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高崎家のオカシナ事情

15竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/07/01(日) 13:55:08 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
(第三者視点)

 俊介と翠恋は睨み合うように、お互いの視線を重ねていた。
 既に戦場のような緊張感を生み出している食堂にいる全員が、その緊張感に身を強張らせ、指一本動かす事さえままならなかった。
 ただでさえ、腕を組みながら座っている翠恋が怖いのに、それと睨み合っている俊介はどんな恐怖に陥っているのだろう。
 幽美、駆、藍、子湖乃、晃の五人は、自分が俊介の位置に立っていたら、たまらなくなってその場から走り去ってしまうだろうと考えている。
 その緊張感に、何も出来ず彼らと同じように指一本動かせない人物がもう一人いた。

 渦中の人間、青羽色葉だ。

 本当は今すぐ自分が『もう良いです。ご迷惑をおかけしました』とでも言って出て行けばこんな状態にならないで済んだだろうに、そう言い出す勇気が無かった。
 自分から『ここに住んだらダメかな?』と問いかけておいて、自分はこういう時どうすることも出来ない。
 そんな自分の無力さが、恥ずかしくて、情けなくて、泣き出しそうになってしまう。
 緊張感の中心点に位置するであろう翠恋が、こんな張り詰めた空気を払うかのように口を開いた。

「……何でもする、ねぇ……。その言葉に、虚偽はないかしら?」
「ねぇよ! 男は二言はねぇ。男ってのは約束を守れって、博斗に教えられたんでな!」
 俊介は翠恋の言葉に即答する。
 だが、翠恋は俊介を睨みつけて、恐ろしさが混じった声色で俊介に一言だけ告げる。

「博斗『お兄さん』ね」

 翠恋のその瞳に、俊介は背筋に悪寒が走るのを感じた。
 身の毛がよだつ、とはこのことだろうか。まさか現実で体験する事になろうとは。しかもその相手が自分の姉になろうとは創造もしてなかった。
「まったく、何であなたは姉や兄を呼び捨てに出来るのかしら。『呼び捨てで良い』っていう人物しかダメって言ったでしょう? まあ、博斗なら気にしてないんだろうケド」
 翠恋は呆れたようにそう言った。
 兄や姉を呼び捨てにしている人物は他にもいる。
 幽美や駆だってそうだし、呼び捨てではないにしろ明架梨だって、姉には『ちゃん』。兄には『くん』付けで呼ぶこともある。
 さすがに、翠恋を呼び捨てにする人物はいない。
 呼び捨てにした瞬間、どういう処罰が待っているか分からないからだ。
「まあいいわ。そこが本題じゃないもの。つまらない話の方に脱線していったけど……採集確認。本当に何でもするのね?」
「ああ、勿論だ! でも、犯罪とかはちょっと……」
「安心しなさい。誰が弟に犯罪なんかさせるのよ。そこまで暴君になった覚えはないんだけど」
 それもそうか。
 そこら辺はちゃんとした人で良かった。
 
 幽美は『一日一個。私の言う事を聞きなさい』と翠恋が言うと思っていた。
 駆は『一日一時間勉強しなさい』と翠恋が言うと思っていた。
 藍は『今日一日私の言う事を何でも聞きなさい』と翠恋が言うと思っていた。
 子湖乃は『絶対にその子を守ってあげなさい』と翠恋が言うと思っていた。
 晃は『何でもいいからネタ十連発』と翠恋が言うと思っていた。
 だが、翠恋の提示した内容は、全員の予想を。俊介の考えを。青羽の想像を遥かに凌駕するものだった。

「じゃあ、俊介。あなた、このマンションから出て行きなさい」


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