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青空ときどき灰色雲

15ねここ ◆WuiwlRRul.:2011/12/30(金) 14:49:39 HOST:e0109-49-132-18-153.uqwimax.jp

   あめとかみなりのちあおぞら / 千花side

「………それじゃ、あたしもそろそろ―――――、」
「待ってください!」


 会って間もない二人だとなんだか気まずくなりそうだから、その場を立ち去ろうとするあたし
 でも突然、ぐいっと制服の裾を掴まれて移動できなくなった



「………千花さんにお話しがあります」


 きた、漫画展開
 そしてさらに不幸が降ってきそうな展開


 それでももう十分不幸だもの、と微笑んで話を伺うことにした


「………わたし、吃驚しました……殺した筈の千華さんが生きていたなんて、って」


 当たり前のことかのように話す唯ちゃん
 まあ吃驚するのは当たり前だよね
 うんうん、殺したはずなのにねー………














 ころした、はず………っ?!



「え、ちょっと待って唯ちゃん殺した筈って、」
「そうなんです―――――交通事故と見せかけて千華さんを殺したの、わたしなんですよ」



 あわわわわ、急展開急展開!
 ていうかこれって、


「………千花先輩が彼氏さんを殺したみたいに、ね」


 違う、あたしは違う!
 なんでみんな信じてくれないの?


「海斗先輩に思われてる千華さんがずるくて憎くて、嫉妬してばっかりで………
 ある日千華さんと二人で帰っているときにわたしが轢かれそうになって、勿論態とですけど
 それでわたしを庇おうとした千華さんを車の方に突き飛ばして、」





「事故死に見せかけた」






「………馬鹿馬鹿しい、嫉妬だけでそんなことを?」


 もうちょっと驚いてると思った
 泣いてるかとも思った

 それでも予想と違って全然冷静なあたしに自分でもありえないと思ってる


 何故か、あたしは笑えも怒りも泣きも喜びもしなかった
 できなかった、の方が正しいかなあ


「………でも、馬鹿馬鹿しいとか言いつつ千花先輩も殺したんでしょ?」



 違う、アンタとは違うのに




「貴方みたいな最悪最低な人殺しなんかと一緒にしないでよッッ!!!」


 思わず叫んでしまった
 いつも遠慮がちなあたしだと友達は言っていた筈

 そう、遠慮がち


 これが?
 マジですか、これが遠慮がち……へーえ




「………貴方のことも殺しちゃうから」


 突然、カッターの刃が出てくる音が聞こえた
 少しずつ伸びる刃

 そしてそれはあたしに向けられた


「―――――死ねッ!」


 ………やだって言ったら?
 いやだって拒否したら貴方はどうするの?


 そう問いかける間もなく凄い勢いで近づく刃を、あたしは素直に受け止めようと思った


 もしこれが海翔の望まないことだとしても
 あたしが選んだ道だから





「………だめッッ!!!」


 ぎゅっと目をつむる
 けど、痛みなんて感じない

 恐る恐る目を開くと、其処には――――、


「朱音………百合も……?」


 今まで何度もあたしを救ってくれたであろう朱音
 そしてさっきまであたしを避けたいと言っていた心優しい百合



 正直かっこつけて死のうかと思ってたからもの凄く恥ずかしい自分
 でも、



「朱音、百合いぃ…………」



 此れが自分の選んだ道でも、いざとなると怖いものでして
 途端にしゃがみ込むとぎゅうっと二人に抱き着いた



 こんな今でも海翔を思い出してしまうよ



「もうやだ、あたし海翔に会いたいよお………っ!」


 ついつい本音を述べると、朱音と百合は少し困った表情を見せた
 でもそのあと、二人を掻き分けるように間に入って抱きしめてくれたのは、


「……………っ、海翔?」
「千花、一人にさせてごめんな――――でも死なないで生きろよな?
 お前が死んで喜ぶ奴なんて一人もいない、俺だってお前が死んだら寂しいんだから、」




「海翔………っ、海翔……!」



   ‐


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