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高崎家のオカシナ事情

2竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/06/02(土) 23:56:07 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
―始まり―

 東京都内の高層ビル群。
 この都会の中では決して珍しくもない、いたって普通といえるような風景のこの景色。
 街には溢れかえるほどの人が行き交い、テレビや雑誌の取材などで有名な料亭やブランドの服屋などが立ち並んでいる。
 そこに立つ一軒の四階建てのビル。
 名は「高崎(たかざき)マンション」。
 何処にでもあるような、至って普通のこのマンション。だが、人々の間ではこのマンションはどうやら普通ではないらしい。
 住んでる人の苗字が全部同じなのよ。家族で全室埋まってるらしいぞ。マジか、何人家族だよ。というのが街の人の噂の一端である。
 そう、このマンションはとてもオカシイ―――という自覚は住人達にはない。

 マンションの一階、食堂。
 そこに、黒髪の一人の少年が制服姿で入っていく。
「おっす、小湖乃(ここの)。今日も朝飯作ってんのか」
「おう、おはよう、俊介(しゅんすけ)兄。ちゃんと人数分の弁当も作っといたぜ」
 俊介、と呼ばれる少年の声に、男子制服に身を包んだ子湖乃という小柄な人物は返事をする。
 子湖乃の姿に俊介は言葉を失い、ずかずかとものすごい剣幕で近づいていく。
「子湖乃、お前馬鹿野郎! お前今日から中学三年生だぞ!? 中三になったら男装すんのはやめろって言ったろ!」
「これは男装じゃない! きっと僕は男として生まれたはずが、身体は女の子になってたんだよ!」
 どういう反論だ、と俊介は思う。
 高崎子湖乃(たかざき ここの)。中学三年生十四歳。高崎家七女でマンション二階の住人。正真正銘の女の子だが、本人曰く「心は男だぜ!」の少女。肩より長めの金髪でくりっとした瞳が可愛らしいのだが、思考がちょっぴり残念である。
「ふふふ、今日も妹への忠告に酷く力が入っているようじゃの、俊介」
 薄い水色の髪をツインテールにしたゴスロリ調の服を着た少女が、俊介に古風な喋り方で声をかける。
 高崎幽美(たかざき かすみ)。十八歳で先月高校を卒業したばかり。高崎家四女で子湖乃と同じくマンション二階の住人。俗に言う中二病で、彼女にこの病気が現れたのは中学二年生の頃から。それ以来ずっとこの調子で「高校を卒業してからはずっと暗黒の衣(ゴスロリ衣装)を着れる」などといって喜んでいる。
「幽美。何とか言ってやってくれよ」
「ふふ、俊介よ。それは無理な相談じゃな。私には子湖乃の生き方を干渉する程、奴に心を開いてはおらぬ。貴様の注意が疎かだったのではないか?」
 言われてみればそんな気もする。
 だが、姉として、出来れば注意して欲しいものだ。
「俊介、そろそろ朝ご飯食べないと遅刻するよ?」
「今日からお前らも高校生だろ。とっとと食って遅刻すんなよ」
 最初に声を掛けたのが、俊介と同い年なのだが、双子ではない高崎藍(たかざき らん)。俊介より後に生まれた彼の妹で高崎家五女で十五歳。マンション三階の住人。
 背中辺りのさらっとした茶髪が自慢で、よくポニーテールにしている。今日から俊介と同じく高校生だ。
 後に話したのが、高崎家三男で十七歳の高崎駆(たかざき かける)。マンション一階の住人。
 金髪でピアスなどをした不良的な印象が目立つ彼だが、成績は常に学年トップクラスで、見た目に反し成績は優秀なのである。
「あー、そっか。今日から俺達も高校生か」
「もうっ、しっかりしなさいよね。ちゃんとしてよ」
「まあ、そのマイペースさがお前なんだろ。俺は逆にお前のそういうところ好きだけどな」

 そうだ。
 俺は今日から、高校生になるんだ。

 そんな自覚を胸に抱きながら、俊介は朝の日差しが優しく差し込む窓を見つめている。


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