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光のロザリオ

7竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2011/07/09(土) 10:48:31 HOST:p3161-ipbfp3105osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 黒崎は今日も同じことがないように細心の注意を払い、学校への帰り道を歩いていた。
 昨日の出来事で衝撃的だったのは自分が霊魔に狙われてしまう存在だということ。彼には霊魔に対抗できるような武器も戦う術も持っていない。そんなに都合よく白銀が助けに来てくれるとも限らないし。自分としては情けないと思う他無い。今日こそ銃を調達しようかと本気で思っていた。
 そんな彼は途中ですれ違った男性に声をかけられる。
「ああ、そこの君。ちょっといいかい」
 黒崎に声をかけたのは肩より少し伸ばした薄紫の髪を持ち、眼鏡をかけた黒崎よりも年上の男性だ。年齢は大体二十歳前後だろうか。
 黒崎は最初、見知らぬ男性に声をかけられ、首を傾げるが、悪い人には見えなさそうだし、立ち止まって、駆け寄ってくる彼を待っていた。
「実は今この人を探してるんだけど……見てないかな」
 彼が懐から出した、写真に映ってたのは、金髪にピアスをつけたチャラい男だった。とても相手と友達だと思えない黒崎にとってはどういう関係なんだろうか、と思っていたが深くは考えないようにした。
「いや、知らない。友達か?」
 黒崎の質問に彼は少し言い淀み、
「…うーん、まあそんなとこかな。そっかしらないか」
 彼ははぁ、と溜息をついて肩を落とす。
 そして、彼は黒崎を見て数秒、僅かに目つきを変える。
「君、名前は」
 目つきが変わったと思ったらいきなりの質問に僅かに面食らう。
 黒崎は自分の名前を名乗り、苗字だけを相手は復唱した。
「君、何か災難に巻き込まれているだろう?」
 嫌な言い方だったが、確かにそうだ。霊魔に狙われているなんて災難と呼ぶ他無い。
 彼はポケットから何かを取り出して黒崎へと差し出す。
「………これは?」
 彼から渡されたのはロザリオだ。
 特になんの変哲も無い普通のロザリオ。
「それを一応気休め程度に持っておいて。何かご加護があるかも知れないから」
 じゃあ、と言って彼は去っていった。
 こんなもん持たされても困るって、という黒崎の言葉を無視して。
「……なんなんだ、あの人」
 黒崎は小さくそう呟く。
 ちなみに、眼鏡の彼は探すのを諦めて戻ると、捜し人は既に帰っていた。


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