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中編小説まとめてみた

7青葉翠:2012/03/12(月) 13:52:47 HOST:KD182249240023.au-net.ne.jp
「チェシャ猫…….」

呟いて振り返る。
変に笑っているチェシャ猫の顔に寒気を覚える。
聞かなくても本当はわかっているのだろう、彼は。
わかってそれでなお笑っている彼を、気持ち悪いを通り越して怖いと思った。

「―…別に。散歩よ、散歩。」

恐怖を振り払い誤魔化しの言葉を発する。
別にこいつは見ていたわけじゃない。
怖いと感じるのは私の気のせいだ。
そう自分に言い聞かせた。

「帽子屋達のお茶会放棄して、女王のお誘いを断り、時計ウサギを怒鳴ってまですること か?」

さっき行った事柄全てを言い当てられ、鼓動が速くなる。
適当に言っているにしては、あたりすぎている。
あぁ、ならやはり……

「アリス、もう協力はしてくれないのかい?」

尋ねるその言葉にはしっかりと別の意味も含んでいた。
もうこれ以上隠すのは無理だろう。
今アリスがとるべき行動の選択肢は二つ。
ここで 素直に謝り、チェシャ猫が帰してくれるまで大人しく協力するか、しっかりと反抗の態度をとり、何としても帰るべき場所に帰らせてもらう、か。
もちろん前者は嫌だった。
もうこんな世界にはうんざりして、嫌気がさしていた。
ならば残され ているのは一つしかない。
アリスは自分を奮い起たせて、チェシャ猫に言い放つ。

「そうよ、もうアンタについていけない!私は自分で帰り道を探す!もうアンタの言うことは聞かない!何がなんでも帰るから!」
「帰るって、どこに?わかっているのか?思い出せたのか?」

最もなことを言われてしまい、言葉に詰まる。
啖呵を切ったのだから、ここで怖じ気づいてはいけない。

「確かに、思い出せてないわ!けどアンタに協力するよりマシよ!」

初めてチェシャ猫をアンタ呼ばわりしたが、気にしている様子はない。

「そうか。本当にいいんだな?」

表情はさっきから変わっていないのに、アリスの全身にぞわっと鳥肌がたつ。
チェシャ猫の気迫に足が震えそうになるのを必死にこらえた。

「もちろんよ!」

いたって平気なふりをして答える。
弱さを見せたら負ける。


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