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放課後デイズ

31かもめJP@:2013/07/28(日) 11:00:28 HOST:zaq3a55fbfd.zaq.ne.jp

 6

 和乃の相談は昼休みに話された。
 始業式の日に出会った先輩のお陰で、どんな部活動があるかは大体把握していた。しかし、部活名を見ただけでは詳しいことは分からないし、中には何をするか分からない部活までもが存在する。何に入ろうか未だ悩んでいる和乃は、同じくまだ部活に入っていない玲花、忠次を引き連れて、
「学校掲示板ねぇ」
 現在三人がいるのは一階の廊下である。
 校舎内にはいくかのコルクボードの掲示板が壁に立てかけられている。その中でも、一番大きいのが職員室の真正面にある通称『学園掲示板』だ。
 近々催される学校のイベントや、自由参加型の企画、体調管理に関するチラシまでもがそこには貼り付けられていた。四月から五月の最初くらいまでは部活に関するチラシもかなり貼られている。しかし、チラシの量が多く重なったりしているため、めくらないと見えないチラシも存在しているのだが。
「たしかに、これなら大体の活動内容は分かるわね」
 玲花がチラシを見ながらそう言った。
 彼女が今目を通しているのはテニス部だ。それに気付いた和乃は、玲花がテニスウェア着たら可愛いだろうな、などと考えている。
 一方で忠次は文芸部に目を通している。やはり本が好きらしい。
「和乃、アンタはこれ見たの? 何か入りたい部活あった?」
 玲花がそう質問しながら振り返る。それとほぼ同時に忠次も振り返り、視線で玲花と同じように問いかけてくる。
 和乃は小さく首を横に振った。
「……ううん、わたしが入りたいと思う部活はなかった。だから、作ろうと思うの。私たちの部活を!」
 びしっと指をさしながら、力強く宣言した。
 この話は、始業式の日に玲花と和乃が決めていたことだ。入りたい部活がなければ自分たちで作る、と。たしかに、玲花が今見たところでは入りたい部活はない。テニス部には、少しだけ興味があったが。
 忠次も構わない、といった風に頷いている。
「でも、部員ってあたしたち含めて五人必要なのよ? あと二人……あたし、他のクラスに知り合いなんていないけど?」
「僕もいないな。どうするんだ?」
 ふっふっふっ、と腕組みしながら楽しげに和乃は笑っている。
「いなければ部活動と同じように作ればいいのさ、部員&友達を!」
 たしかに和乃を嫌いになる人はいないだろう、と玲花と忠次は思っていた。
 しかし、忠次は友達を作るのが苦手だし、玲花も得意じゃない。和乃に話しかけていたのは、席が前後という関係があったからなのだ。多分後ろの席が男子だったら、自分は話しかけていないと思う。言いだしっぺの和乃も人見知りっぽいし、友達を作るどころか、勧誘も出来ないんじゃないだろうか、と思った玲花は、思い切って和乃に聞いてみた。
「出来るの? アンタ、人と話すの苦手じゃなかったっけ?」
「だからこその掲示板だよ! チラシ作ってここに貼る! それでいいじゃん」
 たしかにそれも可能ではあるだろう。
 しかし、こんな多くある部活の中に、ひとつだけ正式な部活動じゃないものを宣伝しても、入ってくれるとは思わない。
「あんまり現実的じゃないと思うんだけど……」
「だが、その方がいいんじゃないかな? 見たところ、正式な部じゃないものも宣伝してるみたいだし。方法はありだと思うが」
「そうね。それの方がやりやすいかな」
 忠次の言葉に、玲花は納得した。
 それを見た和乃はやる気の入った表情で、
「よっしゃ! じゃあ早速部活勧誘のチラシ作るぜ!」
 一人だけ乗り気の和乃に、玲花はふと疑問に思ったことを問いかける。
「ねえ、和乃」
「ん、どうしたの?」
「……結局さ、あたしたちってなんの部活作るの?」
 しばしの沈黙。
 和乃は照れたようにはにかみながら、

「……それを、今から考えよっか?」

 全くのノープランだった。


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