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短編小説

11:2013/07/10(水) 19:58:48 HOST:ntiwte061027.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「―あやつり人形―」後編



「俺だって、好きだ……」

憂くんの声にぴたりと涙がやんだ。

憂くんがゆっくり近付いてきて、壁まで追い詰められる。

壁の冷たい温度が背中から伝わったと思った瞬間、

わたしは憂くんとキスしていて。

「好きだから、行かないで。俺だけ見てて、想ってて……」

憂くんの切なげな声に、わたしは思わず憂くんを抱き締めた。

抱き締める腕の力を強めると、とたんに上からキスが降ってくる。

「ゆーくん、好き……」

そう言うと、憂くんはわたしを強く抱き締め返した。





――――あぁ、やっぱり。わたしの予想通りの結末。






わたしはずっと考えてたよ。

どうすれば憂くんを手に入れられるのかって。

10年間それだけを考えてきたの。





ねぇ、憂くん。




今日のことはもちろん、

今まで、私がしてきたことがすべて計算して動いてたって言ったら

憂くんを手に入れるために作戦をたてて、それ通りに動いてたって言ったら


軽蔑する?


憂くんの体温を感じながら、思わず口角が上がる。

効果音をつけるなら正に、ニヤリ。あんまりに幸せで、つい。

でも、この恋はきっとハッピーエンドじゃないんだろうね。

だってわたしは一生計画をたて続け、彼はそれに踊らされていくのだから。



ただの喜劇、

なんてもろい喜劇。

滑稽すぎて涙がでる。

でも、大丈夫だよ、憂くん。


ただの喜劇も、お芝居だとわからなければ、ただの幸せな物語だもんね。




大丈夫、安心して。

わたし演技は上手なの。



一生隠し通す自信、あるよ。


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