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―ヤサシイコト―

9鳳凰:2012/08/26(日) 09:27:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 紫呉が火事現場に着くと、もう数人の野次馬が群がっていた。 紫呉は、人を上手くよけ現場保存のテープが貼ってあるところまで行く。

 「……コゲ臭…」

 紫呉はとっさに鼻をつまむ。

 火事が起こっている現場は、3人家族らしく、家の塀についている表札には3人の名前が掘られていた。

 「悲しいことねぇ。まだ子供は生まれたばかりだっていうのに」

 紫呉の隣にいた、少々太りがちの女性が、近所友達らしい、同じぐらい太っている女性に話しかけた。 

 紫呉は、火事の起こった家を見つめる。 2階建ての意外と大きな家だ。 だが、3人家族だったら丁度良い広さかもしれない。 ジッと、固まったように火事の起こった現場を見る。 すると、

 『……て…』

 一瞬だけ。 一瞬だけだが、確かに聞こえた。 紫呉の耳には確かにその声が。

 (助けて…)

 その言葉。

 『…けて……た…すけ…たす……』

 紫呉の耳にその言葉は引っかかる。

 「……ごめん…」

 紫呉は少し驚いたがすぐに、つらそうな顔になりうつむく。

 「俺は、お前のことを救えるほど強くねぇ……」

 そう言って、紫呉は施設に引き返した。


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