―ヤサシイコト―

30：鳳凰：2012/09/01(土) 15:46:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net: 　――――

　「…おい、ガキ！…一体どうなってんだよ！あの化けモンは一体何なんだよ！！」

　『先ほども言ったであろう。悪霊だ』

　影楼は紫呉の手を引きながら、質問に答えどこかに走っていく。

　紫呉の方は必死に影楼の足に合わせている。

　『だが、あの悪霊は見たところ死後５０年以上は経っている。今は悪霊というより「完全な化け物」と言った方が良いがな』

　横目で後ろを見ながら、影楼は走り続ける。　すると「だ、第１戦力！！」と声がかかってきた。　

　その声は、影楼たちの隣の建物の曲がり角の方から聞こえてきた。　影楼と紫呉がそこに目をやると白い服のフードをかぶった男がライフルを両手に構え立っていた。

　「一体どこに行っていたので『ちょうどよかった、貴様契約陣をはれ』

　影楼は男の言葉をさえぎる。　言われた方の男は「はい？」と言いながら聞き返す。

　『何だ案外、容易く了解をとってくれるものだな』

　「イ、イエ、これは完了の言葉ではなく『分かったらあの男に伝えろ』

　今度は歩いて、影楼は男に近づき、紫呉を男に放り投げる。

　「うお！……ってーな、ガキいきなり何しやが『影楼』

　影楼はズンと紫呉の顔に自分の顔を近づける。

　『それが儂の名じゃ。その耳に焼き付けておけ』

　(耳なんかには焼き付けられねぇよ…)と紫呉は心の中で言いながら影楼を呆れた目で見る。

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