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エクストリーム・レジェンズ 〜絆の章〜

11:2013/07/28(日) 04:46:06 HOST:opt-115-30-141-24.client.pikara.ne.jp
第四乃告 されども夜空を流れる流星は、逃走者を嗤う

「……俺って力を悪用したらこんな事も出来るのか……いやいや、神の力って恐ろしい……。」

 此処は神社の上空、蒼髪の青年は葵達七人が石像の試運転に巻き込まれていることなど露知らず、一人自分の持つ力に恐怖心を抱いていた。そして……ふと自分の手元を見た時、ある事を思い出し大声を上げた。

「――しまった〜〜〜ッ!! コントローラーどこだ〜〜〜〜ッ!?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ん? 何か変な叫び声が聞こえた様な……?」

「今はそんな事に気を留める時間じゃないでしょ!? そこまでして殺されたいの!?」

「ゴファッ!? は、放せッ!! く……首が折れる……ッ!!」

 葵は突発的に、先頭で一瞬だけ立ち止まろうとした仁の首を引っ掴み、引き摺る様な形で走り出した。もし、そのまま立ち止まる事を許せば……石像の手によって、元の原型を留めない程のスクラップにされてしまうからだ。

「とにかく走りなさい!! そこまでしてアンタはミンチみたいなモンにでもなりたいの!?」

「い、いやそれだけは誰でも御免被るだろうが……。ん?」

 ぼんやりとした意識の中で、夜中に虚ろに不気味に浮かぶ緑の月を見ると……。妙な物が見えた気がした……。

――目の辺りが蒼く輝いていて、宙に浮かぶ人の影……

 不気味で奇妙な物が見えてしまった。その様に仁は考えたが、今はそれが本当かどうかを確かめるよりも、薄れてしまう意識を何とかしなければいけない意思が大きかった。窒息寸前にまで追い詰められた危険な状態を作った原因である、首を引っ掴んでいる葵の振り解き、何とか自分で走り出した。

「ゼェ……ゼェ……」

「どう? 少しは走って逃げる気になった?」

「ゼェ……殺す気か!? ハァ……俺を殺す気だったのか!?」

 仁は走りながら、葵に乱れた呼吸のまま問いかける。しかし殺す直前まで手を放そうとしなかった当の本人は……。

「さぁ……? 少なくともそんな気は一切無かったわよ?(棒)」

 この通り、見事過ぎる棒読みと知らん顔である。これには正直、仁も走る気が失せそうになったが、ここで簡単に野垂れ死ぬ訳にも行かない。そして、そんな土壇場な状況である事を考え付いた。

「二手に……二手に分かれて走るぞ! そうすれば……最悪片方一人は逃れられる筈だ!」

 そう言っている内に、二方向に分かれた道が見えた。それが見えた途端、ジンは……。

――葵の隣に並び、別れ道に差し掛かった途端、葵を自分の進行方向とは逆の方向に、力いっぱい突き飛ばしたのだ。

「え……?」

 余りにも早すぎる一瞬の事に、何が起きたのか理解できなかった葵。だが逃げる為に走る続ける足は、ペースが乱れはしたが、動き続けていた。

――どうして……? どうして……?

 そう考えたと同時に遅れた叫びが、空しく境内に木霊した。

「仁ーーー!!」

 その悲鳴にも似た叫びは、境内の上空まで響き、ある青年の耳にまで届いた。


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