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永遠に変わらない心、変わらない誓い
7
:
上総(カズサ)
:2012/10/28(日) 11:31:35 HOST:zaqb4dc9d7e.zaq.ne.jp
side海/この景色は変わらず
『準備は出来たみたいだな』
私と皐月が部屋から出て来ると、もう朝食の準備が整ったらしい蒼生の姿があった。
待ちくたびれたような表情が少し見えたが、いつものように必ず私が出てくる前には準備を済ませ、ちゃんとここに居てくれる。
黒髪に黒い執事服がキッチリと身だしなみとなっている。思わず毎日見ているはずなのにドキドキするのは、いつも夢を見て目がようやく覚めたときだった。
――彼は前世で私と会ったことを知らない。私と恋人同士だったなんて思わない。だけど私にはあの日々が夢となって呼び覚まされている。それは何故なのか、私自身でも分からない。
『今日の朝食はベーコンを包んだマフィンと、ケーキとスコーン。それにキドニー(羊の腎臓)のソテーに紅茶はアッサムです。』
『ちゃんと、海の好きな物がある!流石、アンタも小さい頃から海と居るだけのことはあるね。言えば、私たちって幼馴染み的な関係だし』
『紅茶、おいしい』
光が当たるバルコ二ー。
そこはいつも私が朝食を摂る特等席でもあり、そこから見える庭の花壇や噴水は昔見た景色とあまり変わらない。もちろん、変えることはずーっと拒否しているのでメイド達は手入れ以外触れても居ない。
だけどお父様と見たこの景色は今とは違い濁った風景が目に映る。今はこんなに奇麗なのに誰かと見るこの光景が全く異なるのは、きっと私にとってこの2人が掛け替えのない人達だからだと思う。
蝶々が二羽飛んでいる。太陽が私に向かって照りつけるように叫んでいる。風が私に当たりたいのか、ざわついている。
ふと、さっきの皐月の言葉を思い出した。
2人が話しているときに観賞に浸ってしまい、紅茶の味と景色に見とれて2人の話に似つかない言葉を言ってしまった。
私たちは――幼馴染み。
そうなのかも知れない。いつの間にか、隣に側にいる時間が当たり前になっているからこそ、ふと気付くこと。特に蒼生とは赤ん坊のときから一緒だった気がする。
蒼生はこの屋敷に勤める執事長が叔父のうえ、世代で交代に継がれている。今は先代が亡くなったので蒼生のお父様がここの執事長として、あのイスに座っていて色々と指示など行ってくれている。
執事長が厳しいからこそ、この屋敷はいつも奇麗で美しい。散り一つ落ちていなくとても奇麗だった。花も毎日変えられ、健康や経営するときの気配りなども完璧。私は蒼生のお父様が大好きだった。
正直、蒼生のお父様が私のお父様だったら。なんて思ったこともあった。彼も私によくしてくれた。
皐月だってそう。
初めて会ったときは、あのとき。私は名前も知らなかったのに抱きしめてくれた。一人になりたかったのに不思議と腕の中に入って泣いていた。
それは私にとって大きい何かが壊れそうで辛かった。だけど、皐月が最後まで強く抱きしめてくれたから今の私が居る。それに私のあのときを誰にも言わないで笑顔を私にくれる。
それだけで、心は温かい何かが込み上げて来る。
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