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小説家になろう!
42
:
傷羽
:2012/04/04(水) 21:19:04 HOST:ntehme071168.ehme.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
09 しんれいげんしょうそうさはん
「どういうことよっ!!」
ばんっ!
先ほどの怒鳴り声に匹敵する、堅いものを打ち付ける音が響き渡った。
安っぽいテーブルに手のひらを乗せたまま、篁八重はギンッと相手を睨みつける。
武人の威嚇のようなガンとばしに相手は恐れる様子も、それどころか動揺さえ欠片も見せない。
それどころか、
「まぁまぁ落ち着きたまえ。お茶でもいかがかね?」
とまで言ってくる。
「・・・・・・・・・・・。」
ぎろり、と八重はさらに強く睨みつけるが、相手―――、玖堂室長はその気迫も柳に風と相手にもしない。
八重は今、警視庁の地下、その裏寂れた小さな部屋にいた。
面にはなんの看板も掲げず、一般の捜査員には存在さえ知られていない。
つまり、一般でない捜査員はそれの存在を知っていた。
「心霊現象捜査班」
それがこの部署が掲げた名称だ。
つまり、ここは日本唯一の公営退魔組織なのだ。
しかし、八重と玖堂室長がいるこぢんまりとした部屋は相応の仰々しさはない。
というか、スペースから不足しており、すべての壁を覆い隠した天井にまで届く本棚からはみ出したファイルやら和綴じの書物やらが床にどしどしと積まれ、いつ雪崩が起きるかわからないような有様だ。
空気も埃っぽく、掃除もろくにされていないらしい。
デスクの上にちょこんと置かれたインスタントコーヒーのビンとソーサーが妙に所帯じみている。
八重はそれらの惨状を見回して――、フン、と挑発的に鼻で笑ってみせる。
無論、玖堂室長はそのこどもっぽい挑発も無視する。
その、自分を歯牙にもかけない様子に八重はむっとする。
そして玖堂室長をつま先から頭のてっぺんまで睨め付ける。
ひょろりと長い体によれよれのスーツを着せ、やや白髪の混じった黒髪をオールバックにしている。
そして―――――――、なぜか翁の面を、その顔につけていた。
故にその容貌を、八重は一度も見たことがなく、年齢もつかみづらい。
にっこりと笑う、翁のカオ。
しかしその目尻は泣いているように垂れており、つやりと光を反射する作り物の肌と相まって得体の知れない雰囲気を醸し出している。
八重はこの室長が嫌いだった。
というか、この部署の存在意義も、実のところよくわからない。
妖の討伐なら、自分たちがするのに。
なぜこんな得体の知れない連中を公営で雇わなければいけないのだ。
それでも八重がここにいるのには理由があった。
この部署は主に陰陽師の雑用、結界の修正や封印の補強、そして何より、民間からの情報提供を請け負っていた。
さらに今回の事件の被害者は警視総監だ。
ここでなら情報も容易く収集出来る。
そして自分は得た情報を分析し、妖を討伐してこの事件を自分の手で解決してみせるのだ。
(そうよ。お父様にしっかりわかってもらうのよ・・。この篁八重は、もう一人前なんだってことを・・・。)
それなのに。
「私に情報を提供できないってどういうこと!!」
「だからさっきも言ったように、この件に関しての情報は一切他言無用だと君のお父上にきつく言われているんだよ。」
しれっと言ってみせる玖堂室長。
ひょろりとした足を組み、インスタントコーヒーのはいったカップをゆらゆらとゆらしている。
黒い水面が、ちゃぷりと波たつ。
「わたしは篁八重!!この私にも教えられないって言うの!?」
「もちろんだ。この件に関しての情報は君の父上を通じてしか提供できないのだよ。」
「なっ・・・!」
信じられない。
この篁八重が・・・まさか、そのへんの陰陽師と同程度と見下されている・・・・・・・?!
ぎりっ
奥歯がしらず音を立てる。
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