したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

エクストリームクライシス(翼の章)

152彗斗:2013/07/07(日) 00:20:29 HOST:opt-115-30-141-24.client.pikara.ne.jp
第63話 最終戦争

「あぁ?! 俺達を知らないってか!?」

 そう言った周囲の人間に対して、ラギアがまず最初に食って掛かった。鼻を得意げに鳴らした後、片足を前に出し、前のめりの体制で、これまた得意げに言ってのけた。

「俺達は大昔にこの地方を所有していた三龍! 天竜 ラルド! 地龍 ガルザ! そして! 俺がよく名の知れた海龍 ラギア様d……ゴファァッ!?!」

 彼のとっておきの決め台詞を言い切る前に、何者かがラギアの背面に攻撃を仕掛けた。地面に対して平行に吹き飛んだラギアは、ハヤテ達の間を見事に通り抜け、隔離する為だけにそびえ立つ壁に、真っ向から正面衝突する羽目になった……。

「……で? 何処のヘタレ龍だっけ? アンタ達の力の源は私の体の中にある事を忘れてないでしょうね?」

 殴り飛ばした張本人は、崩壊した壁に生き埋めにされている返事をしないラギアに問いかけた。返事をしない理由は、後頭部を思いっ切り殴られたからだ。青筋立てて殴り飛ばした体勢から、元に戻ったノゾミは、即座にその場から消え失せた。

「……あ、アレ? 今さっき俺は何かを言いかk………ガハッ!?」

 ラギアはその台詞を言う前に、とんでもない力で、宙に蹴り上げられた。今度も蹴り上げたのはノゾミである。しなやかに伸びた右足でラギアの顎を捉え、宙に舞い上げた後、クルリと一回転し……。

――引力に従って頭から落ちてきたラギアの腹を、遠心力を利用して思いっ切り蹴り付け、また壁に埋めた。

「……アンタ自体は必要ないから、なんせならこの力だけで良いのよ? 喋れなくなるまで叩き付けましょうか?」

(ノゾミは一体どうしてしまったんだ……!?)

 意思、感情一つ漏らさない無慈悲な声が、ハヤテの心の中にある数々の疑問を更に掻き立てる。『力を持つと人は性格が豹変する』と言うのは案外本当なのかもしれない……。そう思わせるほどに、ハヤテの頭の中にはギャップが渦巻いていた。

「……彼女は礎だった。『三龍』達を封印するための……な。」

 ハヤテの疑問を知ってか知らずか、ハヤテの背後に居た見覚えのない人物が、ポロリと徐にその言葉を口にした。だがそれは同時に彼女、ノゾミを人間として扱っていないとでも言う様な発言だった。

「そんな……! それなら彼女は、人間ではないとでも言う気か……!?」

「誰もそのような事を言った覚えはない。それに今、彼女の見かけは『アレ』だが、一応楽しそうにしているぞ?」

 その言葉を疑い、目を向けると地面に蹲って蒼くなっているラギアを踏みつけながら無邪気に笑っているノゾミの姿を見た。その光景は、些か彼の言う通り『アレ』だが、あのような無邪気な笑顔を見た事は、ノゾミと行動を共にしていた今まで、一度たりともなかった様な気がした。その時ふと自然にある結論が出てきた。

――彼等はノゾミの一番の理解者なんだ……。

「そうか……ノゾミにはもう良い理解者が隣に居たんだな。それをお前達が気が付かせる為に、俺達まで巻き込んだってか?」

「大体そんな感じだ。全ては彼女に新たな力を与える為。それだけの事だ。」

「……俺にも気づかせてくれて、ありがとよ。ジャッジ。」

「あぁ……。ん? お前、何故俺の名を?」

「あ、え? さぁ……知らないぜ?」

 この時、彼は何故か疑問に思った。何故『初対面の相手に神の名を使って呼んだのか』?


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板