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紫の乙女と愛の花束
1
:
月波煌夜
:2012/07/01(日) 16:16:58 HOST:proxy10010.docomo.ne.jp
こんにちは。
月波煌夜(つきなみ・かぐや)と申します。
これは、こちらの掲示板で書かせて戴いた、完結済みの『紫の乙女と幸福の歌』の番外編になります。
感想等戴ければ泣いて喜びます。
ですが、月波は非常に小心者です。
一つの批判にもガクブルしてしまうと思われます。
なので、厳しい御言葉はできるだけオブラートに包んで戴けると嬉しいです(>_<)
また、月波が不要と判断した書き込みは、誠に勝手ながら反応しないことがあります。申し訳ありません。
あくまで番外編なのであまり長引かせないつもりですが、もう少しだけ、月波と『紫の歌』にお付き合い下さい。
309
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 14:09:41 HOST:proxyag051.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§キスの意味 1§
「……皆、見た?」
『見た見た』
今さっき自分で閉めた扉に背をつけるティルダの問いかけに、メイドたちは一斉に頷く。
「……じゃあ、アタシの幻覚じゃないってことか……」
ティルダはふっと遠くを見るように淡褐色(ヘーゼル)の瞳を霞ませる。
「まさか、こんなことが起こる日が来るなんてねぇ……」
メイド数人は「天変地異の前触れじゃない?」と同意してうんうんと頷き、
『―――シェーラが大人しく本読んでるなんて』
全員の声がぴたりと重なった。
+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+
屋敷の書庫で、シェーラは本を広げていた。
「むー……よほど親しい間柄でなければ、公の場で女性から男性に声を掛けるのはやめましょう、か……」
むむむー、と眉間に皺を寄せる。
子供向けの簡単な本なのだが、それでも村で学問とは無縁の生活を送ってきたので読み書きが苦手なシェーラには、これが精一杯だ。
そのシェーラが何故四苦八苦して今更マナーの本など読んでいるのか。
理由は簡単。
もしもシェーラがこれから、ヒースと婚約なり結婚なりしたなら、シェーラはユーゼル子爵家の名を背負って生きていくことになる。
田舎の出身で、クロードのように貴族身分でもないシェーラへの風当たりは当然強くなるだろう。
だから、一人のメイドとしてではなくヒースのパートナーとして社交界に出たときに、彼に余計な恥をかかせないように最低限のマナーを覚えておかなくては、と考えたから。
「ふみゃああああ……眠いー」
シェーラは変な欠伸をする。
いつもならもう少しで寝る時間だ。
おまけに活字を読むなどという慣れないことをしている所為で眠い。とにかく眠い。
「ふゅあああ……ふふーん、あたし負けないもんねー……」
半分意識が飛んでいるが、シェーラはぷるぷると頭を振って、頑張って読み進める。
“キスの意味 一覧”
「ほうほう」
社交の場では、男性が女性への挨拶の代わりとして手の甲や、または頬にキスをするのが通例だ。
「よーし、あたし頑張っちゃうぞー!」
闘志を青灰色の瞳に漲(みなぎ)らせ、シェーラはゆっくりと字の羅列を辿っていく。
310
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 14:10:17 HOST:proxyag052.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§キスの意味 1§
「……皆、見た?」
『見た見た』
今さっき自分で閉めた扉に背をつけるティルダの問いかけに、メイドたちは一斉に頷く。
「……じゃあ、アタシの幻覚じゃないってことか……」
ティルダはふっと遠くを見るように淡褐色(ヘーゼル)の瞳を霞ませる。
「まさか、こんなことが起こる日が来るなんてねぇ……」
メイド数人は「天変地異の前触れじゃない?」と同意してうんうんと頷き、
『―――あのシェーラが、大人しく本を読んでるなんて』
全員の声がぴたりと重なった。
+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+
屋敷の書庫で、シェーラは本を広げていた。
「むー……よほど親しい間柄でなければ、公の場で女性から男性に声を掛けるのはやめましょう、か……」
むむむー、と眉間に皺を寄せる。
子供向けの簡単な本なのだが、それでも村で学問とは無縁の生活を送ってきたので読み書きが苦手なシェーラには、これが精一杯だ。
そのシェーラが何故四苦八苦して今更マナーの本など読んでいるのか。
理由は簡単。
もしもシェーラがこれから、ヒースと婚約なり結婚なりしたなら、シェーラはユーゼル子爵家の名を背負って生きていくことになる。
田舎の出身で、クロードのように貴族身分でもないシェーラへの風当たりは当然強くなるだろう。
だから、一人のメイドとしてではなくヒースのパートナーとして社交界に出たときに、彼に余計な恥をかかせないように最低限のマナーを覚えておかなくては、と考えたから。
「ふみゃああああ……眠いー」
シェーラは変な欠伸をする。
いつもならもう少しで寝る時間だ。
おまけに活字を読むなどという慣れないことをしている所為で眠い。とにかく眠い。
「ふゅあああ……ふふーん、あたし負けないもんねー……」
半分意識が飛んでいるが、シェーラはぷるぷると頭を振って、頑張って読み進める。
“キスの意味 一覧”
「ほうほう」
社交の場では、男性が女性への挨拶の代わりとして手の甲や、または頬にキスをするのが通例だ。
「よーし、あたし頑張っちゃうぞー!」
闘志を青灰色の瞳に漲(みなぎ)らせ、シェーラはゆっくりと字の羅列を辿っていく。
311
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 14:11:49 HOST:proxyag047.docomo.ne.jp
ごめんなさい309は無視してください!
312
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 14:12:14 HOST:proxyag048.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§キスの意味 2§
“唇……愛情
額……友情、祝福”
「ふむふむ……うん。このへんなら聞いたことあるかも」
“頬……厚意
瞼……憧憬
髪……思慕”
「んー……わからなくもない……かな」
シェーラはむー、と首を捻りながらさらに読み続ける。
「次はえーと、なになにー?」
“背中……確認
胸……所有”
「せ、背中!?胸ぇ!?え、え、ちょ、どうやってキスするの!?」
脳裏に黒髪の青年の鮮明なイメージが浮かんできて、シェーラは火照った頬をぱしぱし叩く。
「あうあうあうううバカバカバカあたしのバカ!変態!」
うー!と涙目になりながら、それでも読み進める。
“首筋……執着
喉……欲求
手首……欲望
耳……誘惑
腕……恋慕”
「はわわわわわ」
ずらりと並ぶ、少々シェーラには早いと思われる単語の数々。
「え、えと、……うん!色んな意味があるんだね!」
ダラダラと嫌な汗を流しながらシェーラは拳をぐっと握る。
「……あれ、まだある」
“手の甲……尊敬
手のひら……懇願”
「良かったまともだ!うんうん、手の甲は男の人が女の人に、挨拶としてするんだよね……ん?」
シェーラはそこで、自分の手―――の、指を、見た。
『―――俺はお前の騎士になる』
『一生お前の傍にいて、全てからお前を守ってやる』
あのとき。
ヒースは確か、
『……俺は、もう二度とお前を泣かさない』
恭しく跪いてシェーラの手を取り、この指先に、キスを落とした。
「ゆ、……指、か」
シェーラは赤面しながら字列の中から情報を探そうとして、
「……あ」
見つけた。
“指先……挨拶、賞賛”
「な、なんだ挨拶かー!ドキドキして損し……いや別にしてないけどねっ」
独り言でわたわたと言い訳をしていると。
「―――シェーラ?」
ギィィ、と音を立てて扉が開き、
「ヒース!」
「あ、明日は未曽有の大災害が起きるに違いないってメイドの奴らが騒いでたのはこれか……」
現れたのは、日に灼けた精悍な容貌を引き攣らせる恋人の姿。
「……で、何読んでたんだよ?」
「ええーと、えーと……ひ、秘密!」
別にヒースに隠し事をするつもりはないけれど、たははと笑ってそう答えてしまう。
ヒースは少し不満そうに顔をしかめた。
「……なんか気になることがあるなら俺が調べとくけど」
でも、やっぱりヒースは優しい。
事情は無理には聞かないで、それでも読み書きが苦手なシェーラを気遣ってくれて。
「じゃあね、んーと、」
嬉しくなったシェーラは、彼にぽふっと抱きつくと素直に言う。
313
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 14:13:28 HOST:proxy10063.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§キスの意味 3§
「指先へのキスの意味」
「っはああ?」
さり気なくシェーラを引き離しながら、ヒースは渋面を作った。
「……挨拶、とか……愛情、とか」
「え?」
愛情?
ぷいっと横を向いてしまった彼に執拗にしがみつく。
「挨拶とか賞賛、なんじゃないの?」
「稀だけど……“あなたを愛しています”って意味もあ…………ほ、ほら!んなことどうでも良いから部屋に帰るぞっ」
―――愛情、かあ。
へへ、と笑うシェーラは、自分の頬が緩むのを感じる。
「待ってよヒース!」
「早く寝るぞ、ゆっくり休まないと明日知恵熱が出るかもしんねえし」
「どーいう意味よそれ!?」
シェーラは広い背中を慌てて追い掛ける。
「ねーヒース」
「あ?」
「部屋着くまで。手、繋ご?」
ヒースは一瞬「はあ?」という顔をしたが、しばらくしてから渋々という感じで言った。
「……十秒だけな」
「わあい」
彼の十秒は凄く長いことを、シェーラは知っている。
「十、九、八、」
小さくぼそぼそと呟く声に耳を澄ませていると。
「……二、一、………十、九、」
ほら、最初に戻った。
「……何笑ってんだよ」
「笑ってないし」
「笑ってるし」
「笑ってませんー」
「ぜってえ笑ってるし」
しあわせすぎて、だよ。
言ったらまた、こいつは照れ隠しに早足になってしまうだろうから言わないけど。
「ヒースー」
「………………」
「ずっと一緒にいようね」
「……んだよいきなり」
「えー、そうだねって言ってくれないの?」
「誰が言うか気持ち悪い」
「恥ずかしいの間違いでしょ?」
「……お前、最近性格悪くなってないか?」
「そんなことないもん!……でもでも、前に一生傍にいてくれるって言ってたよねー?自分で」
「うるせえな!?」
そっぽを向いたその頬には仄かに赤みが差している。
彼を見上げて笑い声を零し、シェーラはくいくいと手を引いた。
「早く早く」
「は?」
「なんとなく早く帰りたい気分なの!」
「知るか。一人で行ってろ」
「ヒースが寂しがるから一人じゃ帰れませーん」
「お前絶対性格悪くなってるよなぁ!?」
「あははっ」
「あははじゃねえし!」
「にゃはははは」
「笑い方の問題でもねえし!」
早足のシェーラの歩幅に、何だかんだ言いながらもいつの間にか合わせてくれている彼。
「それにしてもあれだね。ヒースって優しいよねえ」
「その思いっきり馬鹿にした顔やめろ」
「実際バカじゃん」
「お前にだけは言われたくない!」
「それはこっちの台詞ですー!」
二人で歩く廊下は暗闇に満ちているというのに、何故かほんのりと明るく見えた。
314
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 15:32:22 HOST:proxy10047.docomo.ne.jp
>>ピーチ
死んできたよー!((日本語おかしい
や、やっとシェーラ編載せられた…(´・ω・`)
>>庵(……でいいのかな)
お久しぶりです!
これは番外編なんだけど、あと少しでそれも完結だよ(^-^)
そしたら新作を書くかもなので、良かったら遊びに来てくださいー(*^-^)ノ
さてさて、やっと次は本当の本当に最終回、ソフィア編です!
長かった…(^^;;
まだちょこっと短編を書くにせよ、このスレで更新するのは最後になると思います。
泣いても笑っても、といいますが、皆で笑って最後を迎えられますように(o^_^o)!
315
:
ピーチ
:2012/09/07(金) 18:33:42 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
ぎゃあぁぁぁぁ!?死んでこないでー!!!
うん、あれだネ。シェーラちゃんはもちろんのこと、何でヒースまで可愛く見えるかなww
庵さん>>
お久しぶりですー!
……あ、一気にはだめだった?
じゃあ、気をつけます!
316
:
庵
:2012/09/07(金) 18:49:36 HOST:zaq7719de1f.zaq.ne.jp
かぐちゃん>>どっちでもいいぞノシ
ピーチ>>久々ノシ
つか、何で敬語?
317
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 21:09:06 HOST:proxy10055.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ヒース可愛い?w
男キャラも、可愛いところがある奴は多いかもだね←
>>庵
じゃあ↑で定着させちゃうね(≧∀≦)
318
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 22:31:44 HOST:proxy10018.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 1§
「うううシュオン……!っく、こんなに綺麗になっ……」
「いい加減泣き止んでください父上。あとそれは花嫁に対する台詞です」
正装のシュオンは白い目で、彼にすがりついて号泣している父親、ランドルフを片手で押しやる。
「わ、私は、……ソフィア君だから許したものの、っ私の可愛いシュオンをうぅあああああ」
「父上。衣装に皺が寄りますので離れて戴けますか」
「うわあああああん」
王宮での会議では王に次ぐ発言権を持ち、身分に相応しい毅然とした態度と抜群の容姿で全ての民を魅せるエインズワーズ公爵の外面だけを知る人間なら誰でも、まず目を疑うこと間違いなしの絵面であった。
「か、閣下……?奥様がいらっしゃいましたが……」
「まあランディ、やっぱりまた泣いてるの?困った人ね」
恐る恐るという感じでヒースがランドルフに声を掛け、それから笑顔のアゼリアが彼に近づいた。
「母上」
「ふふ。良く似合っていてよ、シュオン」
「有難う御座います。父上を連れ出しに来て下さったのですか?」
「ええ。折角の婚礼なのに、親族がめそめそしていたら雰囲気が出ないでしょう?式までには何とかしておくわ」
「助かります」
アゼリアは女神の如き優しげな微笑みを浮かべながら、泣き喚く夫をずるずると引っ張ってソファに座り、諭すような口振りで彼に何やら言い聞かせ始めた。
「うん。これでよし、と」
「つくづく、お前と奥様ってそっくりだよなあ……。見た目にしても中身にしても」
「失礼な。女の人に節操がない母上と違って、僕はソフィア一筋だよ?」
「……奥様も、何だかんだで閣下一筋だろうが」
呆れた眼差しのヒースは、シュオンの手元に積み上がった紙の束に目を向ける。
「これは?」
「届いた祝辞の手紙。早めに整理しておかないと後が大変だから」
「それはそれは、結婚式当日にまで御苦労なことで」
「全くだよ」
ふう、と一息つくシュオン。
「あーかったりィー。まァだ式始まンないワケ?」
一人、控え室の隅で素振りの動作をしているのはジルだ。
教会は帯剣禁止区域である為、非常に不満そうな顔をしている。
319
:
月波煌夜
:2012/09/07(金) 22:33:22 HOST:proxy10039.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 2§
「うん。まだかなり時間はあるよ」
「マジか……ッたく調子狂うなァ」
「そんなに嫌なら来なくても良かったのに。ソフィアが害虫の視線で汚される心配もしなくて済むし」
「落ち着けシュオン、視線で汚れは付かねェからな?」
「いや。ジルなら、あるいは」
「嫌な高評価!」
半ば愕然とするジル。
ヒースは彼に肩を竦め、
「ま、それはともかく。結婚式の流れってもんは、慣れておいても損はないと思うけどな」
「ハァ?意味分かンねェし」
悪友の言葉を受け、待ってましたとばかりにシュオンはにっこりと笑い、
「……で、ジルはユーリエといつ式挙げるつもり?」
「げほっげほっげほっ!?」
むせた。
「バッ……!?ンなことしねェし!」
「あーあユーリエ可哀想。こんな害虫のことをずっと健気に想ってきて、やっとそれが報われたのに何処かのヘタレ二号の所為で結婚もできないなんて。女性なら誰でも、そういうの憧れると思うけどなぁ」
「うぐ…………ッて待て、何でシュオンがオレとユーリエのこと知ってンだよ!?」
赤くなってわめき散らすジルの肩に、やたらと優しい目をしたヒースがぽん、と手を置いた。
「男なら黙って腹括れ」
「だっから言ってンだろ、オレは―――」
「いや、シュオンの犠牲者仲間としての先輩からのアドバイスだから。いいか、こういうときは……諦めが肝心だ」
「その若さで何悟っちゃってンのお前!?」
強面を仏のように和ませるヒースの背後には、キラキラ輝く後光のようなものが見えた。
……どうやら飽きたらしいシュオンは二人に構わず大量の手紙に目を通しては放り、手に取っては放り―――
「………………あ」
急にその手を止め、一枚の葉書にじっと見入る。
そして、しばらくしてからふっと口元に笑みを浮かべた。
「よし。絶好の言い訳ができた。行くよヒース」
「は?」
「今すぐソフィアに会いに行くから付いて来て」
「いや待てって、御嬢様はまだ身支度が」
身を翻すシュオンを止めようとヒースが慌てて駆け寄るが、
「わたくし、此処に来る前にソフィアを見に行ったのだけど、準備はもう殆ど出来ていてよ。ソフィア、可愛かったわぁ」
「重ね重ね感謝します母上」
「いやこらシュオン!?そんな非常識なっ」
「ソフィアにどうしても見せたいものがあるから。……ソフィアの可愛いウェディングドレス姿を見るの待ちきれないし」
「今本音出たよなあ!?おい!?」
「うう、皆してソフィア君のことばかり……」
「拗ねないの。もう良い大人なんだから」
跡取り息子の婚礼の日まで、エインズワーズの面々は相変わらずの模様であった。
320
:
ピーチ
:2012/09/07(金) 22:38:21 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
庵さん>>
あ、あれ!?敬語使ったつもりないんだけどなー……
まぁ、気にしない気にしない!←ばか。
つっきー>>
神様あぁぁぁぁぁぁ!!←うぜぇw
ヒースかわいーw←本人聞いたらまず怒鳴られそうなことw
………うん、何だかんだでお父様は変わんないのね、良く分かるよ←
ジルー!教会では我慢だよー!
321
:
庵
:2012/09/08(土) 08:02:11 HOST:zaq31fbd583.zaq.ne.jp
ピーチ>>敬語流行ってるんのかな?
よく分からない。
あ、さんずけなしね。
322
:
ピーチ
:2012/09/08(土) 08:45:05 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
庵>>
うーん……流行り?
じゃー庵って呼ぶー!
323
:
月波煌夜
:2012/09/08(土) 11:51:15 HOST:proxyag038.docomo.ne.jp
>>ピーチ
「はっはあ!?意味分かっ……う、うるせええええ!」
byヒース。
ハピエンだったらやっぱ結婚エンドかなって(`・ω・´)
父上だけ哀れだけどね!
324
:
月波煌夜
:2012/09/08(土) 15:57:16 HOST:proxy10039.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 3§
きゅっと絞ったウエストから連なる、軽い生地を幾重にも重ねた柔らかなシルエットの膨らみ。
彼女が動くと、スカートもそれに合わせて綿菓子のようにふわりと揺れる。
豪奢な銀糸の刺繍や細かな真珠が散りばめられた純白の生地に、大きく開いた胸元を飾る限りなく薄い紫のレース。
鏝(こて)を当ててカールを施した銀の髪は丁寧に結い上げられ、所々にラベンダー色の小花が飾られている。
「うえへへへへ」
「しぇ、シェーラちゃん?とても人様にお見せできない顔になってるけど大丈夫?」
「だってだってシュオン様とソフィア様の、念願の御結婚ですよ!?ソフィア様の花嫁衣装ですよ!?そりゃあもうテンション上がりまくっちゃうじゃないですかぐへへへへ」
「シェーラ。その声は女の子としてと言うより人としてどうかと思うわ」
鏡台の前に座ったソフィアにふらふらと抱きつこうとするシェーラを懸命に止めながら、ユーリエは苦笑する。
「でも確かに、凄く可愛くて綺麗よ、ソフィアちゃん。女の私でもドキドキしちゃうくらい」
「……そう、かしら」
自信なさげに俯いて、衣装の飾りを弄るソフィア。
「そうですよ!シュオン様も悩殺されちゃうこと間違いなしです!」
「そ、それはどうでも良いからっ」
表情を誤魔化すように、勢い良く鏡に視線を戻す。
「……う」
鏡に映った赤い顔の自分を見てしまい、さらに赤面。
「あーもうかわいいいいいい今すぐぎゅうってしたいいいい」
「シェーラちゃん、今日は自重しましょうね?」
「あうー」
ユーリエにたしなめられ、シェーラは肩を落とした。
「あとヴェールを被れば完成だから。ドレスを崩しちゃ駄目よ」
「はあい……」
「ソフィアちゃん、それから花束(ブーケ)も忘れずにね」
「それなんだけど、ユーリエ」
ソフィアはきょとんとしたユーリエを振り向き、テーブルに置かれた花束を指差した。
「あれは貴女にあげる」
「…………へ?」
「何処かの風習で、花嫁の花束は次に結婚する人にあげても良いって聞いたことがあるわ」
受け取ってくれないの?と首を傾げるソフィアに、ユーリエは慌てたように。
「ちょ、ちょっと待って!それなら私なんかじゃなくてシェーラちゃんじゃないのっ?」
「え、だってあたしは」
「シェーラがヒースと結婚するなんて、もう決まったようなものじゃない」
焦った声のシェーラに重なるように、ソフィアは意地悪く微笑んで言う。
「それはそうだけど、」
「だから、これは私からユーリエにあげる。貴女の夢が叶いますように、っていう願いも込めて」
「わわ、それ良いですね!ソフィア様からの贈り物なら絶対しあわせを呼んでくれますよ!」
キラキラと純粋な好意に大きな瞳を輝かせるシェーラ、悪戯っぽく笑って見上げるソフィアを順番に見つめ、ユーリエは嘆息。
「……式が終わったら、ね」
真紅の髪が、淡い赤に染まった頬にはらりと掛かった。
325
:
ピーチ
:2012/09/08(土) 21:52:31 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
ヒースかわいーw←しつこいw
かわいーがだめならカッコいいは?
うん、父上のみが哀れな結末ww
326
:
月波煌夜
:2012/09/09(日) 20:36:41 HOST:proxy10040.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 4§
「―――ソフィア、いるよね?」
「シュオン!?」
困ります、と言うメイドを輝く笑顔で瞬く間に撃墜し、シュオンが部屋の中に入ってきた。
「な、なんで急に……っ」
「ちょっと用が……あ……」
シュオンはソフィアを視界に入れた瞬間、サファイアの双眸を大きく見開いた。
それから、
「……………っ」
顔に手を当ててふらーりとよろめき、
「「シュオンっ!?」」
床に膝をついた。
「ど、どうしたんだよ、まさかこんなときに体調悪くなったりしたんじゃねえだろうな!?馬鹿しっかりしろ!」
「どうしようヒース……」
シュオンは息も絶え絶えに、潤んだ目でヒースを見上げて呟く。
「―――ソフィアが可愛すぎて死にそう……」
「それはよろしゅう御座いましたねえ!?」
シュオンはキレる彼にも構わず壁に手を付いてすーはすーはと深呼吸。
「耐えろ僕耐えろ僕……!今日はまだそのときじゃない……!」
「…………しゅ、シュオン?どうしたの?」
「ごめんね、もう大丈夫。ちょっとした精神統一を図っていただけだから心配しないで」
「はあ……」
完璧な微笑みを取り戻したシュオンは何事もなかったように立ち上がり、怪訝そうなソフィアに歩み寄る。
かろうじて理性が勝利したようだった。
「ね、ね、あたしが言った通りでしょうソフィア様!」
「シェーラちゃん、ちょおっとお話があるからあっちに行きましょうか」
シュオンの無言の圧力を察したユーリエは、速やかにソフィアに纏わりつくシェーラを引っ張って退散した。
「それで、用って?」
「別に大したことじゃないんだけど」
胸ポケットから一枚の葉書を取り出し、シュオンはそれをソフィアに手渡す。
「……“御結婚おめでとうございます”……?」
「うん。ソフィアにも見せておかないとって思って」
シンプルすぎる一文に首を傾げながら、何気なくくるりと裏返し、
「……あ」
“オスヴァルト=フェル=カークランド”
流麗な筆跡で、素っ気なく送り主の名前だけが記された葉書の裏面。
「……伯爵は、あれきりずっと社交界から退いてたから、僕とは会ってなかったんだけどね。孤児院や病院の経営で忙しくやってるみたいだよ」
「そう」
自分を連れ去り、あまつさえ殺そうともした、あのプライドが高そうな少年が素直に祝いの言葉をくれるなんて、何だかおかしくなってしまう。
ソフィアはくすりと笑った。
「今日も来て下さったら良かったのに」
「ソフィアは優しすぎる」
少し不満そうに、シュオンは言う。
「そんなことない」
「そんなことあるよ」
人差し指で額をつん、とつつかれた。
「今日くらいは良いでしょう?他の人に優しくしないで、僕のことだけ考えてて」
どうやら、心の狭い彼はオスヴァルトに妬いているらしい。
「……できるだけ、そうする」
「やった」
シュオンはにっこりと笑い、
「それじゃ本題!ソフィア、行くよっ」
「へ?」
シュオンはソフィアの手を握ると、扉へと駆け出した。
「え、え、ちょっ」
「シュオン様!?いけません、お戻り下さいっ」
「シュオン!?お前しばらく御嬢様と一緒にいられないからってッ」
「シュオン様っ」
「式までには絶対戻るから!」
かくしてシュオンは、自分が追い出される前にソフィアを連れて脱走する作戦に成功したのだった。
327
:
ピーチ
:2012/09/09(日) 21:08:27 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
シュオン様ぁー!?
ほ、ほんとにソフィア様絡みで死にそうになるお方ですねw
ヒース……シュオン様の体調が悪くなったら最悪だもんねw
328
:
月波煌夜
:2012/09/09(日) 22:18:07 HOST:proxy10007.docomo.ne.jp
>>ピーチ
シュオンを動かせるのはソフィアだけですw
べったべったに甘やかして楽しむシュオンさんです←
オスヴァルトもちゃんと出してあげたかったんだけど、長くなっちゃうので泣く泣くカット(´・ω・`)
ソフィア編は全員集合だからね!
329
:
ピーチ
:2012/09/09(日) 22:49:18 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
……恐るべし、ソフィア様w
な、泣く泣くカット……?よっぽど出したかったんだね、オスヴァルト……
330
:
月波煌夜
:2012/09/10(月) 20:43:58 HOST:proxy10086.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 5§
「シュオン!?何処に行くのっ?」
「んー……特に決めてないんだけどね」
シュオンは追っ手が来ないことを確認して歩調を緩めた。
「ふう。やっと二人だけになれた」
「シュオン……まさか、その為だけに伯爵からの手紙を持って来たの?」
「うん。でもソフィアを一秒でも早く見たかったっていうのもあるけどね」
当たり前のように微笑む恋人に、ソフィアは溜息をついた。
「……シュオンらしいと言えばシュオンらしいけど……」
「ソフィアの為になるのなら、僕は何でもするよ?」
「これは本当に私の為なのかしら……」
ゆったりと歩いているうちに、美麗な彫刻が施された一際立派な扉を見つけてシュオンは笑う。
「あ。この中、今日の会場だよ」
そっと扉を開け、中を覗き見るシュオン。
「誰かいた?」
「……うん。まだこんな時間なのにね」
「え?お客様?」
シュオンは扉の隙間を少し増やしてソフィアに手招きした。
彼に近寄り、息を潜めて耳を澄ませる。
『クロード、疲れた!飽きた!何とかせい!』
『我儘を仰ってはなりません、ルイーズ様。ルイーズ様が早く行きたいと仰せになった故に殿下たちも時間を合わせて下さったのですから』
『だって退屈だしつまらないし腹が減ったし、もう飽き飽きじゃ!』
『ルイーズ様。私の記憶では行きの馬車でも大量のクッキーをお召し上がりになっていたと存じますが』
『あんなもの腹の足しにもならぬっ』
『いやあ、流石我が可愛い妹姫よ。実に強靭で巨大な胃袋を持っているようだな』
『……可愛さと胃に何の関係が?』
『うん?ああ大丈夫、勿論イルゼも十分すぎる程に可愛いぞ』
『レオンっ!?そ、そうやってすぐ煙に巻かないで下さい!』
「ルイーズ王女殿下に騎士様、それからレオン殿下とお姉様?」
「他にもいるみたいだけど」
『まあ、イルゼも女の子らしくなって』
『こんなに慌てたイルゼはなかなか見られないなあ』
『父さんと母さんは黙ってて!』
『イルゼはいつも厳しくて怖いけど、兄様といるときは面白くなるのじゃなー』
『ルイーズ様。そういったことは思っていても口に出してはなりません』
『ところでクロード、この機会に提案なのだが』
『はい』
『私とイルゼ、お前とルイーズの結婚式は同時に行ってしまわないか。その方が民衆も盛り上がる』
『っはああああ!?』
『成程、それは非常に効率的ですね。賛成です』
『賛成ですではないわこのたわけが―――!?』
『そっそうです!いくら王子だからって私のけっ……こん、を、レオンの一存で勝手に決めないで下さい!』
『おや、本当に私の一存かな?……どう思う、お二方』
『私は勿論賛成です』
『同じく』
『ちょっと父さんも母さんも本気なの!?ねえ!?私の意思も少しはっ』
『イルゼの意思もきちんと汲んだ結果だが?』
『何でそうなるんですか!』
「お父様とお母様も来て下さったのね。……ふふ、みんな楽しそう」
「そうだね」
嬉しそうに顔を綻ばせるソフィアを愛しげな眼差しで見下ろし、シュオンは微笑んだ。
331
:
ピーチ
:2012/09/10(月) 20:58:44 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
お客様ーw
ルイーズ王女は相変わらず……w
イルゼちゃんかわいー!
あ、あと一つリクあるんだけどいーかな?←無理だったらスルーよろしく!
332
:
月波煌夜
:2012/09/10(月) 21:44:25 HOST:proxy10026.docomo.ne.jp
>>ピーチ
オスヴァルト出したかったぁあああ←
短編で出すから良いもん(T^T)
リク何ですかー?
333
:
ピーチ
:2012/09/10(月) 22:01:12 HOST:nptka205.pcsitebrowser.ne.jp
つっきー〉〉
あー、つっきーが拗ねたー!
リクいーですか!
今さっきふっとヒースの兄弟のこととか見てみたいと思ったw
…無理なお願いでごめんね…
334
:
月波煌夜
:2012/09/11(火) 20:55:22 HOST:proxy10045.docomo.ne.jp
>>ピーチ
ヒースの兄姉たちか!
OK、承りました←
どうなるか分からないけどね(・∀・)
335
:
ピーチ
:2012/09/11(火) 23:35:18 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
いぇーい☆←何だw
つっきーなら大丈夫!あたしと違ってどー転んでも上手くいくから!!
336
:
月波煌夜
:2012/09/12(水) 20:23:00 HOST:proxy10071.docomo.ne.jp
>>ピーチ
派手にすっ転んで骨折って救急車なレベルの大惨事になりそうw
…最近忙しくて、更新進まなくてすいません←
あと2回くらいで終わるから!
気長に待ってて下さいな\(^o^)/
337
:
ピーチ
:2012/09/12(水) 20:49:57 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
馬鹿なピーチが↑だけを書き込んで宿題を始めたので、代わりにコメントさせていただきます神代 天音です。
何であんな馬鹿な作者の手で生まれたんだろうと思う私に比べて、黒髪君達は羨ましいですね、とっても優しい作者様で
馬鹿なピーチが見てる=私達のようなあの馬鹿のキャラ達も見ているので、これからも頑張って下さいね
338
:
月波煌夜
:2012/09/12(水) 22:59:18 HOST:proxyag049.docomo.ne.jp
>>ピーチ
黒髪言うなッ!
……えー、頭に虫が蔓延ってる駄作者が「天音ちゃんキタァァアアア―――!」と奇声を発してごろんごろんしてやがって使い物になんないので代わりに俺……ヒースが話してんだけど。
あー、ところで天音さんよ。
俺や最近のジル、果てにはレイフォードの扱いを良く見てみてくれ。
……こいつが優しいって……本気で言ってるか?
むしろ俺ら虐めて楽しんでるだけじゃね?
あ、あと作者様に宿題頑張ってくれるよう伝えてくれ。
月波みたいに「宿題は学校でやる派」になっちゃ駄目だぞー。
339
:
ピーチ
:2012/09/12(水) 23:54:28 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
え、だって黒髪君は黒髪君でしょう?
……天音、それはさすがにね?
確かにレイさんの影の薄さにはある意味脱帽だけど。
人の話聞けよ……
あれ、柊達いつ来たの?
今だよ!!
…………これ以上長引くとアレだから、そろそろ引き上げようか?
月波さん、宿題頑張って下さいね←ついでにアホなピーチも居残ってました
340
:
月波煌夜
:2012/09/13(木) 18:03:51 HOST:proxyag096.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 6§
「……ん?」
「誰か……話してる、わね」
聖堂へ続く扉から身体を離し、二人は足音を慎重に消しながら、複数の声を辿って廊下の奥へと進む。
やがて三つの人影が見えたあたりで、シュオンはソフィアを先導してパッと柱の陰に身を隠した。
式の主役である新郎と花嫁が、控え室を抜け出してぶらついていることが知れたら一大事である。
『……で、兄貴は殿下の護衛は大丈夫なの?』
『大丈夫大丈夫。クロードがついてるからさ』
「あれは、《イルファーレ》のクラウス殿と、メイドの……誰だっけ」
「ティルダよ。シュオンの担当でしょう?」
「そうなの?そう言われれば見たことあるような気もするけど」
「本当に女の子に全然興味ないのね……」
「覚える必要がないことを覚えても仕方ないよ。ソフィア以外の女の子は皆同じに見えるもん」
「その割には、良く他の人も口説いてるみたいじゃない?ご婦人方に物凄い人気だって聞くし」
「……あれ?ソフィア……もしかして妬いてくれてるの?」
「なっ……違、変なこと言わないでっ」
『兄貴はシュオン様とかお嬢……ソフィア様とかと知り合いだったっけ?ただの殿下の付き添い?』
『いや、俺個人も一応見識はあるよ。ロード・シュオンとは何回かお話ししたことあるし、レディ・ソフィアとも婚約披露宴でお会いしたから』
「……あの二人って兄妹だったのね……。確かに少し似てるかも」
「クラウス殿の妹君なら、あのメイドもかなりの家柄の令嬢だってことだね。……ところでソフィア」
「なに?」
「気づいてないと思うけど、二人じゃないよ」
「……え?わ、私幽霊とかはちょっと……」
「うーん、幽霊というか何と言うか」
『―――で、こちらの方が、お前が紹介したいって言ってた人で合ってる?……どーも初めまして、俺はクラウス。ティルダの兄貴やってます』
『あ、兄貴、凄い……!レイフォードを一発で見つけるなんて、やっぱ《イルファーレ》首席の座は伊達じゃないね!』
『ティルダ。それはクラウスさんを誉めているのか私を貶しているのかどちらなのですか?』
「レイフォード……いたのね……」
「クラウス殿、さすがレオン殿下の一番の騎士だね。初対面でレイフォードを認識できるなんて、並の洞察力じゃないよ」
「シュオン、レイフォードを珍獣みたいに言わないであげて」
『ん?見つけるって何のこと?』
『何でもありません!え、ええと、執事のレイフォードと申します。私としてもクラウスさんの御勇壮ぶりは常々耳にしております。お会いできて光栄です』
『そう?ならいーけど。……で、レイフォード君。そんな畏まらなくていーよ、俺堅苦しいの苦手だからさ。ティルダは俺に似たのか男勝りでガサツで全然女らしくないけど結構良い奴だから。こいつを宜しくね?』
『はあ!?ちょっと兄貴、なにその言い草!』
『は、はい!何かと至らないかと思いますが、これからも宜しくお願い致します!』
『レイフォード、まずアタシの評価に突っ込んでよ!?』
「……一件落着、かしら」
「うん。レイフォードも、すぐ自分に気づいてくれる希有な兄妹に出会えて良かったよね」
「その言い方はどうかと思うけど……そうね、本当に」
ソフィアはくすりと笑う。
341
:
ピーチ
:2012/09/13(木) 19:44:55 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
レイさーん!!!
良かったね良かったね!ついに何の苦もなく見つけてくれる人がいたね!!
良かったよー!!
342
:
月波煌夜
:2012/09/13(木) 22:28:21 HOST:proxy10045.docomo.ne.jp
>>ピーチ
なんか、クラウスとティルダとレイさんの回なのにレイさんおめでとう回に見える不思議←
レイさん良かったね!
ティルダはしっかりしてるからぐいぐい行ってくれるよw
あ、次でほんとのほんとに最終回です°・(ノД`)・°・
343
:
ピーチ
:2012/09/13(木) 22:53:31 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
レイさんおめでとー!←しつこい
次で最終回かぁ……何か悲しい
あ、それからこの前はうちの天音達が大変失礼致しました!((深々
344
:
月波煌夜
:2012/09/14(金) 20:54:06 HOST:proxyag105.docomo.ne.jp
>>ピーチ
え、い、良いんですか?私がなんかがこんな……。
あ、有難う御座います!
(byレイさん
いや、三人にまた来てねって伝えといて!
さてさて、ようやくのことで最終回、なにげにラッキーセブンで終わりです。
もう書き終わったのですが、明日投稿しますね!
…書いてて、これで終わりなんだなって思うと、恥ずかしながらもちょっと泣きそうになってたのは内緒です←
今まで、長い間お付き合い下さった皆様が満足できるような、見放さずに読んでて良かったなーとほんのちょびっとでも思って戴けるような、そんな完結回になることを祈ります(^^;;
345
:
Mako♪
:2012/09/15(土) 00:37:14 HOST:hprm-57422.enjoy.ne.jp
しばらく来てなかったうちに、あちこちで進展が……。
そっか。シュオン様とソフィア様、結婚式かぁ……
って、次でラストですとーー!?
わぁ、楽しみだぁ。 早く読みたいなぁ。
↑感情死んだねww
早いことですね……。
さみしいですけど、頑張って下さい!
346
:
ピーチ
:2012/09/15(土) 08:04:42 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
よぉ、この前天音の出番取られたから、今回は俺ー←昇
何だかんだで結構天音って人気あるんだな((月波さん達に
えーっと……レイフォードって言ってたっけ?まだ忘れられるくらいならいい方だと思うぜ?
俺と柊一なんて最近天音の家来みたいになってっからさ?
……あれ、どっちがマシなんだろう……
あーそれと月波さん、最終回おめでとうな!
こっちはあんのバカ作者のお陰でとーぶん最終回なんてねーな。
黒髪達も元気かー?
347
:
月波煌夜
:2012/09/15(土) 12:40:11 HOST:proxy10042.docomo.ne.jp
>>Mako♪さん
そうなんです、次で最終回なんです(T^T)
今まで本当にありがとうございました…!
最後まで精一杯頑張ります!
>>ピーチ
昇くん、またまたようこそ!
まともそうな柊一くんまで家来なのね…。
天音ちゃん超お姫様!
次で最終回なので、番外編でヒースの出番はもうないけど、コラボとかでまた元気なとこが見られると思うよ←
348
:
月波煌夜
:2012/09/15(土) 15:10:40 HOST:proxyag113.docomo.ne.jp
『紫の乙女と永遠の恋歌』
§しあわせの色 7§
レイフォードやクラウスとティルダ、それからレオンにイルゼ、クロードとルイーズ、父アルフレッドと母コーネリア。
それだけじゃない。
シェーラとヒース、ジルとユーリエ、ランドルフとアゼリア、それからオスヴァルト。
みんな、ソフィアが出逢ってきた人たち。
「私と繋がりを持つ人が、こんなにいるのね」
ずっとずっと独りだった。
自分はこれからも、たった独りで生き続けるのだと、思っていた。
なのに。
「うん。皆、ソフィアのしあわせを心から祝ってくれる人たちばかりだよ」
そう、これは一つの奇跡。
幾つもの出逢いが重なってきたから、今の彼ら、今の自分がある。
もしかしたら、一生姿を見ることも、言葉を交わすこともなかったかもしれない人たちが、今、ソフィアを祝福しようとしてくれている。
なんてあたたかくて、優しくて、しあわせなことなんだろう。
「ソフィア。あっちに行こうか」
シュオンに手を引かれ、ソフィアはバルコニーに出た。
白く塗られた手すりに掴まり、美しい景色に歓声を上げる。
「綺麗……!」
風に煽られてふわりとドレスの裾がはためく。
楽しそうに笑うソフィアを見て、シュオンが眩しそうに目を細めた。
「ね、ソフィア」
振り向いた彼女を、壊れ物でも扱うようにそっと抱き寄せる。
「好きだよ」
「……知ってる」
「大好き」
「今は、……あんまり言わないで」
「どうして?」
ソフィアは拗ねたように唇を尖らせる。
「……しあわせすぎて、死んじゃいそうなんだもの」
「あは、それ良いかもね。しあわせすぎて死ぬって」
シュオンはソフィアの右の頬を片手で包み込み、視線を合わせてにっこりと笑う。
「でも、まだそれは早いかな。これからもっとしあわせになるんだから」
「うん」
「たとえ何度生まれ変わったとしても、僕は君を絶対に探し出して、また僕のもとに手繰り寄せる」
「……うん」
「一生、……ううん、永遠に離してあげないから。その覚悟はできてる?」
ぎゅっと彼の背中に腕を回したソフィアはシュオンを見上げ、少しだけ強がるように微笑んでみせる。
「―――望むところよ、変態王子」
「それでこそ僕のお姫様」
ふふっと笑い、ソフィアの唇に軽い口づけを落とすシュオン。
サファイアブルーの透き通った双眸が、彼の愛しい少女の姿を映し出す。
「―――愛してる。必ず君をしあわせにすると誓うよ」
真摯な眼差し、響く優しい声。
ソフィアは紫の瞳から今にも零れ落ちそうになる涙をこらえながら、それでも精一杯に微笑んだ。
「私も、……私を見つけて、好きになってくれた貴方を、誰よりもしあわせにしたい……!」
―――誰にでも、運命の相手がいる。
その人と出逢ったなら、することはただひとつ。
ずっとずっと離れずに、一緒にいること。
でもそれは、簡単なようでいて難しい。
誰かを愛することは、不安との戦いだから。
けれど、不安を打ち壊せるのも、やっぱり愛。
好き、大好き、愛してる。
その気持ちをなくさなければ大丈夫。
恋をして、いつしかそれが愛になって。
最後に待っているのは、きっと最高のハッピーエンド。
すべての人に、
世界中のしあわせを。
『紫の乙女と愛の花束』
――fin――
349
:
ピーチ
:2012/09/15(土) 15:33:21 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
どうも、天神です
最終回、おめでとうございます。
俺達を生み出した作者とは、最近会ってないんですよね
……月波さんって優しくしてるキャラと違うキャラの差が激しいんですね……
あ、できればこっちの作者にも言っててもらえます?早く終わらせてくれって
まぁ、多分無理だろうからスルーして下さいね
350
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/09/15(土) 17:32:19 HOST:EM117-55-68-146.emobile.ad.jp
最終回お疲れ様でした。
そして最後まで感動←
正直本編の終わりでも番外編の終わりでもとても悲しい気持ちになるのですが、次作もがんばってください!
そして最後の最後に。
ヒースとジルかっこいいいいいいい!!!←
ほんっとうにお疲れ様でした!
351
:
彗斗
:2012/09/15(土) 18:02:28 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
月波さん>>
とうとう終わっちゃったのか〜〜寂しくなるね……
このソフィア様の小説をずっと見てましたが実は……この掲示板にフラッとやって来て最初に見たのがこの小説だったんです。
この小説を見て「あ〜私もこんな風に書けたらな〜」なんて思っちゃいまして……今になって苦労してると言う訳です(笑)
もしもソフィア様達を描く機会があるのならぜひぜひ描いて欲しいです!! 応援してます☆
352
:
月波煌夜
:2012/09/15(土) 21:01:42 HOST:proxy10032.docomo.ne.jp
>>ピーチ
柊一くんもようこそ!
いえいえ、皆平等に愛してますよ!……扱いに差があるけど。
でも、ピーチのお話まですぐに終わっちゃうのはやっぱり寂しいから続いててほしいな(≧∀≦)
>>ねここさん
ありがとうございます…!
ねここさんのコメは心の癒しでした、今まで本当にありがとうございました!
どうなるか分かりませんが、次作もがんばりますっ(`・ω・´)
…あ、もちろんヒースとジルも喜んでますよ(笑)
>>彗斗さん
わ、そ、そうだったんですか…!
凄い嬉しいです!
でもこんな駄作を参考にしちゃ駄目ですよー(*´д`*)
月波も寂しいですううう←
はい、まだリクを受け付けてますので、ちまちま書いていくつもりです\(^o^)/
353
:
月波煌夜
:2012/09/15(土) 21:03:37 HOST:proxy10031.docomo.ne.jp
――あとがき――
これにて、番外編『紫の乙女と愛の花束』を完結とさせて戴きます。
変なテンションで書き散らした駄文と相変わらずのイミフなストーリー展開。
多分少ししたら黒歴史になってますね!
特に作文が得意というわけでは全然なく、誇れるのは妄想力だけという駄目作者でしたが、皆様のお陰でこうして、ソフィアたちの物語を最後まで書ききることができました。
正直まだ信じられない気持ちです。
本編に共通するコンセプトとしては、「ちょこっと笑えるファンタジー」を目指しました。
ファンタジーというと何となく重苦しいようなイメージがありましたので、笑えるとまではいかなくても、何かの合間にかるーく読める。内容はヘビーなところもあっても、そんな小説になっていたらなあと思います。
…なんかころころと話題が変わってごめんなさい(^_^;)
ソフィア編と銘打った『しあわせの色』は、テーマの《紫水晶(アメシスト)》の『紫色』という意味もあり、それから読者様の温かい御声援のもとソフィアたちが作り出した、彼らだけの色という意味もあり。
あの、本編の最初の方の無表情ソフィアが、こうして心から笑えるようにまで成長したのも、心優しい皆様のお言葉に感化された月波の心境の影響かもしれません(笑)
ここから少しお知らせを交えまして。
さて、月波というハンドルネームには、「月並み」……せめて普通の、人並みな文章が書けるようになりたいなという思いが入っていました。
でもこうして、自分が書いてきたものの内容を振り返ってみると、
……全然普通じゃなくね?(もちろん嫌な意味で)
むしろ「普通」の枠を自分から喜んでぶち壊してますよね?
というわけで、いやどういうわけだか分かりませんが、前にもチラッと呟いたとおりハンドルネーム変えようと思います!
気分一新ということで(≧∀≦)
散々月波月波言ってきたのでなかなか慣れないと思いますが、よろしくお願いします。
あと、これからの告知というか、月波がやりたいなーという希望を。
*ピーチとのコラボ 『鈴が歌う奇跡の旋律』
これは絶対ですね。
シュオンとソフィアがまだ婚約中という設定です。
キャラクラッシャー・月波が暴れ回っちゃいますよー。
ピーチ、目に余るとこがあったら遠慮なくバシバシ言ってね?
*『紫の歌』短編
リクエスト、引き続き受け付けております!
ゆっくりゆったりと更新していきますので、気長にお待ち下さいませ。
*新作:『邪気眼少女の攻略法。』
日常系学園ラブコメの予定。あくまでも予定。
高校入学したての主人公・日永圭(ひなが けい)と個性派すぎるクラスメイトたちの痛い青春ストーリー…になる、かも、です。
こいつが通う高校は、月波の学校を名前以外完全コピーしますので、まともなものには絶対なりませんね。
月波の高校は特殊というかアレというかなので…(*_*;
*新作:『ソラの波紋』
魔族で《人形遣い》の空牙(クウガ)と、相棒の毒舌系美少女人形ミレーユが敵と戦いつつ冥界を旅するファンタジー……これもあくまで予定!
『邪気眼少女』とちょっと繋がるかもです。
『紫の歌』では、不思議な力とか剣とか出てきても魔法バトルは出来なかったのでやってみたいなーと。
カタカナでルビ振りまくりの必殺技とかやりたいじゃないですか!((こら
*『恋日和』
恋愛ものの短編集です。
これはできるかどうか分かりませんが、できれば(・∀・)
……こんなところでしょうか。
更新速度はやや落ちるかと思われますが、こんな感じのタイトルを見つけたら、何かのついでにでも覗いてやって下さい。
それから、彗斗さんとのコラボもまだまだ続くみたいで楽しみですね!
人生初小説で二人の方とコラボして戴けるなんて、月波は本当にしあわせ者です。
悪役のイメージ払拭を兼ねた、たくさんの色から成る『愛の花束』も終わりです。
きっとシュオンやソフィアたちも、それぞれにずっとずっと、しあわせにやっていくことでしょう……うう、またしんみりになっちゃいました(´・ω・`)
我が子を送り出す親ってこんな感じですかね(笑)
……さて!
最後まで見届けて下さった読者の皆様方には、いくら感謝の言葉を連ねても足りません。
『紫の歌』を通して皆さんと出会い、お話しできたことは、大げさですが月波の一生の宝物です。
本当に、ありがとうございました!
それではまた、別の形でお会いできることを願って。
354
:
ピーチ
:2012/09/15(土) 22:36:00 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
つっきー>>
いやっほーい!←うぜぇ
平等……に、見えないw
でも人のこと言えない人w
355
:
月波煌夜
:2012/09/16(日) 13:08:01 HOST:proxy10070.docomo.ne.jp
>>ピーチ
いやいや、皆大好きだよ?
今まで面倒見てきたんだから愛着あるし、嫌いな子はいませんよ?
でもあれだよ、可愛い奴ほどいじめたくなるじゃないか!((こら
356
:
ピーチ
:2012/09/16(日) 13:33:54 HOST:nptka304.pcsitebrowser.ne.jp
つっきー〉〉
うん、それは分かるよ?
……でもね、一定の人物だけを狙うのはね?
357
:
心愛
:2012/09/16(日) 15:40:58 HOST:proxy10015.docomo.ne.jp
>>ピーチ
……ヒースたちは、いじればいじるほど輝くんだよ!((キラキラッ
ヒースとレイさんはむしろいじめられる為に生まれたしねw
358
:
ピーチ
:2012/09/16(日) 16:55:57 HOST:nptka402.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉
ヒースのみならずレイさんまでも!?
……哀れな二人よ、諦めなさい←え
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