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小説家になろう!

8傷羽:2012/03/12(月) 17:46:41 HOST:ntehme084254.ehme.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
01  おんみょうじ

都内にある、どこか浮き世離れな雰囲気を持つ広大な敷地の学園。
私立神無月学園。
校舎の古さは風情を感じさせ、誰かが歩くと時折鳴る、廊下のぎしりという音も、かえって伝統校の歴史を感じさせる。
趣味のいい映画に出てきそうなレトロな雰囲気の門を、生徒達がつぎつぎとくぐっていく。
カラフルなガムボールをからころと鳴らすようなうきうきとしたおしゃべりが舗装された道に響く。
学園に在籍する中等部から高等部までの生徒が、
それぞれ道草の相談をしたり、帰路に急いだり、彼氏彼女の手を取ったりとそれぞれ楽しげに歩いている。
篁八重は、そんな生徒達の中の一人だった。
「今日カラオケ行かない?」
「おー行こう。」
女の子らしい雰囲気の友人、田上深雪が言い、それに中性的な容姿を持つ友人、椎名凪沙が軽く応じる。
正反対の二人の間に挟まれた少女は明るく賛成しようとして、

      ぴりりり・・・・・・・・・

携帯電話から鳴る味気ない着信音に、ほんの少し眉をいさめた。
ポケットから薄桃色のケイタイを取り出し、メールを開く。
ほんの少しいさめられた眉が、一瞬さらに引き寄せられ・・・すぐに明るい笑顔になる。
「ごめーん、用事が出来ちゃった。」
「ええー。」
「ナニ?男かぁ〜?」
不満げな深雪と、茶々を入れてくる凪沙に「ごめん!バイバイ!」と言って足早に去っていた。

篁八重。
たかむらやえという少し変わった名前を持つ彼女は、いたって普通の17歳の少女だ。
好きなものはクリームやフルーツをふんだんに使ったケーキ。
肌の手入れを気にし、あぶらとり紙をよく使う。
流行のファッション誌をチェックし、それを一生懸命参考にしながら服を選び、
その格好で友達と休日に町に出て楽しむ。
新製品に弱い。
そんな、目を閉じて肩に手を置いたら一人はいそうなくらい、平凡な少女だった。

ただ―――――、ある一つの秘密を除いて。

平安時代の姫君を思わせる長い黒髪を払い、八重は意志の強そうな瞳をキッといさめる。
気の強そうな、しかし可愛らしい美少女。
それが周りからの八重の、主に容姿に対する評価だ。
しかし今の八重は、決してそれだけの少女には見えなかった。
真剣みに引き締まった貌は熟練の玄人が仕事に挑むような雰囲気がにじみ、
凜と伸びる背筋は張り詰めた弓弦を連想させた。
スッスッ、と歩を進める挙措は無駄のない武人のすり足を思わせる。
「・・・・・・・・・・。」
そして八重がたどり着いたのは、人気の無い神社だった。
「・・・・・・。」
社はうっすらと土埃が積もり、手入れが行き届いていないのが一目でわかる。
長い年月が感じられる太さの幹を持つ木々は、鬱蒼と生い茂り、
日光を遮っているため、むしろ不気味さに拍車をかけている。
感じられる空気も、先ほどまでとちがいひやりと冷たい。
「・・・ふぅん。たしかにそれっぽいわね。」
八重はつまらなさそうにそうつぶやく。
「で―――――、さっさと出てきたらどうなの?」

    ・・・・・ミシ、

社がきしんだ。


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