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界螺旋聖・遠方見聞録

1彗斗:2012/11/12(月) 19:13:31 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
がいらせんしょう・えんほうけんぶんろくと読みます(漢字ばっかり&未完結の話を四つも作ってすみません……)

え〜と……まず初めに簡単にキャラとストーリの説明を……
ストーリー
ここは妖精、妖怪など様々な者達が混在している平和な世界、界螺旋聖世界。この世界は幾つもの顔がある表の世界とは反転した、ただ一つだけの世界。ここにあるただ一つの奉納の社に住んでいる一人の巫女「凰早 桜(おうさき さくら)」は自称ライバルと名乗る「紫室 爽(しむろ さやか)」などのやや風変わりな召喚師や妖精達と何気ない日常を送っていた……

と、そこに突如として強力な術者達が美波達の前に現れ、その世界の秩序を乱し始める……そこでヒマ潰しを兼ねて桜はやる気無しのまま異変の解決及び術者の能力封印に乗り出した……がその直後解決したまでは良いがその代償として利き手である右の腕を骨折してしまう……そして桜のおかげもあって、暫くの間平穏な時が訪れていた……

とある日の夜遅く、桜が一人で奉納の社の縁側でお茶を啜っている時、一つの青い流星が桜の住んでいる社の近くの裏山に落ちた……そこで何事かと駆け付けた爽と一緒に裏山に何が落ちたのか捜索する事にしたのだが……

ストーリーはここまでで、次に主要な登場キャラの説明です☆(他のキャラは章別に登場する人物が違っているので章が変わるたびにその他キャラ大勢は紹介していきたいと思います)

凰早 桜 (おうさき さくら)
性格面ではやる気の無さは見え見えな上、素直では無い所があるが根はとても良い娘。だが、異性に対しては素直では無いのが玉に傷……最近の悩みは爽を始めとする人間離れした輩が多すぎる為に、社の参拝客がほとんどいないと言う事。
服装は常にれっきとしていながらも比較的動きやすそうで、胸に大きなリボンが付いた巫女の腕の部分が赤で体の部分が白の和服。時々や退魔針、または封印札を持つ事もある。髪は艶のある暗い紺色の髪で腰の上あたりまでの長さがあり、前髪は髪留めで留めてあり、後ろ髪の一部結んでポニーテールの様にしている。目の色は同じく暗い紺色。
口調は典型的な少女の口調で、一人称は「私」。

紫室 爽 (しむろ さやか)
性格は後先考えないと言えば良いのか、一本義が通っていると言えば良いのか、よく分らない人物。だが、正義感が強いのと仲間思いであるのと活発でおてんばなのは、確かである。最近……と言うよりずっと悩んでいた事だが異変を解決する筈の巫女の桜がどうにかならないかと必死に悩んでいる様だ。
服装は胸に大きな対極印があり前から見れば白、後ろから見れば黒と前後ろで色が変わっている半袖の服である。また、いつも何処から取り出すのかは不明だがいつも召喚札や魔獣札を隠し持っている様だ。髪の色は煌めく群青色の髪の毛をツインテールにしていて、長さは足の付け根あたりまで。寝癖が付いている事もしばしばあるとか。目の色はこちらも髪と同じく煌めく群青色。
口調に関しては「〜〜だろ?」や「〜〜だぜ!」と言った様に男性っぽい口調が見受けられる。一人称は「俺」。

またか新しいのだしたのかよ……とか思っているのは痛いほどよく分りますが……生温かい目でも良いので見てくれたら幸いです!(それと……この話には他のシリーズにも出てるアイツが出るんですが……分りますかね……?)

2精霊:2012/11/12(月) 19:31:53 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
ケイトさん>>

ケイトさんの作品は、始めて読まさせてもらいます。
なので、「アイツ」が分かりません。いろいろと、教えてください。
それと、頑張ってください!!!

3彗斗:2012/11/12(月) 21:40:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
精霊さん>>
私の作品にある「パープルストリーム」と「ムーンクロニカルズ」に登場する中の誰かがゲストとして登場する三人に違いないです。

それと……色々とドタバタしておりますし、色々ミスがあると思いますがそこはどうか生温かい目線で見逃してくれたらと思いますm(_ _)m

4彗斗:2012/11/14(水) 20:28:14 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
プロローグ
一乃呪印 流星の降る夜に……
「お〜始まった始まった! 桜、なんか面白そうなモンが始まったぞ!」
「ん? なぁに爽……あ、珍しいわね。今は春だってのに流星群なんて……」
 ここは、界螺旋聖世にあるとある社、ここに数年前、この世界で最大の異変を解決した二人の少女が夜の縁側に座って突如降り始めた流星群を見物していた。
 向って右の正座している、いかにも和風美人と言う言葉が似合いそうな和服少女の名前は「凰早 桜」でその隣で胡坐をかいて座っている中国風の衣装を着た美形の少女の名は「紫室 爽」と言った。
 因みに元々二人には接点は全く無かったが、桜が鳳神の巫女で、爽が風来の召喚師だった事が幸いしてかしなかったか、二人は出会う事になったのだ。それからと言うものの、爽がこの地に定住して桜の家(奉納の社)を尋ねて来る事が多くなった為に今、こうして夜の縁側で二人揃って流星群を見物しているのである。
「でも……まあこうして流星を見ながらの花見もたまには良いよな?」
「まあ……アンタが言うならそうなんじゃないの」
 突然のライトアップに桜も満更ではなさそうだ、夜に人の町の光でライトアップされた桜を見るのはいつもの事だ。だが年に一回あるか無いかの流星群がこうも早く来るとは予想もしなかったのは事実である。いつもなら秋か冬の年末辺りの話だが今年は異様に早かった。
「しっかし残念だな……皆でドンチャン騒ぎが出来るかと思ってたんだが来たのは結局、俺だけか……」
「こ〜ら。そんなに人を悪く言わないの。皆だってあんたみたいに暇人じゃないんだから……」
 爽の悪口ともとれる言い方に桜の注意が飛ぶ。これと後もう二つに限ってはいつもの事、だが今は二人ともその気は無いらしい。
「今、見てる月見桜もこれはこれで乙だと思うわよ?」
「案外ロマンチストなんだな。お前は」
「何よ〜文句あるの?」
 そんなやり取りがお酒を酌み交わしながら続いていた……とその時、爽がある異変に気付く。何故か此方に向ってきている流星があるのだ。
「なあ、おい。あの流星、こっちに向ってきてないか?」
「……確かに。そんな感じがするわね……」
 そのまま二人は様子を見ていたが……明らかに巨大になって来ている。流石に巫女の桜もこれには焦っている様だ。
「……このままだったら確実にここにぶつかる!」
「ふふっ……なぁに、この爽様にお任せあれ!」
 爽は、悠然と立ち上がり何処から取り出したかも分らない召喚札を人指し指と中指の間に挟んでいた……そして、静かに解放呪文を唱える。
「魔衝門解放!! 魔撃双砲撃!!」
 とその札を地面に叩き付け呪印を展開した……すると彼女の左右から黒塗りの黒々とした大砲が現れ此方に飛んでくる筈だった流星を見事に二つの砲撃が打ち抜き、軌道を見事逸らす事に成功。そのまま流星は放物線を描きながら社の上空を通過し見事に裏山に着地した……
「へぇ……アンタも意外とやるわね。さて……問題はあの山の祠に流星が見事に当たって無い事を祈る他ないわね」
「様子、見に行くか?」
 冷やかしを兼ねて行っている事は見え見えである。何故なら……爽自身、暗い所と妖怪が大の苦手だと言うのは桜自身知っている事なのだから……
「それじゃ、行くとしますか」
「え……マジで?」
 どうやら爽は本気でやる気だとは思わなかったらしい、顔から冷や汗が吹き出ている……
「や……やっぱ止めようぜ? 今こんな時間だし……」
「あら、誰かしら?そんな事言ったのは」
 と言うようなやり取りをしながら半ば強制的に爽を引きずって桜は裏山へと入って行った……

5彗斗:2012/11/15(木) 02:51:20 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ここで一人目のゲストのヒントです。

「この話で出て来た『流星』って言葉。それでもう察しが付くと思うけどね……」

まあまあ桜ちゃん……自分と同じ価値観を求めたりしないの。

「あ、俺は分っちまった……でも、ソイツがもし今回のゲストなんだったら……俺ってしょっぱな酷い事したって事にならないか?」

強ち(あながち)間違いではない気がするけど……それは自分の責任だって言う事さっ☆ 爽ちゃんには責任は無いと思うよ☆

と言う訳で……一人目のゲストのヒントは第一呪印の流星と言う単語。これでもう分る方が大半なのではないでしょうか?(別シリーズの方でもこの表現を使っていますので……)

まだまだ始まったばかりではありますがこの二人組の活躍、これから長い目で見て頂けたらと思います!

「ま、私達の仲間はゲスト四人も含めてまだまだ増えるし……」

「結構、読み応えあるかも知れないぜ?」

こらこら、勝手に自分が出てる小説の自画自賛は止めなさい。ただでさえ駄文なんだから余計な圧力をかけるなっ。それと……あれ? 後一人いたの? ……あーそうか、アイツが居ないと締りが無いからね流石そこまで気が利くとは……鋭いね桜ちゃんは。

と言う訳でこの二人、凸凹コンビではありますが桜と爽、この二人の日常的に起こるバトルを見て頂けたら幸いかと思います☆

6彗斗:2012/11/15(木) 06:32:10 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
二乃呪印 言い訳と戯言
「いって〜……何だったんだ、今さっきのは……」
 地面に激突した衝撃でクレーターが出来てしまっている。その声の主は……どうやらクレーターの中に居る様だ。ムクッと起き上がり頭の砂埃を払ってみると……見事なまでに蒼い髪と瞳を持っている青年が立っていた。その蒼さは例えるならば流星の蒼とでも呼べばいいのか……
「あん? ここは……何処だ?」
 他にも流星が流れている星空の元、見た目が20弱の年齢の少年はここが何処かを探るべく一閃の蒼い光を残してそのクレーターのある場を後にした……
――――――――――――――――――――
「だぁ・かぁ・らぁ!! 俺は止めようぜって言ってるだろうがぁ!!」
「だから……何度も言うけどアンタがそんな事言いだしたんでしょ? それなのに何でアンタの方から止めようって言いだすのよ?」
 爽が桜に対して反対方向に進もうしている為に桜が爽を引きずっている様になっている……
 爽はそれでも桜とは反対方向……つまり社に戻ろうとしている。
「頼むから返してくれって!! 俺が苦手な物知ってるんなら今、この状況に置かれているのはお前の嫌がらせか!?」
「嫌がらせともとれるし一人は流石に危ないからいざって時の切り札とも取れるわよ?」
 さらりと爽の言い分を半ば無視した様な形であしらった後、桜は爽の腕を引いてなおも社を見に行こうとする……
「大体お前、腕は大丈夫なのかよ!? その腕で変なのに出くわしたら一層酷くなるぞ」
「私を誰だと思ってるの? もうとっくの昔に完治してるわよ」
 そう言いながら肩から提げて腕を吊っていた三角巾を取り外し包帯を解き始めた……その包帯を解く間、爽が逃げ出さない様に何処にあったのかは不明だが木の幹に縄で縛られていた……しかもちょっときつめに縛っていたのである。
「……っておいっ?! いつの間に俺は木の幹に縛られてるんだよ!?」
「そんなの決まってるじゃない。一瞬の内によ」
 それは答えになって無いだろ……と内心ぼやきながら包帯を完全に取り除くまで待っていた。
 包帯を完全に取り除いた右腕はそれでも少し関節の無い箇所が変な方向に曲がっている様な気がした……
「…桜? 俺にはそれはどう見てもまだ治療中の様な気がするんだが……気のせいか?」
 爽がそう呟いた瞬間、桜の右腕の折れている箇所が桜と紅色の呪印を纏って輝き始めた……そして腕にその呪印を纏わせたまま、桜がこう言い返した。
「アンタは私を誰だと思ってるの? 鳳玉の巫女をなめないで貰えるかしら?」
 そう言いながら右手を爽の前に付きだしたと同時に呪印が弾け飛びその光の中には……完治した右腕の姿があった。
 ま、これもいつもの事か……そう思ったのか爽は薄笑いを口元に浮かべて桜を見た後、縄を自分で解き腰に両手をあてて仕方なく呟いた。
「わかったよ、俺の根負けだ。今回ぐらいはお前に付いて行くとするよ」
「……そうこなくっちゃ、アンタらしくないものね」
 二人は道中でこんな会話をしながら裏山の社へと続く階段をのぼりはじめた……。

7彗斗:2012/11/16(金) 22:43:34 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
三乃呪印 風斬(カマイタチ)と流星
「……見ない顔。お兄ちゃん、どこから来たの?」
「何処からって……参ったなぁ……」
 青年は相手に困っていた……人目に付かない様に山を抜けようとしたのだが、いつの間にやら背後からこの年齢的には5、6の幼い少女に呼びとめられたのである。しかもこの少年、小さい子には滅法弱く相手をする事も滅多に無い為か接し方に困っていた……。
 とにかく話をしてみてここが何処かを聞くしかないと覚悟を決めたのか思い切って聞いてみた。
「俺は遠い国からやってきたからこの辺りがどんな所か知らなくてね、良かったら教えてくれないかな?」
 自分で思うのもなんだが我ながらよく出来たと少年は、自分を珍しく褒めた。その質問に首を傾げた少女は逆に質問をしてきた。
「この世界は界螺旋聖って言う一つだけの世界だよ? 他の何処から来たの?」
「え……!? じゃ…じゃあ俺は……一体何が合ってここに飛ばされて来たんだ?!」
 青年は、目の前に居る少女の言葉を聞いて当惑した。自分はつい先ほどまで指示された任務の為に時空回廊を使って進んでいた。が突如、時空回廊の壁に穴が空きその穴に吸い込まれてからの記憶が全くない……そして気が付いたらこの場所に墜落してこの少女と話をしていると言う訳だ。
「…お兄ちゃんまさか……きおくそーしつとかって言う奴じゃないの?」
「……そうかもしれない……こりゃヤバいな。このままじゃいつまで経ってもすら出来そうにないな……」
 本当に八方塞がりってか……と諦めかけていた時、少女がフッとこの様な事を呟いた。彼にとっては救いの一言だったに違いない。
「ひょっとしたら……鳳神のおねーちゃんなら……どうにかできるかも?」
「なっ……何って言った?! 何とかなるって言ったよな!?」
 最早、必死の形相で少女の肩を掴んで再度確認する。少女はうんと縦に頷きそれからこう言った。
「うんっ! おねーちゃんならこれ位の事は出来ると思うから……行く? おねーちゃんの所」
「あぁ! ヨロシク頼むよ。名前は……え〜っと何て言ったかな?」
「風斬 彪華って言うの。ヨロシクね、おにーちゃん!」
「あー……出来ればお兄ちゃんじゃなくてメテオって呼んで欲しいんだけど……」
「うんっ! 分った!」
 彪華は元気良く言って頷いた後、彪華はメテオの手を引いて社の元へと急ぎ始めた……

8彗斗:2012/11/16(金) 23:15:59 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
はいっ! ここで登場しました最初のゲストは……突如として現れた流新星、メテオです!!

「……でも何で俺が?」

大抜擢された理由については……今後の考えている事もありますので伏せておきます。

「いや、誰も聞いてねーよ?」

確かに爽が言った通り先輩にあたるメテオにしょっぱな酷い事をしたと反省しておりますがこれは明らかにメテオの責任です。(完全無視)

「何でそこで無視なんだよ!? しかもなんでこの作品のキャラだけ扱いが良いんだよ!? 桜と爽は特に!」

思い入れが強いキャラだからです。それに他にも性格も良いしよく出来た娘達だからさっ!!((キリッ

「……正直、ギ―クの兄貴もこっちのキャラになれば良かったのにな」

ま、そんな事はさておき……色々と関わる事になるであろう準メンバー「風斬 彪華」ちゃんの紹介です☆(今度も一切触れず)

風斬 彪華
性格は至っては、無邪気で少々天然が混じり気味の可愛げのある5、6歳の女の子。三乃呪印にもある様に通称カマイタチ。風で何でも斬り裂く特異能力を持っている為、桜からはそう呼ばれている。何より恐ろしいのは幼いが故、斬り裂いても良い物と悪い物の判別が付かない。その為か時折怒りだし辺り一帯を全て斬り刻み滅茶苦茶にしたりもする、憎めないトラブルメーカー。
身長はメテオの足の付け根辺りで桜の腰の高さ。髪の色はいわゆる縹色で瞳も同じ。因みに髪の長さは肩辺りまで。服装と髪型は至ってシンプルで、服装は桜を意識しているのか同じ様な服装で、髪はそのまま下ろしている。たまに口調の特徴としては「お姉ちゃん」を「おねーちゃん」と伸ばして呼んだりする単語がある。一人称は「あたし」。

この子は他の作品に出てるリーズとラグよりも可愛くてね〜❤ 私的に見たら彼女は小さいアイドルですっ☆

「だが、裏を返せばおぞましいまでの殺傷能力を持った恐ろしい兵器にもなりかねん人物だな……俺も注意してないと、あっと言う間に三枚下ろしにされかねないな」

失敬な!この子は物怖じをしない我慢強くて可愛い子です☆ はぁ〜書いてる作者も癒されるとは……あっちの可愛げのない奴等とは一味も二味も違うなぁ〜〜☆

「……このまま放置してるとバカ野郎が永遠と喋ってしまいそうなので今回はこの辺で……またな☆」

9彗斗:2012/11/29(木) 19:56:32 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
四乃呪印 時を超えた出逢い 〜流星と巫女と召喚師〜
「結局何ともなかったじゃねーか!! 何で俺まで……」
「あ〜もう煩いわね! 大体何かあったら困るだけでアンタを連れて行ったのに……」
「それは俺にとっちゃ迷惑なんだよ!!」
 先程から言い争いを繰り返している桜と爽、その様子を物陰からこっそり見ていた二つの影が密かにコソコソ話をしている。
「ほらあっちの和服みたいなの着てる方が鳳神のおねーちゃんだよ」
「成る程……んで、あっちの中華風の服を着てるお嬢さんは……?」
「爽おねーちゃんだよ。でも……何か嫌な予感がする……」
「嫌な予感? 何か始まるのか?」
 怪訝に思ったメテオは彪華に聞いてみた。すると彪華はじっと黙って二人の方を見ながら短くこう呟いた。
「それは、見てればわかると思うよ」
「……?」
 訳は分らないが一応メテオもジッと神社の物陰から二人の言い争う姿を見物する事にした。
 嫌な予感とは果たして何なのだろうか……?
「そこまで言うなら力ずくにでも……!!」
「へっ! 力ずくでも良いぜ。そう言うのは嫌いじゃないからな!」
 見物を初めて僅か数秒で桜が封印陣を構え、爽は召喚札を構えて戦闘態勢に入っていた。その雰囲気からしてとんでもない殺気と覇気が伝わって来る……その場の雰囲気にはある種の恐怖も感じられるほどだった。
「これが……嫌な予感って奴か?」
 そうメテオが彪華に問いかけると言葉も無くジッと二人を見つめたままコクリと頷いた。
 そして二人の居た方向に目を向けると……!?
「き……消えた!?」
 二人揃っていないのである。今さっきまでその場に居た筈なのに風の様に消え失せてしまっている……彪華はふとこんな言葉を漏らした。
「多分……決闘場に行ったかも」
 その言葉を残した後、彪華はパタパタと足音を立てて走り出した。慌ててメテオも後を追う。
(全く……この様子だと俺は、とんでもない寄り道をしたみたいだな……)
 と少々後悔も混じった思いを胸中で呟いた。
―――――――――――――
「へへっ。怪我を無理矢理直した直後だが手加減はナシだ!! 早速行くぜっ!!」
 決闘場についた途端、爽は二枚の召喚札を地面に叩き付け、解放呪文を唱える。しかし一方で桜は既に印を結び、札に宿る能力を解放していた。
「っ! 現想門開放!! 黒霧斬慄奏!!」
 呪文を唱えたと同時に爽の周りに黒い霧が立ち込める。そしてその霧から無数の銀色の塊が高速で飛び出してきた……その銀の塊とは、短剣だ。そのナイフで出来た壁は真っ直ぐに桜の方に向ってくる。だが桜は恐れる素振りも無く札を一振りした後、小さくも力強い声でこう言った。
「八卦呪印、天聖壁・餓狼!!」
 その瞬間無数に飛んでいた短剣は散り、後形も無くなった。その様子を見て、地団駄踏んでいるのは爽の方だ。
「ぐやじぃ〜っ!! ならこっちはどうだっ!! 天狼・砕琉陣!!」
 その呪文を唱えて彼女の手元から召喚陣を介して出て来たのは……巨大な銀色の毛を持った狼だ。少なくとも彼女等の20倍はある大きさの狼である。常人なら尚更、メテオでさえもこれは倒すのは難しいと考えた程の巨大さである。
 だがこれにも桜は動じない。爽による攻撃命令が出されたとしても同時もせず唯、そこで印を結んでいる。
「封壁・螺旋門!」
 その門が彼女の後ろで開いた途端に狼は吸い込まれてしまった……この門は本来、一昔前に暴れ猛っていた式神を封じる為に設計された神道術である。これを見て今度は地面に両手をついて落ち込んでいるのは勿論の事、爽であった。
「……何でなんだよ!? どうしてこうも簡単に……ある種の感動って物を覚えてしまったぜ……」
 涙目になっている爽は顔を上げてスクッと立ち上がると最後の悪足掻きに出た。特大の召喚陣を地面に展開している……これを見てか爽もとんでもない量の封印呪文を唱えていた……
(コイツは不味いっ!!)
 メテオは直感的にそう察知してその場から駆け出した……その時! 二つの技がぶつかろうとしていた……
「気焔紅烈波!!」
「皆紅・塵雪双牙!!」
 その間にメテオは、自ら入り込みそして……
――――ズパァァァン!!
 その二つの衝撃波を見事に打ち砕いてしまったのだ!!

10彗斗:2012/12/02(日) 01:11:16 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
あ、文法的にこれはおかしいので訂正入れときます。「これを見てか爽は」ではなく「これを見てか桜は」でした!
――――――――――――――
五乃呪印 異変の予兆……?
「なっ……何だよいきなり……!?」
「……アンタ、私達の技を受けて立ってられるの? ま、それならそれで良いんだけどね」
 至って乾いた様な接し方をす桜と若干動揺している様に見える爽は同じ様に彼女達の間に入って来た砂煙に隠されている人物をジッと見ていた……と言いたいところだが桜に関しては明らかに睨みつけているとしかみなす事ができない……。
「……ここでこんなのしてしまえばお互いどうなるか分った物じゃねぇのもこの技を使った自分自身で分ってる筈だと俺は思うがな」
 ここまで言い終えた後、腕の一振りで空中に舞っている砂煙を払い除け言葉の主は姿を見せた。蒼い髪と蒼い瞳、そしてその蒼い瞳の視線が右から左へと移る様子を見ると、流星が夜空を流れる姿を連想してしまう程、澄んだ瞳を持った少年だった。
 その少年を見た直後、爽は怪訝に感じた。簡単な事だ、目の前の人物は唯者じゃない気配を感じとったのだから。そしてその蒼髪の少年に一つ聞いてみた。
「……いきなり何処とも知れずにやって来て、俺達の技を掻き消して……お前は一体何者なんだよ?」
 その問いを聞いた後、少年は爽の前に瞬時に移動した。そして、蒼い双眸で爽をただ無表情にジッと見つめる。その様な目で見られたら誰だって動けるものではないだろう。そして数秒立った時、少年は口を開いた。
「俺の名はメテオ。色んな世界を放浪としている者なんだ。ただ、ひょっとした事でこの世界に落ちてしまったんだ。誰かこの世界を出る方法を知ってる奴を知らないか?」
「そ……それは俺より桜に聞いた方が早いって! な、なぁ? 桜!」
 異性と言う事もあってかどうかは知らないがいつもの爽と比べると、しどろもどろになっている。メテオは、爽の言葉を聞いた後、ゆっくりと桜の方向に歩を進め始めた。
――ザクッ……ザクッ……ザクッ
 同じリズムで刻まれる足音、彼の足が刻むその音だけが静寂を破っていた……だが、歩きながら桜に問う言葉は爽に掛けた物と同じ、無感情な言葉だった。
「一応聞くが……俺は如何したらこの世界から出る事が出来る?」
 結界の守護を任されている上、この世界に関しては誰よりも詳しい筈の桜にも分らない事が一つあった。それは……自然と彼女の口からポロリとこぼれ出て来た。
「……本来、アンタみたいな人間はこの世界には落っこちて来ない筈なんだけどね……それに落っこちたら最後、ここから出る事はほぼ不可能よ」
「? それはつまり……」
 メテオはその言葉を反芻した、その言葉に合わせて桜も頷く。
「そう、アンタは表世界から裏世界であるここ、界螺旋聖世界に迷い込んだのよ」
「……やっぱりか、通りで見た事がある景色だ」
「? そんじゃお前……ここに来た事があるのか?」
「あぁ、とても昔の話でな、関わった人の事はすっかり忘れたよ」
 メテオは悲しみと懐かしさが入り混じった様な視線で上方に広がる大きな大空を見上げた……

11彗斗:2012/12/02(日) 22:36:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
六乃呪印 ふざけた事実と真面目な空想
「……それなら、また当分この世界から別の世界に放して貰えそうにないな」
「! まさかアンタ……あの言い伝えの……!?」
「あぁ、そうさ。俺はこの神社……だったかな? に祭られている空から降って来たとか言う伝説が残ってる流星石に宿っていた護神「流星神 メテオ」だ」
「ほえ〜っ! コイツが桜の言ってたこの神社の氏神様か……ずいぶんイメージと違うな」
 驚く様な素振りを見せる爽を隅において、桜はジッとメテオを見た。伝記書物に描かれていた顔と、ほぼ完璧に一致していたからである。まじまじと、顔を見つめて来る桜を見てメテオはクスリと笑った。
「何よ。何か可笑しいの?」
「いや、別に。こうも神として数兆年も生きてりゃ俺の知り合いに似た奴に出くわす事もあるもんだなーって思ってよ」
 そう言いながら彼の頭の中に浮かんだのはリアスの顔だった……。確かに似ていると言えば桜の気が強い所以外ならほぼ全て当てはまる。そこの点についてメテオはクスリと笑ったのだ。
 それと後一つ、文と手を打って思いだした様にある人物の名を訪ねて来た。
「そうそう、思いだした。玲沙さんって人を知らないか? この世界に住んd……」
「その人ならもう何処かに行ってしまったわ。娘のこの私を置いてね……」
 桜は本名を知っていた。メテオが言っている人の名前は「凰早 玲沙(れいざ)」、因みに彼女の母だ。父は彼女が巫女の家系である事を知り、桜が産まれた年に離縁していた。巫女と言うのは、基本嫌われるものだ。殆ど人と喋らず、人里離れた場所で巫女として暮らしているのだから変わり者扱いされて当然だろう……。
 勿論の事だが桜は、母の能力を受け継いで生まれて来た為、巫女として修行を積んできた……のだが実の母よりも呪印を解放したり、封印したりする巫女としての必要な才能は遥かに上だった為、修行の期間は本来の四分の一程度で済んでしまったのだ。
「そ…そうか。悪い事聞いたみたいだな……すまなかった」
「いや、いいのよ。元から居ない様なものだから……別に」
「とか言って、ホントは寂しいんじゃないのかぁ?」
 とか言いながら不意に冷やかし気味に肩を回してきたのは爽である。いつの間にやら隣に彪華の姿も見えた。いきなり問われた事だったので、戸惑いを隠せず動揺したままウソを言った。
「べ…別に寂しくは無いわよ。もう物心ついた時からアンタや彪華が周りに居たから……」
「ほう、そりゃたいそうな大ボラだな」
 そう言いながらメテオはジッと逆に見つめ返してきた。流石に直視できなくなり桜は眼を逸らしたが彼からの視線がまだ此方をさしていた。
「俺はお前の事をたった今、思い出した。そう言えばお前がまだこの位の時だったかな」
 と言いながらメテオは自分の掌を、彪華の頭と同じ位の高さに合わせた。爽は彪華と同じ位の身長と聞いて目を真ん丸にして聞いて来た。
「おいおい……それじゃ俺達が6、7歳位の事なのかよ?」
「あぁ……話したい事が沢山あるんだがここじゃ何だしな。神社の方にでも行くかな」
「えぇ、そうしましょう。彪華、今日はもう遅いからもといた所に帰りなさい」
「は〜い!」
 こうして彪華は帰ってしまったが、三人は過去に起きた話に花が咲き。結局、夜中を過ぎても寝なかったのだとか……

12彗斗:2012/12/06(木) 21:21:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
七乃呪印 深蒼天空
 あれから数分経って皆がコテッと寝入った頃、メテオは社の屋根の上で一人、盃を傾けながら夜空に流れる流星をバックに照らされた桜を見ていた。
 そして、ぽつりと独り言を呟いた。
「あの時と殆ど変らねぇな。この世界ってのは」
「そうですね。殆ど変わりませんよこの世界は」
 ギョッとして後ろを振り返るとそこには……人の姿はしているものの、白の翼と黒の翼の大小ニ対の翼を持った深蒼色の髪の少女らしき人物が浮遊していた。
 メテオは怪訝に感じながらそのまま盃の中に入っていた酒を飲み、顔をその人間らしき少女に向け声をかけた。
「一つ聞いていいか? 他人の独り言を聞くのはあまり良い趣味とは言えないと思うがな。んで、アンタは何者だ?」
「私は……。『夢代 馨』。」
「夢代 馨? 初めて聞く名前だな……」
「私の正体は時期に解ると思います。でもこれだけ一つだけ言わせて欲しい事があります」
 その馨と名乗る人物はそこで話を切り、小さい声でこう呟いた。
「……助けて」
「……? 今なんて…!」
 再び聞き返そうとした時、突然強い風が吹き桜吹雪がメテオの視界を遮った。そして数秒たってまた少女が居た方向を見ると……居なくなっていたのだ。
(……一体何だったんだろうか……あの馨とか言う奴は……)
 変に思いながらメテオは盃を傾けたがあまり桜を見る気になれなくなっていた。そこで桜を見るのは止めて眠りにつく事にした。
「……全く、何ちゅう寝相だこいつ等……」
 この二人の寝相は最悪と言う言葉が似合っていると言っても過言では無い程の状態になっていた。
 暫くこの二人を布団につかせて寝相をマシな形にした後、メテオも睡眠を取る事にしたいのだが……
「あ、俺の布団が無いじゃん」
 と言う事で障子にもたれて寝る事に、こんな夜中でも桜は散る事を止めようとしない。その様子を見てメテオは一つの短歌を詠んだ。
「散る花に 吹けば咲くぞと 夜の華 振る星見据え 何を思う……か」
 そしてそのまま優しい月の光に照らされながら眠りに落ちた……

13彗斗:2012/12/08(土) 15:28:03 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
八乃呪印 異変への誘い
――スパン!!
「痛てっ!! な……何すんだよいきなり!?」
 悲鳴にも似た口調で衝撃を加えられた場所をさすってみると、ほんのりと熱を帯びていた……恐らくビンタを喰らった所為で赤く腫れているのだろう……
 だが、仮にも自分の神社の神様であるメテオにビンタを喰らわせた張本人である桜は、平然とした態度で開口一番、メテオにこう言ってのけた。
「いつまでも寝てるからよ。それにアンタが寝てる所は通路だし、邪魔だったからビンタして起こしてやったのよ? 普通感謝ぐらいするもんでしょ?」
「一体何処の誰がこんな事して感謝するかっ!? おかげで叩かれた所が赤く腫れ上がってるじゃねーか!!」
 ヒリヒリと痛むのか、ビンタされた方の頬をさすりながら噛みつくような勢いで桜に言い返す。だが桜は引くどころか一歩前に寄ってくる様な勢いでメテオに言い返した。
「元はアンタがそんなところで寝てたからでしょ! そんなことしたって構わないじゃない!!」
「お前な……俺の布団とかも用意しとけよ。あの時なら用意できただろうが!」
「そこまでだぜ! 二人とも落ちつけよ?」
――ガラガラドーン!!
 一向に両者が譲らない為、爽が仲裁に入る。それでも止まない言い合いを無理矢理止めるかのように、外で何か大きな音がした……
「な……何だ今の音……?」
「な……何か大きなものが落ちたみたいだぜ? 桜行ってこいよ……」
「い……嫌よ!! 私だって朝早くから気味が悪いし……」
 先程の言いあいから一変、三人はあれこれ押しつけ合いをし始め、結局出た結論は……
「仕方が無い。ここは全員で様子を見に行くって事で良いな?」
「はぁ、結局こうなるのかよ……」
「仕方ないわね。それじゃあ行くわよ」
 桜は二人を連れて玄関に進み恐る恐る扉を開けてみた……するとそこには……信じられない光景が広がっていたのだ!!
 驚いた桜は玄関から飛び出し、茫然とその光景を眺めていた。
「え? う……うそ……鳥居が……鳥居が……」
 その言葉につられて爽もメテオも飛び出してきた。桜は玄関を飛び出した途端、真っ青な顔になっていた。それは無理もないだろう。何しろそこに広がっている光景は……
「……なぁ? メテオ。あんな岩、どうやったらあんな所から落ちるんだ?」
「さぁ……それはその落ちた経緯を見れば大体察しがつくけどな」
 メテオ達も正直この光景には茫然とした。
 茫然としても無理は無いだろう、桜達の目の前に広がっているのは……何処から落ちたかもわからない巨大な岩に押しつぶされた無残な鳥居の破片がゴロゴロと転がっているだけなのだから……

14彗斗:2012/12/13(木) 00:38:14 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
九乃呪印 四つの世界
 二人は現状分析が出来ていない為か、あまり行動できていない。
 とその時、メテオが見えにくい場所に変な気配を感じ、その方向を見やると……その先に、砂埃を被った人が倒れていたのだ!
メテオはその砂埃を被った人物に近づき、そっと抱き起こす。どうやら青磁色の髪の人物は、顔立ちや服装からして女性だと分った。ただ……その服装は何処でも見た事は無い様なデザインや柄が付いていた、どちらかと言うと和風に近い印象が残る物である。
 世界を所狭しと飛びまくっているメテオも目にした事は無い物だった。これに近い物や酷似した物は幾らでも目にしているがこの柄は明らかに他のその他大勢の物とは違っている物だった。
 だが実際の所、彼の兄が持っていた書物で一度だけこの様な柄を目にした事があった事をフッと突発的に思いだした。
(そう言えば……兄貴が持ってる書物にもこんな柄の服を身に付けている女の人の描写があった様な……)
 そう思い、メテオが考え事をしている最中に彼女がゆっくりと目を開けた。その双眸はジッと見つめると目の覚める様な鮮やかな鶯色の双眸だった。そして考え込んでいたメテオに少し遠慮がちに話しかけた。
「あ…えっと……すみません」
「ん? あぁ、目が覚めたみたいだな。ところで……名前は?」
 メテオは一応、記憶喪失の場合も考えて名前を聞いてみた。すると思ったよりもすんなりと彼女は名前を答える事が出来た。
「私ですか? 私は「鷸谷 穹(しぎや そら)」って言います。えっと……貴方は……?」
 答えるのに時間がかかるだろうと考えていたメテオは、思ったよりも早く返答して来たのに気が付かず、少し考え事をしていた。だがすぐに彼女の疑問に気が付き、慌てて自己紹介を始める。
「ん? あぁ、そう言えば俺の自己紹介が未だだったかな。俺の名は「メテオ」。自由気ままにあっちこっちの世界を放浪としてる者さ」
 その放浪と言う単語に敏感に反応したのか彼女は胸元で手を組んで鶯色の瞳をキラキラとさせ、メテオにまた問いかけて来た。
「えっ!? 色んな世界を……! それをぜひ聞かせて欲しいんですが……って言いたいところですが、今はそうもいきませんよね。それに書き留めておく道具も持ってないし……」
 そう言いながら彼女は小さく舌を出してメテオに向ってウインクした。一瞬だけメテオは何か胸につっかえる様な感覚が覚えたが何かは分らずに、何も言う事は無かった。代わりに別の質問を問いかけてみた。
「まぁそう言う事になるな。ところで……お前はこの大きな岩が何か知ってるか?」
「あぁ、それですか? 私の住んでいる仏界(ぶつかい)の土台ですよ」
――ズッ!!
 一瞬メテオは前につんのめってこけそうになったがそこを堪えてまた新たな疑問を問いかけた。
「え〜っと仏界ってのは一体何なんだ?」
「あ〜…そう言えばメテオさんはこの世界に来た事無いんでしたっけ? 簡単に言えば……」
 おもむろに穹は地面にそこ等にあった折れた木の棒で絵を描き始めた。それによると……
 この世界、界螺旋聖世界(通称 螺旋界)は仏界・人界・罪界・死界と言った大きく分けて四つの構造によって成り立っている。
 先程の話にも出た、仏界(ぶつかい)は主に神仏などが住まう所だとされていて、逆に罪界(ざいかい)は人魂や冥人(死んだ人)が集う場所とされている。一方で、此方は名前の通りなのだが、人界(じんかい)は生きている人間等々が暮らす世界だと言うのだそうだ。
 だが例外的に扱われるのは死界(しかい)と呼ばれる世界である。この死界と呼ばれる場所は基本的に荒れ果てており数多の世界との交流を撥ね退けて来た世界なのである。どうして撥ね退ける事が出来たのか……それはこの世界に暮らしている者たちによる者の為である。その事についても穹は詳しく教えてくれた。
「この世界の人間はこの死界の人間、即ち「死神」が此方の世界に訪れている姿を見た瞬間、その者の魂を刈り取り、死神の世界に帰ってしまうと言う事なんです……」
「死神か……何か心当たりがある様な無い様な……ついでにその世界の名前も聞いた事がある様な無い様な……」
 メテオの脳裏にチラッと横切ったのは、とある鋭い爪が複数本生えた黒い翼を持つ人影が三人……そいつ等の世界とは別だろうと頭からその考えを振り落として彼女の説明に耳を傾ける。
「後、この世界にはそれぞれの世界に通じる穴が三つあるとの話です。私は見た事はありませんが……っとそう言えば一番聞きたい事を忘れていました。何でメテオさんはこの神社に姿を現したんですか?」
 そう言いながら思いだした様に穹はポンと手を打ち、それに答える形で、メテオはそっと彼女に耳打ちをする。
「あ……そう言えば穹にはまだ話して無かったな」
 メテオはそう言った後、彼女等と出逢った経緯をおもむろに話し始めた……


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