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幻影師
107
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 16:42:31 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
『第七十四話・別れ』
一瞬だったはずの出来事が、やけに短く感じられた。
「なん………で…っ」
優雨が、なぜこんなことを。
「妹のためだよ」
「………え?」
佐藤の言葉に、緋織が目を見開いた。
「いくら逃げようとも、見つけたらそれまで。その時点で殺すって言ったら妹だけは助けろって言ってさー」
笑みを含んだ青年の言葉に、緋織が優雨を見る。
彼は、右手に持った銃を凝視し、その後で倒れた少年を見る。
「……あ…………」
これで、彼女に危険は訪れない。
だが、本当にこれでよかったのか。
今なら、急げば間に合うはずだ。でも、そんなことをすれば。
混乱した頭で、しかしそう考え、彼は結局動けない。
そうしている間にも、緋織達は慌てて手当に移っている。
「宮神く……」
「ろ…」
「え?」
霊の掠れた声を僅かに受け、緋織が聞き返す。
「やめろ…余計なこと…る、な………っ!」
急所は外れたものの、恐らく肺を撃ち抜かれている。このままでは、霊が尽きるのは時間の問題だろう。
だが、それでも彼は。
「いいから……またアイツらが狙われるんだぞ…!?」
それに、自分は。
幼い頃から、幾度となく人を殺(あや)めてきた。恐らく自分の罪は、その命を以てなお、贖いきれるものではないだろう。
それが分かるから、彼らを護ろうと思うから。
その命を護るためなら、いい。
「…よくやったな。もう君達に手出しはしないから、安心していいよ。神瀬達も、もう殺そうなんてしないからさ」
笑いながら言った青年の姿が消え失せた直後、優雨が地に座り込んだ。
「……悪い。里葉のためなんだ………」
彼女の、未来のため。
「その未来のためなら、そう変わらない子供の命を奪ってもいいの!?」
声を荒げた弥生の言葉に、優雨は返さない。分かっているから反論が出来ない。
「―――おい、嘘だろ? 宮神?」
突如として聞こえた誠也の声に、二人がはっと彼を見る。
血に染まった手は、ぴくりとも動かない。
「そ…………………な…」
間に合わなかった?
「…………………あ…」
緋織の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
「―――いいって、言ってたの?」
「…あぁ」
花音の言葉に、誠也が答えた。
緋織と弥生は別室に居る。
今回ばかりは、花音にもどうしようもなかった。
「……本当に、彼が言ったのね?」
「あぁ」
つい先ほど連絡を受けた和也が、息を上がらせていた。やはり彼も、相当焦っていたのだろう。
「じゃあ…」
自分達には、人の生死までをどうこすることはできない。
「…和也さんも、言葉失ってたよ」
すっかり冷たくなっていた霊を見て、彼はただ呆然と呟いただけだった。
霊、と。
「―――私達で、送ってあげましょう」
その言葉に、誠也が重々しく頷いた。
108
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 16:54:13 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
『エピローグ』
―――これから先、自分と同じ能力(ちから)を持つ人間は、どんな人生を歩むのだろう。
―――この、神永遊歩(かみながゆうほ)を見くびんないでよ。変な力持ったなら、それを活用するまで。
―――あぁ。
彼女が、これから自分と同じ能力を持つ者か。
なら、問題はないだろう。
あれほどしっかりとした意志を持っているなら、自分と同じ、誤った路は進まないはずだ。
それを悟った少年が、ふっと笑みを浮かべた。
今から千年後。その時の年号を何と呼ぶか、それはその時代(とき)を生きた人間にしか分からない。
これは、十四年という短い人生の中を“恐怖”という見えない追っ手から必死に逃げていた少年の、未来夢である―――。
109
:
ムツ
:2012/12/30(日) 16:59:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチさん》
読んでいて駄文の駄の字も思考回路にありませんでしたよ?
解りました、他のお話も読んでみます!
もぅ、ピーチさんの話の進め方は次回の展開を楽しみにさせますよねぇ〜…
だから、物凄くこれからを待っちゃうんですよぉ…
そんな書き方を是非御教授したいものです…
気が向いたらでイイので、私のスレのところに何かアドバイスを下さいm(_ _)m(お願いします
110
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 17:06:49 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
いやいやいやいや! 一文字呼んだ瞬間に駄文の二文字出てくるからね?
てゆーかタメで話そーよー←
次からは番外編でございますー
………一つ忠告。あたしのアドバイスをもらったら破滅の危機ありだよ…?
111
:
ムツ
:2012/12/30(日) 17:29:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
イヤァ〜…。危険を乗り越えてなんぼでしょぉ〜…
番外編ガンバッ!
ずっと応援してるよぉ〜!!
112
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 18:33:42 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
ありがとーっ!
さてさてこれから番外編その一(何回行くか分かんないけど!)行きますー!
113
:
ピーチ
:2013/01/08(火) 17:17:32 HOST:EM1-114-186-134.pool.e-mobile.ne.jp
番外編 恐怖はどこに
「ッてェ……」
頭を押さえながら呟いた少年が、正面に居る男を見て肩を震わせた。
「あ? 何か文句あんのか?」
ゆっくりと伸びてきたその手が少年に届く前に、甲高い声が聞こえた。
「ちょっとやめてよお父さんっ!」
突然現れた少女が、男の腕を押さえ付ける。
「あ…っ」
だが、所詮は子供の力。すぐにその少女を投げ飛ばした。
「った………」
「じゃますんじゃねぇよ、文香」
そう言った男が、文香と呼ばれた少女の髪を思い切り引っ張った。
痛いと喚く彼女を見て、少年が叫びかけたとき。
「霊……?」
妙におどおどとした女性の声が聞こえた。
「え?」
「和也君が、遊ぼうって……」
文香も、と言った女性に対し、少女は頑として首を横に振り。
「外で遊ぶなんて嫌いだからっ」
そう言って、頑なに拒む。
「行きたいなら、霊だけで行きなさいよ」
そう言った少女の身体は、僅かに震えていた。
「またかぁ……」
「……オレのせいなんだ。あねきが、そとに出たがらないの」
「へぇ?」
霊を呼びに来た彼の友人である和也が、ぐるりと首を巡らせる。
「オレが外に行ったらあねきかおふくろがなぐられるから。あねきまでそとに出たら、おふくろだけがなぐられるからって」
あんたはまだ小さいんだから外で走り回っとけばいいのと笑った少女が、あの時だけは言ったのだ。
『…やっぱり、ね………』
―――怖い、よね、と。
「……家族思いだなぁ、文香ちゃん」
母親と弟の代わりに自分がと息巻く少女の姿が目に見えて浮かび、和也が苦笑した。
「んじゃ、明日なー」
「………うん」
ぎこちない笑みを浮かべた少年が家の中に入って行くところを見送ってから、和也が帰途についた。
114
:
たっくん
:2013/01/09(水) 09:37:20 HOST:zaq31fa4b53.zaq.ne.jp
↑話がちょっと雑ですね〜雑
これが本当の雑談です(笑)
115
:
ナコード
:2013/02/16(土) 13:40:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
>>114
アンタは本物の迷惑人ですね(笑)
116
:
ピーチ
:2013/03/16(土) 23:40:19 HOST:EM114-51-31-109.pool.e-mobile.ne.jp
番外編
―――この、人殺しっ!!
そう言ってキッと男を睨み付けた少女の身体が、力なく横たわっていた。
それを見た少年が小さく呟く。
「あね…き……、…おふくろ……」
ごめん、と。
たかだか自分のためだけに、二人もの犠牲が出てしまった。
「なんで……だよ………っ!?」
あの男が、父親が最も忌み嫌っていたのは、他ならぬ自分なのに。
なぜ、二人が代わらなければいけない。
そして、自分の父親を冷たく見下ろす。
「……なァ、なんでおふくろとかあねきってさァ…」
―――オレなんかを、かばったの?
しかし、どこを見渡しても、返事はない。
「――――――はは……っ」
当たり前だ。三人とも、死んでいるのだから。
彼は、死んで当然だ。母親と姉を、その手にかけたのだから。
だが。
「………ふたりとも…」
弱々しく発された言葉に答えるものは、いない。
それを分かっていながらも、少年はぽつぽつと呟くのだ。
「オレさァ…ひと、ころさないといけないみてェなンだ……」
二人とも、絶対にダメだと言うのだろうが。
「オレ……もうひきかえせないんだ…」
だから。
「ゆるしてくれよ、……おふくろ、あねき」
そう呟いた少年の瞳から零れたそれは、彼にとって最後の涙だった。
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