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短編小説
12
:
雫
:2013/07/11(木) 21:42:06 HOST:ntiwte061027.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「I love you to kill you.」前編
白色が網膜に焼き付いた。
まぶしいその色は拍手の音と共にわたしの脳内を侵食する。
じわり、と。じゅくり、と。
なにかに呑まれていくような気がした。
機械的に動く手のひらが、どんどんどんどん熱を失っていく気がする。
おめでとう、って誰かが喚くのを、他人事みたいに
(いや、実際他人事だけど)聞いていた。
…オメデトウ?おめでとう、オめでトう……?
「…孝介、オメデトウ」
わたしの声はなんの感情もない。
新郎新婦のお色直しということで、会場は世間話に花が咲く。
「ね、あれでしょ政略結婚」
「そうそう、今時ねー」
コソコソと背後からおば様達の噂話。
思わずそこに入って付け足したくなる。
そうですよ。新郎の孝介さんは、出世のために、
わたしをフッてあんなお嬢様とご結婚なさるんですよ。
なんて、ね。
そんな気持ちを堪えて、そそくさと、わたしは新郎の控え室へと向かう。
新郎の控え室の扉の白さを見たとき。
あぁ、白いドレスを嫌味に着てくればよかった。
なんて、くだらない後悔をした。
「孝介……?」
彼を呼ぶ声も、ノックをする手も情けなく震えていて。
「美雪…?」
扉が開いて彼の顔を見た瞬間なんだか泣きたくなって。
この期に及んで、わたしはやっぱり彼を好きだと実感させられる。
「スタッフさんは?」
「なんか、新婦の方で問題が起こってるらしくて出払ってるよ」
孝介は他人事のように、ほのかに笑ってそう言った。
「そう……」
孝介はなんとも言えない表情で、ボスン、と豪華な椅子に座り込んだ。
俯くその姿は、まるでなにかを嘆いてるみたいで。
そしてそれは、意地でもわたしを見ないといっているような気がして。
「本当に、結婚するのね」
「…なに、嘘だと思った?」
誤魔化すようにくちもとだけに笑顔を張り付けてる。
わたしも、孝介も。
バカらしい。なんて茶番劇なんだろう。
「ね、孝介……」
「……ん?」
「―――…殺しても、いい?」
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