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高崎家のオカシナ事情
41
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/10/07(日) 21:44:35 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
「うぅ……」
泣き出してしまいそうな色葉を、両横から慰める幽美と藍。子湖乃はそんな三人の後ろを着いて歩いていっている。
翠恋の(精神的な意味での)殺人スマイルは色葉の心を深く抉ったようだ。色葉から黒い負のオーラが立ち上っているような、子湖乃はそんな錯覚に陥った。
ふむ、と考えるような仕草をしながら幽美は、
「やはり翠恋姉はリスクが大きかったようじゃな。私も未だ、彼女と向き合うと身が硬直してしまう。まあ、それも私が強力な魔力を封印してるからであって、私が封印を解けば翠恋姉も我が前にひれ伏すことと―――、」
「あー、もしもし翠恋姉? 今幽美姉がさぁー」
「おい、子湖乃!? 翠恋姉に電話するな!!」
子湖乃の声で幽美は勢いよく振り返る。
案の定、子湖乃は自身の携帯電話を耳に当てていた。幽美が止めると通話はしていなかったようで、単に幽美の中二的発言が鬱陶しかったらしい。
何もしていなかった藍と色葉は『あー、また言ってるよコイツ』みたいに聞き流していたに違いない。
「ぬぅ……、子湖乃謀ったな!」
「騙される方もどうかと思うけど? それに幽美姉の中二発言程度、翠恋姉は歯牙にもかけないだろうね」
そんなことないもん!! と素を丸出した幽美が叫ぶ。
そんな光景を傍観していた藍はくすっと、思わずといった調子で軽く吹き出した。
色葉はそんな藍に、
「どうしたの、藍ちゃん」
「ん? いや、なんかさ……」
言い合う幽美と子湖乃。ひいては姉妹。
藍は笑みを浮かべながら、
「今までは、幽美姉も子湖乃も。心の底から笑わなかったなーってさ。色葉ちゃんのおかげだよ!」
「私、の……?」
きょとんとした顔で色葉は聞き返す。藍は、ただ笑って頷くだけだ。色葉も嬉しさと照れがまじり、頬を僅かに赤く染める。
色葉と藍が友情を深め合っている横から、幽美と子湖乃の汚い言葉の応酬が耳に入ってくる。
「大体貴様は、私を姉として慕ってないだろ!」
「慕ってるよ! そんな中二病を開放するなんて逆に尊敬するよ!」
「それは敬愛でも慕情でもなんでもないだろ! 私分かるもん!」
「幽美姉に何が分かるって言うんだよ! あれか、例の冥界の王から授かった『冥帝の邪王眼(めいていのじゃおうがん)』か!!」
「使うまでもないもん! 貴様の心など手に取るように分かるわ!」
「人って成長すると怖いね。昔は『私大きくなったら駆と結婚する』とか言ってたくせに!」
「「「え?」」」
その場の発言者の子湖乃以外が驚きを露にする。
わなわなしながら顔を赤くしていく幽美。そして廊下の奥から、
「え?」
男の声が聞こえる。
そこにいたのは、絶望に打ちひしがれた許婚(仮)の、
高崎駆だ。
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