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青空ときどき灰色雲
25
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/01/06(金) 15:13:55 HOST:w0109-49-133-138-187.uqwimax.jp
ぴんくいろ / 千花side
健先輩は本当に不思議だらけな人
かっこよくて優しくて、女の子が皆惚れたっておかしくないのに
なのに彼女がいないなんて
疑問を残したまま呆然と立ち尽くしていると、朱音たちが不思議そうにこっちを見てきた
「千花と健先輩は帰らないの?」
………このまま黙って抜けるというのはやっぱり難しかったか
ふうと溜息を吐くと健先輩の方をちらりと見つめた
するとまるであたしの気持ちを全て理解してくれたかのように微笑んで告げる
「あー、俺途中で落し物しちゃってさ
千花が探すの手伝ってくれんだって、だから探してから帰るわ」
嘘吐いてまであたしといっしょに居てくれる健先輩
………好きに、なっちゃうよ?
「そっかあー、あたしは流石にそろそろ帰んなきゃやばいから探せないけど……ま、見つかるといいね!じゃあねー」
にこりと微笑んで朱音がその場を去る
あたしが小さく手を振ると、健先輩と目が合ってくすりと微笑みあった
「じゃ、何処行きたい?」
「健先輩とプリ撮りたいな」
この時間だけでも
健先輩と二人っきりでいたい
×
「………さて、どーする?」
もう時刻は9時
きっとお母さん心配してる
どうしよ………
そう考えていると、突然電話がかかった
お母さん、から
「………お母さん?」
『千花あっ!今何処にいるの?!』
「……………ごめんなさい」
電話に出ると泣き叫ぶ様なお母さんの声が聞こえた
子供が9時になっても帰らないからって、そんなに心配することだろうか
思っていることは言わずに、質問に答える様子も見せずぽつんと謝った
『………千花、早く帰ってきなさい?』
お母さんの声
いやだ、また海翔のことで気を遣われそう
気遣われると、余計あたしが可哀想な感じがして自分らしくいれなくなるの!
「やだ、今日は帰らない……帰りたくない」
思わず声を漏らした
何故か自然と涙が溢れてくる
『千花?!何言っ―――――、』
それだけ言い残して電話を切った
お母さんが何か言おうとしていたけれど、そんなこと知らない
「たけるせんぱい………かえりたくない」
ぎゅうっと健先輩に抱きつく
それを健先輩はそっと抱きしめてくれた
「俺の家行こ」
あたしはまた
健先輩に甘えてる―――
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