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叫号〜Io ripeto un incubo〜
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:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/02/27(月) 19:44:17 HOST:i121-114-186-133.s04.a001.ap.plala.or.jp
「ストップ。流石に入学式前日にそれはやめ。何にも面白くないからね」
湊だった。心底退屈そうに欠伸をしながら、軽く白鷺の右手を払う。不思議なことに今にも放たれそうだった黒い光は、湊が軽く手を振っただけで周りに溶けて消えた。それを見た白鷺は僅かに不服そうな表情をしながらも、半歩後ろに引く。
刹が小馬鹿にするように笑っていたが、しばらくして風雅に殴られていたから気にしないことにする。というよりも今手を出すと、自らの前で微笑んでいる湊に、即刻潰されそうな気がする。刹は副会長のお気に入り、ってわけね、そう呟いて深くため息をついた。
「さて、偉大なる四大精霊、風のシルフィード……少しだけ僕に力を貸しておくれ」
不自然な風が起きて、箱に入れられていた造花が舞い上がる。その風の影響か、手元に運ばれてきた飾り付けの図案を見れば。湊はため息をついて「やれ」とだけ呟いた。
唖然とする風雅をよそに、造花が一人でに飾り付けられていく。その様子を刹は無言で眺めていた。時々動く造花ではなく別のものを目で追うような目つきで辺りを見回す。湊のほうはいつの間にかステージに腰を掛けていた。
「はい、会場設営終了。んじゃ僕もさっさと戻りますか。やはり肉体から一定距離離れると問題が出てくるようだ」
辺りの飾り付けが全て終わった頃に風はやんだ。深く息を吐いた湊は自らの右手を見て僅かに顔を顰める。ゆらゆらと不自然に揺らいでいるのだ。形を留めることができないようで、不自然に膨らんでは元に戻る……それの繰り返し。
精霊の力を借りて意識だけを飛ばしたところまでは良かったんだけどなぁ、と呟きながら揺らぐ体を見つめる。スッと音もなく白鷺が姿を消した。刹と風雅はそれを気に留めることもなく、揺らぎながら消えていく湊の様子を眺めるのだった。フッと刹が手を伸ばして、湊の胸元を掴もうとする。しかしその手は湊の胸を突き抜けて、空を掴み……。
「ぎゃぁぁぁぁ!? む、胸を貫通した!?」
刹、大絶叫。間近で様子を眺めていた風雅も、目を大きく見開いて固まっていた。そんな二人を眺めて、少しだけ苦笑いを浮べる湊。少しずつ、少しずつ揺らぎは大きくなっていて、今にも溶けて消えてしまいそうだった。それを見てパニックを起こした刹は、どうしていいか分からずにあたふたとしている。自分の手が湊の心臓を突き抜けてしまったことが原因だと思っているのだ。
湊は今にも空気に溶けてしまいそうな手で、自らの頬を掻く。代行とはいえ、闇のリーダーをやっている者とは思えない表情だ。普段の湊を知る生徒ならば真っ先に性質の悪い悪夢かと疑うような、穏やかで、少しだけバツの悪そうな表情。そんな表情を見て風雅がやっと正気に戻ったようだった。
小首をかしげ、苦笑い気味の表情で「何があったんですか? 肉体に大損傷でも?」と問いかける。それを聞いて湊は小さく首を振る。その表情はそんなヘマはしない、とでも言っているかのようだ。
「ちょっと、上層部の連中を“お片づけ”してしまってね。肉体は今ここにはないよ。処分を下した刹に聞けば分かるんじゃないかなぁ。……あ、君が情報にアクセスしようとしても、守護者(パラディーノ)以上の権限がないと閲覧できないようになってるよ。今回の事件は、ね」
脳に直接響くような声に風雅は顔を顰める。守護者(パラディーノ)というのは、刹の所属している理事長直属部隊の名前である。守護者という名前とは裏腹に、最初から与えられている業務のほかにも、言われれば動物の捜索から、裏庭の掃除……そんな具合に何でもこなしてしまうよく分からない集団だ。そんな守護者は生徒会以上に大きな権限を持っている。まぁ、理事長のすぐ下に作られている部隊の一つだから当然だといえば当然なのだが。実力については一応光と闇、双方の会長に匹敵する程度、と定められているのだが実際はどうなのかは良く分からないところである。
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とりあえず私立受験が終わり、PCも直ったようなので更新。
実は書き溜めがあるので、序章終了まではすぐに更新します
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