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小説家になろう!

45傷羽:2012/04/13(金) 17:40:27 HOST:ntehme061023.ehme.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
10 はん“よう”


「・・・どうしても教えないわけ?」

「もちろんだ。」

狼がうなる牙のすきまからもらすような恫喝に、玖堂室長はぬけぬけと返す。

「・・・・そう。」

八重はフゥゥ・・・・・と、深く深く息を吐いた。

どうやらここにいても埒があきそうな様子はない。

ならば、いっそのことあきらめる方が利口というものだ。
ここにこれ以上いると、さらに自分の醜態をさらしてしまいそうだし――――――。

「何にも教えないわけね?」

「ああ。」

「妖の情報も、これを誰が担当するのかも――――――、」

「いやぁ、担当ぐらいは教えられるよ。」

「そう―――、て、えっ!?」

八重は驚きのあまり安っぽいソファから腰を上げた。
もう一度確認するため、そして未練を断ちきるつもりで、こまごまと言葉を並べていたのだが・・・・・。

「おおおおおお教えない、て、言ったじゃない!!!」

「妖の情報とかはね。まあ担当ぐらいなら教えられるよ。
 なんと言っても、あの篁のご令嬢なのだし。」

「・・・・・・・・・・・・。」

玖堂室長の言い分に、八重は少なからず釈然としないものを感じたが、それはそれとして。

「・・・・・だれ。」

そこだけは聞いておく必要がある。
八重をおいて、この事件を父から任された者・・・・。

(誰よ!!!)

声は低く冷たく静かに。
しかし心は業火を躍り狂わせながら、熱く。

玖堂室長は少女の内心を正しく察しながら、ソファから腰を上げて、積み上げられている書物の中から一冊のファイルを取り出す。

「これを見るといい。」

「・・・・・・・。」

やけにもったいつけるその態度に眉をひそめながら、八重はそのファイルを手に取る。
漆黒の、百円ショップで売っていそうな、なんの変哲もないファイル。
しかし白けた蛍光灯に照らされるそれは、なぜか不気味に見えた。

「・・・・・・・・・・・・。」

八重は小さく頭を振ってその馬鹿馬鹿しい妄想を追い出す。
表紙をめくる。

「・・・・・・・?!」

そして八重は、息をのんだ。




“篁家に所属する半妖”








半・・・・・“妖”・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?


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