―ヤサシイコト―

23：鳳凰：2012/08/28(火) 20:35:55 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp: 　『して？そこで落ち込んでおる、男が光と影の間に生まれな赤子か？…』

　影楼は、箱の上から地面に飛び移り、紫呉を指さしながら、水湖と添の二人に聞く。

　『影楼！アンタ何でこんなとこに居んのよ！！？』

　『何度も言わせるな。儂はその男の顔を見に来たと申しておるのじゃ』

　きつく言う水湖に対して、影楼はあっさりと言葉を返す。

　『それにしても…』

　影楼は愕然とする紫呉の顔近くに歩み寄り小さく言葉を続ける。

　『主のような者が光と闇の間に生まれた者と「ハハハ…」

　影楼の話をさえぎって、紫呉は心のこもっていない笑いをもらす。

　「一体、全体、何なんだよこの夢みたいな現実味のたっぷりある状況は…」

　紫呉はため息交じりに、そう言うとうつむきながら顔を上げる。

　「４時間ぐらい前までは、普通の１７歳やってたんだぜ？そんな俺に「悪霊」だの「魂霊」だの「化け者」だのと言葉を並べられて、今にでもぶっ倒れそうなのによぅ…」

　もう呆れの言葉しか出てこない紫呉。　添はその光景を見て自分も悲しい気持ちになる。

　『…主は自分をどう思っておるのだ？』

　影楼は頬ずえを付く。

　「………んなの決まってんだろ」

　紫呉はスッと顔を上げ、影楼の顔を見る。

　「人間だ！！！」

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