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光のロザリオ

8竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/15(金) 22:59:06 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 黒崎は午後六時くらいになると自動的に家へと戻る習性がある。
 彼はごく自然に自分の寮へと戻っていくのだ。
 彼が住んでいるのは男子寮で、女っ気が全くなくむさ苦しい場所である。そのため寮の管理人のお姉さんが彼ら男子生徒のオアシスとなっているのだ。
 黒崎の住んでいる学生寮は、基本的に一人が暮らす広さで、二人暮しとなると、寝るところに困ったりと、結構狭く感じられるが、実際の問題はそこだけで、実際は二人でも暮らせるような広さだ。
 黒崎は鞄の中から鍵を取り出し、ガチャ、という音を確認してから、ドアを開け、部屋へと入っていく。
「誰もいないけど……ただいまっと」
「おかえり」
 そこで黒崎は靴を脱ぐ動作を止めてしまう。
 おや?と黒崎は首を捻り、思考を巡らせる。
 ここは男子寮のはずで、先ほどの女性の声は絶対にありえない。そして黒崎は一人で暮らしている。なので女性の声が飛んでくるなど有り得ない。
 黒崎はうーん、と数秒考えて、
(…今のは寂しい俺のために妖精さんが用意した幻聴だな。うん、もう一回言ってみよう)
「……ただいまー」
 しかし、奥から聞こえてくるのは、
「だからおかえり」
 相変わらずの女性の声だった。
 しかも聞いたことがある。黒崎は勢いよく奥の部屋へと走っていき、そこにいる女性を見る。
 そこにいたのは、
「おかえりなさい」
 白銀流奈だった。
 何故に!?と黒崎は膝から崩れ落ちて、がっかりとしたポーズをとる。
「ねえ、女子にそんな体勢は失礼じゃない?」
 黒崎は、そんなポーズから立ち直って、
「何でお前がここにいるんだよ!?俺は女子と共同生活ー!なんてイベント起こした覚えはねーぞ!?」
「まあまあ落ち着いて」
 荒ぶる黒崎を白銀はあまり表情を変えずになだめる。
 白銀は正座のまま黒崎の正面を向いて、
「君は霊魔に狙われる身となった。守る人がいないと…気まずいでしょ?」
(女子といる方が気まずいよッ!?)
 そんな心の言葉など、白銀の耳には届かない。
 白銀はコホン、と咳払いして、
「さあ、あなた」
 あなた!?と噴き出しそうになる黒崎を他所に、白銀は続ける。
「ごはんにする?おふろにする?それとも……修行にする?」
 言いながら白銀はゆっくりと剣を引き抜く。
 黒崎は自分の前で手をブンブン振りながら、
「待て待て待て待て待ってください、白銀サン!?定番の言葉とは思えないほどドギツイ言葉がぶっこまれましたがッ!?」
「何のこと」
 白銀は引き抜いた剣を構えている。黒崎の用意を待っているようだ。
「ちょっと待って!これはマジなの?本気と書いてマジなの!?」
「マジです」
 黒崎の命がけの命乞いはコンマ単位の時間で即答された。
 白銀は引き抜いた剣を上に振り上げ、
「さーてまずはウォーミングアップー。素振りを避けるの百回」
「え……っ、ちょ……!?」
 黒崎の疑問の前に、容赦なく攻撃は繰り出された。
「いーち」
「ぎゃああああああああああ!?」
 この夜、黒崎の家からは悲鳴が消えなかった。


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