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短編小説
26
:
雫
:2013/08/25(日) 14:41:06 HOST:ntiwte061027.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「―網膜の罪状―」後編
沙織が申し訳なさそうに笑うのは、俺のせいで。
きっとあの日のことを、俺が後悔してるのに気付いているから。
それに気付いていながら、俺は後悔をやめられない。
沙織を追い詰めているのをわかっていて、手放せない。
あの日拒絶した分そばにいてやりたい。
好きだから、そばにいたい。
それはきっと自己満足だけど。
腕に力を込めて、爪先が白くなるほど指先にも力を入れる。
沙織が「苦しいよ、」と呟いて、そこで仕方なく力を緩めた。
おずおずと背中に回された沙織の腕。その体温に涙が出る。
彼女は、生きてる。
その実感にどうしようもなく泣いてしまう。
彼女が見えなくてよかった。
と、この時ばかりは不謹慎で最低なことを思うけど。
こんな情けない泣き顔を見られたくはない。
後悔するのはあの日のこと。
後悔し続けることは、君が笑わなくなったこと。
願い事は
君がまた、俺の笑顔を見てくれること。
君をまた、笑わせること。
一生かけて、君を幸せにしたい。
償いや、後悔を背負っても、君といたい。
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