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永遠に変わらない心、変わらない誓い

10上総 ◆Dg4hSzxcdc:2012/11/03(土) 09:19:43 HOST:zaqb4dc9d7e.zaq.ne.jp



     side蒼生/長い時間



『お疲れさまです。海お嬢様、今日の商談はどうでしたか?』
少し疑問が残り、違和感を持っている表情をしながら俺の方へと進んでいる彼女に声をかけた。たぶん、声を掛けなかったら気付かずにスルーされたと思う。
それは少しキツい。満更、向こうはどうも思っていないだろうけど俺はずっと見て来たつもりだ。




『――別に普通。とりあえずイースターのことをもっと徹底的に調べたいから今日もこの部屋に隠るから夕食要らない。』
――――嘘を付いてるな。
これは彼女のクセ。誰にも自分の弱さを見せない為につく嘘の仕方。幼い頃からの付き合いだからこそ分かること。
何でも一人で考え、行動する。それは何故なのかは聞いたことは無いが、それは彼女自身の覚悟だと思っている。家系のこともあるし、仕事もこなす。それは小さい頃からの当たり前だった。
外で遊ぶことさえ許されなかった時期も合った。この小さな屋敷に閉じ込められ、小さな窓を覗く時間さえ無かったあの日々――考えただけで俺は苦しくなる。




思わず本音が少し出てしまった。

『集中すると何も受け付けないですからね。ほんとに貴方は一人でやろうとするんですから。たまには俺を頼って下さいよ、俺がここに居る意味考えて下さい』
『私は十分蒼生を頼ってる。・・・もしかして、もっと頼って欲しいってこと?Mなの?』

Mだと・・・?
たまにズレたことをいう彼女に大きい石が背中から降って来たような重さを俺は感じた。これが俺の本音だと分かっていない。
本当は凄く頼って欲しい。辛さも悲しみも嬉しさも何もかも、全部、全てを受け止めたい。だが、それ以上を求めることは許されない。それは身分でわきまえているつもりだ。
キョトンと見つめる彼女についつい言葉が熱くなる。



『そんな訳あるか。ただ、アンタは自分一人で詰め込める方へと持っていくからたまには誰かを頼れってこと』
『敬語抜けてる』

真顔で注意を受けられた。
幼い頃は身分とか全然考えてない幼い頃だったから、普通に敬語なんて使っていなかった。否、これから先使うことになるなんて思ってもいなかった。
傍に居て、少しの時間だけでも笑っていて欲しい。それが俺の唯一の今の願い。



『あ、ヤベェ。親父に見つかったら殺される。・・ま、とりあえず体には気をつけて下さいよ。』
彼女に気付かれないように。俺の気持ちはもう一生届くことの無い感情を隠すように俺はその場から逃げるような言葉を出した。
もうすぐで彼女も婚姻を結ぶ歳になる。それまでは、俺が傍にいますから・・・そういう思いをのせて、彼女の頭をポンっと撫でた。小さい、柔らかい頭に。


それから俺は彼女と正反対の道をゆっくりと、進んで行った。


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