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―ヤサシイコト―
16
:
鳳凰
:2012/08/26(日) 17:07:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「おい、こら、離せ……って、お前、河南!!?」
添に連れられていった紫呉は、添の顔を見て唖然とする。
「…久方だな。っま、俺はずっとお前のこと監視してたけど…」
施設の外れにある、大きな倉庫の中。 添は倉庫のドアとドアの隙間から外を見る。
「お前引き取り手が見つかったからって、5年前施設出てったじゃねぇか!?」
添の後ろでしゃがんでいた紫呉は立ち上がる。
「あぁ、その件についてなんだが『ちょっと添!!』
「!!?」
添が紫呉と向き合った瞬間、全く聞き覚えのない女性の声が聞こえてきた。 紫呉はどこから聞こえたのかと思いキョロキョロと顔を振り回す。
『この子:逸れ者―ハグレモノ―:じゃない!!こんな奴に近付かないでくれる!!』
女の声がそう言い終えると、添は深くため息をついた。
「『水滸―スイコ―』喧嘩売るなら、実現化―ジツゲンカ―しろ」
少々、添は怒った様子でそう言った。
『………まぁ良いけど…』
女の声は、どっからどう聞いてもふてくされている。 もしくは嫌がっている。
そして、少し経ったあとで紫呉と添の間に古めかしい着物を着、足袋を履いた、水色の髪の毛の女性が出てきた。
『私は、水滸―スイコ―。九神幸―キュウシンコウ―の一人で、水の神よ。言っとくけど、私の半径2m内には死んでも入らないでよ…って、何であんた、私の2m内には言ってんのよ!!』
紫呉は感覚麻痺してぶっ倒れそうな自分を、持ち直して水滸から、2mと言わず5mほど離れた。
「ハハハ、そんなにビビるなよ。水滸は口悪いけど、一様優しいんだ」
『一様って何よ!』
添の言葉に水滸は噛み付く。 見ている方は、これが現実なのか幻なのか、全く理解できなかった。
「な、なぁ、河南。一体こりゃー…」
「ん、あぁ。説明しなきゃな、俺たちの事と…」
添は紫呉の顔を真剣な目で見つめる。
「お前の事を…」
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