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短編小説
10
:
雫
:2013/07/10(水) 19:52:13 HOST:ntiwte061027.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「―あやつり人形―」前編
「憂くんっ!ちょ、どうしよう!」
春のほのぼのとした平和な土曜の午後。
わたしは興奮気味にお向かいの幼馴染み、憂くんの部屋に駆け込んだ。
二つ上の大学1年生の憂くんは
あからさまに五月蝿そうに顔をしかめた。
なんだその不満げな顔は。
「なに?」
「ど、どうしよう…わたし、初めて告白された!」
わたしはほんの少し顔を赤らめて叫んだ。
これは、賭けだった。
ここで憂くんがなにも言わなければ
わたしはもう憂くんへ片想いするのをやめよう。
10年以上続いてしまった想いは、きっと今日、わたしの予想通りに終わるんだろう。
仕方ない。すべてが幸せなハッピーエンドになるわけじゃない。
わたしに用意された結末はきっと、そう、きっとだけど。あまりいいものじゃないだろう。
「ゆー、くん」
「…で?なんて言って欲しいの?」
息をのむ。言葉につまる。
「…っ、憂くんは、わたしのこと、好き?」
「……」
「…もし、好きになってくれないなら、わたし、もう諦めるよ…そして、」
そう、そして……
そこから先は上手く言葉を紡げない。
無表情の憂くんが、怖くて、息がつまる。
「で?その告ってきたやつと付き合うんだ?」
「……ッ」
バカにしたように笑う。
そんな憂くんを見てゾワリと悪寒が走る。
「そーだよ…うんそうするの。だ、だって憂くん…は、っ」
全然わたしを見てくれないし、子ども扱いして、バカにして。
わたしはもう疲れちゃったんだ。
報われない。ただただ虚しい。
「きっと、こんな風に泣き叫んでるわたしを、憂くんは子どもだって、馬鹿らしいって
重いって嫌がるんだろうけど…っ」
でも、
「わたしは憂くんが好き…」
わたしの声に憂くんが弾けたようにわたしを見た。
綺麗な黒い目がじっとわたしを見て、それは少し怒ってるみたいで。
わたしは唇を噛んだ。
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