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放課後デイズ

14かもめJP@:2013/06/08(土) 08:37:28 HOST:p4092-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 4

 鹿野忠次と少し話すことになった和乃は、彼と一緒に公園のベンチまで歩いていった。すぐそこの自販機で飲み物を買ってくる、と言われたので現在ベンチに座っているのは和乃だけである。
 彼女はベンチにちょこん、という効果音が似合いそうな様子で座っている。
 それから彼女は小さく溜息をついた。
「……話したいって言ってたけど、何だろ? もしかして告白っ!?」
 周りの目も気にせず一人で妄想を膨らませる和乃。
 幸い周りにはほとんど人がいなかったため、気恥ずかしい気分になることはなかったが、聞かれていたらただの痛々しい女の子、という判定になっていただろう。
 少し忠次の話に密かな期待を寄せていたが、やがて我に帰り、先程よりも大きな溜息をついた。
「……さすがにないよね、それは。話し始めて一時間も経ってないし、一目惚れなんてしないよね。……そんな可愛い方じゃないって自覚済みだし……」
 最初は自嘲気味に言って寂しさを誤魔化したものの、そんなものでは拭えない。
 自分で言って哀しくなったのか、妙に泣きたい気分に駆られる和乃。そこへ、横合いから声を掛けられた。
「どうぞ」
 声は忠次のものだった。彼は片手に一個ずつ缶ジュースを持ており、片方の飲み物を和乃に渡す。
 和乃はそれを受け取ると小さくお礼をする。缶のふたを開けようとしたところで、隣座った忠次の持っているジュースをじっと眺める。
 その視線に気付いた忠次が困ったような表情を浮かべながら、
「……何か?」
「えっ!? あ、いや、別に……」
 聞かれた和乃は上擦った声をあげ、焦りながら目を逸らす。が、ちらっちらっと忠次の持っているジュースを眺めている。
 大体のことを察したのか、忠次は持っているジュースを和乃に差し出し、
「交換しますよ?」
「……ありがと」
 自分のジュースと和乃のジュースを交換する。
 和乃としては、普通のオレンジジュースよりも炭酸飲料の方が好みである。そのせいで身長が低かったり、(主に胸の)発育がよろしくなかったりと彼女にとっていいことはないのだが。
 和乃はふたを開けて一口ジュースを口に含むと、小首を傾げながら問いかける。
「で、話って何?」
「……ちょっと気になりましてね」
 彼のその言葉に和乃は少しドキッとする。
 この場合の『気になる』とはああいう意味だろうかいやしかしついさっきまで自分でそういうのはないだろうなと思っていてそんなことがあっていいのだろうかしかし気になると言ってきたからにはそういうのを期待しても罪じゃないよね、などと和のが考えていると、忠次がこちらを真っ直ぐ見つめていることに気付く。そこへ、彼の言葉の真意を探る思考が上乗せさせられ、妙に意識してしまう。
 忠次は口を開く。
「……桜宮さん、ですよね?」
「……は、はい……」
「桜宮さんは僕のこと――」
 どう思いますか? という質問が来ると和乃は確信していた。
 どう答えようかと迷っていた。まだ好きとも嫌いとも言えない。だが、嫌いではない。よく見れば彼もそれなりにカッコいいと思うし、始業式の日に彼氏が出来るのなら、それが彼ならいいだろうと思ってしまう。
 彼の質問への答えを決め、彼の質問を和乃は待っ――

「僕のこと、怖いですか?」

 …………………………………………………………。
 は い ?
 それが第一の答えになってしまった。それもそのはず、自分が思っていた質問と全く違ったのだから。ちっとも惜しくすらなかった。
「……え、えと……」
 思わず悩んでしまう和乃。さっきまで怖いと思っていたが、話してみるとそうでもないことが分かった。これは正直に答えるべきだろうか、と考える和乃に忠次は、
「いや、教室にいる時から何度か目が合ったんですけど、すぐに逸らされていたので怖いのかなー、と」
 最早苦笑いしか出来ない和乃。
 自分の妄想力に哀しさを覚え、和乃はそこから俯いてしまう。


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