべて座っている人物に訊ねる。
「捕らえよ――殺しても構わない、なんとしても、だ」
「仰せの通りに、主【I do as your statement, My Master】」