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短編小説
28
:
雫
:2013/08/25(日) 15:10:28 HOST:ntiwte061027.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「―網膜の未来―」春side
「ご注文の品はこちらでよろしいでしょうか?」
少し高めの声が確認を促す。
はやくもドキドキしながら視線を落とすと、
指輪は初めて見たときよりもキラキラして見えた。
「はい」
頷いた声が上擦っていたのは自分でもわかった。
出張帰り、1週間前に予約した指輪を取りに向かった。
もちろん沙織への。
王道だけど、給料三ヶ月ぶん。
ダイヤの指輪はきっと沙織の薬指によく似合うと思う。
『あの子、手術するんです』
沙織の母親にそう言われたのは、1ヶ月前だった。
沙織は終わるまで黙っているつもりだったらしいが、
母親は心配そうに続けた。
『春がいつまでも後悔するの、嫌だから。
それに、春の顔、見たいから』
それを聞いた時、涙が止まらなかった。
見破られていた。後悔ばかりだったこと。
罪悪感で抱き締めたこともあったと、
きっと彼女は気づいてた。
でも、それと同時に気づいた。そう、気づけたんだ。
後悔はしていた。でも、不幸ではなかった。
ただ愛しくて、好きで、大切で。
そんな感情があったから、不幸では、決してなかった。
沙織。
後悔ばっかりだった。
きっとお互いそうだった。
だけど、きっと大丈夫。
それを全部背負っても、不幸じゃないから。
背負った分だけ重くなって
大切になって、想いが強くなって。
そんな風に幸せになっていくはずだから。
きっと、そうなれるから。
――だから、なぁ、沙織。
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